松本俊明&城 南海、一年の終わりに
安らぎをもたらした二度目のジョイン
トライブ『Together with Friends v
ol.2』をレポート

Together with Friends vol.2 ~松本俊明 & 城 南海

2020.12.10
魂宿る歌声と奏では、なんて美しく、尊いのだろう。
7月20日に生配信した初のジョイントライブの最後に、「次は秋冬くらいにまた、2人でコンサートをしたいですね」と、楽しい未来を予感させてくれていた松本俊明と城 南海。12月10日に、『Together with Friends vol.2 ~松本俊明 & 城 南海~』と題した2回目のジョイントライブを前回同様おうちで楽しめるように無観客で開催し、生配信を行った。初お披露目の曲たちも複数交えクリスマス色に彩られた公演は、試練続きだった1年の終わりに安らぎをもたらしてくれたように思う。なお、映像は12月17日(木)23時59分までアーカイブ配信され、期間中であれば誰でも視聴することが可能だが、このレポートはネタバレを含んだ内容となる。
たくさんのキャンドルが灯るステージが映し出されると、そこにはスタインウェイのグランドピアノの前に座る正装した松本と、シフォン素材のオフホワイトドレスをまとった城の姿が。幕開けを飾るのは、前回のジョイントライブのために初めて2人でやり取りをしながら生み出した「君だけのメロディー」だ。2021年1月27日にリリースされる城のアルバム『Reflections』に収録のCDバージョンで、柔らかな歌声と表情で惹きつける城、鍵盤をなめらかに操る松本。なかなか収まらない新型コロナウィルスの猛威に振り回される日々だが、みんなで心ひとつに歌える希望的なナンバーは心を明るくしてくれる。
Together with Friends vol.2 ~松本俊明 & 城 南海~
「みなさんこんばんは!」と声を合わせて挨拶し、「子どもたちも、大人もみんなが笑顔で過ごせるときが早く戻ってくるといいですね」と案じる2人は、“アフターコロナの時代に子どもたちの未来を応援したい”という想いから、前回に引き続き今回もチケット代のうち500円を“セーブ・ザ・チルドレン"に寄付。未来を創っていく子どもたちに愛をそそぎ続ける姿勢に、頭が下がる。
「夢待列車」は、城が歌い、かつて『NHKみんなのうた』で放送された未来への希望を描くバラード。城の故郷・奄美大島の小学校では卒業ソングとして愛されているそうで、優しくも力強い城の歌声、松本のピアノが、出会いと別れの季節の叙情を鮮やかに紡いでいく。
城のアカペラから始まる「産声」は、城のために曲と歌詞を森山直太朗氏が書き下ろした、NHK『ラジオ深夜便』12月~1月の“深夜便のうた”でもあるナンバー。この日が初披露だ。母から子へ注がれる大きく深い愛。命という奇跡への慈しみ。そっと寄り添うピアノの音色にしても然り、いつまでも抱かれていたくなる。
Together with Friends vol.2 ~松本俊明 & 城 南海~
「素敵な曲が生まれましたね」と松本が言うと、「大事にしていきたい曲です」と微笑む城。ついこの間もお茶をしながら5時間もおしゃべりをしたほどの仲よしだという2人はテーブルに移動し、しばしの“お茶飲み友だちコーナー”へ。愛あふれるクリスマスが近いということで、他人から優しくされた経験を語り合えば、松本とご近所の子ども、城とカフェで出会った人、それぞれの偶発的交流が明かされ、素敵な人は素敵な出会いや出来事を引き寄せるのだな、としみじみ。不寛容化する社会では生きづらさを感じることが多いけれど、困難な時代だからこそ優しさの連鎖が必要なんだな、という気づきももらえた。
Together with Friends vol.2 ~松本俊明 & 城 南海~
城が朗読した「赤いマグカップ」は、松本の著作『hope』に収められている、冬のロンドンを舞台にした物語。松本のピアノ演奏も相まって、心温まる情景が目に浮かぶようだ。
城が三味線を弾き、奄美民謡的なこぶしもきかせながら歌ったのは、アイルランド民謡に日本語詞をつけた唱歌「庭の千草」。ピアノと三味線の音色の重なりは新しくもどこか懐かしくて、とても心地よい。
ピアノの上に飾られた、滋賀県・Rose Farm Keiji育ちで花道家の大久保有加が生けた見事なWABARAを紹介したのち、松本がピアノソロで届けてくれたのは、自身のアルバム『Pianoia II』に収録の「星を読む人」とカッチーニ作の「アヴェ・マリア」。星の満ちる冬の空を想起させたり、クリスマスムードの中に哀愁を感じさせたり、彼が指先で描く世界は本当に彩り豊かだ。
Together with Friends vol.2 ~松本俊明 & 城 南海~
ビロード生地のボールドカラードレスにお召し替えをした城が登場し、再び2人で届けてくれた「アンマ」は、城のEP『チョネジア』に収録されている、初めて松本が城に提供し、初めて奄美大島の言葉(“アンマ”は“お母さん”を意味する)のタイトルがつき、初めてオリジナル曲で母の大きな愛を歌ったという、初めて尽くしのナンバー。「お母さんになった友人もいたりして、7年前より母の気持ちがより想像できるようになった」と城が言ったが、今の彼女が歌う母の愛、<終わりのない物語 紡ぐ糸になろう>というフレーズはとても胸に響いた。
ファンからのリクエストを受け、城が初めて歌うこととなったのは、松本が作曲したJUJUの「この夜を止めてよ」。<「愛してる」っていうあなたの言葉は「さよなら」よりも哀しい>というフレーズはじめ、<それでも惹かれてしまう>女性になりきる城の歌声はあまりにも切なく、自然と織り交ぜるこぶしは彼女ならではの色だ。
Together with Friends vol.2 ~松本俊明 & 城 南海~
ラストナンバーは、松本が作曲した稲垣潤一の「メリークリスマスが言えない」。女性がカバーをするのは城が初とのことだったが、今も静かに“君”を想う物語に、城の美声がよく似合う。リリースされたのは、なんと城がまだO歳だった1990年。しかし、素晴らしいメロディは時を重ねても決して色褪せない、ということもあらためて感じた。
幸せな余韻の中で。「君だけのメロディー」「産声」も収録したアルバム『Reflections』を2021年1月27日にリリースし、その後、東名阪ツアー『城 南海 ウタアシビ2021冬』を行う城に、エールを送った松本。
「暖かくなるころに、またみなさんとお会いできれば」
2人はそんな嬉しい言葉も残してくれた。癒し、寄り添ってくれる歌声と奏では、今という時代に必要なもの。『Together with Friends』がシリーズ化していくことを、切に願う。

文=杉江優花
Together with Friends vol.2 ~松本俊明 & 城 南海~

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