reGretGirl 新たなフィールドでの進
化を楽しみにせずにはいられない、東
名阪ワンマンツアー最終日を見た

reGretGirl spring tour 2021 "curtain call"

2021.3.26 渋谷TSUTAYA O-EAST
reGretGirlの東名阪ワンマンツアー『reGretGirl spring tour 2021 "curtain call"』が3月26日、東京・渋谷TSUTAYA O-EAST公演で終幕した。このツアーは、バンドのメジャーデビュー作・1stフルアルバム『カーテンコール』のリリースを記念して行われたもの。久々のツアーだからだろう。照明がつき、観客の顔が確認できるようになると、平部雅洋(Vo/Gt)、十九川宗裕(Ba)、前田将司(Dr)の表情が見る見るうちに明るくなっていく。1曲目はアルバムでも冒頭を飾る「ルート26」。疾走感溢れるバンドサウンドに誘われて観客の腕も自然と上がった。
reGretGirlは、2015年、平部が当時の彼女に振られたことがきっかけで結成されたバンドで、バンド名には「いつか有名になってフッたことを後悔させてやる」という想いが込められているとのこと。特に初期曲には失恋をモチーフにしたものが多く、綺麗とは言い難い人間の感情が曲の中で曝け出されている。……と書くと、繊細な音を鳴らすバンドを想像する人もいるかもしれないが、グルーヴは太く、ライブで体感する3ピースサウンドは聴き応え抜群。青いギターを掲げるようにして弾く平部は歌にもギターにも感情がダイレクトに乗っているし、十九川のベースは、歌に寄り添うのはもちろん、あえてぶつかりに行くこともある。前田はバンドの土台としての役割を果たしている一方、よく聴くと、ときどき曲全体のスパイスになる動きを挿し込んでくるから面白い。メロディやビートによってポップさは担保されているものの、岩肌剥き出しのサウンドはスリリング。音源を聴いていただけでは知ることのできなかったこのギャップは嬉しいポイントだった。
この日は『カーテンコール』収録曲を中心に演奏。一方、インディーズ期の曲を多めに披露するセクションもあり、かねてからのファンとの絆も固く結んだ。特に、ピンク色の光の中でミラーボールもまわった「ブロッサム」は、桜の花びらが散っているように見える照明演出も含めて美しく印象深かった。そしてMCでは、3人の飾らないキャラクターが明らかに。平部は開演前、「機材車で寝てたらガレージのシャッターが閉まって閉じ込められた」という話をさも大事件のようにツイートしたが、実は閉じ込められていたのは5分だけだったことをここで暴露。しかし平部から「助けて」というLINEを受け取りつつ、面白いなと思いながら未読無視したという十九川もなかなかの強者かもしれない。なお、前田は一度だけ肉声を披露する場面があったものの、基本的にはほぼ喋らず。
「今から50人編成でお送りしたいと思います」という平部の冗談とともに、10曲目「グッドバイ」以降は、坂本夏樹(Gt)、雪下直矢(Key)とともに演奏した。この5人編成での演奏は、昨年秋の大阪城音楽堂でもトライしていたものであり、「めちゃくちゃよくなってるよな」(平部)とメンバー自身も手応えを感じている様子。実際、ツインギターによるカッティングから始まる「グッドバイ」から勢いに満ちている。ギターと鍵盤が増えたということは上物が相当厚いはずなのに、リズム隊は依然頼もしく、それどころかスラップベースが飛び出してくるシーンさえもある。「デイドリーム」のようなバラードは、ダイナミクスの幅が広がったことによってさらにドラマティックになり、平部の歌も、バンドサウンドに感化されたかのように熱を帯びていった。そして「約束」ではステージにキーボードがもう一台登場し、平部がステイホーム中に練習したという弾き語りを披露。弾きながら唄っていてもボーカルが全く疎かになっていない辺り、おそらく相当練習したのだろう。「もっともっと弾きたかった。ピアノの曲ももうちょっと作るわ」(平部)という発言に期待値が上がる。
互いの音に刺激を受け、“そう来たか!”“じゃあ俺はこうする!”といった具合に全体のテンションがどんどん上がっていく様は前半から確認できたが、このバンドにはそのノリでどこまでも行けてしまいそうなフレッシュさを感じる。そういう意味で「Longdays」の泥臭く転がるアンサンブルは一つのハイライトだったといえるだろう。5人編成での演奏然り、鍵盤弾き語り然り、積極的にトライしていくこと、その過程で得た刺激が、今の彼らを駆り立てているようだ。
本編ラストのMCでは平部が「みんないなくなってしまうんちゃうかなって、僕らのことなんか忘れてしまうんちゃうかなって思う日があったんですよ。でも今回、久しぶりにツアーできて僕らまだまだやっていけるなと思いました」と語る。早いものでラスト1曲。全国各地に待ってくれている人がいる=こんなに幸せな職業なんてないという実感、そして「喜びをみんなと分かち合いたい」という気持ちから生まれた「カーテンコール」が大切に鳴らされた。前田による軽快なリズム。想いを溢れさせるように各楽器が唄いまくる、3拍子の間奏。疲れを飛び越えて、ここに来て一番の声量を見せる平部。reGretGirl流の“嬉し泣き”の歌がここにいる人たちを大きく包み込んだ。
3人に戻ってのアンコールでは、本編で唯一演奏されなかったアルバム収録曲「胸の内を聞かせてほしいだけ」を初めに演奏。「この曲がなかったらきっと僕らはここに立っていなかったでしょう」(平部)と語られたのは、このバンドの名が全国に広まるきっかけとなった初期曲「ホワイトアウト」だ。白を基調としたシンプルな照明に照らされながら、全部を出し切るように、衝動剥き出しのバンドサウンドが鳴らされる。そして最後には“ツアーを終わりたくない”という気持ちを込めて「replay」が演奏された。「また絶対に会おうなー!」と言いながら投げキッスする平部は相変わらずお調子者だと言わざるを得ないが、3人の晴れやかな表情からは充実感が読み取れる。メジャーという新しいフィールドに飛び出した彼らが、この先どんな刺激を受け取り、音楽に還元していくのか。reGretGirlというバンドはここからどう進化していくのか。それが楽しみだ。
取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=白石達也

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