After the Rain(そらる×まふまふ)
が踏み出した来たるべき明日へ向けて
の新たな1歩――初の全世界配信ライ
ブをレポート

After the Rain ONLINE LIVE 2020

2020.11.7(sat)
決して悲観はすることなく、かといって安易に楽観を許してしまうこともなく。このたび、After the Rain(そらるまふまふ)がその頼もしいパフォーマンスを通じ体現してみせたのは、来たるべき明日へ向けての新たな1歩であった。
そして、今思えば。約2年前に彼らがさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブを行った際、まふまふがMCで述べていたあの言葉は、結果的に言えば“現実味”を帯びたものだったということになるのかもしれない。
「昔も楽しかったし、今も凄く楽しいし、そんな日々がずっとずーっと続いていって欲しいな、と僕は個人的には強く願っています。でも……いつかはこういう日々が終わってしまうかもしれない、ということを予感しているところもあります。それはきっと、皆もどこかではわかっていると思うんですけどね。なので、だからこそ僕はこの今日という日に絶対悔いが残らないようにしたいんです」
ちなみに、当時のまふまふはこの言葉について「さっきのは、「別にもうやれないかもしれない」とか、そんなことを言いたかったわけではないんですよ。あまりにも感極まってしまって、つい出て来てしまった言葉だったんです」とステージ上にて注釈をつけてもいたのだが。

