和楽器バンド「今日は天に拳を突き上
げて、ひとつになりましょう」 一緒
に作り上げるライブを体現した大新年
会2021をレポート

和楽器バンド『大新年会2021 日本武道館2days ~アマノイワト~』

2021.01.04 日本武道館
会場中に舞い散る桜吹雪、麗しくたくましい歌声と勇ましい演奏。日々の不安や息苦しさを吹き飛ばし、新しい年の幕開けに期待や希望を与えるように、日本武道館に「千本桜」が咲き乱れる! 1月3日(日)4日(月)東京・日本武道館にて、和楽器バンドが『大新年会2021 日本武道館2days ~アマノイワト~』を開催。昨年の夏に横浜アリーナで行なわれた「真夏の大新年会2020 横浜アリーナ~天球の架け橋~」同様、新型コロナ感染予防対策を徹底し、収容人数を制限しての有観客&全世界に向けての生配信という形で行なわれたこのライブ。流行り病も終息の気配を見せず、誰もが不安を抱えて迎えた新年だったが。大新年会の1曲目を飾る「千本桜」の華やかで力強いステージはまさに天之岩戸(アマノイワト)の重い扉を開き、暗い世の中に光が差し込むような眩さだった。

和楽器バンド 撮影=KEIKO TANABE

「アマノイワトの幕開けだ!」と鈴華ゆう子(Vo)がライブの始まりを宣言し、「reload dead」、「反撃の刃」と気持ちを奮い立たせるアップテンポな曲が続いた序盤戦。集客規制により間引かれた客席で、マスク姿の観客が紫に光るペンライトを大きく振る。ライブという自由な空間において不自由なこと極まりないが、オーディエンスの高ぶる気持ちで一曲ごとに会場が熱を帯びていき、気持ちがひとつになっていくのが分かる。MCでは新年の挨拶に続き、「この時間を迎えるまで不安と迷いがありました。皆さんの選択に心から感謝しています」と、ここにいる観客と世界中の配信視聴者に感謝の気持ちを述べた鈴華。「今日はみんなと一緒に作り上げるライブです、ついて来て下さい!」とスマホのライトを点灯するよう誘導すると、町屋(Gt/Vo)のアコギと神永大輔(尺八)の尺八の演奏で「オキノタユウ」が静かに力強く始まる。会場を埋め尽くす白い光に包まれて、ゆったりと温かいサウンドに乗せて歌う鈴華の憂いある歌声に観客が心を重ねる。
和楽器バンド 撮影=上溝恭香
和楽器バンド 撮影=KEIKO TANABE

三本締めで景気よく始まった「起死回生」、いざ進めと攻撃的な演奏で魅せた「日輪」と続き、MCでは2016年に行った初の武道館の思い出を語った彼女ら。和洋折衷な大正ロマン風の新衣装の話から、2021年に掲げた“デビュー八周年 八大ニュース「八奏新報」”第一弾としてアニメ『MARS RED』のOPテーマを務めることを発表すると、OPテーマとなる新曲「生命のアリア」を初披露。タイトル通り、生命力に満ちたパワフルなミディアムチューンとなったこの曲。アニメの映像と重なる生の演奏が聴く者を自然と楽曲世界に誘い、初披露ながらオーディエンスを十二分に魅了した。続く「月下美人」では仄暗いステージで高くリフトアップされ、星屑のような小さな光に包まれながら歌う鈴華が胸締め付ける切ない歌声でオーディエンスを圧倒すると、和気あいあいとした雰囲気で始まったメンバーの自己紹介で会場の空気を一変する。笑いが絶えないメンバー同士の仲良しトークも心地よく、この緊張と緩和も和楽器バンドのライブの魅力のひとつだと改めて思う。
和楽器バンド 撮影=KEIKO TANABE
町屋、亜沙(Ba)、黒流(和太鼓)という構成で披露したエモーショナルな「Episode.0」。いぶくろ聖志(箏)と神永大輔(尺八)で厳かに始まった演奏にアッパーなビートが重なり、蜷川べに(津軽三味線)や黒流(和太鼓)の激しいソロパートや鈴華の剣舞まで飛び出した「Wagakki & EDM Session -春の海 Remix-」と、「大新年会」に相応しい贅沢な演目が続いた後半戦。圧巻だったのは「チルドレンレコード」から始まり8曲を繋ぐ「スペシャルメドレー2021」。ダンサーも加わり可愛く振り付けを合わせた「World domination」、火柱上がる中での熱演を魅せた「Ignite」、星空の下でしっとり聴かせた「虹色蝶々」など。めくるめく展開で様々な表情や風景を見せてくれたメドレーに、和楽器バンドの音楽表現の広さと深さを改めて見せつけられた。また違った意味で圧巻だったのは、恒例となっている山葵と黒流の“ドラム和太鼓バトル”。ドラムと和太鼓がセッティングされていたのは、なんとステージにそびえ立つ柱の上! 頂上まで昇るタイムアタックで、高い柱をひょいひょいと忍者のように昇っていったのは年末の「SASUKE 2020」にも出場した体力自慢の山葵、ワイヤーに吊り上げられてイヤイヤ昇っていったのは黒流。肝心のドラム和太鼓バトルも両者のパワフルなプレイで魅了しながら、事前に配られたハリセンを打ち鳴らすオーディエンスとリズムを合わせて一体感を生んだりと会場を大いに盛り上げた。
和楽器バンド 撮影=上溝恭香
和楽器バンド 撮影=KEIKO TANABE

ライブもいよいよ終盤戦。「暗闇に包まれた、岩戸隠れの伝説の舞台が“天之岩戸”。その重い扉が開かれたように、私たちの想いが時代を切り開けるようにと名付けました」と、ライブタイトルに込めた想いと願いを鈴華が語り、はらはらと雪降る中で気持ちいっぱいの歌と演奏で聴かせた「細雪」、平和で幸福な一年を祈るように願うように歌う「IZANA」で本編をフィニッシュ。アンコールでは「暁ノ糸」を世界中のファンから送られた歌唱動画と歌声を重ね、<君に届く様に>と願いを込めて高らかに熱唱。ラストは「いつの日か一緒にみんなで声を出して歌おうと思って、去年出来上がった曲です。今日は天に拳を突き上げて、ひとつになりましょう」と始まった「Singin' for...」。WowWowの掛け声を観客の分まで大きな声で勇ましく叫び、<愛を届けたい 伝えたい>と真摯な想いを真っ直ぐな歌と渾身の演奏で届けるこの曲で、大新年会は希望溢れるエンディングを迎えた。
和楽器バンド 撮影=KEIKO TANABE
規制がある中でも様々なアイデアや演出を捻り出し、ライブ冒頭に鈴華が言っていた“みんなで一緒に作り上げるライブ”をしっかり体現した和楽器バンドの「大新年会」。彼女らの前向きな姿勢は観る者に勇気を与えてくれたし、新しいライブの形への期待を与えてくれた。自分たちの想いで時代を切り開くべく天之岩戸の重い扉を開いた和楽器バンドは、“デビュー八周年 八大ニュース「八奏新報」”を掲げて2021年を突き進む。世界はまだ不安に満ちて、出口の見えない暗闇に包まれているかも知れないけれど、この日のライブを観ることが出来た僕には暗闇の向こうに差す仄かな光が見えた気がした。
取材・文=フジジュン
和楽器バンド 撮影=上溝恭香

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