村井良大「キスシーンがあって……」
 大地真央主演舞台『ローズのジレン
マ』製作発表会見レポート

米国の喜劇作家ニール・サイモンが晩年に手掛けたコメディ『ローズのジレンマ』が2021年2月6日(土)から東京のシアタークリエで上演される。男女の恋愛の機微と変わらぬ親子愛、誰もが抱える心の傷や人生の晩年に訪れる黄昏を上質なコメディに昇華させた傑作に、大地真央神田沙也加、村井良大、別所哲也という豪華なキャスト陣が挑む。
開幕まで1ヶ月を切った1月12日(火)、出演者4人と翻訳・演出を担当する小山ゆうなが登壇し製作発表会が行われた。その様子を詳細にレポートする。
大地真央「さすがニール・サイモンという感じ」
――まずは、一言ずつご挨拶をいただきたいと思います。 
大地真央:ローズ役をやらせていただきます、大地真央です。本当に摩訶不思議なローズという人物を、今、お稽古始まったばかりですが、みなさんに楽しんでいただけますよう、そういう風な作品になれるよう、これから皆さんと一緒に作り上げていきたいと思っております。どうぞよろしくお願い致します。
神田沙也加:アーリーン役をやらせていただきます、神田沙也加です。私、久しぶりのストレートプレイということで緊張感もありつつ、でも毎日すごく楽しくお稽古やらせていただいて。先輩方やみなさんのお芝居を見て勉強になっていますし、本当に刺激的な毎日を過ごさせていただいています。最後まで頑張って参りますので、よろしくお願いします。
村井良大:クランシー役を演じさせていただきます、村井良大です。雪が降らなくてよかったですね。晴々とした気持ちで今日はやってきました! 稽古も始まったばかりなんですが、この4人でソーシャルディスタンスをとりつつも、だけれど濃密な時間を過ごしております。初日までに楽しくて、面白い作品に仕上げるように、頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
別所哲也:ウォルシュ役の別所哲也です。本読みを重ねて重ねて、憧れのニール・サイモンの作品ですし、ミュージカルができる4人でストレートプレイをさせていただきます。憧れのみなさんとともに、大地真央さんの最愛の夫……あ、みなさん、僕、見えていますか?そういう役です(笑)。ちゃんと、みなさんに思いが届くよう、大地真央さんの最愛の男をきちっと演じさせていただこうと思います。よろしくお願いします。
小山ゆうな(演出):翻訳と演出を担当しております、小山ゆうなと申します。ニール・サイモンの最晩年のとても大切な作品を、この錚々(そうそう)たる皆さんと創作できることをとても光栄に思っております。皆様に楽しんでいただけるような作品にしていければなと思っておりますので、よろしくお願い致します。
――今月から稽古場に入られました。現時点での手応えはいかがですか?
大地:さすがニール・サイモンという感じで、膨大なセリフで、でも、無駄がないという。セリフの応酬と言いますか、それが4人だけということで、よりチームワークが必要かなと思っているんですけれども。皆さんそのままかなというぐらい適役な感じがします。これからどんどん掘り下げて行って、このニール・サイモンの晩年の作品の良さを皆様にお伝えできたらなと今は思っております。
神田:今回、読み合わせを皆さんで連日やらせていただいたんですけれども、ニール・サイモンの言葉のトリックを解き明かしたり、本やキャラクターを読み解いたり。あれがすごく重要な期間だったんだなと、立ってみて感じていますね。確かにテンポ感とか大事になってくる作品なんですけれども、大地さんはじめ、コメディセンスが本当に溢れるみなさんなので、楽しく浮遊しているというか。幸せな時間を過ごさせていただいているという感じですね。
村井:そうですね。先ほど神田さんも仰ったように、確かに、本読みが多かったんです。やはり言葉を大事にしている本だなと初見で感じたので、その言葉を大事にしつつも、実際立ち稽古が始まって、人と相対すると、また違った角度で見えてくる。ニール・サイモンの台本はなかなか手強いんですけれども、創作する楽しさを感じることができる作品だなと思いました。
別所:(自分は)大きいでしょ、体が。だから、稽古場でもちょっと動くと、空気を動かしているんじゃないかと探り探りなんですけれども(笑)。亡霊の役なので、ある意味どこからでも登場でき、どのようにでも振る舞える。だから余計に、ローズとの会話、それからローズの頭の中にいる存在としての自分というものを思い巡らせながら、稽古を続けているところです。ものすごく楽しい。俳優としてもやりごたえのある役柄だなと思っています。
