堂珍嘉邦がプラネタリウムから届けた
特別な音楽体験、満天の星々のもと光
と音楽が作り上げた『真夜中のプラネ
タリウム』レポート

真夜中のプラネタリウム-Midnight Planetarium Live-✕堂珍嘉邦

2020.10.16 コニカミノルタプラネタリアTOKYO
「自分のライブとはいえども、もしかしたら、ひとつの大きな物語のような時間になるんじゃないかなと思います。わたしもどこか語り部のような気持ちもあって。一つひとつの歌詞を物語や台詞のように紡ぎ、ふたりの素晴らしいミュージシャンにつないでいただいて、大切な一夜になったらいいなと思います」。そんな言葉を添えて、東京・有楽町のコニカミノルタプラネタリアTOKYOを舞台にした、堂珍嘉邦の配信ライブ『真夜中のプラネタリウム』が行なわれた。コロナ禍にあり、9月にはCHEMISTRYとしての配信ライブ『TWO IS ONE』を開催したばかりの堂珍だが、ソロの配信ライブは今回が初めて。満天の星々のもと、光と音楽が作り上げた幻想的なライブは、自宅にいながら、まるで別世界へと誘うような特別な音楽体験を生み出してくれた。
開演時間。暗がりのなかに堂珍は立っていた。その両脇を固めるサポートミュージシャンは、石井マサユキ(Gt)とDr.kyOn(Key)というスーパープレイヤーだ。静寂を打ち破るピアノに寄り添うように、甘い歌声が重なり、「Reflextion」からライブは始まった。2015年に発表された『VOWS』からのナンバー。ロックとエレクトロが融合したダイナミックな原曲が、アコースティックアレンジへと生まれ変わり、堂珍のふくよかなボーカルによって人間らしい抑揚を描いていく。その曲調の変化に合わせて、ドーム型の天井に美しい光の玉が立ち昇る。気がつくと、そこは天の川が横切る満天の星々に包まれていた。日常とは切り離されたスペシャルな一夜のはじまりだ。神聖なオルガンの音色が鳴りひびき、ファルセットを交えたノスタルジックなバラード「evergrey」を歌え終えて、「真夜中のプラネタリウムへようこそいらっしゃいました」と、堂珍。「ご覧のとおり、すごくきれいな空間です。ここで3人だけで奏でる演奏と歌が、みなさんの耳に届いていると思います」。通常のライブとはまったく異なる環境で音楽を届ける昂揚感を滲ませながら、画面越しのリスナーに語りかけた。
石井マサユキ(Gt)
Dr.kyOn(Key)
ひときわミニマムなサウンドにのせて、穏やかな中低音域のボーカルが優しく語りかけたのは、まさに星空の下にぴったりなナンバー「アンドロメダ」。その静謐なムードを引き継いで、ハナレグミの永積タカシ、クラムボン原田郁子Polarisのオオヤユウスケによるユニット=ohana(オハナ)の童謡のようなミディアムナンバー「Heavenly」のカバーへとつなぐ。堂珍の頭上には水面が揺れ、まるで海の底にいるような不思議な空間が出来上がっていた。
「みなさん、お楽しみいただけているでしょうか?」。中盤、長めのMCでは、堂珍が11月生まれのさそり座ということで、「どこかに、さそり座があるはずなんだけど……」と頭上を見上げた。無数の星のなかにさそり座のイラストが浮かび上がる。「幼少の頃は、田舎なので、よくオリオン座を探していました」と思い出を振り返りつつ、かつて太平洋戦争の末期を描いた映画『真夏のオリオン』に出演したときの話にも触れた。「戦時中、残した人たちに向けて、帰り道を見失わないように目印として、オリオン座に想いを馳せていたという話もあります」。さらに、「でも、神話で言うと、さそり座はオリオンをやっつけちゃったので。以来、オリオン座とさそり座は仲が悪い。(同じ季節の)夜空に共存することがないと言われていて。そういう話もおもしろいと思います」と、星座に抱くロマンを熱く語った堂珍。そんな話を、まったりと聞くことができるのも、この特別なライブならではだろう。
ライブの後半は、何光年の彼方から地球へと光を届ける星々に想いを馳せるように、「レーザーの光もずーっと進み続けて消えません。光が希望だったとして。その光が永遠に消えないようにと作った曲があります」と紹介して、雄大なロックバラード「Lasers」を熱く歌い上げた。真っすぐに駆け抜けてゆく閃光をバックに、“泣かないで 歩き出せ”と紡がれたその歌は、2013年に発表されたソロ第一弾アルバム『OUT THE BOX』の収録曲。だが、誰もが未来に不安を抱えるこのコロナという状況下にあって、いっそう眩い希望の歌として聴こえるような気がした。ブラックミュージックをルーツにするシンガーの真骨頂を感じさせたカバー「Lilac Wine」、鮮やかなサビの転調に合わせて、夜空に星座のイラストが浮かびあがり、ファンタジーの世界に迷い込んだようなCHEMISTRYのソロナンバー「RAINBOW」。1ページ、1ページ、大切に物語を紡いだところで、「やっぱり僕の曲は、空にまつわる単語が多いなと。そういう意味では、プラネタリウムにぴったりだなと自覚しております……なんつって(笑)」と少し冗談っぽく言う場面も。先日、遂にレコーディングを終えたという未音源化ナンバー「My Angle」では、まるで雲の上に立つような開放感のある映像に天使の羽根が舞い落ちた。続けて、大きく刻んだリズムにのせて、“人と人とが信じ合うこと”をテーマにした「HowI Love you so」へ。海から空、そして、再び地に足を着けて。空間を次々にワープするような演出と共に進んだライブも残すところあと1曲だ。
「今日はすごく良い1日になったんじゃないかと思います。また、どこかで会える日を楽しみにしています」と言うと、最後に届けたのは、「BIRDY」。軽快に掻き鳴らされるアコースティックギターの推進力と、自由に大空を翔るような開放的な映像を背に、《飛び立て alright》と高らかに歌い上げた堂珍は、そのクライマックスで腕を力強く突き上げた。振り返れば、「Reflextion」や「evergrey」を皮切りに、何かを探し求め、彷徨うようにはじまった物語は、やがて「BIRDY」に辿り着いたとき、確かな未来へと向かってゆく晴れやかな結末を迎えていた。
なお、この日のライブでは、堂珍の誕生日である11月17日に、次回の配信ライブを開催することも発表された。アーティストとリスナーが同じ空間で音楽を楽しむことが難しい状況が続くなか、いまできるかたちで音楽を積極的に届け続ける堂珍の活動には、ファンのみならずとも、ぜひ注目してほしい。

取材・文=秦 理絵
撮影=柴田 恵理/コニカミノルタプラネタリウム

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