『パンドラの鐘』(作:野田秀樹、演
出:熊林弘高)、松下優也の出演が新
たに決定&イメージビジュアル公開

『パンドラの鐘』(作:野田秀樹、演出:熊林弘高)が、2021年4月~5月、東京芸術劇場 シアターイーストで上演される。既に発表されていた門脇麦・緒川たまき・金子大地らに加え、松下優也の出演がこのほど決定、また、公演のイメージビジュアルも公開された。
東京芸術劇場は自主事業として「RooTS」と題し、日本の現代演劇の源流を探るべく、唐十郎やつかこうへい等、過去の小劇場演劇の戯曲を掘り起こし、若い演出家がチャレンジする企画を実施してきた。この「RooTS」の延長戦上にあるのが、野田秀樹芸術監督の戯曲を野田以外の人が演出する企画を実施。これまでに藤田貴大、野上絹代、オン・ケンセン、マルチェロ・マーニ、シルビウ・プルカレーテが野田作品の上演に挑んできた。そして、今回、白羽の矢が立てられたのが熊林弘高だった。
熊林は2015年に「RooTS」企画で清水邦夫の戯曲『狂人なおもて往生をとぐ』に挑戦。その次のステップとして野田作品に挑戦したいという気持ちを抱き、数ある戯曲の中でも最も心をつかまれ、数年にわたって構想を温めてきた作品がこの『パンドラの鐘』だった。
なお、かねてより東京芸術劇場は、チェーホフ『かもめ』(2016)やシェイクスピア『お気に召すまま』(2019)をはじめとして、熊林とは充実した共同作業を積み上げてきた。そして、彼の世界観に名だたる俳優たちがほれ込み、出演希望の声が後を絶たないという。
熊林は戯曲と向き合うために、稽古に先んじて「勉強会」と呼ばれるテキストの講読会を繰り返し実施。劇作家の紡ぐ言葉を一つ一つ紐解いていき、その本質を丁寧に見抜いていく。今回熊林が挑戦する『パンドラの鐘』は1999年、NODA・MAP第七回公演として世田谷パブリックシアターで初演され、紀伊國屋演劇賞個人賞・読売演劇大賞最優秀作品賞・芸術選奨文部大臣賞(演劇部門)などを受賞した名作だ。20世紀末に、野田本人が演出を手掛けたバージョンと、蜷川幸雄が演出をしたバージョンがほぼ同時上演され、二人の演出対決が演劇界を席捲した。
「遺跡の発掘」「古代の天皇の殉死」「長崎への原爆投下」などのモチーフを扱い、<現代>と<古代>という2つの時間軸を行き来する物語。野田戯曲らしい言葉遊びや複数のモチーフと時間・空間が交錯し、イメージが乱反射する、極めて独創性あふれる作品として評価されている。熊林演出では一人の俳優が<現代>と<古代>の登場人物を1人2役で演じる。熊林が自身のこの構想を野田に相談した際に、野田は「そういう話なんだよ!」と快諾した。
そんな野田から、今回の公演へ寄せる以下のメッセージが届いた。
<作者・野田秀樹のメッセージ>

「天上天下唯我独尊」(てんじょうてんげゆいがどくそん)とは、「ジーザス・クライスト」と並び称せられる、あの「お釈迦様」が生まれた時に発した言葉だ。訳せば「この世に俺ほど尊いやつはいねえぜ」である。聞きようによっては、どんだけ傲慢?な響きを持つ言葉だ。だから案の定、この「唯我独尊」が、お釈迦様以外の口から発せられると、「独りよがり」などと訳されもする。だが、熊林氏の演出を見る時、私がいつも感じる、この人の「唯我独尊ぶり」の訳は、「独りよがり」の方ではなくて「お釈迦様」サイドの方である。つまり「尊い」方の「唯我独尊」訳である。世間だろうがコロナだろうが我関せず、熊林氏ならば、脚本をひたすら深く深く読み込み、自分が信じた通りの世界を創るだろう。熊林氏の「唯我独尊」にどっぷり浸った『パンドラの鐘』は、どんな響きをもって、天上天下に鳴り渡るのだろう。I have been looking forward to listening to it. 因みにこの日本語訳は「楽しみだ」である。……短い。
野田秀樹

