GRANRODEO【レポート】ブルーノート
東京でアダルト&ジャジーなアレンジ
を披露 椎名林檎・キリンジ・スガシ
カオのカバーも

GRANRODEOが2020年11月29日にブルーノート東京で行った『GRANRODEO Live Session “Rodeo Note” vol.1』のオフィシャルライブレポートが到着した。
この日、CS放送フジテレビTWO/TWOsmartで無観客生中継された「GRANRODEO Live Session “Rodeo Note” vol.1」は、実力派ユニットとして名高いGRANRODEOが、初めて贈るセッションライブのシリーズ第1弾。アコースティックなバンドセットでのワンマンは、これまでもファンクラブ会員限定で開催されたことはあったが、一般のファンに向けては初めての試み。
いつもはハードでメロディックなロックを標榜するKISHOW(Vo.)とe-ZUKA(Gt.)が、そのヘヴィネスを封印しただけではなく、アダルトでジャジーなアレンジに変身したGRANRODEOナンバー10曲に加えてインストゥルメンタルを含めたカバーナンバー5曲を、この夜にしか披露されないレアなセットリストに封入。GRANRODEOの音楽的な魅力に新たな1ページを刻んだ。
ライブ写真(カメラマン:キセキミチコ)
大人の夜が始まろうとする午後8時。プレミアムでスペシャルなワンマンライブの幕開けは、e-ZUKAのしっとりとしたジャズインストゥルメントから始まった。ブルーノート東京の客席で一人、スポットライトを浴びるe-ZUKAが手にしていたのは、古今東西のジャズミュージシャンに愛されているフルアコースティックギター。まろやかな音色で奏でられたのは、ジプシー・スウィングの創始者として知られる名ギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトの名曲「Nuages」。テクニカルなロックギタリストとして知られるe-ZUKAのジャズプレイも絶品だ。
ライブ写真(カメラマン:キセキミチコ)
曲が終わるとステージではオルガンと伸びやかなサックス、リズミカルなハイハットに絡み合うアコースティックベースの音色が、スウィングしながらe-ZUKAとKISHOWの合流を待つ。e-ZUKAがファンにはおなじみのリフをオクターブで響かせると、ゴージャスでスウィンギーな「ケンゼンな本能」がスタート。スモーキーでソフトな歌声と、持ち前の太くソウルフルな歌声を自在に出し入れしながら、KISHOWのボーカルがバンドと軽やかに戯れる。演奏の途中では、スタンダードなジャズセッション同様にソロパートで各自が持てるテクニックを披露する。
本来ならここで客席から喝采が飛ぶところだが、残念ながら今日は無観客。フロアに並んだテーブルでまたたく無数のキャンドルの揺らめきが、熱演を讃える。セットリストはそのまま熱っぽいロックテイストを残した「日常ホライズン」へ。アウトロではギターとユニゾンで響くe-ZUKAのスキャットとKISHOWのスキャットが絡み合い、グルーヴを上昇させた。
「ブルーノート東京でやらせてもらってますが......ほんとかな?(笑)」
「みなさん、こんばんは」と挨拶をしながら「本当に始まっちゃってるの?」と、顔を見合わせるKISHOWとe-ZUKA。「ブルーノート東京でやらせてもらってますが......ほんとかな?(笑)」と、KISHOWのMCもいつもよりグッと静か。「緊張してます」というe-ZUKAもオープニングのソロナンバーを「自分で言っといてアレだけど、やんなきゃ良かったなぁ(笑)。すごい緊張した!」と、正直に振り返る。
そして今宵のバンドメンバーを紹介。GRANRODEOのサポートとしておなじみの瀧田イサム(Ba.)、SHiN(Dr.)に加えて、今日はMao(Key.)と長年ジャズ畑で活躍する坂川諄(Sax./Fl.)が参戦。格式の高いブルーノートでのライブということでいつもより神妙に始まったトークも、時間が過ぎるにつれて、いつものGRANRODEOらしいコミカルでアットホームな雰囲気を取り戻していく。
ライブ写真(カメラマン:キセキミチコ)
「リモート(ライブ)ではありますけど、ご自宅でゆるりとお楽しみください」とKISHOWが語りかけてe-ZUKAがカウント。力強いKISHOWのハイトーンから始まったのは、フォーキーなアレンジに変身した「変幻自在のマジカルスター」だ。オリジナルより優しいKISHOWのボーカルが心地いい。
そしてKISHOWが「次の曲は、GRANRODEOとしてはなかなかないこと。カバーを聴いていただきたい。みなさんもよくご存じの曲」と伝えて始まったのは、椎名林檎の「丸ノ内サディスティック」だ。ストロングなバンドサウンドとパンチの効いたKISHOWのボーカル、ソプラノサックスの物憂げなメロディーが絡み合うGRANRODEO版「丸ノ内サディスティック」はとてもグルーヴィー。黒っぽい、高低自在なフェイクを織り交ぜながらエモーショナルに歌われたこの曲は、カバーであることを思わず忘れるほど。
GRANRODEOのオリジナル曲かと思わせる、魅力にあふれたものだった。そんなカバーから一転、続く「delight song」は柔らかくハートウォームなボサノバアレンジに。e-ZUKAの温かなガットギターと煌めくエレクトロニックピアノに、ファルセットを織り交ぜたKISHOWのソフィスティケイトされた歌声が映える。
