制作スタッフが語るぶっちゃけ制作秘
話!機動警察パトレイバー トークイ
ベント『暴走トークショー』レポート

1988年からアニメ、マンガ、小説など様々な分野で展開されているメディアミックス作品『機動警察パトレイバー』。そのアニメシリーズの30周年突破を記念して開催され、アニメシリーズの30周年突破を記念して全国を巡回してきた『機動警察パトレイバー』30周年記念展。OVA~劇場版一作目をフィーチャーし、現在開催中の新潟会場で終了するが、改めて『パトレイバー』誕生の頃の様子を炙り出すトークイベントがキャスト篇・スタッフ篇の2回に分けて開催された。
今回、11月13日(金)渋谷・Living Room Cafeにて開催された、機動警察パトレイバー トークイベント言いたいことが山ほどある!『暴走トークショー』と題されたスタッフ篇では、パトレイバー広報室担当の鈴木咲のMCのもと、シリーズ構成・脚本の伊藤和典、プロデューサーの鵜之澤伸。同じくプロデューサーの真木太郎が体調不良のため、急遽メカニックデザインの出渕裕がゲストとして登壇し、出演者の視点からの『機動警察パトレイバー』誕生にまつわる内容が語られた。大変貴重な機会となる今回のトークイベントをリアル会場からレポートする。

前回同様、今年夏に4DXで公開されたOVA~劇場版一作目『機動警察パトレイバー the Movie 』の感想からスタートし、伊藤や出渕から「4DXの特徴と台風のシーンなどストーリーとマッチしていて、正解だ!」と太鼓判を押したのに対し、二作目は「きっとストーリーとして向かないな」というコメントから会場の笑いを誘った。
そして、会期わずかとなる新潟会場の展示に触れ、パトレイバー広報室担当の喜屋武ちあきとプロデューサーの真木太郎が登壇したトークイベント『がたふぇすトークショー』(※今でも、YouTubeでその模様が見れるので、気になる方はそちらもチェックしてほしい)では、生々しいお金絡みの話が飛び交ったのだそう。それを受け、こちらの会場でも伊藤が「当時、OVAのギャラをもらってない!」という話から、早速暴走トークのゴングが鳴り、鵜之澤との舌戦がはじまって、会場から笑いと拍手が巻き起こる。
第一部:パトレイバー企画との出会い、惹かれたポイント
お三方が、青春時代に手掛けたと懐かしく語る『機動警察パトレイバー』。
暴走トークをなだめつつパトレイバー広報室担当の鈴木咲が、作品に関わったキッカケを伺うと、出渕が「アニメ雑誌『アニメック』の編集と知り合って、編集からゆうきさんのネタ帳を見せてもらい、そにはキャラクターやシーンのデッサン、警察が使用するロボットのイメージが描かれてて、これ何か形になるんじゃない?!」と思ったのがキッカケだと話す。
その後、当時出渕が所属していたSF作家の豊田有恒が主宰していた創作集団『パラレル・クリエーション』から、サンライズに企画書を持ち込んだが、企画が通らず差し戻されたのだそう。『アニメック』の関係から伊藤を紹介され、自身のラジオ共演から高田(高田明美)と知り合い、ヘッドギアへとつながっている。
しかし、当時の伊藤による出渕の印象は「敵だ!…あんた嫌い!!」と思っていたと、最近30年越しに打ち明けられたというエピソードが飛び出した。一方出渕は嫌われていたということは鈍感力で気づかなかったそう。そんな伊藤と出渕は、本作同様OVA仕様であり、制作を優先されたことから、SFロボットアニメ『トップをねらえ!』を手掛けていた、当時ガイナックスに所属していた樋口真嗣監督や庵野秀明監督に嫌われていたという。同世代のクリエイターの関係性などを考えると、マニアにはたまらない話が飛び交った。
