Hakubiら若き才能が競演した伝説の1
日『京都迎撃2021』ーー「京都を背負
いたい。来年も再来年も続けていきた
い」

『京都迎撃 2021』 2021.8.9(Mon)京都KBSホール
Hakubi主催のライブイベント『京都迎撃 2021』が8月9日(月・祝)に開催された。Hakubiは初めてライブを行った2017年8月10日から毎年この時期にKYOTO MUSEで大事な企画を行ってきた。今年は京都KBSホールに場所を移し、地元の仲間や同世代のアーティストのIvy to Fraudulent GameTETORAa crowd of rebellionBrown Basketとともに行われたもの。会場には、「ぼくを踏んでね」「ソーシャルディスタンス!」といったメッセージ付きでメンバーが描いた可愛らしいイラストの立ち位置指定の印をはじめ、出演者全員のサインが入ったタペストリー、メンバーおすすめのドリンク案内ポップなど、「皆に楽しんでもらいたい」というHakubiの想いを感じる工夫が随所に見られた。さらに、開演前にはHakubiのメンバーが、感染対策とライブ鑑賞の注意事項を自らアナウンス。「ウイルスとマナー違反はHakubiが迎撃します! 『京都迎撃 2021』よろしくお願いします!」とのメンバーの声で、開演を待つ会場がピリリと引き締まる。
Ivy to Fraudulent Game「今日が俺たちとHakubiと皆さんの歴史の始まり」
Ivy to Fraudulent Game
トップバッターはIvy to Fraudulent Game。ステージが暗転し、琴の音色から始まるBGMが流れ、Hakubiの片桐(Vo.Gt)がバンド名をコール。影アナもHakubiが行うようだ。メンバーがステージに登場し、「Ivy to Fraudulent Gameです! よろしくお願いします!」と寺口宣明(Gt.Vo)が元気に挨拶するとともに、勢いよく「blue blue blue」を投下。疾走感溢れるナンバーを、心底楽しそうな笑顔で演奏する。「台風の中、コロナの中、覚悟を持って来てくれた君たち。こっちも覚悟を持ってやります」と寺口。2曲目は「E.G.B.A.」。福島由也(Dr)のスロービートから徐々にギターとベースがジョインし、やがて轟音を奏でる。気だるさのある歌声と変拍子で身体を揺らされたと思いきや、間奏では寺口が渾身のシャウトをかまし、マイクスタンドが倒れるほど激しく動く。大島知起(Gt)の歪んだギター、床に転がってベースを弾くカワイリョウタロウ(Ba)の熱が会場をヒートアップさせる。
「4年ぶりに京都に来れました。Hakubiが呼んでくれて叶いました。やっと来れたと思ったら、台風も来た(笑)。声出せなくても、心は開放的に楽しみましょう」(寺口)。
Ivy to Fraudulent Game
続いて「ゴミ」をプレイ。先ほどの激しさとは対照的に、ハンドマイクで客席を見つめつつ、甘い声で歌い上げる。すぐさま「今日という日にピッタリの曲! 聴いてくれ!」と「革命」を披露。「いつか必ず一緒に歌おう!」という寺口の言葉に応えるように客席はノリノリで手を挙げ、最高の一体感を生み出した。
「俺たちもHakubiも不安を歌います。生きていればつまんない日、苦しい日が待ってる。ただ不安を歌うんじゃなくて、不安に対するあり方、不安を受けた時の自分を歌っていきます。また音楽を目印に、こうやって向き合って聴いてください!」と寺口の想いを乗せて、ラストの「Memento Mori」へ。力強く伸びやかな歌声と「大丈夫だから!」という寺口の言葉に背中を押される。最後列までしっかりと音を届けて、『京都迎撃 2021』の火蓋は切られた。
Brown Basket「あんたたちの背中を最後まで押す! 音楽とHakubiがずっと俺たちのそばにあり続ける限り!」
Brown Basket
2番手は京都発のBrown Basket。ドラムの前にメンバーが集まり気合い入れを行う。岸本和憲(Vo.Gt)の「3年前の8月10日に、KYOTO MUSEでHakubiと対バンしました。それから3年間、色んなライブハウスで色んな知り合いに出会ったと思います。今日は4バンドに俺たち入れてもらってます。でも5日前に来た片桐のメッセージにも書いてあったけど、友達として、仲間としてじゃなくて、迎撃対象として、ライバルとして呼んでもらってます。俺らもそのつもりでもらった時間精一杯出します!」とのまっすぐな言葉から、「最後の夜」を力強くプレイ。「あんたたちの背中、押しにきました!」と岸本が叫ぶと、スズキセイヤ(Dr)も立ち上がり、全員で挑みかかるような気迫で「君の声を」を、最上級の熱量とスピード感でぶつけ、続く「グッバイワンルーム」では、藤原勇弥(Ba)とomochi trip(Gt)がステージを跳ね回る。荒削りで、一生懸命で、ストレートな姿が眩しい。
