L→R atsuko(Vo)、KATSU(Key&Gu)

L→R atsuko(Vo)、KATSU(Key&Gu)

【angela インタビュー】
現世での事故という
“素晴らしき破滅”から
物語は始まっている

「乙女のルートはひとつじゃない!」(2020年4月発表のシングル)に続き、TVアニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X』のオープニングテーマを担当するangela。貴族社会を舞台とした物語に相応しい華やかな楽曲の裏には、綿密な計算と“2期”へのプレッシャーがあったという。七夕の日にふたりが贈る恋と愛を、存分にお楽しみあれ。

“ステップ”と言われて出てきたのが
『タイタニック』のポルカだった

今作の「アンダンテに恋をして!」はTVアニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった』(通称『はめふら』)の2期オープニングテーマということで、今回もヨーロピアン要素の強い曲になっていますね。

atsuko
でも、1期のオープニング「乙女のルートはひとつじゃない!」で『はめふら』の世界観で思い描いていたことは全部詰め込んでしまったから、お話をいただいた時は“どうしよう? ネタがない!”ってなってしまったんです。おまけに、アニメの監督から“キャラクターたちがステップを踏めるような、ちょっとダンサブルな曲”というリクエストがあって。ステップにもいろいろあるからすごく悩みました。
KATSU
しかも、“お洒落でステップが踏めるもの”っていうお題だったんですよ。お洒落とステップって、ミュージシャン脳で考えると結構相反したものなんですよね。お洒落な音楽ってステップは踏まないから。
atsuko
そう! そこでKATSUさんが提案してくれたのが、映画『タイタニック』の中でジャックとローズが踊るアイリッシュダンスだったんです。音楽のジャンルとしてはポルカなんですけど、そういうのがいいんじゃないかと。

船の中の酒場でふたりが踊る場面ですね。

KATSU
はい。フラメンコは今までに何曲かやったことがあるんで、“フラメンコじゃないもので、ヨーロッパの世界観でステップが踏めるものって何だろう?”って考えた時に、あのシーンがボン!と出てきたんです。“貴族が庶民的なところに下りて、その楽しさを知る”的なシーンだから、『はめふら』の世界観にも合うんじゃないかと思ったし、それでポルカを勉強してデモを作ったら、制作サイドにも“いいですね”って言ってもらえて。
atsuko
まぁ、お洒落さがあるかどうかは微妙ですけど(笑)。そこから「乙女のルートは一つじゃない!」やアニメの世界観とも合わせるために、今回もコーラスワークの方々に入っていただきました。

普通は仰々しくコーラスしないような歌詞をコーラスするっていう、その面白さが『はめふら』曲の特徴になりつつありますよね。

atsuko
そうですね。あとは、私の中で貴族やお嬢様が使いそうな言葉…例えば“ごめんあそばせ”とかを、前作に引き続き入れさせていただきました。今回も事前にシナリオを読ませてもらってから歌詞を書けたのでありがたかったんですけど、私は内容を知りすぎると説明みたいな歌詞になってしまうことがよくあるんですよ。実際、今回も結構書き直したんです。アニメの楽しげな雰囲気だとか“これから先どうなるんだろう?”っていうワクワク感は出していきたいけど、内容を語りすぎるのは違うので、そこのさじ加減は難しかったですね。

“ジュテーム”とか“モナムール”など随所に盛り込まれたフランス語のフレーズもロマンチックなムードを醸していて、いい塩梅になっていると思いますよ。ただ、気になったのがサビ頭の“素晴らしき破滅”というワードで…

atsuko
なんで相反する言葉がくっついているのかってことですよね。もともとは“破滅”ではなくて違う言葉だったんです。でも、ある日KATSUさんが“ここは“破滅”にしたらどうかな?”って言い出して。
KATSU
“素晴らしき破滅”っていうワードが『はめふら』の世界を言い表している気がして、どうしても使いたかったんですよね。ここを変えたら『はめふら』の曲じゃなくなると思ったんだけど、周りからは結構反対意見もあって…
atsuko
“破滅フラグを回避して生きている主人公なのにいいのか?”って、ひと悶着あったんです(笑)。ただ、主人公は現世で事故に遭い、異世界に生まれ変わった結果、素敵な友達やカッコ良い男性からモテモテの日々を送れているわけなんで、現世の事故を“破滅”ととらえるならば、“素晴らしき破滅”から物語は始まってるんですよね。そこまで辿り着いて、“じゃあ、これでいこう!”となりました。

なるほど! 破滅したからこそ今の素晴らしい世界に来れたと。あと、後半でベートーヴェンの「第九」がポルカのフォーキーな空気感にぴったりなアレンジで組み込まれているのもさすがです。

