第3期BiSメンバーはなぜBiSの名を背
負うと決めたのか? その覚悟と2nd
EP『KiLLiNG IDOLS』に込めた想いと

オーディションで集まったイトー・ムセンシティ部、チャントモンキー、ネオ・トゥリーズ、トギーの4人で活動中の第3期BiSがメジャー2ndEP『KiLLiNG IDOLS』を2月24日にリリースした。初期BiSの名曲「Hide out cut」のオマージュソングとも思える「HiDE iN SEW」から、熱いものがこみ上げてくる「つよがりさん」まで、90年代のJ-ROCKにメロコア、オルタナありという強力なサウンドで聴き手の感情を揺さぶり続ける今作。プロデュースはもちろんあのBiSHを手がける渡辺淳之介(WACK)✕松隈ケンタSCRAMBLES)のゴールデンコンビが担当。BiSHの原点でもあるBiSは2010年結成以降、解散しようが空中分解しようが何度死んでも蘇ってきた激動のグループ。そんなゾンビのようなグループの看板をなぜ背負おうと思ったのか? 第3期BiSに対する彼女たちの覚悟を紐解きながら、新作について4人に話を聞いた。
BiSは、メンバーだけじゃない、いろんなことが積み重なってできてるグループだから、それを裏切りたくない。
――第3期BiSとしての自覚は、グループ始動当初とは変わってきましたか?
ネオ・トゥリーズ(以下、ネオ):明らかに入る前とは違うかなって思います。根本的なものは変わってないかもしれないんですけど、グループとして“変わらなきゃいけない”と思うようになったところがあったんで。
――自分ではなく、グループのために?
ネオ:はい。これまで人と関わりたいと思っていなかったんですけど、こういうグループに入ったらそうはいかないから。自分が生きていた世界がその瞬間からいきなりガラッと変わったから、急に成長しなきゃいけない部分があって。ちゃんと人と関わったり考えたり。個人としてじゃなく、グループとしてという部分での覚悟というのか。それがいまは心の奥にはあるから、そこは変わったのかな。前は個人だったから、周りのことはまったく考えてなくて。考えなくても生きていけるんですよ。この世界じゃなかったらなんとかなるものなんです。人といっさい関わらなくても。でも、この世界ではそうはいかないから、ちゃんと人と向き合って。同時に、これまでは自分とも向き合ってなかったから、BiSになって以降は、自分自身とも向き合うようになって。自分から変わろうと努力したからこそ、いまここにいるんだと思います。
――トギーさんは?
トギー:トギーはそもそもBiSに入るまでは頑張ることができない人間だったんですよ。自分が頑張らないことで人に迷惑をかけてても気にしてなかったんですね。だけど、BiSはそうはいかなくて。自分が頑張らなかったら、私のせいでBiSに迷惑がかかるし、BiSが悪くなっちゃうと思って。グループのためだったらなんでもできることに気づけました。
――まだやりだしたばかりのグループに対して、なんでそこまで思えたんでしょう?
トギー:BiSは自分が初めて本気でやりたいと思ったグループだったからこそ嘘つきたくないし。BiSはメンバーだけじゃないんです。これまでのメンバー、応援してくれる人たち、いろんなことが積み重なってできてるグループなんで、それを裏切りたくないからです。
――こんなこといっちゃあれですけど、BiSはグループの特性として、過去のキャリアをうまく利用して活動していくこともできるわけですよね?
トギー:なんとな~くやってれば、なんとな~くできるんでしょうけど、でもそうしたくないから。本気でやりたいから。本気でやんないと“コイツらダメだ”って見透かされて、すぐに終わっちゃうと思うんで。
――ああー。そこはBiSマネージャーの渡辺さんが、BiSの過去曲を封印して第3期BiSの活動に挑んだパッションと似ているんですね。モンちゃんはどうですか?
