上川隆也主演の大ヒット作に小池徹平
らが加わり、新演出で蘇る~舞台『魔
界転生』製作発表会見レポート

1967年、「おぼろ忍法帖」として単行本化された、山田風太郎作の人気伝奇小説「魔界転生」。徳川幕府によるキリシタン弾圧を受け、多くの信者が惨殺された島原。魔界の力を借りて蘇り、幕府滅亡を画策する天草四郎と、それを阻止するべく立ち上がる柳生十兵衛を中心に、柳生衆・魔界衆の戦いを描いた物語だ。
アクション・エンターテインメントの金字塔として愛されており、これまでに映画や舞台、漫画、アニメ、ゲームと、さまざまなリメイク作品が生み出されてきた。
2018年には、日本テレビ開局65年記念舞台として堤幸彦・マキノノゾミがタッグを組み、動員10万人を超える大ヒットを記録した本作。今回、新たなキャストを迎え、パワーアップして帰ってくる。
主要キャスト陣と演出・堤による製作発表会見の様子をお届けしよう。
まずは日本テレビアナウンサー・郡司恭子よる作品紹介があり、従来の迫力ある殺陣やアクションはそのままに、LEDなどよる映像効果を駆使した新演出で「電影活劇」とも言える令和版『魔界転生』が展開されることが発表される。続いて、登壇したメンバーより、今回の公演への意気込みが語られた。
堤幸彦
演出・堤幸彦:厳しい時期ではありますが、時代に合わせた面白いエンターテインメント・舞台をいかに作っていくか、キャストの皆さん・スタッフと一緒に考え抜いて公演の最終調整に入っています。前回は大変好評をいただきました。また皆さまに披露できるわけですが、時代は大きく変わりましたので、安全で楽しい舞台を追求するために大幅に装置や演出を変えており、ほぼ新作と言ってもいい部分もあります。また、従来のキャストのみならず、新しいキャストの皆さんも大勢お迎えしていますから、新たに作る気持ちで臨んでいます。たくさんの方に観ていただきたいですね。

上川隆也

柳生十兵衛役・上川隆也:僕自身は、意気込まないでいこうと思っています。堤さんもおっしゃっていた通り大きく変化した作品になりましたので、意気込むというよりは、また新鮮な気持ちで柳生十兵衛という役、魔界転生という作品に臨んでまいりたいと思っています。たくさんの人にご覧いただき、お楽しみいただけることを切に願っております。
天草四郎役・小池徹平:本日初めて明治座に来ました。いよいよここで5月に上演できるんだと気持ちが昂っております。今回は上川さん演じる柳生の敵役で参加させていただきます。新しい作品としての気持ちで天草四郎を演じたいと思っています。ぜひ観に来てください。

藤原紀香

お品役・藤原紀香:私は再演組なんですが、クララお品は原作にはない役です。マキノ先生、堤監督、制作陣の想いが溢れたお役と聞き、私も剣を持たずして、愛と使命、そして覚悟を持ってこの台本を演じようと心に決めました。
稽古をしていても、ゆう子さん演じる淀君様のシーンではいろんな想いが心に溢れます。毎回新鮮に心を込めて務めさせていただきたいと思います。また、世の中にエネルギーをシェアできるような素晴らしい作品に参加させていただけて、本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。
村井良大
根津甚八役・村井良大:この甚八という役は原作には出てこないキャラクターですが、僕自身は堤さんが前回演出された真田十勇士という作品の中で演じてきた役です。僕はこの根津甚八が大好きで、舞台に立っていても毎日新鮮だと思えるくらい明るく楽しい役でした。今は舞台の上でお芝居をするということや、お客様に足を運んでいただくことが中々難しい状況かもしれませんが、存分に楽しんでいただけるように毎回大切に演じていきたいと思います。ぜひ劇場へ足をお運びください。
木村達成
柳生又十郎役・木村達成:久しぶりの明治座で興奮していますが、落ち着いて頑張って喋りたいと思います(笑)。前回はちょっとお茶目な又十郎を演じましたが、今回はクールに演じていこうと思っています。このご時世で、全国にエネルギーを届けねばならないと思いますので、頑張ってこの舞台を盛り上げます!
山口馬木也
由比正雪、叢雲常陸役・山口馬木也:初演も参加させていただいて、お気に入りの作品、お気に入りの役です。この一年いろいろな舞台が中止になる中で、この仕事は本当に必要なのか役者仲間と話したり、お客様からの声を聞いたりもしました。モヤモヤした中で稽古場に入りましたが、生みの親のマキノノゾミさん、育ての親の堤さん、苦楽を共にする座組みの仲間と演技をして、手を叩いて笑ったり、感動で涙したり。僕自身が稽古場で救われて、演劇が持つ力を感じました。その力を信じて、より多くの人に楽しんでいただけるよう務めていきたいと思います。安心して最後まで観られるように気を引き締めて頑張りますのでよろしくお願いします。