まふまふ

気付けば、あれから約2年が経った今現在のわたしたちはまさに、“そんな日々がずっとずーっと続いていく”はずであったのにも関わらず、不可抗力のカタマリのようなコロナ禍などというものに、やりたいことや叶えたかったことをいちいち阻まれているような状態にある。正直、何かともどかしい思いをしている人々も多いのではなかろうか。
と同時に、本来ならばあたりまえだったことを、まずあたりまえには出来なくなってしまったこの世の中においては、エンタテインメント業界の抱えている問題もまた甚大であるのは皆さんもご存知の通り。だからこそ、今回After the Rainが日本国内のみならず世界に向けて開催した『After the Rain ONLINE LIVE 2020』は、とても重要なひとつの布石になったように思うのだ。
「皆さん、After the Rainのオンラインライブへようこそ! 最後まで楽しんでいってください!」(そらる)
そらる
記念すべきライブのオープニングを飾ったのは、まさにこのあらたな始まりの場面にこそふさわしい「1・2・3」 。同デザインでまふまふが黒、そらるが紺の衣装を翻しながら、躍動感たっぷりにふたりが歌いだしたこの曲は、言わずもがなアニメ『ポケットモンスター』のオープニングテーマとしても高い認知度を誇るものとなるが、中でもこの歌詞をしめくくる<レッツゴー 何度も歩き出す隣 キミにきめた!>というフレーズが、どこか彼らの“今”と重なって聴こえてきたのは何も筆者だけではあるまい。コロナ禍よりも前に生み出された楽曲ではあるものの、この歌の中にはポケモンのオープニングテーマとしての意味合いだけでなく、After the Rainにとっての絆を意味する内容も多分に含まれていることが、今さらになってより強く感じられたというのは何とも感慨深い。
次いでの性急なリズムと精緻なメロディが交錯する「喰病しのイデア」を繰り出したあとには、まふまふとそらるのふたりから軽く挨拶もはさまれた。
「みなさん、こんにちは。本日はAfter the Rainとして初のオンラインライブの日でございます。ちょっと緊張しておりますが、みなさん楽しんでいただけているでしょうか? 最後まで、最高のパフォーマンスをして一緒に楽しんでいこうと思っていますのでよろしくお願いします」 (そらる)
「みなさん、見えてますかー? ふたりとも大変緊張はしているのでありますが、たっぷりいろいろと用意して来ましたので、さっそく次の曲にいかせいただいてもよろしいでしょうか。懐かしい曲ですね。「解読不能」」(まふまふ)
After the Rain
ここから次の「アンチクロックワイズ」にかけては、ステージのLEDにいずれも実写MVの映像が流される演出が組み込まれており、確かに少し懐かしい過去のAfter the Rainの雰囲気を楽しむことが出来た。
「みなさま、ここまで楽しんで聴いて観ているかな? ちょっとね、始めの方は初めてのオンラインライブということで、けっこうビクビクしながら歌いだして声もちょっと震えていたかもしれないですけど(笑)、やっぱりこうやって歌っているとライブって凄くいいなと感じますね。気持ちよく歌えています。皆にもそれが伝わっていたらいいなと思います。まぁ、普段は会場で皆が直接手を振ってくれてそれがパワーになっているところもあるので、あらためてみんなの力は偉大だったんだなって思うんですけど。それでも、最後まで頑張って歌いますので楽しんでいってください。次の曲は少し趣向を凝らしまして、まふまふにアコースティックでギターを弾いてもらって1曲お届けしようと思います」(そらる)
というわけで、今回のライブ中盤においてはまふまふがアコースティックギターを抱え、そらるがハンドマイクを手にし、ふたりともがシッティングスタイルにて「待ちぼうけの彼方」を披露する一幕も。かと思えば、季節を少し先取りした「ブラッククリスマス」ではAfter the Rainの持つダークサイドが炸裂。それでいて、「四季折々に揺蕩いて」や「夕刻、夢ト見紛ウ」では日本ならではのワビサビ的な情緒を彼ら流に表現した、After the Rainならではの音世界が拡がって行くことに。
そらる
「After the Rainとして初のオンラインライブをここまでやらせていただいてきましたが、終わりの時間が少しずつ近付いて参りました。モニターの前で観ていてくれた皆さんが、最後まで楽しんでくれたら幸いです。自分たちも不慣れな中、こうして初めてのオンラインライブを行えたことがまずはひとつ前進だなと思っていて。こうやってみんなのいない会場で歌うのは気持ちよくはあるけど、でも同時に物足りなさも少し感じています。いつかまた、みんなの前で歌える日がやってくることを強く願っております。それまで、ふたりで歌っていきますのでこれからも応援よろしくお願いいたします!」(そらる)
「短いですけれども。残すところ2曲ということで、このライブを終わらせていただこうかと思います。最後にもう一度、この会場に居合わせているわけではありませんけど、みんなで音楽を楽しめたらなと思います。聴いてください。「彗星列車のベルが鳴る」 」(まふまふ)
正直、今回のライブはここまででも彼らの魅力が存分に凝縮された最高のセットリストであったとは思うものの、このあとに最後を飾ったのがAfter the Rainにとって始まりの楽曲となる「桜花ニ月夜ト袖シグレ」であったことにより、彼らの過去と現在と未来は、全て今宵ここでつながったようにも感じられた。
まふまふ
ただし、今回の『After the Rain ONLINE LIVE 2020』にはここからもまだ続きがあったことを最後に少しお伝えしておきたい。
なんと、一旦ライブを終えたまふまふとそらるがマスク姿でカメラ前に登場し、「アフタートーク」と題した打ち上げが配信された。
「あちらをごらんください。そらるさん、誕生日おめでとうございます! お祝いする部屋のかわりに、今回はリムジンを借りました!」(まふまふ)
「おぉっ、すごい! (リムジンが)長い! 凄い豪華だ〜」(そらる)
11月3日が誕生日だったそらるのために、まふまふがリムジンまでレッドカーペットの上をエスコートし、乗車前にはバースデーケーキと巨大スライムのクッションがプレゼントされたのだった。
また、ここからはふたりが実際にリムジンに乗り込み、車内から今回のライブに対して寄せられたファンのコメントを読み上げていくコーナーが設けられており、日本は当然のことながら海外からのメッセージに対しても、リアクションをしていくことになったのだが、After the Rainのもはやワールドワイドクラスな人気ぶりはこのような場面からもうかがえたと言っていい。
After the Rain
「本当はですね、今年がAtRをもう1ステップ進めるための年にする予定だったんですよ。まぁ、来年も今の状況とか見ているといろいろ難しいかもしれないけれど、そういう時に「あぁ、ムリだ……」ってなるんじゃなくてね。今回のオンラインライブもそうだし、普段の活動にしても、ちょっと足踏みする時間じゃないけど自分たちのことを見直して、今の自分たちにやれることをやって、やれるタイミングが来た時にまた1歩進めればいいんじゃないかな、って僕は思っています」(まふまふ)
「自分たちのやってきたこととか、通り過ぎてきたことを振り返るにはちょうどいい時間だもんね」(そらる)
「そうそう。ここまでずっと駆け足で来たけど、長く活動しましょう」(まふまふ)
では、最後に。このアフタートークを締めくくったふたりからの言葉をここに記すことで、今回のレポートを終わらせていただくとしよう。
「今回のオンラインライブをやってみて、みんなの前でライブしたいなという思いはより強まったので、またいつか会いましょう。みんなのありがたみがあらためてわかりました。今日は本当にありがとうございました!」(そらる)
「長らくおつきあいいただき、ありがとうございました。また僕らは日常の世界に戻りますが、次にライブをしたらぜひ遊びに来ていただき、音源をあげたら聴いていただき、放送したら観に来ていただき、ツイートをしたらふぁぼっていただき(笑)、これからも末長くよろしくお願いします!バイバイ!!」(まふまふ)

文=杉江由紀 撮影=小松陽祐[ODD JOB]、堀卓朗[ELENORE]、今田和也[ELENORE]

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