チャントモンキー(以下、チャント):私は特にやりたいことも目標もなく、例えばお姉ちゃんが進んだ道をそのまま進む、みたいな感じで、自分でなにも考えずにただただ平凡に生きたので、BiSに入ってからはたくさん考えることが多くなりました。グループのために。みんなBiSを本気でやりたいと思ってるので、BiSのため、お客さんのためとか、いろんなことを考えながら頑張るというところが変わったと思います。渡辺さんを見ていると、グループに対してだったり、お客さんに対して考えることがすごいんで、自分の考えの甘さに気づかされることがたくさんあって。前よりも考える時間がめちゃくちゃ長くなりました。4人が全然違う性格だからこそ、メンバーにいわれて気づくともあるんですけどね。
――モンちゃんから見て他のメンバーはどんな性格なんですか?
チャント:ティ部はシャイな部分がありつつも人が好きで。ちゃんと人のことを見てるからメンバーのことを気遣ってくれるんです。トギーは一見天真爛漫で元気いっぱいな感じなんですけど、ちゃんと自分の考えを持ってて。あとBiSに対する想いがすごく強い。それが全身からメラメラ出てます。ネオは最初、感情がないみたいな感じだったんですけど(笑)、関わっていくうちにすごい涙もろい部分とか、一番人間くさいなって思います。いろんなジャンルの音楽を知ってるんですよね。
――メンバー分析、ありがとうございます。では、ティ部さんは?
イトー・ムセンシティ部(以下、ティ部):根本的に私は面白いことがただひたすら好きで。自分にはないからこそ、他人に面白さを求めているところがあって。私がそのなかでもひときわ“面白いな”と思ったのがWACKであり、渡辺さんだったんですね。もうこの人と話をしなきゃ気が済まないと思って、オーディションに落ちても追いかけ続けて。BiSに入ることが決まったとき、親にはただ一言“社会を学んでくればいいよ”といわれたんですね。それで、“え?”って思いながら入ったら、本当に“社会”でした。ここは。例えば、私はこれまでやりたくないことを全部捨ててたんですけど、いまはグループとして目指しているものを手にするには、やりたくないこともやらなきゃなんにも手に入らないっていうことに、渡辺さんや、メンバーの行動……自分はやっていないことをほかのメンバーは影でやってたりする姿を見て気づかされたり。私は自分のためにずっと生きてきたけど、BiSに入ってからは、そこに大事なものがどんどん増えてきて。それこそお客さんや、同じ方向を目指してるメンバーがいることを考えると、いまのままじゃダメだと、どんどん思ってしまって。ここで自分は変わらなきゃいけない、変わるときだって、いまももがいている最中ですね。

――みなさんのなかの本気スイッチを探してグイグイ強引に押してくる。そんなグループなんですね。BiSという存在は。
トギー:そこまで本気で向き合えるものに出会えることってなかなかなくて。全然違うと思うんですよ。なにもなかった頃と、いまこうやってBiSを真剣に本気でやってる人生では。で、ちょっといいですか?
――はい、なんでしょう。
トギー:さっきから、なんで本気でBiSをやっているのか考えてたんですけど。第1期から渡辺さんは命削って、真剣にBiSをやってきてて。いまもナアナアでやってる訳じゃないことは側にいてめちゃくちゃ分かるんです。だからこそ、私たちに求められているものに対して、こっちも本気で向き合わなきゃって思うんです。BiSの魅力って“全力”とか“がむしゃら”とか“ボロボロになりながらも頑張るところ”だと私は思っていて。そうしないBiSに私は魅力を感じないので、本気で取り組んでるんだと思いました。
――でも第3期はもうオリジナルメンバーもいない訳なので、“新生アイドル研究会”という名の通り、このメンバーなりの新生のスタイルを作ってもよかった訳じゃないですか。
トギー:でも、どういうBiSが求められているのかって考えたときに、なんとなく適当にやってるグループではないなと思ったんです。適当にやってるグループなんて、人の心は動かせないだろうし。
ネオ:こんな曲を歌ってても響かないと思う。自分がリスナーだとしたら。本気でやってる人たちだからこそ響く歌なので。こんないい歌詞をもらっておいて、本気でやらないのは失礼というか……。
トギー、チャント、ティ部:失礼だよ。
――この歌詞を歌う資格を持った自分でいなきゃと、楽曲にも奮起させられて、いまの本気でBiSや自己と向き合う自分に変われた、と。
全員:はい(笑顔)。
BiS ※初公開のアーティスト写真別テイク
――分かりました。それでは、ここからは新作『KiLLiNG IDOLS』について聞かせて下さい。めっちゃカッコいいアー写になってますけど。これ、顔には。
トギー:血のりをざわ~ってつけられました。
――かわいいアー写を撮りたいなとは?