渡辺大

宮本武蔵役・渡辺大:今回が初の舞台で、ここでやるんだなぁと噛み締めているところです。初めてのことだらけで試行錯誤していますが、毎日いろんな発見があって、皆様にお見せできるのを楽しみにしています。こういう時代で大変ですが、希望を共有できればという思いで毎日稽古を進め、今か今かと開幕を待っております。ドキドキしていますが、楽しみたいと思うのでよろしくお願いします。
淀殿役・浅野ゆう子:再び淀殿としてお声をかけていただき、幸せに思っております。このコロナ禍で、稽古場でもみんなマスク、私語も厳禁、コミュニケーションが取りづらい状況となっております。そんな中、上川さんが私たちを笑わせ、和ませてくれて一気に稽古場のテンションが上がりました。素晴らしい座長さんの一座に入れていただくことを嬉しく思います。
私個人の楽しみとしては、初演に引き続き松平さん、上川さんの美しく格好良い殺陣。毎日間近で拝見できるのが嬉しくて見惚れております。それから、何より楽しみなのは、素晴らしいトーク力を持つ上川さんのカーテンコールです。毎回カーテンコールだけでもご覧になっていただきたいと思っています(笑)。また、お品さんを演じる紀香さんとは初めての共演ですが、素敵な時間をご一緒できるのがとても嬉しく、それを励みにお稽古を頑張っています。
柳生宗矩役・松平健:この時代に舞台に立てる喜びを感じております。この『魔界転生』に参加させていただけることに感謝し、皆さんが感じている自粛のストレスや現実を忘れられるような世界を味わっていただきたいと思っています。今回は立ち回りが変わったり、セットがリニューアルされたりもしています。一人でも多くの方に観ていただきたいと思っているのでよろしくお願いします。
ーー今回が初参加となる皆さんから見たカンパニーの印象は。
小池:本役以外のメンバーによるプレ稽古というものを初めて経験しました。初参加組はそこから参加だったので、急いで台詞を覚えて必死に食らいつきました。スピード感に驚きましたが、そのおかげで少し自信がついたというか、一回通せたという安心が大きくて、良いきっかけになったと思います。今は通し稽古をしていますが、本当に楽しくて、すごく素敵な作品に仕上がっているんじゃないかと思います。プロジェクションマッピングなど、パワーアップした要素もたくさんあるので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。
藤原:上川さんが率いるカンパニーはとても明るくて、ものすごく良い感じです。初演からの皆さんは完璧なんだろうな、早く役と台詞を体に入れなきゃと焦っていたんですけれど、プレ稽古を経験したことで、『魔界転生』というものの流れを掴めましたし、アンサンブルの子達ともコミュニケーションを図ることができました。そこに初演組が入ってくださってパワーアップして、いろんなことを学んでいるっていう感じで、稽古場やカンパニーにエネルギーが溢れている状態です。
私が出ていないところでは、お客さんになったつもりで見ているんですが、いろいろな人の生き様に泣いてしまって。素晴らしいアクションには歓声をあげてしまいますし、人間ドラマでグッときて、お客さんに早く観ていただきたいなと思いながら稽古をしています。
渡辺:堤監督の作品に初めて参加させていただきますし、舞台に関しては新参者で、勝手が分からない状態です。2018年に上演されている作品に初めて飛び込むという怖さも最初はありました。でも、先ほどお二人が言ったプレ稽古のおかげで、やっと僕も同じスタートラインに立ってこの魔界の雰囲気に入れるようになったなと思います。その入り方も、堤さんが優しく教えてくれたので助かりました。今はいかにブラッシュアップできるかを考えています。毎日いろんな発見があって、楽しみながらやっているところです。
ーー座長から見た今回のカンパニーについて教えてください。
上川:僕らも一回やっただけですから、分かっているつもりになれないのが本当のところです。でも、新しく加わった方々は前向きというか前のめりな姿勢。この作品にどう臨もうかというエネルギー、ベクトルがひしひしと感じられるんです。一回やったからといってあぐらをかいていられないなという思いに駆られますね。貪欲さにも近い力を感じています。だからこそ、藤原さんがおっしゃったようにエネルギッシュな座組に仕上がっていると思いますし、日々刺激を受けながら稽古場で過ごしています。
『魔界転生』という作品を“湾”だと考えると、僕らは2018年に一回そこで泳いでいるわけですね。そこには風や凪があって、毎日泳ぎようは違ったはずなんです。今回は天変地異により湾の形すら変わってしまった。泳ぎ出すにあたっても、僕らもいちからですし、今みんなでどう泳ぐかをためつすがめつやっているところです。だからこそ一致団結もしています。力を合わせないと泳ぎきれない湾になったのを実感しているからこそ、みんなで試行錯誤を繰り返しています。
ーーコロナ禍での稽古で大変なことはありますか?
上川:(しばし考え込み)瞬時に思い付かないということは、苦労は感じていないと思います。とはいえ、二重マスクで稽古に臨んでいますので、声の通りがよく分からないです。自分がどれだけ声を出せていて、届いているのか測りづらいところはあります。舞台に上がってからまた調整することになると思いますが、それくらいですね。
ーー演出において大幅な変更があったとのことですが。
堤:初演においては、大勢のスタッフが大きな装置や道具を動かしていました。明治座にある盆なども活用して、動きのある演出をしています。
しかし、この時代一番基本になるのは人と人との距離・接触を減らすこと。面積単位の密についても語られる状況です。できるだけ簡略化・省力化、それでいて最大限の効果を狙う装置転換を考えています。これが一番ドラスティックに変わった部分ですね。具体的には、デジタル技術の進化を活用し、LEDを使った可動式の巨大立体装置のようなもの。プロジェクションマッピングを超えた、直接的な映像表現でシーンを作っていく挑戦をしております。
しかし、「電影活劇」の前に一番重要な演出ポイントがあります。人間です。人間の芝居・人間のアクション・人間による感情の表現です。前回以上の芝居の深さやスピード感を持って表現したい。このカンパニーならできるんじゃないかと、稽古の中で感じています。
様々な制約がある中でも、最善を尽くして最高のエンターテインメントを作り上げようという気概とチームワークの良さが伝わってきた今回の会見。新たな技術を取り入れた令和版『魔界転生』の世界に期待したい。
取材・文・撮影=吉田沙奈

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