INTERVIEW / Luvit MCバトルで一躍そ
の名を轟かせたLuvit。数々のフック
アップやコラボを経て、進化/深化し
続ける新世代ラッパーの今を追う

宮城県仙台市出身・2002年生まれの新世代ラッパー、Luvit(fka. Rabbit)が3rdシングル『ナインティーン feat. Sala』を8月4日(水)にリリースした。
『戦極MC BATTLE 2020』にて新人賞を受賞、ABEMA『ハイスクールダンジョン』では1stシーズンのモンスターに抜擢され、2021年1月に行われた『U-18 RAP BATTLE』では見事優勝を飾るなどフリースタイルを得意としながら、オリジナル楽曲や客演作品の発表も積極的に行うLuvit。
「ナインティーン」はRin音空音、クボタカイなどにもトラック提供を行うmashima soshiプロデュース曲。客演には同世代の注目のシンガー・Salaを迎えたメロウ・ナンバー。どことなく空音「Hug feat. kojikoji」を想起させる、新たなアンセムの誕生を予感させるキャッチーな作品だ。
今回はそんなLuvitを東京滞在中にキャッチ。これまでの道のりを振り返りつつ、進化し続けるラッパー・Luvitの今を紐解くことに。
Interview & Text by Takazumi Hosaka
Photo by Maho Korogi(https://www.instagram.com/maho_korogi/?hl=ja)
同世代の活躍の裏で感じた焦燥感。ラッパーとしての意識の変化
――最初にラップに興味を持ったのは、Daokoや水曜日のカンパネラなど、ポップよりの音楽からだったそうですね。
Luvit:そうです。Daokoさんはフラッシュ・アニメ『秘密結社鷹の爪』の映画のエンディング曲で知って、水曜日のカンパネラは確かYouTubeでたまたまMVを観て好きになりました。こういう音楽って何ていうんだろう? っていう興味から、Wikipediaで調べてみたら「ラップ」「ヒップホップ」っていう言葉が書いてあって。さらに掘り下げて調べていくうちに、MCバトルとかに辿り着いたっていう感じですね。
――それ以前はどのような音楽を聴いていたのでしょうか?
Luvit:それまでは全然音楽は聴いてなかったですね。親は忌野清志郎さんなどの日本のロックが好きだったんですけど、自分が音楽を始めてからそういった音楽も改めて聴くようになりました。
――そこからMCバトルに魅了されるにあたって、大きなきっかけとなったラッパー、もしくは試合などはありますか?
Luvit:YouTubeに上がっている試合を観ていくうちに、ひとつの大会をじっくり観戦してみたいって思うようになって、『UMB2014』のDVDをバイト代で買って。そのときのR-指定さんがヤバすぎて、「自分もやってみたい」って思わされました。当時、『高校生RAP選手権』(BAZOOKA!!!)の影響もあって、MCバトルに興味を持った友達もいたんですけど、実際にラップをやる人はいなくて、ずっと家でひとりで練習していました。
――なんでも、地元のサイファーに行くのが怖かったので、いきなり『戦極MCBATTLE第18章 東北予選』に応募し出演したそうですね。
Luvit:はい。サイファーにはかますつもりで1回だけ先輩について行ったのですが、怖すぎて全然無理で(笑)。今は健全な感じのサイファーも多いと思うんですけど、僕が行ったのは結構ひと目につかないところでやってて、その雰囲気にも飲まれて参加できなかったです。そのとき怖かったラッパーさんたちもその後クラブで会うようになったりするのですが、なかには同い年の人もいてびっくりしました。
実際に『戦極』に出たときはもう心臓バクバクで。当時は誰も知らなかったし、ステージに立ったこと以外、誰と喋ったとか何も覚えてないくらいです。
――そんな緊張状態での初出演ながら、ベストバウトとして大会のオフィシャル・チャンネルから試合の映像も公開されました。
Luvit:嬉しかったですね。当時、MC正社員さんと八文字さんがやられていたラジオでもあの試合の音声がオンエアされて、思わず親に報告しました。「ラジオ出たよ!」って(笑)。学校ではラップに詳しいやつがちょっと褒めてくれただけでしたけど。
――その後、『第14回高校生ラップ選手権』の出演でさらにLuvitさんの名が知れ渡るようになって。
Luvit:『戦極』で勢いついちゃって、そのまま『高ラ』に応募してみたんですよね。Rabbitっていう名前はMCネームは映画『8 Mile』の(Eminem演じる)主人公から取ったんですけど、本当に適当に付けただけで深い意味はなかったんです。でも、結果的に『高ラ』もその名前でエントリーして、なんと受かってしまった。流石にもうRabbitでいくしかないんだなって思いました(笑)。
Luvit:本番では記録的なフルボッコ状態での敗北を喫してしまったんですけど、『高ラ』に出たことで色々な人とも繋がれて。それは大きかったと思います。
――『高ラ』に出て以降、ラップに対するモチベーション、意識は変化しましたか?