トギー:やだー。カッコいいほうがイケてる。
ネオ:できない。
ティ部:かわいい系はね。やれっていわれればやりますけど。
――アー写はこうですが、今作は決してホラーな仕上がりではないですよね?
チャント:違います。6曲入りなんですけど。どの曲もWACKの他のグループが歌っていたらむちゃくちゃ嫉妬しちゃうようないい曲で。私は、この曲がBiSの曲でよかったと思ってます。
――そのなかでも、自分たちが歌えてよかったと思った曲はどれでしたか?
チャント:私は「COLD CAKE」。歌詞はいつもデータで送られてくるんですけど、初めて歌詞を読んだだけでめっちゃ泣いちゃって。自分はこういうことを思ってたんだと気づかされました。自分では、考えてもそのモヤモヤしている気持ちが分からなくて。それが、全部言葉になっていた歌詞でした。
――この曲はタワーレコード限定で販売されていましたが。こちらがまた攻めたジャケットで。あれ、みなさんヌードですか?
トギー:違います。人工皮膚をつけて、人に見られてもいい状態の上に特殊メイクをしてるんですよ。
――恥ずかしくなかったですか?
トギー:アーティスティックな意味でやってるので、そういうエッチな目で見られても“私たちはそうじゃないんで”という気持ちなんですけど。どうなんだろう?
チャント:お客さんのなかには見るのが恥ずかしいっていう人もいたから、いろんな感想があるんじゃないかな。これに関しては。
――では、トギーさんが一番グッときた曲は?
トギー:他にもあるんですけど、作詞した「どっきゅんばっきゅん」にします。この曲は仮歌がきたときに全員参加の作詞コンペがあって、そこで私の歌詞になったんです。攻撃的なメロディだなと思ったので、歌詞も攻撃的な言葉を入れても大丈夫と思って、歌っていて気持ちよさそうな強めの歌詞を意識して書きました。歌詞の意味は、自分は学生時代、“いまいる場所サイアク”みたいな気持ちで生きてて、大人が信用できなかった。でも、BiSになって変わることができたんです。学生は、いまいる場がすべてで逃げ場所なんてないと思っちゃう子がたくさんいると思うんです。そういう子たちに、大人の意見は聞かなくてもいい、信用したいものだけを信じて、いまいる場所、学校がサイアクだったら、変えようと思えばいくらだって変えられる。それが伝わったらいいなと思って書きました。
――ネオさんはどうですか?
ネオ:「I ain’ t weak maybe..」。この曲は私が作詞をしたんですけど、自分の思いを人にいうとすっきりするけど、私はそういうことが得意じゃないからできない。けど、書いたりすることはできるんですよ。誰にも見られないし相手を傷つけることもないから。これは、当時の私が思っていたことをそのまんま歌詞に書きました。このときは自分を助けるために書いた感じです。
――歌詞の中の《全部受け止めてなんて言わないよ》というところは攻撃的なだけではない、BiSの繊細な感情が出ている部分だなと思ったんですが。
ネオ:自分は一方的に自分の思いを人に押し付けたくないんですよ。だから、常に好き放題いうだけではダメって思ってる。それがあるから、相手のことを想って、全部受け止めてとはいわないよという意味で書きました。
――分かりました。ティ部さんはどうですか?