続いて、伊藤に話が及ぶと「ぶっちゃん(出渕氏)と、出会ったその日にこの企画話をされたけれど、プレゼンが下手すぎて面白さが伝わらなかった」という。そんな伊藤はロボットアニメにまったく興味がなく、本作品を「焼き魚定食思考の生活アニメ」位置付けていたからこそ、メカニックに詳しくない人や女性にも取っ付きやすい、今までにないロボットアニメ作品が生まれた由縁となっているかもしれない。
その後、伊藤はゆうきまさみに会う機会があり、落書き帳に描かれた“下町に立つイングラム”の画を見た時、「これ、面白いんじゃない?!」と思ったのがキッカケとなったと教えてくれた。そこからどう形にするべきかを考えていたところ「ポリスアカデミーとくっつけたらいけるんじゃね?!」と思い浮かび、企画書を作って鵜之澤にみせたと話す。
そんな鵜之澤は、何も知らされずクリスマスパーティーに参加し、和気藹々楽しんで最後のデザートに口をつけていたら、みんなの目つきが変わりプレゼンがはじまったという。鵜之澤が話している様子を横目に出渕は「いいクリスマスプレゼントだったでしょう」と笑う。そんな鵜之澤は伊藤が書いた企画書とゆうきのスケッチを見て、お金を出す立場として即決したというが、裏では「金出すプロデューサー(鵜之澤氏)をはめるから」という制作陣の考えがあったと教えてくれた。
当時、サーファーのような風貌でノリと勢いで生きていたという鵜之澤は、BANDAIに入社してから2年半ガンダムプラモデルの営業をし、その後本作品の企画書に出会ったのだという。当時ロボットものといえばSFでメカもの=戦争ものと思うが、「ポリスアカデミーの要素が入ったもので、尚且つ人を殺さないし、ガンダムと被らないのがいい」と語る。当時はテレビシリーズを念頭にしていたことから、BANDAIとしておもちゃにしやすいことや、警察・パトカーとわかりやすいところ、その上ガンダムの土俵で戦わなくていいことなど、いろんな要素が合致したという。
そこから、OVAの話になると…全7話はテレビシリーズの異色回を集めたオムニバスものだと話すが、もともと6話完結の予定だったが、人気が出て1話が追加されたのだそう。ここで鵜之澤は「6話はお金払ってないけど、最後に予算を倍額にしてお金を払ったじゃん」というぶっちゃけた話が入り、伊藤が「認めたな〜」というやりとりがなされて、会場が笑いに包まれた。最後の1話でBANDAIから制作会社にお金を支払ったそうだが、その後伊藤さんの手元に支払われたかは定かではない。
そして、話は生臭い制作予算に及ぶと1話1000万円と値切ったことが明らかになり、伊藤が「真木さんは1500万円って言ってた」とツッコミが入るが、鵜之澤は「覚えてる!間違いない!俺は絶対忘れない!」と欠席している真木との記憶違いで会場が盛り上がった。当時のOVAの平均制作予算(2000〜2500万円)を考えると破格であったことがわかり、鵜之澤商法の手腕が発揮されたことは言うまでもない。その後も金額に触れる話が飛び交ったが、生々しいのでここまでにしておこうと思う。
OVAの制作も決まったが…鵜之澤の上司が不安だったことから説得も兼ね、後々の宣伝にもなることも視野に入れて、ゆうきに「週刊少年サンデーの連載を10回だけでいいから書いてくれ!」とお願いしたのだという。しかし、鵜之澤は週刊少年サンデーの編集部に「10回以降からは印税を払いません(企画持ち込みだったのに)」と、今思うと出入り禁止になるほどの強気に出た発言をしたらしい。結果、テレビアニメが終了してもゆうきの漫画は長期に渡り連載。そんなゆうきが手掛ける記念すべき1話目は、アニメ情報誌『ニュータイプ』で、読み切りとして掲載されたという、コアなファンしか知らないエピソードが出た。