「あの曲がこんなふうになるんだシリーズ」
ライブ写真(カメラマン:キセキミチコ)
ここからはKISHOWいわく、過去2回ファンクラブ限定の“プラグナシ”ライブでも披露されたことがある、「あの曲がこんなふうになるんだシリーズ」で好評だったリアレンジが2曲続く。1曲目はギター、ベース、キーボードの一糸乱れぬテクニカルなユニゾンから始まり、アップテンポの4ビートジャズに生まれ変わった「ボルケーノ」。
もう1曲は、e-ZUKAが銀色に輝くリゾネーターギターで粘りのあるボトルネック奏法を駆使し、KISHOWがパワフルなシャウトを織り交ぜながら緩急自在な歌を聴かせて泥臭いスローブルースへと変貌した「恋は mirage」だ。途中でリズムパターンや曲調を変化させる繊細なギミックが盛りこまれ、e-ZUKAのアレンジャーとしての才能の一端を改めて感じさせてくれる。
ライブ写真(カメラマン:キセキミチコ)
そしてKISHOWが選曲した今宵2曲目のカバーナンバーへ。以前から大好きだったというキリンジの「エイリアンズ」だ。オリジナルのフォーキーさをグッとジャズに寄せた「エイリアンズ」は、KISHOWの透明感にあふれたソフトなファルセットも印象的。南青山の夜にふさわしいゆったりとした時間が過ぎた後は、KISHOWがステージを降りて、これぞジャズライブ!と思わせるインストゥルメンタルなバンドセッションへ。
e-ZUKAがセレクトした曲は、チック・コリアの名曲。時代とジャンルを超えたジャズスタンダードとして愛されている「Spain」だ。ノスタルジーとラテンの香りを感じさせるメロディーと、見事な個人技が交錯する。e-ZUKAのスピーディーなソロパートも聴き応えたっぷりだった。
ライブ写真(カメラマン:キセキミチコ)
客席でセッションを楽しんでいたKISHOWが、「カッコいい曲でしたね」と言いながら再びステージへ。MCを挟んでKISHOW、e-ZUKA二人だけで演奏されたのは、KISHOWいわく「GRANRODEO二人のアコースティックライブで最も多く演った曲」だという「Infinite Love」。彼らのワンマンでも馴染み深い光景だ。とはいえここはブルーノート東京。いつもよりたおやかな響きを残す歌と演奏に、スペシャルな雰囲気が漂っていた。
ここからは再びバンドが集結。今宵最後のカバーナンバーとなったのは、スガ シカオの「黄金の月」だ。フォークテイストの強いこの曲も、GRANRODEOバージョンはゆったりしたジャズファンク調に。グルーヴィなコーラスとリズミックなキーボード、ソフトなワウの掛かったギターと歌うベースが、ナイーブな原曲を力強く響かせる。
ライブ写真(カメラマン:キセキミチコ)
「黄金の月」で醸し出したグルーヴを、GRANRODEOのライブでは定番の「modern strange cowboy」では、さらにファンキーに増幅。瀧田のスラッピーなベースとSHiNのパワフルなリズムにKISHOWの激しいフェイクが絡み、圧巻のエモーションをぶつける。そして一瞬の静寂を破るようにミステリアスなシンセサイザーが響き、「UNDER THE SKY」がまたも空気を一変。情熱的なKISHOWの歌声をメロディックなサックスがサポートし、ドラマティックなサウンドをドライブ。壮大な楽曲を感動的に彩った。
ライブ写真(カメラマン:キセキミチコ)
「あっという間だったね」と今日の演奏を振り返るKISHOWとe-ZUKA。「どんな御時世でも明るい時と暗い時がある。どこか肩の力を抜いていきたいものだと、こんな時だからこそ思う。そんな曲でお別れしたいと思います」というKISHOWのメッセージとともにラストに届けられたのは、アメリカ西海岸の風を呼ぶ「Take it easy」。軽やかなサウンドと明るいボーカルが、今年最後のGRANRODEOの特別な一夜を締めくくった。今まで見せたことのないGRANRODEOの音楽の一面に触れられた「GRANRODEO Live Session “Rodeo Note”」。vol.2の開催が今から楽しみだ。
ライブ写真(カメラマン:キセキミチコ)
GRANRODEO Live Session "Rodeo Note" vol.1 セットリスト
2020.11.29 (sun) BLUE NOTE TOKYO
1.Nuages
2.ケンゼンな本能
3.日常ホライズン
4.変幻自在のマジカルスター
5.丸ノ内サディスティック
6.delight song
7.ボルケーノ
8.恋は mirage
9.エイリアンズ
10.Spain
11.Infinite Love
12.黄金の月
13.modern strange cowboy
14.UNDER THE SKY
15.Take it easy
『GRANRODEO Live Session "Rodeo Note" vol.1 』はリピート放送が決定している。放送日は12月2日(水)21:00~23:00、フジテレビTWO/TWOsmartにて。

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