イトー:私も「COLD CAKE」の歌詞が一番ガツンときました。《何度も言えるチャンスがあったんだ》から《言い訳探すのはもうやめよう》の2番は、一番共感できたところで。昔もいまも自分は言い訳を探すし、本当に見てくれている人の存在や、背中を押してくれる人のことも見て見ぬふりをしてたときもあったな、とか。自分の気持ちも、チャンスはあったのにいわないでいたなとか。ツラいときの過去の自分が重なって出てくるんですよ。でも、サビでは、いま自分はBiSであるってことが感じられて。《さぁ始めよう》はまさにBiSの“行かなくちゃ精神”だなと思って。サビを全部ユニゾンで歌ってるところもグッとくるところです。

――では、いま上がらなかった曲についても教えて下さい。「HiDE iN SEW」は英詞ですけど、英語の発音とかチェックされるんですか?
チャント:いえ。逆ですね。渡辺さんから歌詞はカタカナで送られてきたんですよ。
イトー:“ナワザキ”って。
トギー:カッコいい英語の発音をそのままカタカナにした歌詞なんです。私たちは英語ができないと思われてて。実際できないんですけど(笑)。
チャント:最初はそれで歌ってたんですけど、歌詞の意味もちゃんと理解して歌いたいからといって、後から英詞も送ってもらって。
ティ部:その英詞を見ながら歌ってたら、松隈さんからカタカナ英語のほうがいいといわれて、ああいう歌になったんです。
――そんなディレクションが裏であったとは。それから「GOiNG ON」の歌いだしなんですが。モンちゃん、この歌い出しのタイミングのとりかた、譜割り、歌いづらくなかったですか?
チャント:語り、みたいな感じだから最初びっくりしました。松隈さんには最初の“(ギターの)ジャン!”が入ったら、あとは自分の感覚で歌っていいよといわれました。
――曲中の奇声は全員でやってるんですか?
全員:はい!
――最後のコール&レスポンスは、いつかライブでみんなで声を出せるようになったら歌おうというメッセージのようにもとれました。
全員:はい。

――ラストの「つよがりさん」、泣けますね。
イトー:はい。泣きました。
トギー:これは渡辺さんの本心でもあるし、BiSが思ってることでもある。
チャント:この曲こそ、他のグループが歌ってたら。
トギー:毎日、渡辺さんに送る報告メールでぶちキレれてたと思います(笑)。
――タイトル、歌詞をオールひらがなにした理由はなんだと思いますか?
イトー:強がりだからじゃないですか? 漢字で普通に書いちゃうとちょっと恥ずかしいとか。本心では分かってほしいと思ってるんだけど、そんなに強い意味に思われちゃうのもなんだかなっていう気持ちもあるのかなって思いました。
――《てをあげてほしい》のところを歌ってるとき、会場にいるたくさんの人がハンズアップしてる景色を想像したら。
トギー:泣いちゃいますね。みんな心のなかでは思っているんだけど、いえない。そんなことを音源やライブを通して、みんなと共感し合えるっていうのも、BiSをやりだして初めて体感したことです。

――こちらの初回生産限定版のBlu-rayには、昨年末にLINE CUBE SHIBUYA行なったワンマンライブ『The DANGER OF MiXiNG BiS』の映像が収録されます。スクワットガチンコ対決も含め、BiSのライブの見所といえば?
ネオ:全身全霊なところ。
チャント:しかも曲ツメツメでほぼ止まらずのぶっ通しなので、勢いがある。
イトー:BiSは全曲、モンちゃんを中心に振り付けを自分たちで考えていて。1回見ただけでも憶えられそうな振り付けがたくさんあって。いい意味で、プロが作らないような、いままで見たことがない振り付けを見ることができるのも特徴かなと思います。
――しかも今作から、自分たちのレーベル、ULTRA STUPiD RECORDSからのリリースとなるんですよね?
トギー:はい。BiSには「STUPiD」という曲もあるので嬉しいです。今後はさらに“ULTRA STUPiD”でBiSはやっていきたいと思っているので、これを読んでるみなさん、応援よろしくお願いします!
取材・文=東條祥恵

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