「佐藤流司、今年こそ“激動”になり
ますよ」~「朗読劇『私立探偵 濱マ
イク』-我が人生最悪の時-」佐藤流司
インタビュー

映画監督・林海象原作、永瀬正敏主演で人気を博した“伝説の”映画『私立探偵 濱マイク』シリーズ。その第1作『我が人生最悪の時 THE MOST TERRIBLE TIME IN MY LIFE』が、公開から28年の時を経て朗読劇として上演される。今作で濱マイクを演じるのは、舞台に映像にとますます活躍の幅を広げ続ける佐藤流司。横浜・黄金町の裏社会をホームベースに生きる人情味あふれるイカした探偵を、世代を超えて愛される“令和のハードボイルド”として「再生」すべく、新たな挑戦に燃えている。
ーーまずは……「佐藤さんで濱マイク」、かなりのサプライズでした。
今、自分の人生の指標というか……人生、四半世紀も過ぎましたし、仕事もさらに多方面に攻めていきたい、いろんな方向にシフトしながら、さらに俳優の佐藤流司という人間の幅を広げていきたいなぁと思っていたところにこのお話をいただきまして。これがもう自分自身が思う今後やっていきたい、経験していきたい仕事にあまりにもぴったり合致していたもので……詳しいお話を聞く前にもう「やります!」と。内容もタイミングも「完璧」でしたね。
ちなみに同じように「やりたいです。お願いします」と即答した作品で一番記憶に新しいのは『笑ゥせぇるすまん』だったんですけど──なんかね、そういうことなんですよ(笑)。俺がやらなそうだなって思われているところにいく。いつも観てくれるみなさんの想像の範疇を超えていきたいなって思いはいつもあります。この『濱マイク』に関しては、「俺がやる」以前に、「今、この作品をやるんだ」という驚きもたくさんあって、その両方でいいなぁと思いました。
佐藤流司
ーー本家は映画シリーズとその後放映されたTVドラマがありますが、ご覧になったことは?
タイトルは知っていたんですけど観たことはなくて……どうなんだろう? 自分の世代くらいまでだったらそんな感じなのかなぁと思うんですが、俺を応援してくださるファンの方は中学生とかもいるので絶対知らない層も多いはず。両親はもちろん知っていて、出演が決まったことを伝えたら非常に喜んでました。そういった意味でも自分がこの作品をやることで、濱マイクの時代と今の令和の時代をつなげられたらいいなと。​
ドラマのほうはまだ1話しか見ていなくて……というのも、見過ぎるとそっちに寄っちゃうなって気がしていて。まずは本読みをして、周りのキャストさんの雰囲気もわかってから自分の指標を立てる。それをしてから残りを見進めてみようかなとは思っています。
ーーではご自身は濱マイクという人物のどんなところに魅力を感じていますか?
いわゆるダークヒーローであり、王道の主人公感があるなぁと思っていて。なんかやろうとしたことが空回りしたり、過去にいろんな経験があったり、誰も放っておけない、喧嘩がめちゃくちゃ強い……かっこいいところだらけだなぁと。そういうところはまさに「男が憧れる主人公感」。自分が子供の頃に好きだった主人公像に似てますよね。なにしろまだ1話だけしか見ていないと言いつつ、1話だけでももう相当引っ張られた、役作りのイメージを持って行かれた気分で、やっぱりオリジナルはすごいと思いました。1話だけであれだけ役の魅力を全面に伝えられて……自分で台本を読んだまま、想像したまま新しい世界観を作っていこうとは思っていますけど、奇をてらってあえて外しに行っても絶対不正解だと思うし、目指すところはやっぱり「そこ」になるのかな。あれで完成していると思うし、やればやるほど行き着く先はあそこなんだろうなと思います。だからきっと勝手に寄っていくので、無理に寄せることもないのかな、と。
佐藤流司
ーー自ずと正解に導かれる絶対的強さのあるキャラクター。だからこそ、そこへ切り込んでいく佐藤さんの勇気に期待してしまいます。
うん。台本読んだ段階ではかなり演じやすいかな、と感じました。得意分野というか……かなりガラ悪い感じで(笑)。また、自分で言うのも変なんですけど、俺も周りを大事にするタイプだなぁって思うし、そこが自分の中でも人生において大事にしている場所でもあるので、濱マイクとの共通点はあるなと思います。あとは……想像するにもっとベテランの方がやるイメージが強いこの役柄を、まだケツが真っ青な自分がやることにも(笑)、意味があるのかなと思ったりもして。2.5次元作品とは違いますけど、これも原作である元の作品自体がとてもたくさんの人に愛されていますし、当時からのファンの方も舞台を観てくださるかもしれない。そこへのリスペクトとか作品への愛っていうものを自分も絶対無くさずに、そういった方たちにも褒められる作品作りをしていきたいなとは思います。
ーー今回は朗読劇というスタイルですが、このハードボイルドな世界をどう描いていくのでしょうか?
