水田航生「ロックバンドの王道みたい
なリーダーを演じたい」 ロック☆オ
ペラ『ザ・パンデモニアム・ロック・
ショー』インタビュー

森雪之丞亀田誠治✕河原雅彦、この豪華クリエイター陣3人がタッグを組んで生み出すロック☆オペラ『ザ・パンデモニアム・ロック・ショー〜The Pandemonium Rock Show〜』が、2021年9月〜10月に東京・大阪にて上演される。森雪之丞が作・作詞・楽曲プロデュースを、亀田誠治が公演音楽全曲を、河原雅彦が演出を手掛け、主演には中山優馬、ヒロインに桜井玲香、さらに水田航生、玉置成実、浜中文一といった個性豊かなキャストを迎える。昭和の音楽界を舞台に、パワフルでノスタルジックな新感覚の音楽劇の誕生に期待が高まる。
主人公と同じバンド「THE REASON」のメンバー・山下勝也を演じる水田航生に、じっくりと話を聞くことができた。水田は出演に向けての意気込みや仕事への向き合い方を、率直に、穏やかな口調で語ってくれた。
豪華クリエイター陣と共に挑む作品作り
水田航生
――本作には素晴らしい3人のクリエイター陣が揃いましたが、出演が決まったときのお気持ちは?
まず、森雪之丞さんと再びお仕事ができることが本当に光栄です。雪之丞さんとはミュージカル『怪人と探偵』(2019)でご一緒させていただいたのですが、実は家もすごく近くて、何度も食事に連れて行ってもらっていろんなお話をさせてもらいました。音楽の亀田さんは、2013年に映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(以下、『カノ嘘』)に出演したときにお世話になりました。こうしてまたご縁があることもとても嬉しいです。演出の河原さんのことは一方的に存じ上げておりまして、いろんな作品を観させていただいて、その際にご挨拶したことがあります。そして主演の中山優馬くんは同郷なんですよ! この作品にはいろんなご縁をとても感じるので、今から楽しみです。
――『怪人と探偵』で雪之丞さんの世界にどっぷり浸かった水田さんですが、雪之丞さんが作る作品世界の魅力はどういうところに感じますか?
言葉選びがとても面白くて! 詩的な言い回しやセリフが新鮮です。単純に雪之丞さんのお話がめちゃくちゃ面白いんですよね。いろんな知識やコアなことを聞いたりして、歩く図書館みたいな人。ロック愛がとてもある方だとも感じました。今回の台本のプロットを読ませていただいたときも、最初に感じたのは雪之丞さんのロック愛! それがいろんなところに散りばめられてる台本だなあという印象です。時代背景もちゃんと取り入れて書かれている雪之丞さんの本は、本当に魅力的だと思います。
――亀田さんが全曲書き下ろしというのもまた素敵ですよね。亀田さんが音楽を手掛けるということに対する期待は?
絶対素晴らしいものになるだろうと思っています!​ 亀田さんが手掛ける曲は『カノ嘘』でデモの1曲目を聴いたときに衝撃を受けましたし、全編を通して楽曲が素晴らしかったという印象がとてもあります。最近、テレビをつけたときにたまたま東京事変さんがパフォーマンスをしていたんですが、ついあの世界観にのめり込んで見入っちゃうし、聴き入っちゃうんです。それって亀田さんの楽曲にも通じていることなんじゃないかなと思います。
水田航生
――演出の河原さんとお仕事をご一緒するのは初めてということですが、初めての演出家の現場に飛び込むときに心掛けていることはありますか?