小山:4人の出演者の皆様は、本当に、お一人ずつ個性的で素晴らしくて。大地さんを中心に立ち稽古に入ったところなんですけれども、皆さん、アイディアがすごいんですね。私も発見があるアイディアをくださり、大地さんも「こういうニュアンスの方が面白いんじゃない?」というようなことをを仰ってくださるんです。私も日々楽しく稽古をさせていただいております。 
村井良大「キスシーンがあって……」 
出演する村井良大、神田沙也加、大地真央、別所哲也(右から)(東宝提供)
――『ローズのジレンマ』の見どころやおすすめのシーンを教えてください。
別所:見どころはいろいろありますが、僕はやっぱりクライマックスに向けてのローズとの会話のなかで、どう二人の人間関係を表現できるか。いろいろ後半ございますからね(笑)。2幕にはいろんなことが判明するんですけれども、僕自身の見所は、ウォルシュを通じて、見えないもの、世の中にたくさんあるんですけれども、見えないけれども大切なものを皆様の中にじわじわっと、ウィットの効いた笑いと共に、弦楽四重奏のように4人で奏でられたらいいなと思っております。個人的には、見どころになるかわからないですけど、僕が音を出さないことでしょうかね!いろんな小道具にぶつからないように気をつけながら、お客様に危ういなと思われたらいけないなと戒めながら頑張っております。
村井:たくさん見どころはあるんですけれども、1つ挙げさせていただくなら、今回、キスシーンがありまして。もちろん別所さんとなんですけど(笑)。
別所:そういう話じゃないでしょ!(笑)
村井:(笑)。キスシーンがありまして。ちょっとこういうコロナ禍、もしかしたら、唇を重ねられないのではないのかなと思いまして。もしそうなった場合は、ぜひ大地さんに宝塚式のすごく格好いいキスシーンをご教授いただければなと思うんですけれど……。
大地:お任せください。美しいラブシーンを。
村井:ありがとうございます。それをめいっぱい練習して、挑みたいと思います。
神田:ここまでセットが出来上がってきて、稽古をしてみて、テンポ感を含め、すごく面白かったのが、電話を使うシーンの大地さんのお芝居です。私も電話を触らせていただくんですけど、電話周りになると、ちょっと面白いことが始まるぞと思ってみていただけたらいいなと思います。
大地:昨年の10月に『おかしな二人』でニール・サイモン作品を初めてやらせていただいたんですけれども、それはニール・サイモンが30代後半に書かれたもので、今回は70代後半になるんですかね。同じニール・サイモン作品でも全く違うなと感じております。同じニール・サイモンでもこんなに違うんだというところも、ひとつ楽しんでいただけるところかなと思います。
これからいろんなことを作り上げていくんですけれども、セリフの背景にある部分は、なかなか日本人にはすぐには伝わりにくい。そこを噛み砕いて、お客様が置いてけぼりにならないように、分かりやすくしたいですね。でも一方で、アメリカの香りは残しながらやれたらなと思っております。シアタークリエ にいらして、(物語の設定の)89年のアメリカの感じをお楽しみいただけたらなと思います。
小山:4人みなさんが舞台上にいらっしゃるシーンがあります。別所さんは亡霊役なので、ローズにしか見えなくて。ローズに見えているということを知っているのは、アーリーン・神田さんだけで、村井さんが演じられるクランシーはそのこと知らないという4人が舞台上にいらっしゃるシーンがとても面白くなるのではないかなと思っています。あとは、女性2人のシーンで、とてもいいシーンが後半にありまして。素敵なシーンになるのではないかなと、本読みを聞いていて思いました。
――大地さんが昨年出演された『おかしな二人』では、スペシャルカーテンコールがお客様に非常に好評でした。今回も同じくニール・サイモン作品で、ご出演の皆様がミュージカルの舞台に多数出演されています。スペシャルカーテンコールはあるのでしょうか。現段階での構想があれば教えてください。
小山:劇中で登場人物たちの思い出の曲、思い出となるであろう曲がかかるんです。まだ稽古をしていないんですけれども、このメンバーですし、カーテンコールではその曲でみんなで歌えればなと考えております。お客様に楽しんでいただけるようにしていければなと思っております。
神田沙也加の“素顔”は意外に「オヤジっぽい」?!
