ザ・ウォールフラワーズの
『ブリンギング・ダウン・
ザ・ホース』は
90sルーツロックの一つの
到達点となった傑作

本作『ブリンギング・ダウン・
ザ・ホース』について

いろいろな問題がありながらも、ジェイコブはアルバムのレコーディングを開始する。ライナーノーツにはウォールフラワーズのメンバーとしてマリオ・キャリア(Dr)がクレジットされているものの、違うページには“全てのドラムはマット・チェンバレンが演奏している”と書かれている。マリオはアルバムのリリース直前に加入したためにこういう表記になっているのだが、このエピソードだけでも本作が混乱の中でレコーディングされたことが窺える。

ところが、出来上がった作品を聴くと全編にわたって名曲&名演が揃っている。それはジェイコブのヴォーカルとソングライティング(アルバム全曲)、ジャフィのキーボードプレイやバーネットのプロデュースをはじめ、セッションメンバーたちの巧みなサポート力が結集したからであろう。

収録曲は全部で11曲(ボーナストラックが2曲追加リリースされたバージョンもある)。捨て曲などひとつもない紛れもない傑作に仕上がっている。特に冒頭の「ワン・ヘッドライト」(ビルボードチャートの3部門で1位、98年のグラミー賞で2部門受賞)と続く「6th アベニュー・ハートエイク」は、アルバムのハイライトとも言える文句なしの名曲で、どちらもジャフィのハモンドB3による名演が聴ける。また、バーネットのプロデュースだけに曲によってはドブロやペダルスティールが使われており、これらはゲストのレオ・ルブランによる演奏である。ルブランは癌に冒されており、残念ながら本作が遺作となった(95年逝去)。

本作はウォールフラワーズの代表作というだけでなく、90sルーツロックの一つの到達点でもある名作だ。トム・ペティ、ジョン・メレンキャンプ、ブルース・スプリングスティーンらの音楽が好きな人や、70sのSSWやスワンプロック、カントリーロックが好きな親父連中にもぜひ聴いてもらいたいアルバムである。

TEXT:河崎直人

アルバム『Bringing Down The Horse』1996年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. ワン・ヘッドライト/One Headlight
    • 2. 6thアヴェニュー・ハートエイク/6th Avenue Heartache
    • 3. ブリーダーズ/Bleeders
    • 4. スリー・マーリーナズ/Three Marlenas
    • 5. ザ・ディファレンス/The Difference
    • 6. インヴィジブル・シティ/Invisible City
    • 7. ラフィング・アウト・ラウド/Laughing Out Loud
    • 8. ジョゼフィーン/Josephine
    • 9. ゴッド・ドント・メイク・ロンリー・ガールズ/God Don't Make Lonely Girls
    • 10. エンジェル・オン・マイ・バイク/Angel On My Bike
    • 11. アイ・ウィッシュ・アイ・フェルト・ナッシング/I Wish I Felt Nothing
『Bringing Down The Horse』(’96)/The Wallflowers

OKMusic編集部

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