ライヴアクトとして復活を遂げた
新生ローリング・ストーンズの
『ゲット・ヤー・ヤー
・ヤズ・アウト』

本作『ゲット・ヤー・ヤー
・ヤズ・アウト』について

69年11月7日のコロラド州での公演を皮切りに、ストーンズのアメリカツアーはスタートする。このライヴツアーは70年代にストーンズがパッケージ化させ成功に導いたドームツアーの最初にあたるもので、このあと最近まで続いた大掛かりなツアーは、本作『ゲット・ヤー・ヤー・ヤズ・アウト』がきっかけとなっている。

当初、サポート・アクト(B・B・キング、アイク&ティナ・ターナーら)を含めた2枚組でのリリースがストーンズ側によって企画されたが、レコード会社側に拒否され、2009年にデラックス版(CD3枚+DVD1枚)がリリースされるまで、ずっとシングルアルバムのみであった。レコード会社の融通の利かなさに懲りたのか、次作の『スティッキー・フィンガーズ』からは彼らが設立したローリング・ストーンズ・レコードからリリースされることになる。

オリジナル盤の収録曲は10曲。サポートメンバーとしてイアン・スチュワート(Pf)が参加している。68年にリリースされ大ヒットした新曲「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」(今ではロッククラシックであるが)から始まる。モニターの調子が悪いのか、チャーリー・ワッツのドラムが数カ所でタイミングがずれるものの、それがむしろ荒削りな魅力になっているのはライヴの魔法である。3曲目の「ストレイ・キャット・ブルース」は泥臭い仕上がりで、70年代のスワンプ時代を予言するような仕上がりになっている。途中で登場するクラプトン風に決めるミック・テイラーのうねるようなギターソロが光っている。

ロバート・ジョンソンのスローブルース「ラブ・イン・ヴェイン」では、テイラーのスライドでの名演が聴けるが、アルバムのハイライトはなんと言ってもLP時代はB面にあたる「悪魔を憐れむ歌(原題:Sympathy For The Devil)」〜「リヴ・ウィズ・ミー」の流れだろう。ここでもミック・テイラーのギターワークが素晴らしく、それにつられてかキース・リチャーズのギターも渋いソロで応えている。

「ホンキー・トンク・ウィメン」はこのツアーの数カ月前にリリースされたばかりの大ヒット曲で、彼らの代表曲であるばかりかロック界を代表するナンバーといっても過言ではないだろう。テイラーは音数の少ない味わい深いソロを弾いている。アルバムの最後は、これまたストーンズを代表する「ストリート・ファイティング・マン」で、若さに満ちあふれた演奏はこの時期ならではのグルーブ感だ。

本作は半世紀以上も前にリリースされた作品であるが、まったく古くなってはおらず、本物のロックがここにある。いつ聴いても最高の鮮度が保たれているという稀有なサンプルである。まだ聴いたことがないという人は、これを機会にぜひ聴いてみてください。

TEXT:河崎直人

アルバム『Get Yer Ya-Ya’s Out! The Rolling Stones in Concert』1970年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. ジャンピン・ジャック・フラッシュ/Jumpin' Jack Flash
    • 2. かわいいキャロル/Carol (Chuck Berry)
    • 3. ストレイ・キャット・ブルース/Stray Cat Blues
    • 4. むなしき愛/Love In Vain (Robert Johnson)
    • 5. ミッドナイト・ランブラー/Midnight Rambler
    • 6. 悪魔を憐れむ歌/Sympathy For The Devil
    • 7. リヴ・ウィズ・ミー/Live With Me
    • 8. リトル・クイニー/Little Queenie (Chuck Berry)
    • 9. ホンキー・トンク・ウィメン/Honky Tonk Women
    • 10. ストリート・ファイティング・マン/Street Fighting Man
『Get Yer Ya-Ya’s Out! The Rolling Stones in Concert』(’70)/The Rolling Stones

OKMusic編集部

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