野田秀樹

出演者は熊林が信頼する多彩な顔ぶれ。2015年に熊林が演出した『狂人なおもて往生をとぐ』(作・清水邦夫/於・シアターイースト)に出演し、大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK)にも話題作に出演し、若手主演女優陣の中で存在感を発揮する門脇麦。『腐女子、うっかりゲイに告る。』(NHK)で好演だった今大活躍の若手俳優・金子大地。2人は古代の女王(門脇)と墓堀り(金子)、現代の遺跡発掘研究者(金子)とその恋人(門脇)の2役を演じる。門脇と同じく『狂人なおもて往生をとぐ』に出演し、熊林が信頼を置く俳優でユニークな存在感を示す個性派・緒川たまきも出演。さらに、テレビドラマ・映画・舞台とジャンルを問わず八面六臂の活躍をする松尾諭、2019年にはKAAT神奈川芸術劇場『恐るべき子供たち』にて好演だった柾木玲弥。そして、野田が東京芸術劇場で次世代を担う演劇人の育成を目指した団体「東京演劇道場」からはオーディションで選ばれた木山廉彬・長南洸生・八条院蔵人の3名が出演。
そして、このほど新たに松下優也の出演が決定した。俳優・アーティストとして活動し、連続テレビ小説『べっぴんさん』(NHK)やミュージカル『サンセット大通り』・『ハウ・トゥー・サクシード』で見る人の心を掴んだ松下がどんな活躍をするのか。そして、個性的な実力派が結集した今回の『パンドラの鐘』、熊林の斬新な演出により野田戯曲がどう新しく生まれ変わるのか。期待したい。
<『パンドラの鐘』 あらすじ>
本作は <太平洋戦争開戦前夜の長崎>と<遙か遠い昔の古代王国>の2つの時間軸が交互に物語られる。歴史の謎に惹かれ長崎で発掘を行う考古学者のオズ(金子)がカナクギ教授の下で同僚のイマイチと掘り起こしたのは、土深く埋もれた巨大な古代の鐘であった。発掘研究の出資元であるピンカートン財団のピンカートン未亡人とその娘タマキ(門脇)はその鐘の謎を明らかにするようオズたちに依頼をする。すると、その鐘は古代王国が諸外国との戦の末に見つけた戦利品であったことが分かる。ところ変わって、物語は古代王国の歴史を描く。 王女・ヒメ女(門脇)は王であった兄の死をきっかけに王位を継承。王族に仕えるヒイバアとハンニバルは王の葬儀を終え、埋葬を葬式屋のミズヲ(金子)らに命じる。王の遺体を埋めるため森深く進んでいく葬式屋たち。とあることから、棺の中に隠された秘密を知ってしまう 。ヒイバア・ハンニバルは口封じにミズヲらを処刑しようと企てるが、ヒメ女がそれを阻止、代わりにある任務をミズヲらに命じる。ヒメ女が統べる古代の王国は諸外国との戦を重ね、連戦連勝。戦利品として持ってきた鐘は美しい音色を持ち、パンドラという国から持ってきたことから「パンドラの鐘」と名付けられる。しかし、「パンドラの鐘」は古代王国の秘密と共に埋められてしまう。そこから時が経ち、長崎で古代王国の秘密をひも解くオズらは隠された真実に気付く。決して覗いてはならなかった「パンドラの鐘」に記された王国滅亡の謎とは?そして、古代の光の中に浮かび上がった<未来>のゆくえとは?
<演出 熊林弘高 (くまばやし・ひろたか) プロフィール>
1977年生まれ。北九州出身。高校卒業後上京し、TPT(シアタープロジェクト・東京)に加入、制作などを担当する。デビッド・ルボー、アラン・アッカーマンら世界的演出家の薫陶を受け、2002年ストリンドベリ作『火あそび』で満を持して演出家デビューを飾る。その後、『かもめ』(チェーホフ作)、『いさかい』(マリボー作)、『バッカイ』(エウリピデス作)などを手掛ける。2010年、東京芸術劇場にて上演したジャン・コクトー作『おそるべき親たち』(佐藤オリエ、麻実れい、中嶋朋子、中嶋しゅう、満島真之介)の演出で圧倒的な評価を受け、毎日芸術賞千田是也賞を受賞、作品は文化庁芸術祭演劇部門大賞を、主演の麻実れいが読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞した。現在はフリー。勉強会からスタートし、深く戯曲を読み込むスタイルで、時間をかけ一本一本を丁寧に演出する手法を取っている。ベルイマン作『秋のソナタ』(佐藤オリエ、満島ひかり)、『トライブス』(田中圭、大谷亮介、中嶋朋子、鷲尾真知子ほか)、『狂人なおもて往生をとぐ』(福士誠治、緒川たまき、門脇麦ほか)、『夜への長い旅路』(麻実れい、田中圭、満島真之介、益岡徹)の後、2016年『かもめ』(満島ひかり、佐藤オリエ、田中圭、中嶋朋子、坂口健太郎ほか) で東京芸術劇場プレイハウスほか全国 6 都市ツアーを敢行し、大きな空間での演出を初めて手掛ける。2019年にはシェイクスピアの恋愛喜劇『お気に召すまま』(満島ひかり、坂口健太郎、満島真之介、温水洋一、中村蒼、中嶋朋子ほか)にて、全国で2万5000人を越える動員を果たした。

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