当時、シリーズとして13話完結が主流としてあったが、6話に縮められたことについて伺うと、伊藤は「6話で有難かった。13話だともたなかった」と話し、出渕は「OVAシリーズは特殊な話だけチョイスして、読み切りの連続ものとして打ち出した」という。伊藤は「『トワイライトQ』は2話で爆散したんだけど…」と過去を振り返り、出渕は「なんで爆散したんでしたっけ?」とにやにや笑いながら聞くと、そこに鵜之澤が「押井守のせいだよね?押井守が暗い話を描くから…」と割って入り、3人の仲良い関係性が見て取れた。伊藤は「全6話というふうに決めておけば爆散しなかった。その反省もあったからこそ、本作品に活かすことができた」と話す。
現在ではアニメ作品の話数がフォーマット化されているが、当時は若手クリエーターによりいろんなアプローチを試していたのだそう。さまざまなトライアンドエラーの経験を活かして、今のアニメ作品につながっていると思うと感慨深い。
そして、当時のキャラクターの会話で展開させていく斬新な演出手法については、出渕は「1000万円じゃ動かせないからね」という。そこに鵜之澤は「当時OVAでは映像を売るものだったから、ストーリーがよければ売れる」と苦笑い。しかし、出渕は「今回はOVAと劇場版1までですが…テレビの話をしていいですか?」と前置きをしてから「この人、テレビシリーズ時には売れるレイバーを描け!っていうんですよ。立体化できるデザインをしろと言われましたね…当時はどうしたらいいだと思った」というと、対して鵜之澤は「スポンサーのことがあったんだから!かっこいい敵メカ出してくれってことだよ…押井さんが好きな作業用ロボだと、金型起こしたら大変なリスクだよ!…でも、描いてくれたからこそ、今になって商品で販売されるようになって、いいよねー!」と笑ってこたえる。
当時のBANDAIはスポンサーとして介入した際には、自社製品の売上向上を狙って変身シーンを求め、アニメ業界から嫌われていたのだそう。そのことから、BANDAIは『エモーション』というブランドを立ち上げ、映像自体が商品としてクリエイターの味方となり、映像プロデュースとして関わっていたという経緯があるが、本作品がテレビシリーズになった際に、古巣のBANDAIをくっつけていることから、上記のように出渕に格好いいメカデザインをお願いした話につながっている。
鵜之澤は「クリエイターの皆さんも、自分が作ったものが立体物として展開されたり、視聴者さんに机においてもらったり、そういうことされるのが嬉しいと思うんだよね」という言葉に対し、出渕は「嬉しいと思うんだよね…というコメントで、いいふうにまとめようとする姑息さが嫌い」と応じ、会場では笑いと拍手が巻き起こった。鵜之澤は「会社で生き残るにはそれしかないんだよ」と笑い、一連の光景を見ていた伊藤は「鵜之澤さんは腹黒い商人(あきんど)だからね」と語る。
畳み掛けている鵜之澤は苦手だけど、クリエーターは金勘定できないから、作る場に集中できる環境を整えてくれる、剛腕でも、商人でも、汚くてもありがたい。必要悪の存在はいるというフォローで第一部は幕を閉じた。
見出し:第二部:パトレイバーの世界はどのように構築されていったのか?
「ただのファンとして第一部の『暴走トークショー』の勢いで、第二部もぶっちゃけトークを聞かせてください」という鈴木咲の言葉で幕を開けた第二部は、初期OVAの第一話から第七話と劇場版第一弾の制作状況について伺っていく。
第一話:第2小隊出動せよ!