出演する村井良大、神田沙也加、大地真央、別所哲也、演出の小山ゆうな(右から)(東宝提供)
――亡霊が見えてしまう役の大地さん。役柄にちなんで、稽古中に見えてしまった、出演の「素顔」があれば教えてください。
大地:神田沙也加さん以外お三方、私初めてで、まず、マスクをとった顔を今日初めて拝見して(笑)。その辺の素顔の発見がありました。お稽古場ではそれほど意外ということはないんですけど、強いていうならば沙也加さんが、意外とオヤジっぽい(笑)。「分かりましたっ!」「やってみますっ!」って、ちょっとオヤジ入っている部分が所々見え隠れする。(前回の共演から)あぁ、13年経ったなという気がしています(笑)。
神田:それがもし年輪ということであれば、ありがたく受け止めたいというか、少し地に足がついたというか、肝が据わったとか。そういう風に、前向きに今のお言葉を捉えて、進んでいきたいかなと思います(笑)。
――別所さんは、神田さんとは『マイ・フェア・レディ』での共演がありますが、大地さんや村井さんなどの素顔を見てしまった場面があれば。
別所:稽古場ではまず台本と向き合う時間が長くて。セリフとどう向き合って、その先にあるキャラクターと出会えるかっていうところを、みんなそれぞれ試行錯誤されているなぁと思います。コメディなんですけど、キャラクターにどう忠実であるべきか。皆さんが真摯に向き合っていらっしゃるので、僕もしっかりしなくてはなぁ、地に足をつけなくてはいけないなぁと思っているんですけれど、地に足のない亡霊の役なので、どういう浮遊感でいたらいいのかなと思いながら、演じているところなんですけれども(笑)。自分の居場所探しをしているところです。
――村井さんは皆さんと初共演ですが、共演して知った素顔があれば。
村井:今日マスクを外して、大地さんのお顔を見た時に、顔が小さい!と思いまして、すごくびっくりしました(笑)。先ほど、神田さんがオヤジっぽいって、いじられていたんですけど、稽古場でも小道具とかをみせてきて「村井さん、これなんて言っていると思います?」って、ボケてくださいみたいな時間を作っていただいて。見事にボケさせていただいたんですけれども。あれはああいう返しでよかったんですか?チャーミングな部分があるなと思います。別所さんは、とてつもなくダンディな方なのに、すごくお茶目で、しかもかわいらしい発言が僕的にはギャップがすごくて。温かくもあり優しい方なんだろうなと思っています。小山さんは今何を考えていらっしゃるのだろうと、僕まだわかっていなくて(笑)。これからも稽古でビシバシよろしくお願いします。
出演者たちそれぞれの「ジレンマ」とは……?
