関西の名物イベンター清水音泉主催の
野外イベント『風雲!大阪城音泉』初
日を開催、岡崎体育、OKAMOTO'Sらが
作り上げた踊れる空間

風雲!大阪城音泉~旧体育の日編~ 2021.7.23(Fri)大阪城音楽堂
関西の名物イベンター清水音泉が大阪城音楽堂にて、この夏4日間『風雲!大阪城音泉』を開催する。初日7月23日(金・祝)は『~旧体育の日編~』と題して、ニガミ17才夜の本気ダンスOKAMOTO'S岡崎体育が出演。2日目の7月30日(金)は『~首里城編~』と題して、ORANGE RANGEMONGOL800が出演。3日目の7月31日(土)は『~曲者編~』と題して、打首獄門同好会キュウソネコカミPOLYSICSが出演。最終日の8月1日(日)は『~あとの祭り編~』と題して、オメでたい頭でなにより四星球バックドロップシンデレラが出演する。
今回は、初日のライブレポートを紹介したい。まず、清水音泉の男湯こと田口真丈氏が感染症や熱中症の対策など諸注意による前説を行い、最後に「(本編が始まる)その前の余興を期待せずにお待ち下さい!」と言い放ち、微笑みながら去っていく。間もなくすると、ほら貝の音が鳴り響き、殿様の格好をした鈴鹿31才こと夜の本気ダンス鈴鹿秋斗(Dr)が現れる。
夜の本気ダンス 鈴鹿秋斗(Dr)
刀を振りかざしたりしながら、要は登場バンドを紹介するのだが、本番前のバンドマンにしてはかなりしっかりと仮装しているし、わざわざYouTubeで和太鼓の叩き方を調べた上で、乱れ打ちを行なっていた。毎度、清水音泉によるイベントのこういった余興は「どうかしてる!?」と思うものの、これがたまらなく盛り上がるし、どこか楽しみにして来てる観客も多いはずだ。
ニガミ17才
壱番風呂はニガミ17才。傘を差した岩下優介(Vo)・平沢あくび(Syn)・ベースを持ったイザキタツル(Ba)とサポートメンバーのkyon(Dr)が音楽に合わせ踊りながら登場して、そのままステージ中央前方に横一列で並ぶ丸椅子にそれぞれ立ちながら踊り続ける。岩下はラップを繰り出していき、途中でkyonもドラムへ向かい、叩き出していく。
ニガミ17才
とにかくリズム隊に乗っかるボーカルが気持ち良いし、その流れで1曲目「A」が披露されている感じが凄くナチュラルで粋だった。終わり、岩下の「音楽ライブへようこそ!」という一言から、そのまま2曲目「化けるレコード」へ。岩下が懐中電灯を持って真昼間の大阪城音楽堂を照らしながら乗せたビートがちょうど良い。速すぎず緩やかすぎず、気が付くと客席は横ノリで揺れている。
ニガミ17才
腰や膝が勝手に踊り出す中、岩下の呼びかけで観客全員座る事に。座っていたって、いくらでも踊る事は出来るわけだし、ひとまずは岩下から『オールスター感謝祭』司会時代の島田紳助による名セリフ「スタンドアップ!」が出るまでは、座って楽しむ事に。「ねこ子」では、岩下の<ねこ にゃん ねこ にゃん>という言葉に合わせて、あくびがティッシュをばらまく。初っ端から感じてはいたが、改めてリズム感ビート感を大切にしているバンドだなと思った。続く「幽霊であるし」では、岩下がiPadサイズの鍵盤を手に音を鳴らしていくが、誠にグルーヴィーな心地良さを感じまくった。
ニガミ17才
個人的には、ラストナンバー「かわきもの」終盤からの観どころ聴きどころが堪らないものになる。ほぼ忘れかけていた岩下の「スタンダップ!」により立ち上がった観客は、「かわきもの」が5拍子である事を教わり、ベースもドラムも手も5拍子を刻むが、足は4拍子を刻んでいる事を教わる。ちょっとした岩下の音楽講座なのだが、何故かマヨネーズに例えながらの不思議な講座は非常に面白く、普段のライブとは全然違う感覚で楽xしめた。

ニガミ17才
そして、リズム隊を4拍子に変えたり、岩下が「二拍三連!」など口で指示を出す事でビートが変わっていく様は、まさにスタジオでの曲作りを観ているようだった。その後もロック、ヒップホップ、青春パンク、ボサノバなどジャンルでビートを変えていく。まさしくは音が楽しいから音楽なのだなと思ったし、岩下の「僕らの名前を覚えなくてもよいので、今日暑かった事と、音楽が素晴らしかった事実は覚えて帰って下さい!」との言葉にはグッときた……。音楽の素晴らしさを教えてくれた壱番風呂であった。