ファンクラブ限定公開のパトレイバー所縁の地を巡る『パト散歩』で、後藤体調が入谷出身という話を深堀したという鈴木が、「どうして後藤体調を入谷にしたのか?」を伺うと、伊藤が「上野の東京国立博物館を最終決戦の場に選び、隅田川から上陸して逆算していった時に、『入谷は俺の出身だから』と台詞でいわせたかっただけ」とこたえる。また、そこには『おそれ入谷の鬼子母神 その手は桑名の焼き蛤』という落語に出てくるフレーズから、入谷がインプットされていたと教えてくれた。
また、アルフォンスに乗った野明がロケットパンチを放ち、寺の鐘の音で切り替わる演出について話が及ぶと、出渕は「予算がないから…1000万円じゃ無理です」というサラッとコメントを残し、それに対して鵜之澤は「押井さんが、貧乏アニメがうまいんですよ」と答え、すかさず出渕から「貧乏アニメいうな!」とツッコミが入り、会場から笑いがおきる。
出渕が「全体を通して…押井さんはアニメを作るときは実写ぽく、実写を作るときはアニメっぽく。っていうのがあった」と答え、伊藤が「欠席裁判になるからダメだけど、押井さんの話になってしまう」とはにかみながら話す。また、伊藤は「押井さんは過剰なト書を嫌うんですよ。ト書で細かく説明すると、それは演出の仕事だからといわれ、伊藤くんはいいダイアローグだけくれたらいいから」と言われと振り返る。鵜之澤は「パトレイバー後も伊藤さんとは仕事が長いんだけど、セリフだけですべての状況がわかる、しかも日常的な会話で言葉少なく表現できるって、天才だと思うんだよね。前回開催された『暴走トーク』で、押井さんが伊藤くんのことを“ダイアログエディター”だからと語っていたよね」という振りから出渕も頷き、伊藤も満更でも無い様子が伺えた。
また、第一話はどこを大切にしようというポイントでは、伊藤が「各キャラクターを出す。ゆうきさんの画にもあったとおり、下町とレイバーの組み合わせを描く。押井さんの褒め話になってしまうけど…絵コンテで出てきたのが整備班。それから、第一小隊、第二小隊、隊で部屋を分けていたけれど、隊長は隊長室として職員室として、隊員たちは隊員として教室で分けることで、後々のパトレイバーの色につながった」と、但し事前相談は無いけどね!と付け加えながら教えてくれた。また、押井との仕事は初稿提出のみ、あとは勝手に展開されているのだそう。
そして、敵キャラピッケルくんについて話が及ぶと、出渕が「押井さんが格好よくないもの所望されていたんで…後、歩かせると作画が大変になってしまうので、楽になると思ってタイヤをつけてデザインした」と会場の同情を誘った。第一小隊と第二小隊の旧型・新型イングラムについては、押井さんが無骨なものが好きだという思いから、旧型は動かないがゴリラっぽいものにしたという。メカデザインをするときは、制作予算との擦り合わせや、監督の好みを取り入れながら、制作しているのだと思うと考え深いものがある。
第二話:ロングショット
出演キャラクターのひとりである香貫花については、企画書のキャラ設定で出ていたので、第二話でニューヨークから来日した様子を描いたという伊藤。漫画でもゆうきが描いているが、だいぶ後になってからの登場だという。それに対して、会場脇でイベントを見ていたキャラクターデザインを手掛けた高田明美は「ゆうきさんは、香貫花があまり理解できなかった」のだと語ってくれた。それに対して、伊藤さんは「俺は、野明がわからない」というコメントに会場から笑いが起きた。出渕は「みんな解釈が違うんですよ。それによって作品に幅が生まれてくる」とフォロー。
