70’sアメリカンロックに
大きな影響を与えた
オールマン・ブラザーズ・バンドの
『アイドルワイルド・サウス』

本作
『アイドルワイルド・サウス』について

前作はニューヨークのアトランティック・スタジオでレコーディングされ、プロデュースはイギリス人のエイドリアン・バーバーが担当した。デュアンもグレッグも彼のプロデュースを気に入っておらず、本作以降のレコーディングにはデレク&ザ・ドミノスなどでお馴染みのトム・ダウドが担当することとなった。また、録音場所についてはツアーの合間を縫って行われたため、設立されたばかりのカプリコーン・サウンド・スタジオ、マイアミのクライテリア・スタジオ、ニューヨークのリージェント・サウンド・スタジオの3カ所で行なわれている。

収録曲は7曲。「リバイバル」と「エリザベス・リードの追憶(原題:In Memory of Elizabeth Reed)」はディッキーの書いた曲で「リバイバル」には、途中で後の「ランブリンマン」を思わせるフレーズが登場する。インストの「エリザベス・リードの追憶」はラテンの香りがするオールマンの代表曲のひとつで、デュアンとディッキーの白熱したツインリードの他、全てのプレイが聴きものである。グレッグの書いた「キープ・ミー・ワンダリン(原題:Don’t Keep Me Wonderin’)」は、デュアンの粘っこいスライドとグレッグの黒っぽいヴォーカルが絶品のサザンロックになっている。マウスハープにはベリー・オークリーの友人、トム・ドゥーセットが客演している。

「ミッドナイト・ライダー」も彼らを代表する名曲のひとつで、多くのアーティストによってカバーされている。最も成功したのはカントリーチャートで6位となったウィリー・ネルソンによるものだろう。グレッグのアメリカーナ的なスタンスがよく分かるナンバーである。「フーチー・クーチー・マン」はマディ・ウォーターズのカバーで、ウィリー・ディクソン作。ディッキーとベリーのふたりが在籍したセカンド・カミング時代から演奏している曲で、あまり上手くないリードヴォーカルはベリーによるもの。マディのオリジナルと比べると倍くらいの速度になっているが、『アット・フィルモア・イースト』(’71)の1曲目の「ステイツボロ・ブルース」は「フーチー・クーチー・マン」のアレンジを参考にしていると思われる。

「プリーズ・コール・ホーム」のプロデュースはトム・ダウドではなく、ジャズ系のジョエル・ドーンが担当している。グレッグはジャクソン・ブラウンのセンチメンタルな「ジーズ・デイズ」をよく取り上げているが、グレッグはジャクソンを意識してこの曲を書いたのだろう。グレッグの初ソロアルバム『レイド・バック』(’73)に「ミッドナイト・ライダー」とともに収められている。

アルバムの最後を締め括るグレッグ作「マイ・ブルース・アット・ホーム(原題:Leave My Blues at Home)」はアーシーかつファンキーなナンバーで、よく練られたツイン・リードとグレッグのヴォーカルが素晴らしい。

ブルース色の濃いデビューアルバムと本作はどちらも秀作で、甲乙つけがたい仕上がりであるが、アメリカーナ的な性質をもつ本作のほうが、サザンロックの特徴がよく表れている。73年に1stと本作をカップリングした『ビギニングス』という2枚組アルバムがリリースされたが、単に2枚を合わせたものではなく、1stアルバムはトム・ダウドによるリミックスがなされている。

なお、アイドルワイルド・サウスというアルバムタイトルは、メイコンの人里離れた湖のほとりにあるバンガローの呼び名で、彼らはそこをレンタルし、リハーサルに使っていた。

TEXT:河崎直人

アルバム『Idlewild South』1970年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. リバイバル/Revival
    • 2. キープ・ミー・ワンダリン/Don't Keep Me Wonderin'
    • 3. ミッドナイト・ライダー/Midnight Rider
    • 4. エリザベス・リードの追憶/In Memory of Elizabeth Reed
    • 5. フーチー・クーチー・マン/Hoochie Coochie Man
    • 6. プリーズ・コール・ホーム/Please Call Home
    • 7. マイ・ブルース・アット・ホーム/Leave My Blues at Home
『Idlewild South』(’70)/The Allman Brothers Band

OKMusic編集部

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