Luvit:いや、意識が変わったのはもっと先だったと思います。『高ラ』出て以降、地元でもそこそこ注目されて、ちょいちょいライブにも呼ばれるようになったんですけど、どこかなぁなぁでやっている感じもあって。その間に同世代のラッパーの人たちはどんどん実績を残したり、音源やライブの方面で頑張ったりしていて。「あれ、何か自分、置いてかれてないか」って思うようになりました。そんなタイミングで正社員さんから「Rabbit久しぶりに出ない?」ってお声がけして頂いて、『戦極U-22MCバトル』の予選に出ることになって。そのときは「絶対カマしてやろう」って思いましたね。
先輩からのフックアップや相次ぐ客演オファー
――2020年にはSoundCloudにて自身初のEP『REBORN』を、8月には2nd EP『Shinto』をリリースしています。音源制作に力を入れ始めたのはその辺りから?
Luvit:そうですね。最初は右も左もわからず、iPhoneのイヤホン・マイクで録ったりしてたんですけど、流石にこれじゃダメだなと思って。クラブで知り合った人にスタジオを紹介してもらって、そこでレコーディングするようになりました。最初に録った曲が結構いい感触で、音源制作の楽しさを覚えて。タイプビートをダウンロードして、スタジオでレコーディングしてっていうのが楽しくて、そのうちにできてきた曲をまとめたのが『REBORN』です。もちろん今聴き直すと自分ではかなり恥ずかしい出来なんですけど。
――『Shinto』はGAGLEのHUNGERさんのプライベート・レーベル〈松竹梅レコーズ〉からのリリースですよね。同郷ではありますが、どのようにして繋がったのでしょうか?
Luvit:『ハイスクールダンジョン』に出たときに、結構「宮城」「仙台」っていうワードも結構出したので、地元でも反響があったんですよね。実際にライブのオファーとかも増えて。そのタイミングでHUNGERさんのマネージメントをやっている方から連絡を頂いて。そのとき、ちょうどコロナ禍が本格化してきた頃だったので、スタジオで収録するまでは直接会わずにデータでやり取りをして。ビートは6th GenerationさんとEae Jayさん、どちらも宮城の大先輩から提供してもらいました。
――バトルと音源制作におけるラップの違いについて、Luvitさんはどのように捉えていますか?
Luvit:全くの別物だと思っています。ただ、最近のバトルの流れ、特に『U-22』などの大会では、使用されるビートの幅も広がってきていますし、言い合いというよりはどっちがカッコよくビートに乗れたか、カッコいいフロウを披露できたかっていう価値観にシフトしてきているように感じていて。徐々に音源制作でのラップともリンクする部分が出てきているんじゃないかなと。
――では、ビートについてはいかがでしょう。自分の得意なビート、乗りやすいビートなど、方向性は固まってきましたか?
Luvit:自分が好きなビートと、周囲が褒めてくれるビートに少し差異を感じていて。個人的には最近トレンドになっているハイパーポップとかサッドでメロウな感じのトラックも好きなんですけど、結構『Shinto』の曲みたいなブーンバップとかクラシックな感じのビートが合ってるって言われることも多くて。実は『Shinto』を作ったときは、ああいうビートにどうやって乗ったらいいかわからなくて、最初かなり苦戦したんですけど。
――でも、評価は高かったと。
Luvit:はい。自分としてはどちらも好きなので、どうしようか悩んでる部分でもあります。
――昨年から多数の客演参加を行うなかで、様々なビート/トラックにも挑戦していますよね。今年5月にリリースされたBiGa「No Time feat. Luvit」なんかは、エモ〜オルタナティブなロック・チューンで、ああいった乗り方もすごく様になっているなと思いました。
Luvit:あの曲は最初にトラックをもらったとき、今まで全く挑戦したことのないタイプの曲だし、「これ、ラップできなくね?」って思いました(笑)。それまでロックをあまり聴いたことがなかったので、色々と聴き漁って勉強して、思い切って歌ってみることにしました。最後まで「これでよかったのか……?」っていう感じだったんですけど、結構評判もよくて、自分でもすごく気に入っています。ただ、ライブで披露するのはめちゃくちゃ難しいですね……。
――客演参加のオファーなどはクラブなどの現場で知り合った方が多いのでしょうか。
Luvit:いえ、意外とそうでもないですね。SNSのDMで突然連絡頂くことが多いです。今出ている作品だと、2割が地元の繋がりで、8割は初対面の方ですね。オファーを頂く度に試されてるような感覚になって、「カマさなきゃ」って思って結構すぐに録って送り返してますね。
――客演も多数こなすなか、今年4月には4月には「still Me」、6月には「finding our life」と自身名義の作品もリリースしています。
Luvit:音源頑張って作っていこうという気持ちになってからは本当に週イチペースでスタジオに通っていて。シングルとしてリリースしている作品はもちろん、SoundCloudにUPしているもの、もちろん発表していないものもあって、とにかく多くの曲を録っています。
Luvit:1stシングルの「still Me」は『Shinto』でもお世話になったEae Jayさん、2ndシングル「finding our life」はSurfclumさんという方にビートを提供してもらってます。SurfclumさんはEARTH THE KIDという同い年のラッパーにビート提供してたり、ライブDJをしたりしているのですが、たまに連絡がつかなくなる謎多きビートメイカーさんです(笑)。