夜の本気ダンス
弐番風呂呼び込みとして、OKAMOTO'Sオカモトレイジ(Dr)が現れる。「弐番風呂 夜の本気ダンス 位置についてヨーイドン」とひとこと言い残し、和太鼓ひと叩きだけして消えていく。殿様の格好で長めに呼び込みをした鈴鹿というフリも効いているのか、レイジのクールな短尺呼び込みには、観客たちも大きな声は出せないが、確かなウケがあり、本当に凄く沸いた。
夜の本気ダンス
のっけからフルスロットルで鈴鹿はカウントを刻み、米田貴紀(Vo.Gt)の前口上も決まり、1曲目「Crazy Dancer」へ。まぁ、お見事なくらいにバッチリ鳴らされる四つ打ちの速いダンスビートに嬉しそうな観客たち。のっけからフルスロットルでドラマーがカウントを刻んだら、観客たちもフルスロットルでノッていくものなんだなと、ついつい感心してしまう。勢いはそのままだが、「for young」は少し緩やかさがあり、観客たちも横ノリで自由に楽しんでいる。
夜の本気ダンス
そんな中、鈴鹿が京都から電車で大阪城音楽堂の最寄り駅まで来て、そこからは出演者のTシャツを着た人の後について行ってたら、近くのショッピングモールへ辿り着いていたなんて小話で一呼吸入れて、「fuckin’ so tired」へ。踊る観客たちを芝生エリア最後方から眺めながら、今日のイベントは踊れるラインナップなんだなと再認識する。ライブハウスだけでなく、野外でも中々ライブを楽しんで声を出せなくても踊れるという事は、観客たちにとっては最高に楽しいに違いない。
夜の本気ダンス
中盤に差し掛かった頃、今年頭にリリースされた最新ミニアルバム『PHYSICAL』から「SMILE SMILE」が披露される。この曲が踊れるダンスナンバーなのは勿論なのだが、一昔前の表現で言うならば、彼らの楽曲でも特に、お茶の間へ届くべき大衆的なポップさを感じるナンバーだった。明らかに他の楽曲とは違うテンポ感があり、そのメロディアスさは群を抜いていた。
夜の本気ダンス
鈴鹿が「みんな踊って! 声を出すのはセミに任せよ!」とMCで言うように声を出したら出したで楽しいだろうが、踊れれば、それでいいじゃないと心から感じさせてくれる。ラストナンバーは、とてつもなく速いドラムカウントから「TAKE MY HAND」。途中でスローでムーディーなモードになり、そこから、またアップテンポに戻っていった。
夜の本気ダンス
充分に観客たちもダンスナンバーで踊りまくれただろう。全員マスクはしているものの、ちょっと顔を見るだけでその満足度は伝わってきた。
OKAMOTO'S
参番風呂はOKAMOTO'Sだが、本人たちが出てきてのサウンドチェックから異様な貫禄がある。ようやく三十路になったばかりだというのに、落ち着き払った大人な雰囲気を漂わす。考えたら、10代でデビューした時から、そのアンファンテリブル(恐るべき子供たち)感はえげつなかったし、メジャーデビューして最早11年も経つのだから当たり前と言ったら当たり前なのだが……。早く今の彼らを観たいというはやる気持ちを押さえつつ、小学校の体育や運動会でお馴染みの赤白帽を被った岡崎体育による和太鼓での呼び込みをはさみ、いよいよ登場。
OKAMOTO'S
突然、教会の鐘のような音が鳴り響き、メジャーデビュー前からの盟友でもあるサポートキーボーディストのBRIAN SHINSEKAIによる荘厳な鍵盤の音も鳴り響くオープニングナンバー「Dance To Moonlight」でスタート。まさしくオープニングナンバーにふさわしい音で、こちらも聴いているだけにも関わらず、何故だか気が引き締まり、固唾をのんで聴き入ってしまう。また、オカモトショウ(Vo)の佇まいが海外一流モデルの様な凛々しさで、まるでステージがランウェイに見えてくる。何気に横に動くだけで絵になるし、両手を大きく広げながらパーカッションを叩く姿も絵になって仕方がない。
OKAMOTO'S
2曲目「Border Line」。レイジの迫ってくるドラムとハマ・オカモトのベースというリズム隊が兎にも角にもうねりまくり、ショウとオカモトコウキ(Gt)が交互に歌っていくスタイルもクールすぎる。続く「Welcome My Friend」も、これまたクールで、ショウの歌に合わせての演奏陣の音の決めの決まり方が完璧で、高揚しか感じられない。時間帯も夕方へと差し掛かり、暑さもおさまってきて、風が気持ち良い。観ていても、「最高じゃないか!」という言葉しか出てこない。
OKAMOTO'S
「NO MORE MUSIC」では、タンバリンを持ったショウの足のリズム感や、膝のリズム感が、もう天性のものとしか言いようがない素晴らしさにビビッてしまった。コウキの泣きのギターも「本当に三十路ですか?」と聴きたくなる渋さ全開のテクニック……。この世代では別格の凄みがあるライブをぶちかますが、MCで喋り出すと、小さな頃からの同級生感覚である「まったりはんなり」のギャップ萌えでゲラゲラ笑ってしまう。が、また曲に戻ると「BROTHER」を皮切りにとてつもない凄みが再び姿を現し、「Complication」での重いビートでは脳も心も一瞬で吹っ飛ばされた。