どう見せていきたいかは……まだこっちが聞きたいよ状態(笑)。台本にあるト書きもこれって口で言わないとわからないんじゃないかな、もしくは小道具がないと伝わらないだろうなぁって部分が多いので、それを朗読劇でどう伝えていくのかというところはまだ自分もわからないですけど、作品のイメージとしては高尚に演じないようにしようとは思ってます。ラグジュアリーで高級感のある表現は一切排除して、具体的に言うと……例えば語尾を投げ捨てたりとか、あまり台詞一つひとつを大事にしすぎないように進めていくことによって、このちょっと路地裏の世界観というか、砂嵐にカラカラカラ……のような(笑)、乾いたハードボイルド感が出るんじゃないかなと。台詞を大事にし過ぎると黄金町じゃなく白金あたりになっちゃうので(笑)、作品の魅力のひとつでもある路地裏感が出るように、ある程度聞かせ過ぎないような演じ方をするのが大事なのかもしれないですね。あとは単純に台本を両手で持つのはやめようかと思ってます。片手で行こうかな、と。それが一番見た目もガラ悪い感じが伝わるし、なんなら2、3ページくらいビリビリに破っておこうかな。ハハハッ(爆笑)。
佐藤流司
ーーミュージカルの出演やご自身のライブ活動を重ねる中でボイトレを徹底、パワーもレンジも強化されている。そんな佐藤さんの「声」は、大きな武器だと思います。声の表現、朗読劇はお好きですか?
好きだけど得意ではないです。毎回「難しいな」と思います。あと俺も聞いた話なので信ぴょう性のほどはわかりませんけど(笑)、音痴な人は芝居がうまくなりづらかったりもするらしいので、役者をやる上で歌えるとかレンジが広いっていうのは、すごくアドバンテージになると思います。例えば叫ぶシーンなんかでも「このくらいの音量でこのくらいの高さで声を出すとハマる。気持ちいい」っていうのはありますよね。そうやって台詞でもいろんな「音」が出せるっていうのは重要。いつか自分の強みにもなると信じて引き続き精進しています。
朗読劇自体も今このご時世でかなりホットなコンテンツだと思っていて……舞台、ドラマ、映画と今までずっとあり続けてきた表現とは違う、この状況下で一番「生きる」コンテンツが朗読劇なのかなと思ったりするんです。だから今回も普通に舞台化でもよかったと思うけど、あえて朗読劇でやるってことにも意味があるのかも。朗読劇は今後、必ず普通の舞台に並んでくるジャンルになる、スタイルとして多くなってくるだろう表現の場。自分もその先駆者の一人となれるよう挑戦はやめたくないですね。
佐藤流司
ーーでは「佐藤さんの濱マイクを朗読劇のシリーズで」というこの先の期待も……。
してもらっちゃってもいいのかなぁと、思いますよ(笑)。
ーーそのための「第1作」である。
そうですね。俺、自分が出る作品に関しての最終的な判断はずっと自分にさせてもらっていて、そうやって今10年くらいになるんですけど……これまで一度も外したことがなくて、すべていい作品にさせてもらっているなという自負があります。だから今回もまず間違いなくいい作品に仕上がると信じてますし、逆にこんないい題材をいただいて間違えたらもう切腹ものなんで(笑)。大切に演じますのでぜひ応援していただければと思います。
普段、俺がやるような作品をあまりご覧にならない上の世代の方々に対しては「昔観てたな。懐かしいな」という世界を我々若い世代がやることで新しい風を吹き込んでいけると思いますし、逆に若い世代には「30年くらい前にこんな素敵な作品があったんだ」みたいにね。それぞれ発見があって楽しめて一石二鳥。俳優・佐藤流司が、俺よりも上の世代と若い世代がお互いに行き来できる架け橋のような存在になれたらいいですね。​
佐藤流司
ーーまだ状況的に“すべて解禁”とはいかない日々ではありますが、こうして明けた2021年。どんな年にしていきたいですか?
わかんないですけど……役者ってある意味ピエロというか、エンターテイナーとしての宿命があると思うので、我々は「辛い」って言っちゃいけないと思うんです。「大変だ」「嫌だ」と言ってるような人間から元気はもらえないですから。こういう状況の中でこそ「我々は今日も元気です」ってやっていくほうが、今は大事なことかなって思っています。楽屋も完全に隔離された空間になっていますし、人と一緒の食事は避けるとか単純に制限されることも多く、もちろんストレスは大いに感じますけど、それは百も承知。そんな中でも今もこうしてお仕事をさせてもらえているのだから……今まで以上にしっかり芝居と向き合って、とことん楽しくやりたいなと思ってます。
個人的には去年も「激動の1年になるのでお楽しみに〜」と言っていて、結局コロナで自粛する日々が続いていたのですが、今年こそ「激動」になりますので、ホントに楽しみにしてもらえたらいいなって思うのと、なんかこう……もういい大人だし、いろいろ恩返しができる1年になればなって思ってます。仕事ができる環境はホントにありがたいことだと改めて確認できた2020年だったので、今年は「ホントにありがたいって思っているんだぜ」ってことを……文字とかSNSで伝えるのは嫌なんでね、こうして一作一作、作品を通して伝えていきたいです。
佐藤流司
取材・文=横澤由香  撮影=中田智章

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