「身近な存在のアーティストになりたい」
――今作「ナインティーン」はサウンド・プロデュースにmaeshima soshiさんを、客演にSalaさんをそれぞれ迎えた1曲で、これまでで最もポップな作品だと感じました。
Luvit:maeshima soshiさんからポップでキャッチーなビートを頂いたので、オリジナリティを出そうと思いリリックには変なワードを盛り込もうと考えていたんですけど、いざ完成して聴き返してみたら、変なことしか言ってない曲になってました(笑)。僕、昔から歌詞は書き直さないんですよ。一筆書きというか。
特に1番は自分の部屋でリリックを考えているときに見えたモノをそのまま書いてる部分が多くて。《漫画の巻数も遠ざかった》とかはそのままだし、《未来のheas達、勝手に震えときな》も部屋に張ってある映画『勝手にふるえてろ』のポスターから思いついて。あと、そのときたまたま山ちゃん(山里亮太)のラジオを聞いていたので《俺のbed time 山ちゃんがしゃべくります》っていうラインが生まれたり、《深い町の秋に生きる 果ての見えない渇き》は深町秋生さんの小説『果てしなき渇き』をもじっていて(笑)。その小説は小松菜奈さん主演の映画『乾き。』の原作になった作品で、映画ではDaokoさんが挿入歌を歌っていたんですよね。
――なるほど。
Luvit:フックはSalaさんが考えてくれたんですが、かなり苦労したんじゃないかなって思います(笑)。特にこれといったテーマもお伝えせずに、僕のプリプロ状態の音源を送って、イメージを汲み取ってもらいました。でも、《ごめんね yeah まだ遅れて待たしてる like a 仙山線》とか、わかりにくいフレーズばかりで本当に申し訳なかったなという気持ちです……。
――そもそもmaeshima soshiさん、Salaさんとコラボするに至った経緯というのは?
Luvit:どちらもスタッフからの提案なのですが、maeshima soshiさんはSNSで元々相互フォローになっていて。Rin音さんやXY GENEさんなどと曲を作っていることも知っていましたし、すごく気になる存在だったんです。Salaさんはお話を頂いてからなんですけど、曲を聴いてめっちゃ喰らいました。week dudusさんの曲にも参加してるし、オートチューンなしでもカマせるというか、むしろオートチューン不要でしょってくらいボーカルが素晴らしくて。
――レコーディングはいかがでしたか?
Luvit:今作は初めて使わせてもらうスタジオで録ったのですが、環境が違いすぎて感動しました。トークバックも付いていて、マイクも種類が豊富で。今回は見たことのないコンデンサー・マイクを使わせてもらって、思わず写真も撮っちゃいました。何かキッザニア(子供向けの職業体験型テーマパーク)みたいでしたね(笑)
実際に完成してみて、やっぱり達成感は大きかったです。シンガーの方と一緒に作るのも初めてだったので、最初はどうなるのかなって思っていたのですが、予想以上の仕上がりになって。本当に挑戦してみてよかったなって思いました。
――今後の活動についてはいかがでしょう。何か計画していることなどはありますか?
Luvit:実は今、フル・アルバムと、EP 2作の制作を同時に進めています。一体いつ大学の勉強をやるんだってくらい、曲を作るのにハマっていて。アルバムは14曲くらいのフル・レングスで、EPに関してはひとつは全曲ハイパーポップなテイストの作品と、もう1作は〈松竹梅レコーズ〉と一緒に制作しています。まだ言えないんですけど、結構ヤバい客演参加も控えていますし……たぶん、大学1年にして単位落としますね(笑)。
一方でバトルの方は練習やイメトレになかなか時間が避けなくなって。大会のときも楽屋で出番の直前までリリックを書いていて、そのままステージに上がったりすることもあるんですけど、個人的にはそっちの方が調子よかったりもします。
――ラッパーとして、もしくはアーティストとして、将来のヴィジョンはどのように描いていますか?
Luvit:今は音源制作が楽しすぎて、そっちに集中していますが、バトルも好きなのでお声がけ頂ければ可能な限り出たいなと思います。将来については今、絶賛考え中ですね。ただ、強いて言うなら、今の仙台のシーンがすごくおもしろいので、「Luvitが出るなら仙台行こうかな」って思われるような存在になりたいですね。僕が言うのもおこがましいかもしれないですが、今仙台で活躍されている方たちは絶対に全国で通用するレベルだと思いますし、僕自身、共演者が凄すぎてイベント後に凹むことも少なくありません。みんな音楽が純粋に好きなんだなっていうことが伝わってくるのも仙台のシーンの特徴だと思います。
あとはシンプルに、自分の作品をBGM的に、日常的に聴いてくれる人が増えてくれれば嬉しいですね。身近な存在のアーティストになりたいです。
【リリース情報】

Luvit 『ナインティーン feat. Sala』

Release Date:2021.08.04 (Wed.)
Label:Scratch Records
Tracklist:
1. ナインティーン feat. Sala
■ Scratch Records オフィシャル・サイト(https://scratchrecords.jp/)

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