OKAMOTO'S
ラストナンバー「90’ S TOKYO BOYS」で、ショウが「俺たちがOKAMOTO'Sだ!」と吠えたが、OKAMOTO'Sでしか出せない音があるという事を魅せつけられたライブであった。ショウは曲終盤で先に袖へはけ、最後は演奏陣だけで音を鳴らし切る。もう、かっこいいという言葉しか私は出てこない。今年に入り1月から、毎月ずっとデジタルシングルを発表してきた彼らだが、遂に9月29日(水)にはニューアルバム『KNO WHERE』をリリース。それも17曲入りという大ボリューム感。秋が本当に楽しみだ。

岡崎体育
大トリこと四番風呂の岡崎体育。ニガミ17才の平沢あくびによる観客たちと大きく深呼吸を3回してからの和太鼓(三三七拍子)での呼び込みを経て、いよいよ本人登場。サウンドチェックで既に姿は現していたものの、いたって冷静に進めたサンドチェックだっただけに、その反動もあって、1曲目「잡채(チャプチェ)」での幕開けは、ようやく岡崎のライブを観れた感が観客たちにはあったように思う。涼しくなってきたとはいえ、野外で長時間ライブを観続けてきているにも関わらず、この日1発目のライブを観てるかの如く観客たちは盛り上がっている。この盛り上がりを、こうやって文章にする事が肝となる楽曲をのちに迎える事になる。
岡崎体育
音楽が流れたままの状態で、岡崎から「盛り上がりすぎているから、ジャンケンして勝った人だけ踊れるシステムにしよう!」と突如提案がされる。負けた人は、勝った人の踊り狂いをただただ傍観するのみになるルール。それを楽しむ岡崎は、観客たちが勝つ確率が増すように、事前にグーかチョキかどちらかを出すと宣言するが、キレイにお約束でパーを出して、「大人の言う事を信じるな!」と大喜びしている。
岡崎体育
さて、問題はここから。フェスでクイックレポートという、ライブ後に即ライブレポートが公開される事を説明して、自身で読み返していると「観客のボルテージは一気に最高潮に」と書かれる事が多いとを明かす。そこでクイックレポート風の文章を音声で流しながら、その間、岡崎はクイックレポート記事に掲載される写真のようなポーズを取っていく楽曲「Quick Report」を披露した。曲中、岡崎が「観客のボルテージは一気に最高潮に」と言う箇所が4つあり、そこで観客たちにボルテージが一気に最高潮になった様に盛り上がってもらえるようにもお願いをしている。文章の音声では、イベント名部分がリアルに『風雲!大阪城音泉』と言われていたが、どこか他人事のように「あっ、実際にこの文章を書くのは自分か!」なんて思いながら呑気に聴いていた。それにしても、みんなが見て見ぬふりをする世の中のあるあるを楽曲に仕上げるのが、岡崎は上手だなと以前から思っていたものの、まさか自分の職業が楽曲にされるとは予想すらしていなかったし、この曲によってライターたちは襟を正す事が出来るのではなかろうか。いっその事、特許を取るではないけれど「観客のボルテージは一気に最高潮に」は、岡崎のライブレポートでしか使ってはいけない決まり事を作っても愉快だし、全く問題はないように思う。
岡崎体育
さて、この後も今やグッズにもなった岡崎のステージ上唯一のお友達てっくんとの絶妙な掛け合いが楽しめる「FRIENDS」や、勘違いしている自分のライブパフォーマンスに、もうひとりの自分が影アナで冷静なツッコミを入れていく「Voice Of Heart2」と、これぞTHE岡崎体育と言うべき真骨頂な楽曲を畳みかける。本編が終わってからは、0.何秒と言っても過言ではない、本人いわく日本最速記録くらいのタイム感でアンコールに入っていく。まずは、体育の日がスポーツの日に変えられた怒りのボヤキを込めた未発表曲「さよなら体育の日」へ。そして、「Open」で〆。『~旧体育の日編~』というサブタイトルが付く日の大トリだけあって、きっちりと盛り上げてくれた。
岡崎体育
奇声退場案内アナウンスで清水音泉の男湯こと田口氏が再登場すると、残り3日間の『風雲!大阪城音泉』を改めて宣伝告知して、最後に観客たちへ「また、今日出演した4組のライブにいらして下さいね」と語り掛けた。数多くの出演者が出演するイベントやフェスも最高に楽しいが、やはり、1組しか出演しないワンマンライブには、そこでしか絶対に味わえない独特の楽しさや興奮や満足感がある。是非とも、引き続きワンマンライブも体感して頂きたい。でも、やはり、その前には去年の夏よりはライブエンターテインメントが確実に前進していると感じられるため『風雲!大阪城音泉』残り3日間のレポートも是非チェックしてほしい。まだまだ今年の夏も始まったばかりである。
取材・文=鈴木淳史 撮影=河上良

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