また二話のこぼれ話では、その当時都庁が建設中だったが、設定上では10年経過しているため、作中では都庁が完成した後で、そこでテロが起きるという物語を展開させている。そんなリアルタイムと現在の違いも面白さにつながっていると言えるだろう。
第三話:4億5千万年の罠
作中で怪獣を出したことについて聞かれると、伊藤は「当時は、『ガメラ』を手掛けるなんて夢にも思わなかったんで、隙さえあれば怪獣ものをやろうとしてたんですよ」と。出渕は「他の作品でもやってましたもんね?」と言うと、すかさず伊藤は「『魔法の天使 クリィミーマミ』でもやってた」と答えた。
続けて、伊藤はゆうきと相談しながら、廃棄物13号に寄ったものを書いていたのだそう。真面目にしようとしたが、犬の監督(押井守氏)がふざけまくっちゃって、怪獣絵師の開田裕治に「俺が見たいのはこういうのじゃないんだ!」怒られたというエピソードが飛び交った。そんな怪獣デザインは出渕が手掛けていると教えてくれた。
第四話:Lの悲劇
ホラー要素が入ってテイストが変わったストーリーについては、『怪奇大作戦』のようにしたかったのだと伊藤が語る。しかし、『怪奇大作戦』にしようと思ったら収集つけられなくなり、押井さんに困って電話をしたというこぼれ話が聞けた。
押井守、伊藤をモデルにしたキャラクターが、レンタルビデオ店に立て篭もるシーンでは、説得するキャラクターが脚本では「まもるー!」と叫ぶが、画コンテでは「かずのりー!」になっていたのだそう。
第五話:二課の一番長い日(前編)
OVAシリーズの中でも人気が高いこちらの話に及ぶと、伊藤は「書いてて気持ちよかった」と振り返る。鈴木は「パトレイバーごっことして、作中の立ち食い蕎麦で、唐辛子をかけて食べ、むせたりしていた」と語り会場の笑いを誘った。
出渕は「自衛隊もの作ろうって話してましたよね?」と伊藤に振ると、伊藤は「ネタバラシをしてしまうと…映画『けんかえれじい』や『皇帝のいない八月』なんですよ。そういうのがやりたい年頃だった」とオマージュ作品を教えてくれた。また、鈴木がパトレイバーごっこをしたという蕎麦屋のシーンは、制作初期はもっと『けんかえれじい』に寄せていたのだそう。しかし、三話で『ゴジラ』のパロディが不評だったことから、「これまずくない?」とこういう形になった話す。
また、作中の後藤や南雲が長台詞を話すシーンについては、伊藤が5行の台詞を考えれば、押井が10行の台詞に変え、伊藤が負けじと10行の台詞を書くと、20行に変えてくという具合になるのだという。
第六話:二課の一番長い日(後編)
後半で、後藤隊長の様子に触れると、『剃刀後藤』と二つ名を持っているものの、その部分について描かれていないことから、作中に取り込もうと考えたと語る伊藤。出渕は「ゆうきさん的に、後藤のモデルは仲代達矢であり、後藤と対峙する甲斐のモデルは山﨑努なんですよ。映画『天国と地獄』の刑事と犯人のようにというかたちで」と続けて、「第6話は、板野さんの演出なんでよ…板野さんは1000万円でも動かしたがる人なんで、ガドリング弾を抱えてバラバラになるシーンなど、凄い枚数がかかるシーンでもやってしまうんですよね。前編ではあまり動かないかわりに画で見せ、後編はそれとは逆に動きを見せている」という話を引き取り、伊藤が「満遍なく1000万円だキツイから…4話で800万使い、200万貯金して、5話で800万使い、200万貯金して、最後に1400万円という風に工夫していた」と語る。
また当時、5話はよかったけど6話は物足りなかったというファンが多かったと振り返ると、伊藤は「風呂敷広げるのは得意だけど、畳んでいくのが苦手っていう」という笑いながら答えていた。
第七話:特車隊北へ!