最初は「どういうことをするんだろう?」って緊張しますね。河原さんの目の前で初めてお芝居をするときに、僕がどういうお芝居をするのかということをプレゼンしなきゃいけないなって。稽古場で最初に立ち稽古をするとき、共演者の方やスタッフさんを“最初のお客様”だと思って僕は臨むんです。今回は河原さんに向けて、その想いをより強く持って稽古場に行くと思います。一発目が大事だということを僕はいろんな先輩たちから習いました(笑)。一発目はかまさないと(笑)。そこで「できません」という感じでいっちゃうと、稽古中ずっとそのキャラになっちゃうので、一発目に「俺はここまでやります!」ということをどこまで見せることができるか。ある意味、初日に一番気合いを入れて行くかもしれないですね。
――本気でやってみて、それが正解かどうかは演出の河原さんに委ねると。
そうですね。でも失敗でもいいんです。やりきって「全く違う!」って言われた方がすっきりするし。正直、8割はそっちですよ(笑)。初日で「いいね」と言われることはほぼないです。でも不安なままやるより、間違っていたとしても本気でやる方が気持ちいいというか。そうすることで割り切った関係性が築きやすくなるとも思うので、稽古初日はそういう意気込みでいきたいです。
――河原さんが演出する作品世界には、どういうイメージを持っていらっしゃいますか?
勝手なイメージですけれど、河原さんもさっき僕が話したような“やったれ感”のある演出家さんなんじゃないかなと思っていて(笑)。だからこそ厳しい面もあるのでしょうし、妥協しない強さもあるのだろうなと。どっちかというと豪快なイメージが強いかなあ。
――稽古場では怖いらしいという噂ですが……。
それは聞いています(笑)。納得いくまで話し合いたいので、多少の衝突は覚悟していきます(笑)。今まで本当にありがたいことに、僕みたいな若輩者の言葉を聞いてくださる演出家のみなさんとお芝居を作らせていただきました。ディスカッションすることで作品や役を深めていくということを経験してきたので、今回も河原さんといい関係性を作れたらいいなと。お互いの意見をオブラートに包むんじゃなくて、気を遣わずに話し合いができればいいなと思います。と言いつつ、怒られてシュンとして、稽古場の端の方でギターに逃げている水田がいるかもしれないですけどね(笑)。
「関西弁バンドになるかも(笑)」

水田航生

――稽古はまだ始まっていませんが、共演者の方とお話する機会はありましたか?
ビジュアル撮影のときに浜中(文一)さんと玉置(成実)さんに初めてお会いしました。とても気さくなお二人で、いいカンパニーになりそうだなという感じがしましたね。
――水田さんと同じく浜中さんは大阪、玉置さんは和歌山ご出身ですよね。
あ、そうなんですね! じゃあ稽古場でだいぶ関西弁が飛び交う感じですね。関西弁バンドになるかも(笑)。
――水田さんは人見知りはしない方ですか?
人見知りはほぼないですね。同郷だったら「○○中学なんやろー?」とかすぐ言っちゃいます(笑)。関西人は特に、ここぞとばかりに関西弁喋りだしますもんねえ。普段全然関西弁喋らへんのに、そういうときはすぐに出ます(笑)。
――同じく大阪出身で今回主演を務められる中山優馬さんは、水田さんから見てどのような印象の役者さんですか?
本当に誠実で好青年というイメージ。実は以前に一度だけお会いして、食事をしたことがあったんです。僕と仲の良い先輩が、たまたま彼を呼んでくれて。とても礼儀正しくて、本っ当に腰が低くて。「ジャニーズのスターですよね? 逆に緊張するからやめてもらっていいですか」みたいな(笑)。しっかりとした硬派なお芝居をされる印象もあります。ひたむきに努力をされる方なんだろうなあ。いい関係性を築けたらいいなと思います。
――水田さんが演じるのはロックバンドのギタリスト、しかもリーダーという役どころですが、どのように役にアプローチしていこうと考えていらっしゃいますか? 映画『カノ嘘』でもバンドのギタリストを演じていらっしゃいましたね。
映画のときのギタリストは弟分みたいな役だったんですよ。今回はリーダーということで、全く違った立ち位置でいなきゃなあと。ただ、ギタリストがリーダーというのはバンドの中で結構多いイメージがあります。なのでロックバンドの王道みたいなリーダーを演じていきたいなと思っていますね。……なんか、難しそうですね(笑)。自分があんまりリーダー気質がないと思うので(笑)。個人的には弟分の方が楽なタイプなんです(笑)。
水田航生
――水田さんご自身が所属しているユニット3LDKでも、リーダー気質というよりは弟分ですか?
