結成20周年を迎えたSISTERJET、新旧
織り交ぜたセットリストでロックンロ
ールへの尽きない愛情がここに在る

SISTERJET結成20周年記念特別公演『ウィー・アー・ザ・スーパービック』2020.11.15(SUN)新代田FEVER
どれだけ時代が変化しようが、生活様式が変わろうが、SISTERJETがやることはひとつ。一点の曇りもないロックンロールだった。今年バンド結成20周年を迎えたSISTERJETが新代田FEVERで開催したアニバーサリー記念の特別公演『ウィー・アー・ザ・スーパービック』だ。本来、SISTERJETは、今年4月と6月に東名阪の20周年ライブを開催することを発表していたが、新型コロナウィルスの感染拡大により、対バン形式の大阪・名古屋公演は中止が決定。ワンマン形式の東京公演のみ、今回、約5ゕ月越しの振替公演として開催された。会場では、政府のガイダンスに従い、検温や消毒を実施。ソーシャルディスタンスを確保するために来場人数が制限されたため、会場に足を運ぶことのできないお客さんとも一緒にバンドの20周年をお祝いするべく、インターネットによる生配信も行なわれ、一夜限りの20周年ライブを、全国のJETSファンが目撃するかたちとなった。
SISTERJET
会場に足を踏み入れると、バンド名を記したバックドロップを掲げたステージに、色とりどりの風船が浮かんでいた。会場が暗転。SEにのせて、WATARU.S(Vo.Gt)がひとりでステージに現れ、ギターを弾きながら「オーロラchannel」を歌い出した。途中、オオナリヤスシ(Ba)、KENSUKE.A(Dr)が登場。リズム隊の音も自然に重なっていく。「パーティをはじめようぜ!」。WATARUの言葉を合図に、心地好いグルーヴが会場を優しく揺らした「hello goodbye days」から、ダンサブルなビートが炸裂した「ラブコメ」へ。2009年発表の『三次元ダンスLP』冒頭の流れを踏襲するように畳みかけると、「ハロー、ハロー!イェーイ!……あ、声を出しちゃいけないんだ」と、WATARU。イレギュラーなフロアの雰囲気に少し戸惑いを見せながら、「でも(心の声は)聞こえてるよ!」と笑いかけた。遠吠えのようなシャウトが賑やかに重なりあったインスト曲「JETBOY JETGIRL」、4月に配信リリースされたご機嫌なロックナンバー「POSITIVE MAN」を経て、性急にビートを刻むライブ定番曲「DJ SONG」へ。加速度的にBPMが上がる序盤の楽曲たちに、会場はじんわりと熱を帯びていく。
SISTERJET
6曲を終えたところで、「思ったより寂しいね」と、声を出すことのできないライブに対する正直な感想を漏らしたWATARU。「みんな、お利口すぎない?」と冗談っぽく言いつつ、「カメラだけのライブも何回かやりましたけど、やっぱり目の前にいるっていいですね」と、久々に有観客ライブに対する喜びを口にした。さらに、メンバーチェンジを繰り返したバンドの歴史を振り返り、2人でも4人でもなく、現在のスリーピースこそ絶妙のかたちであると語る。「(楽曲の)色付けを全部自分でやってると思ってる。それが20年続いた秘訣かもね」というWATARUに、「全員、色付けは自分だと思ってるからね」とKENSUKEも同意。そんな話の流れで、WATARUとKENSUKEの2人だけになった時代に発表した直球のロックンロール「ミルクとガソリンソング」を現在の体制で届けると、続けてカラフルな照明を浴びて甘酸っぱいメロディが踊った初期曲「I myガール Romanticボーイ」を披露。バンドの歴史を懐かしむようにライブは進むかと思いきや、未発表の最新曲「ランデヴー」で成熟したグルーヴを浴びせたりと、新旧織り交ぜたセットリストによって、バンドの過去と今が、間違いなく地続きであることを伝えてくれる。
SISTERJET
ライブが中盤を過ぎたころ、20周年ライブをやるうえで、改めて過去の曲を聞き直したというWATARU。「いま、僕も38歳になって、生活も自分も変わったけど、10年前に作った曲がぴったりとハマってるときがある」と、しんみりした口調で伝えると、それに賛同するようにフロアから温かい拍手が湧いた。その言葉を象徴する曲として披露されたのは、ライブでは滅多にやらない「ナミダあふれても」だった。生命の脈動を思わせる力強いリズムにのせて、涙の先にある未来の輝きを信じて追い求めてゆく歌。それは、エネルギッシュで、ポジティブなエネルギーに満ちたロックンロールを得意とする彼らのもうひとつの顔として、紛れもなく存在している包容力に満ちた優しいロックンロールだ。
SISTERJET
推進力のあるビートが炸裂した「to you」に続き、「ワン、ツー、スリー、GO!」のカウントを合図に勢いよく突入した「Young Pretende」では、シンガロングすることができないお客さんの分を補うように、KENSUKEとオオナリが全力で歌った。ここから終盤にかけて、ステージの熱気はさらにヒートアップしていく。WATARUが、ストラップが外れるぐらいの熱演を見せた「MR. LONELY」、KENSUKEがメインボーカルを務めた「スワイプジャンキー」を経て、「SUPER BIG」では、ブリティッシュなグルーヴでフロアのお客さんを問答無用で踊らせた。残すところ、あと2曲。15年以上バンドを見守り続けるマネージャー、金子悟氏が登壇して、バズーカ砲を噴射した「Dancing Days」のあと、最高のテンションで辿り着いたラストナンバーは、過去曲へのオマージが注ぎ込まれた20周年記念ソング「LET ME GO」。フロアに投げ込まれた風船がお客さんの頭上をポンポンと弾むなか、「20年やってこられたのも、みなさんのおかげです。本当にありがとうございました!」と感謝を伝えたWATARU。ユーモアも、切なさも、衝動も、すべてを呑み込んだロックンロールが作り出す祝祭感に包まれて、本編は幕を閉じた。
SISTERJET
WATARUが缶ビールを片手にステージに現れたアンコール。「20年やってきて、初めてKENSUKEから、「アンコールで聴きたい」とリクエストをもらった」と、まずは弾き語りで「30」を届けた。そして再びメンバー全員がステージに集結すると、1週間前に完成したという新曲「STEPPIN'OUT」を披露。バンドのこれまでを誇り、未来への想いも込めたであろうミディアムテンポは、この日、この瞬間に歌うことをイメージして作られたような素敵な曲だった。ラストは、オオナリの「新代田はクレイジー!」という叫び声が口火を切った「恋してクレイジー」。WATARUの人懐っこい歌を真ん中に、KENSUKEは大口を開けてドラムを叩き、オオナリは楽しげに揺れながらベースを弾く。そのステージには、結成20年を過ぎてなお、10代で目覚めたロックンロールへの尽きない愛情がこれでもかと溢れていた。
SISTERJET
この日のMCでは、今年6月に予定していた、ゲストを迎えたかたちの20周年ライブを改めて実現したいという想いから、「来年はリベンジとして、20周年+1みたいなライブをやりたいと思います」という発言もあった。2021年、私たちの日常がどうなっているかはわからない。だが、SISTERJETに縁のあるバンドが一堂に会し、盛大にロックンロールを鳴らす夜が訪れるとしたら、それは大きな希望だ。彼らの20周年イヤーはまだ終わりそうにない。
取材・文=秦理絵 撮影=Chiaki Machida

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