第5・6話でピリッとした緊張感から緩さを取り戻した第7話については、伊藤は「第6話制作時に劇場版のストーリーを手掛けてたので、大ネタをやった後でもう書くことがなかった」と語る。監督も変わっていたので、正当なテレビシリーズの1本として構想し、生み出されたというストーリーである。
また、全編にわたり警察の悪役としてテロリストとなることや、毎話犯人が出てきて逮捕という話が難しいので、事件が起きる時もあれば平和な日常を描く、“警察官”ものの、いわゆる職業ものの、アニメ作品の先駆けになったとも言える。
また、ゆうきが連載する漫画の展開が変わってきていることに話が及ぶと、出渕は「多様性があっていいと思うんですよ。各人の表現が刺激にもなるから…例えば、野明が入隊するシーンって、漫画と、OVAと、テレビであるんですよ。パラレルで展開されていて、いろんな解釈があり、キャラや物語の魅力の幅が広がるならいい」と語った。
『機動警察パトレイバー the Movie 』
HOSなどコンピューターの根幹に関わるストーリーについて、ご自身でも調べたのかという質問に対して、伊藤は「絵コンテの時点でプログラマーの人にチェックしてもらった。構想段階ではコンピューターの知識は自分で。当時、マッキントッシュにハイパーカードというものが実装されてて、ハイパーをつけたらなんでもすごい感じがしていた時代なんです。そんな軽いノリで書いていました」と会場から笑いがおきる。出渕は「1000万じゃ…誰も動かないじゃないですか。そのフラストレーションから映画にかけていましたね。僕は伊藤さんからレイバーで『大殺陣雄呂血』をやるぞ!と聞かされました」というと、伊藤が市川雷蔵が出ている『大殺陣雄呂血』のクライマックスで、100人斬りする格好いいシーンを真似して、イングラムがガードロボットを倒していくシーンを描いたと語る。
また、劇場版の零式のメカデザインに触れると、出渕は「零式はシャープだけど悪者っぽいようにした」と語り、零式の顔(口)の部分が開く仕掛けは、女の情念を表現する文楽人形のガブをイメージし、ロボットでも応用してみたいと思って取り入れたと教えてくれた。
そして、話は30年にもわたって愛される作品の魅力について伺うと、最初に口を開いた出渕は「未来といいいながら現代であり、働くロボットアニメ作品という切り口で展開され、真似しにくい作品だったのでは?」と自身の意見を述べ、スピンオフで広げていく構想があると語り、会場から期待の拍手が巻き起こった。スピンオフでは観るほうに回りたいと言っていた伊藤も、スピンオフとして『その後の後藤』を描きたいと意欲的な構想を話す。出渕は「しのぶさんは?」と聞くと、伊藤は「そこは触れたくない」と即答。
伊藤は、「キャラクターのバランスがいいということと、物語がちゃんとしてる…時々めちゃめちゃも入るけど、基本はちゃんとしているからだと思います」と語る。ギャグから、ホラーから、ソフトから、ハードなど、キャラクターがしっかりしているので、多少のことでは壊れないと続いた。
第一部・第二部ともに締め括りには質問コーナーを設けていたが、『暴走トーク』が終わらず聞けなかったことから…最後に、鵜之澤宛に「会場に来れなかった真木さんに話したかったことがあれば教えてください」と質問が投げかけられ、鵜之澤はBANDAIグループでセミリタイア中の身で、劇場終了後に「13号やろうね!」と約束したが部署移動し、パトレイバーに触れられない寂しさがあると語った上で、リタイアしたのでお茶汲みからスタートして、悪巧みと銭勘定を中心に関わらせてもらいたいと語った。
最後に…
鵜之澤は「30年前以上のアニメ作品が愛されて、こういうイベントを組めたことが嬉しい。新作の動きがあるという動きがることが尚嬉しいです。ビデオからはじまったパトレイバーって代表選手なので今後も期待してほしいし、もっと若い世代にも末長く楽しめるコンテンツだということを知って欲しい」と語る。
続いて出渕は「30年長かったですが…今やってもそれなりに見てもらえる作品になったことが嬉しい。また立体物の監修からイングラムなどのグッズも手掛けており…売れていることにもびっくりしているが、まだまだ若い世代、知らない世代にも、触れてみてもらえると、面白いと感じてもらえると思うので、そういう機会や場を広げて、提供していきたいと思っている」と話してくれた。
最後に伊藤は「新作の話聞きたいよね…でも、残念ながら話せることはなくて、話せることはガタフェスのトークで話しているので、YouTubeで探して見てみてください。まだまだ話したいことはあるし、こういう機会を設けてほしいので盛り上がってください!」と締め括った。
会場では、新型コロナウイルス感染症対策に配慮し、ソーシャルディスタンスが守られた限定62席で行われ、ファンたちはゆったりとした空間で飲み物片手にリラックスしながら、製作陣の繰り広げられる暴走トークを堪能していた。
今回の2回に分けて開催されたトークイベントキャスト篇・スタッフ篇から、各主要人物から意欲的なコメントが聞け、制作途中の新作への高まる期待とともに、『パトレイバー』の動向をチェックしたいと思う。
取材・文:新 麻記子 写真提供:GENCO

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