もう完全にそうですね! 3LDKでは最年少の三男で、兄さんたちについていく方が楽な人間なんです(笑)。今回は頼りがいがある男を演じるので、まずは優馬くんに「航生さん!」って呼ばれるくらい頼りがいがある男にならないと。「大丈夫か?」って思われないように(笑)。
――リーダー気質な役にはどう取り組まれていこうと思いますか?
コロナ禍じゃなければみんなで食事などにいきたいんですけど、そういうわけにもいかないのでね。稽古場での居方やバンドのグルーブ感を大事にしていきたいです。『カノ嘘』では三浦翔平さんがリーダーシップを持ってバンドをまとめてくださっていました。リーダーシップを取るという意味で、みんなの先頭に立って発言したり、率先して行動を起こしたり、そういうことを意識しつつ稽古場でもいれたらなと思います。
――水田さんのギター生演奏を期待しているファンも多いと思います。ズバリ、劇中で生演奏はありますか?
ギターの生演奏は、ある予定です! 数日前にちょうど楽譜が届いたので、家にあるエレキギターを引っ張り出して、楽譜を見ながら弾き始めたところです。
昭和ロックの洗礼

水田航生

――本作は昭和のロックサウンドで構成される作品です。平成生まれの水田さんにとって、昭和ロックのイメージは?
僕は全然通ってこなかったジャンルなので、台本で洗礼を浴びているところです。一言一言、ト書きに知らない事が多いんですよ(笑)。「グループサウンズの○○が〜」と結構細かくその時代のことが書かれているんです。何となくはわかるけれど、細かいところまでは頭に浮かんでこなくて。もちろんビートルズやデヴィッド・ボウイのことは知っていますが、当時の日本のロックやミュージックシーン、グループサウンズと呼ばれているものについてはあんまりピンとこなくて……まだまだ勉強中です!
――当時の音楽に魅了された人々を描いた作品でもあると思いますが、水田さん自身「音楽があったからこそ得られたもの」はありますか?
僕はロック文化というより、ダンス文化の影響が大きかったですね。体が自然と動くような楽曲に触れてきたので、曲を聞くとまず体が動いちゃうんです。「ここの音をとりたいな」「この音気持ちいいな」「ああやって音をとったらかっこいいな」とか、そういう風に曲を捉えていました。それが今やっているミュージカルにも繋がっている気がします。お芝居の中で振りがないところやダンスのフリーステップでも、こう動いたらおしゃれだな、かっこいいなというものが自然と出てくる。これは幼少時代にダンスミュージックに触れてきたからかなという気はします。
――作品の登場人物と同じ10代〜20代の頃は、具体的にどういった音楽を聴いていましたか?
僕たち世代でいうと、DA PUMPさん、安室奈美恵さん、SPEEDさんとかを聴いて踊っていました。友達の影響を受けて、Mr.Childrenさんもめっちゃ好き。あと、まさか同じ事務所になると思わなかった福山雅治さんやポルノグラフィティさんの音楽も。今日ここへ来るときは、夏だからということでケツメイシさんをずっと聴いていました。
水田流 ミュージカルとの向き合い方
水田航生
――様々なミュージカルに出演されている水田さんですが、ミュージカルのお仕事のときに心掛けていることはありますか?
「ミュージカル」と一括にしてはあまり考えていなくて、作品によって心持ちは変わってきますね。ただ、いつも心掛けていることは、挑戦をやめないで向かうということ。僕、本番でもあまり失敗を恐れないんです。失敗を恐れて守るなら、冒険して失敗したほうがいいって思っちゃう。本番で失敗しちゃダメなんですけどね(笑)。直近の『The Last 5 Years』(2021年6月~7月上演)でいうと、配信のときに特別チャレンジしてやろうとか思っちゃう。普通、配信とか映像に残るものって守りに入らなきゃいけないですけど、そういうとこあるんですよ(笑)。
チャレンジして失敗しても成功しても「僕は今日を生きたな」って思える。毎公演同じことを何十回とやっていても、違うことにちょっとずつチャレンジして「今日も生きた。おいしくお酒を飲んで寝よう」って(笑)。人がチャレンジする瞬間って、ファッと何か出る感じしませんか? 例えばスポーツ選手が高跳びで走り出した瞬間に出る「俺は今から死ぬ気でチャレンジするぞ!」という人間が発するものに、すごく尊さを感じてしまうし、自分もそういう風に生きたいなと思う。僕がチャレンジする姿を見て、お客様が同じようにファッとしたものを感じて、作品がもう1段階、2段階と昇華されていけばいいなという願いも込めてやっています。
――2020年は自粛期間中に過去の出演作を振り返られたそうですね。いろいろなお仕事がある中で、ご自身にとっての舞台やミュージカルというお仕事についても考えましたか?