――『ローズのジレンマ』というタイトルにちなんで、みなさんが最近感じていらっしゃるジレンマがあればお願いします。
大地:そうですね。ソーシャルディスタンスとか、マスクとか、とにかく対策をしながらの稽古。マスクを取りたいけどとっちゃダメだし、相手の表情みたいけど、今は我慢して……そういう稽古をしているところでしょうか。あとは、私は、先月から今月までドラマの撮影で、非常にタイトなスケジュールだったんですね。帰ったら、猫に接したいんですけれども、それよりも台本チェックとか、睡眠時間を優先しなくてはいけない。でも、猫に会うとリラックスして次の日頑張れる……。そのジレンマはありました(笑)。
神田:ソーシャルディスタンスに関連して言えば、現場でもプライベートでも大地さんとお会いできた時は、おはようとか、こんばんはとか、ハグをいつもさせてもらっていたんです。でも今は我慢して、2メートル前ぐらいでハグする真似をするしかなくて、切ない気持ちでいます。あと、毎日台本覚えるために、夜更かしして、ずっと台本を読んでいたいんですけど、気がつくと台本を抱いたまま寝てしまっている……。そういうジレンマがあります。
村井:今もパネルを用意していただいていますが、稽古場ではさらに多くのパネルが貼ってあって。舞台上で何が行われているか、自分の席から全然見えなくて。ちょっと移動してみたりもするんですけど、感染対策のためには戻らなくてはいけなくて。フィルターが分厚いので、なるだけ早くなくなったらいいなと思いながら稽古をしています。
別所:ジレンマだらけですよ、人生は! 悩みながらここまで来ましたけれども。もちろん稽古場のことは、皆さんが仰ったようなことに注意しながら、そのジレンマを乗り越えてなんですけど、僕は本当に甘いものが大好きなので、夜帰って、スイーツを何か食べてから寝るのが唯一の楽しみなんです。和菓子で締めるか洋菓子で締めるか。稽古をして、帰って、シャワーを浴びて、お食事をして、スイーツを選ぶっていうところがジレンマで。昨日はフィナンシェを食べました。すみません、小さな男です。
別所哲也「憧れのニール・サイモン作品」
――大地さんと神田さんは『紫式部ものがたり』(2008)以来、およそ13年ぶりの共演です。何か変化を感じられた部分があれば教えてください。
大地:とにかく(稽古場は)パネルばかりで、あまりお話するということもなかなかないんですけれども、私の印象としては(神田沙也加は)すごく成長したなという感じはしています。言葉であまり表現できないんですけれども、取り組み方とか……何しろ痩せたよね(笑)。13年前から。
神田:それずっと言いますよね(笑)。そんなに経つんだねという話をしたんですけれども、13年前って、私も20歳とか21歳とかで。セリフの一言目で発するのがすごく怖かったんですよね。何が正解かも分からなかったし、憧れの真央さんとの共演で、萎縮していた面もきっとあったと思うんですけど、今回は、その間にも他の素晴らしい作品に携わらせていただいたので、そういう作品や経験に恥じないためにも、後ずさっていてはいてはいけないなということで挑んでいく気持ちです。あとは、13年前と変わらず、真央さんをよく見て勉強する。穴が開くほどみて、観察するというか。
大地:稽古場で、わははっていう声が聞こえたら、さーや(※神田の愛称)だったりする(笑)。
神田:まだ誰も気づいていない真央さんが取り組んでいらっしゃることに、いち早く気付いて、こういう意図で取り組んでいるんだなということをメモして、あわよくば自分のものにしていくみたいな……(笑)。
大地:メモしていたの(笑)。
神田: もし成長したなと思っていただけているなら、すごく嬉しいです。
――別所さんにお伺いします。さきほど「憧れのニール・サイモン作品」と仰っていました。今回が初めて挑まれるのでしょうか。現段階で感じる、作品の難しさや魅力を教えてください。
別所:ニール・サイモン作品を語れるほどではないんですけど、若かりし頃、俳優を目指した時にいくつか見た作品がニール・サイモンの作品で。その中にいつか舞台俳優として出られればなと思ったものがありました。下北沢で小さくやっていた『裸足で散歩』という作品もありましたし、こういう作品群をみて。その後、ニューヨークにいって、ニューヨークの町や暮らしや、人間の葛藤があるんだけれども面白さを伝えるのがニール・サイモンの作品だなと思って。今回は、ニール・サイモンの晩年の作品で、本当に円熟した作品です。どんなところに彼のヒントというか、メッセージがあるのか、宝探ししているようなところがあるのかなと思います。
――最後にお客様に向けて、一言お願いします!
大地:こういう時代だからこそ、笑いもあって、ちょっと涙もあって、また元気になれるような作品に仕上げたいと思っております。2月6日から始まります『ローズのジレンマ』、よろしくお願いします!
取材・文=五月女菜穂

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