コロナ禍の中、ウィーン・フィルハー
モニー管弦楽団の11月来日が決定! 
[寄稿:磯島浩彰]

コロナ禍の困難を乗り越えて、ウィーン・フィルがやって来る。
情報が錯綜し、来る、否、来ない…。一喜一憂を繰り返し、「もう知らんわ!」と匙を投げかけた矢先、2020年11月、来日決定!との連絡が入った。
来日が決まった以上、「知らんわ!」とは言っていられない訳で…。これは間違いなく、クラシック界、今年一番のニュースだ。
ナンバーワンの実力を持ちながらも、オンリーワンの魅力を湛え、世界中にライブ中継されることでも知られるニューイヤーコンサートでお馴染みのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。
36回目の来日となる憧れのスター軍団を指揮するのは、ロシアの巨匠ワレリー・ゲルギエフ。昨年はマリインスキー歌劇場管弦楽団、2018年にはミュンヘン・フィルと共に来日しており、人気のカリスマ指揮者だが、ウィーン・フィルの日本公演を指揮するのは16年ぶりとなる。ファンが現在、最も見たい顔合わせではないか⁈
ゲルギエフとウィーン・フィルの来日は16年ぶり   (c)Terry Linke
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う入国制限措置が取られたことで、海外のアーチストの来日は半年以上に渡ってストップした状態だが、この度「オーケストラ一行および招聘元・主催者による万全な感染防止対策」、「オーストリア政府からの日本との文化交流促進の要請」、「コロナ禍における文化交流の重要性」を理由として、日本政府より来日メンバー全員へのビザの発給承認がおりたため、来日が決定した。
ウィーン・フィルというビッグネームの来日をきっかけに、一気に外国人アーチストの来日ラッシュが加速度的に増すことを祈りたい!
新型コロナウイルスの影響という意味では、日本以上に厳しいものがあったオーストリア。2020年3月にはロックダウンに踏み切り、すべての経済社会活動をストップ。そんな中、ウィーン・フィルのメンバーは医師立会いの下、自ら飛沫の検証実験などを積極的に実施した。その検証結果を社会に訴えていく事で、通常のオーケストラ配置でも感染の問題なしとオーストリア政府に認めさせた。
そして6月5日、オーストリア政府が認めたソーシャルディスタンスの基準1メートルを守って開催された、ウィーン楽友協会「黄金の間」のコンサート映像に、世界中のクラシック関係者もファンも狂喜した。
「コンサート…やっていいんだ!」
ダニエル・バレンボイムのピアノ弾き振りでモーツァルトのピアノ協奏曲第27番を演奏した映像には、マスクをせず、いつもとあまり変わらない距離で演奏しているオーケストラの姿が映し出されたが、客席はなんと、間隔を空けて100人だけだった。
ソーシャルディスタンスについては色々な見解があり、日本では1m50~2mの距離をあけて6月中旬頃からそろーりとコンサートが再開。市松模様に染め抜かれた客席を経て、漸く現在100%の入場を認められる所まで戻って来た。
今回、それを受けて、売り止めていたチケットの残りを販売するべく、主催者サイドは「ウィーン・フィルのチケット、あります!」と宣伝にチカラを入れているが、いかんせん来日決定の報が遅すぎた。日本公演は11月5日(木)の北九州ソレイユホールからスタートする。
今年、第58回目となる「大阪国際フェスティバル2020」は、コロナの影響で軒並みキャンセルとなったが、ウィーン・フィルの公演が開催出来るのなら、辛うじて今年の大阪国際フェスティバルの開催実績は残すことが出来る。
フェスティバルホールの支配人 磯部吉孝は語る。
「ウィーン・フィルはほぼ毎年大阪にも来てくれますが、例年以上に注目される公演になってしまいました。ここ1か月は招聘元とのやり取りや、関係者間の調整等で時間を費やし、起きている時間はほぼウィーン・フィルのことで頭がいっぱいになっていました。無事開催できれば、徐々に戻ってきているイベント開催に弾みがついてくれるのではないかと期待しています。」
大阪公演のプログラムは、ソリストには日本を代表するチェロの巨匠 堤剛と、第11回チャイコフスキー国際コンクール(1998年)の覇者デニス・マツーエフの二人が別々のプログラムで登場。
日本を代表するチェロ奏者 堤剛   (c)鍋島徳恭
ロシア・ピアニズムの継承者 デニス・マツーエフ
堤剛はチャイコフスキーの「ロココ風の主題による変奏曲」を演奏。マツーエフは、ゲルギエフ&マリインスキー歌劇場管弦楽団と一緒にCDをリリースし、評判となったプロコフィエフのピアノ協奏曲第2番を演奏する。そう、大阪公演の前半のプログラムは、贅沢なコンチェルトが2曲並ぶ!
そして、プログラムのメイン曲は、16年前の来日公演と同じ、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」。16年前、旧フェスティバルホールが大いに盛り上がったゲルギエフとウィーン・フィルの伝説の「悲愴」が、新しいフェスティバルホールで蘇る。
新たな「悲愴」伝説の誕生の予感が!
ウィーン・フィルの日本公演は、北九州ソレイユホールから、フェスティバルホールを経て、ミューザ―川崎、そして最終のサントリーホールへと日本を北上していく。
今こそコロナに打ち勝ち、音楽のチカラを感じる時。 
“全集中の呼吸” など習得不可能!と悟ったなら、コロナ禍の困難を乗り越えて来日を果たしてくれる巨匠ゲルギエフとウィーン・フィルの奏でる名曲の調べで、明日に向かうエネルギーをチャージしたい。
皆さま、会場でお会いしましょう!
文=磯島浩彰

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