KATSU
「乙女のルートはひとつじゃない!」で「運命」を使ったんで、そこはただのベートーヴェンつながりです(笑)。「第九」って結構いろんなアニメで使われているので躊躇はあったんですけど、どうしてもベートーヴェンつながりっていうのはジョークとして残しておきたくて。でも、「運命」以外でインパクトのあるベートーヴェンの曲って「第九」しか思い浮かばず…そこもひと悶着ありつつ、「第九」自体コードがひとつだから、ちょっとポップなコード進行をつけてポップに扱わせていただきました。

お話を聞いていると、今回はひと悶着の多い制作だったんでしょうか?

atsuko
そうですね。やっぱり続きものの曲って、よりハードルが高くなる気がします。“前のほうが良かった”と言われたくはないし、新しくも聴こえて、なおかつ前作を知ってる人にはリンクに気づいてほくそ笑んでもらえるような曲にしたいし。もちろんアニメの世界観ともリンクしつつ新しいものを作っていくということで、すっごく難しかったです! もうできないんじゃないかと思ったくらい。

じゃあ、“アンダンテに恋をして!”というタイトルが出てくるまでも大変でした?

atsuko
あれは何から出てきたんだろう? フランス語を使っているうちに、こういう雰囲気の言葉が合うとは思ったんですけど、難しすぎる言葉って入ってこないじゃないですか。なんとなくざっくり意味が想像できる外国語ということで、“アンダンテ=歩くくらいのスピードで”という意味を持つ音楽用語を選んだんです。今回のストーリーでもヒロインのカタリナがモテるんですよ! 言い寄ってくる男たちの中には抜け駆けしようとするキャラクターもいて、そこから“急ぎすぎず歩くくらいのスピードで恋をしていこう”っていう意味で“アンダンテ”を使ったんです。もちろん他にも使えそうな音楽用語はあるけれど、やっぱり言葉が持つ響きとリズムって重要で…例えば“モデラート”だと響き的にもっさりしてるし。その点、サビにハメていた“タンタンタタ”っていうメロディーにも“アンダンテに”がぴったりだったんです! 
KATSU
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:II』然り、音楽記号とか表象記号みたいなものをタイトルに入れるのって、今のトレンドなのかなと勝手に思ってるんですよ。アニメの2期である今回の『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X』も、タイトルの最後に“X”がついてるんですけど、これってアルファベットのエックスではなく、音楽用語のダブルシャープらしいんです。
atsuko
タイトルが音楽記号つながりっていう。まぁ、そこは偶然なんですけどね(笑)。

てっきりエックスなんだと信じ込んでました! MVでは前作に引き続きマネキンが登場していますが、atsukoさんと男性マネキンの逢引を覗き見る女性マネキンが怖すぎます。

atsuko
『家政婦は見た!』みたいな感じですよね(笑)。男性マネキンが私と女性マネキンに二股をかけていて、最後はKATSUさんが女性マネキンを口説き出すっていうストーリーなんですけど、マネキンってずっと表情は一緒なのに、出し方によって表情を感じるんです。そこは不思議だなと。
KATSU
監督はずっと“ホラーだ”って言ってました(笑)。今回はダンスの先生に振り入れをしてもらって、ダンサーさんたちと一緒に踊るという体験をしたんですが…もう二度とやりたくない!

え? なぜ!?

KATSU
振りを入れて踊るっていうのが、僕の中にないものなんですよ。振りを教えてもらっても何にも入ってこない! でも、ダンサーの人たちはすんなりと理解して、みんな揃っていくんで、それを見て“すげぇな”って思ってました。
atsuko
例えば“腕を組んで回って”って言われても、素人的には“その時、足が向く方向はどっちですか?”ってなっちゃんですよ。でも、ダンサーの人たちの中には“こう来たらこうする”っていうセオリー的なものがあるらしく、サッとやれるんですよね。あと、音楽って譜面を見ればある程度弾けるじゃないですか。ダンスだとそれができないことへの不安感もKATSUさんにはあったらしく、最終的には自分で簡単な人物と動きを絵に描いて、前日の夜とかずっとそれを見てました(笑)。
KATSU
あれは全ミュージシャン、一回は経験したほうがいい。ダンサーを尊敬しますよ!

音楽をやっているんだから音に合わせて身体を動かすのは得意そうなイメージがあるのに…

KATSU
そう! だから、できると思ってたんです。でも、とてもじゃないけど無理でしたね。歌って踊ってる声優さんとか本当にすごい!
atsuko
あとは、間奏でギターをバイオリンに見立てて弾いたりもしてるよね。前日、スタジオにバイオリンの弓だけ転がってて、“これでギターを弾くんだよ”って言うからチェロみたいに置いて弾くのかと思ってたら…
KATSU
バイオリンのように肩に乗せたら、みんなが“えっ、そっち!?”って(笑)。
L→R atsuko(Vo)、KATSU(Key&Gu)
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atsuko(Vo)
KATSU(Key&Gu)
シングル「アンダンテに恋をして!」【初回限定盤】(CD+Blu-ray)
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OKMusic編集部

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