やっぱり舞台好きだなあと思ったんですよね。それでいいやって。いろんなことを考えて何周も通った中で出てきたのがそれ。単純に好きだって言っているんじゃなくて、改めて発見できたこのマインドが自分の中で好きで。この想いを大切にずっと持っていれば、舞台に立ち続けるんだろうなという自信にもなりました。難しい言葉を並べて演劇やミュージカルを語りたくなる気持ちもあるんですけど、やっぱり、ただ好きなんだなって。好きなことをやって、それを見て好きでいてくれる人がいるって、なんて幸せな仕事なんだろうって思います。
水田航生
元々自分はディズニーやジブリといったエンターテインメントがずっと好きでした。それを今ミュージカルという仕事でできている。このとても幸せな環境を続けて、レベルアップするためには、足りていない部分や突き詰めなきゃいけない部分はまだまだたくさんあるから、そこをちゃんとしなきゃいけないぞという覚悟を持って臨んでいます。もちろん、作品を終えた瞬間は「やりきった」という想いが強いですが、次の日には「あのときああしとけばよかった」「もっとこうなりたいな」と思う。それはきっとミュージカルが好きだから。多分、僕は好きじゃなくなったらやらなくなる人間。意外とこんなに長く続けていることって他にないんですよ。客観的に自分を見ていても、「あ、まだ好きなんだな。だからやってるんだな」って思います。
――舞台の仕事が好きだと思えたのはいつ頃からですか?
去年の自粛中ですね。改めて台本を実家から取り寄せて読み返してみたら、面白かったんですよ。自分が台本に書いているダメ出しとか、悩んでいたことに対するメッセージとか。単純に今見た台本が面白かったし、そのときのことを思い返してもやっぱり自分は楽しんでいたなって。辛かったり、御飯が食べられないくらい悩んだりしたときも、何となく根底ではそれを楽しんでいるドMだったなあって(笑)。ずっと楽しんで好きていてくれてありがとうじゃないですけど、そういうことを台本を読み返していく中で感じました。
――それ以降で仕事との向き合い方は変わりましたか?
そうですね、それは確実に変わったと思います。ありがたいことに去年までは間を空けることなく舞台に立たせていただいていて、自分の心の奥底まで考える余裕もなく日々に追われてしまっていました。けれど自粛で何ヶ月か空いて、改めて自分自身がどう思っているんだろうと心の扉を開けてみたとき、怖さもあったんです。「自分何やってるんだろう」とか「辞めたいな」とか思ったらどうしようって。もちろん人間だから波はあって、そういう風になってしまうときもあるんですけど。心の扉を開けて事実を並べていったときに、やっぱり好きで、それに対する意欲というものは自粛に入る前と明らかに変わりました。自粛明けで舞台に立つときには、リボーンな気持ちでしたね(笑)。
――今回は新作のオリジナルミュージカルとなります。オリジナル作品に出演するときの取り組みの難しさや面白さは、どういうところに感じますか?
例えば“オフ・ブロードウェイミュージカル”『The Last 5 Years』に向かう気持ちと、オリジナル作品に向かう気持ちの違いで言うと、クリエイターの方たちも含めて全員イチから始めるということですね。みんながよーいドンのスタートラインに立っているからこそ、演者やクリエイターがいろんな意見を出し合いながら稽古場で作り上げていく感じは、オリジナル作品ならではの面白さだと思います。一方、既存の作品であれば、過去に上演されたものをとことん調べて作品の理解度を深めていく作業をします。そうした違いはありますが、両方とも楽しいです。今回のように新作に向かうときには、頭の中をいかに柔らかくしていろんな意見を出せるかということを、より考えて臨みたいと思います。
水田航生
取材・文=松村蘭(らんねえ) 撮影=ジョニー寺坂

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