川口節子バレエ団「舞浪漫 -My roma
n 2020-」開催、名古屋から創作の面
白さを発信&気鋭ダンサーに注目!

川口節子バレエ団が2020年12月5日(土)、6日(日)名古屋市芸術創造センターにて「舞浪漫-Myroman2020-」を開催する。創作バレエの面白さが詰まった公演だ。
同バレエ団は1978年に川口節子バレエスタジオとして設立され、1998年の創立20周年を機に川口節子バレエ団に名称変更した。近年はオーケストラ生演奏付きの古典全幕上演と創作公演「舞浪漫」を隔年で開催し、中部地区の有力バレエ団の一角を占めるようになった。
(左から)川口節子、松村一葉
「舞浪漫2020」では主宰者の川口節子、子女の松村一葉の作品を発表する。
川口はロルカの同題戯曲をショパンの音楽と共に再構成した異色作『イエルマ』(2000年初演)をはじめ、幼くして死んだ少女と母の魂の交感を感動的に描いた『心地よく眠るアリス』(2009年初演)、ツルゲーネフの小説「はつ恋」に基づく『初恋』(2011年)といったドラマ性の高い創作バレエの名作を数多く生んでいる。そうした創作者としての業績が認められ、愛知県芸術文化選奨文化賞(個人)、名古屋市民芸術祭賞(団体)を授けられた。
川口節子作品『イエルマ』 撮影:和光
松村は若くして渡米し、サンフランシスコシティーバレエスクールに4年間所属後、名門ニューヨーク州立大学舞踊科に入学してバレエ、モダンダンス、創作技術を学び卒業後にBFAを取得。帰国後は川口節子バレエ団で指導・振付にあたるほか、名古屋市文化振興事業団主催のオペレッタ『白馬亭にて』の振付を担当するなど活躍の場を広げている俊英だ。
松村一葉作品『Vitamins』 撮影:和光
「舞浪漫 2020」は三部構成で第一部は小作品集。『Pieces of Enchantment』(選曲・振付:松村一葉、 初演:2008年)は松村が学生時代に米で振付した快作で、洒落たステップ、多彩な選曲が魅力的で楽しめる。『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』(選曲・振付:松村一葉、初演:2020年9月)は高校生以上のダンサーによるコンテンポラリー作品。『家族の肖像』(選曲・振付:川口節子、初演:1993年)は戦争をテーマにした川口の珠玉の佳作だ。『アメリカン・ファンファーレ』(選曲・振付:松村一葉、初演:2020年9月)はジュニアダンサーが踊る。『告白』(選曲・振付:川口節子、初演:1996年)は川口の旧作で、椅子を使った大勢の群舞作品。ジャズシューズとルーズソックスを付けて踊り、当時の時代背景もうかがえるという。
川口節子作品『心地よく眠るアリス』 撮影:和光

第二部は『Cocktails』(選曲・振付:松村一葉)。松村は以前にも同題作品を発表しているがリニューアルする。閉店後のバーで繰り広げられる、バーテンダーとカクテルたちの秘密のパーティーをコンテンポラリー/ネオクラシカルバレエで描くという。群舞、パ・ド・ドゥ、バリエーション、フィナーレと踊りの見どころが続くとのことで、細かな音取りも含めたニュアンスに富んだ作舞が冴え、同時にバレエの様式が生かされた楽しい作品に仕上がりそうだ。
松村一葉作品『光〜The World of Phillip Glass〜』 撮影:和光
第三部の『SWAN LAKE』(選曲・振付:川口節子)は川口の待望の新作。「古典バレエ『白鳥の湖』のストーリーをベースに、独自の振付を施した。悪魔(ロッドバルト)の呪縛が解かれる日が来る時が来るのか?・・・結末は自分なりの解釈とした」と川口は述べている。『ペトルーシュカ』(2013年)、『眠れる森』(2017年)などで近年名作バレエに対して独特なアプローチで挑んでいる川口の新境地が見られるのではないだろうか。
【動画】川口節子バレエ団創作公演「舞浪漫 -My Roman2020-」

そして忘れてはならないのが、意気軒高なダンサーたちだ。ベテランの高木美月が『家族の肖像』に出演(6日)。表現力豊かな川瀬莉奈は『SWAN LAKE』(6日)のオデット姫ほか各日共に主要な役を踊る。全日本バレエコンクール シニアの部第1位(2019年度)に輝いた高橋莉子は『SWAN LAKE』でオデット姫(5日)を踊るなど随所で活躍するだろう。『Cocktails』の主演コスモポリタンを踊る小澤祐貴子(6日)、吉田美生(5日)はコンクール上位受賞を果たしている成長株。『アメリカン・ファファーレ』の主ソリストの鈴木咲、若林桃子も同様だ。ジークフリート王子(両日)を踊る野黒美拓夢はジュニア時代から埼玉全国舞踊コンクール、こうべ全国洋舞コンクールなどで上位受賞し現在プロとして売り出し中の新鋭である。
モダンな感覚でドラマを感じさせる川口作品。センスよく現代感がありながらバレエのスタイルも生かす松村作品。両者の異なる作風が公演全体にバラエティをもたらすことも「舞浪漫」の興味深いところだ。名古屋屈指の元気なバレエ団が放つ、創意あふれる舞台に注目したい。
文=高橋森彦

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