Brown Basket
MCでは「こんなに大勢の人に見てもらえるの初めてなので、さっきまで緊張してました。でもステージに立ったら、見てくれてる皆に背中押されてます」と岸本。そして「一人暮らしをして、誕生日とか父の日、母の日を大事にするようになりました。普段は恥ずかしくて言えないありがとうを言える口実にできる。大好きという感情は、言葉にしないと100%相手に伝わらないと思うんで、そういう気持ちを歌にしました」と、まだ未音源の新曲「愛しているよ」をアカペラから奏でる。藤原とomochi trip2人の「愛しているよー!」からは、一気にBPMが加速。
そのままの勢いで「BY MY SIDE」へ。「30分はあっという間です! でも30分の積み重ねが24時間で、1週間で1ヶ月で1年です。今日1日楽しんでいきましょう!」「大好きなHakubiへ!」とHakubiへの愛も織り交ぜ声を振り絞る。ラストはメンバー全員で「大好きなあーなたへー」と合唱。余力を残さず全力を出し切り、ステージを後にした。
a crowd of rebellion「ボロボロのソフトケースを使ってるのを見て、Hakubiが大好きになりました」
a crowd of rebellion
会場の熱が2バンドにより完璧に引き上げられ、バトンを引き継ぐのはスクリーモバンドのa crowd of rebellion。宮田大作(Vo)の「行こうか京都!」を合図に、強烈な爆音が耳を引き裂く。1曲目の「無罪者」から、爆弾が落ちたような音圧と宮田のデスボイスが脳天を直撃する。高音ボイスの小林亮輔(Vo.Gt)とのWボーカルというスタイルで、攻撃的なサウンドの中にも丸山漠(Gt)のギターリフが美しく響き、小林の透明感ある歌声が不思議なハーモニーを生み出す。激しさだけではない華やかさで、バンドのポテンシャルを見せつける。あまりの攻撃性に戸惑うオーディエンスも垣間見えたが、サビでは手がしっかり上がり、「Black Philosophy Bomb」ではオーディエンスは立ち位置を守ってクラップとヘドバンで踊り狂う。
a crowd of rebellion
MCでは宮田が地声で「新潟から来ました、a crowd of rebellionです!」と挨拶。「さっきも言った通り、怖くないから!」と場を和ませる。MC明けは「Never Say A Gain」を投下。雨のような轟音が会場中に降り注ぐ。宮田、小林、丸山が頭を激しく降りながら、真っ赤なライトを浴びて全身で演奏する。「O.B.M.A」では宮田が「目をつぶれ。想像力。昔々、ラウドミュージックにはこういう遊びがありました」とウォール・オブ・デスを心の中で繰り広げさせる。コロナ禍でなければ巨大なサークルができていただろう。「伝わったぜ!」と言わんばかりに、胸に手を当て、満足そうにモニターの上に立ち、笑顔を見せる宮田。そこからは一体感が加速。メロイック・サインを作り、全員でジャンプ! 「非常に楽しいです、ありがとうございました! 俺ほんとはすげーいいやつだから」と、お茶目な一面も見せる。そして、レーベルメイトであるHakubiとの思い出を語り「今日は呼んでくれてありがとう! 次俺らも呼んだら出てね!」と感謝を述べる。
悠々としたギターリフから、近藤岳(Dr)がドラムロールのようなビートを叩き込み、破壊力抜群の「M1917」へ。ラスト「Ill」では、より一層音圧が増す。終始攻撃的で、重くのしかかるエッジーなパフォーマンスを見せたa crowd of rebellion。Hakubiへの猛攻は止まることがない。
TETORA「いつも一歩先にHakubiがいる。かかってこい! ずっと、戦友で!」
TETORA
トリ前はTETORA。ドラムの前で気合い入れをし、「音ぺらぺらでも、下手くそでも、今日の中でTETORAが1番ドキドキさせます! よろしくお願いします!」と上野羽有音(Vo.Gt)が少しの緊張感をもって一言発し、1曲目の「知らん顔」へ。ハスキーボイスを懸命に張り上げる。いのり(Ba.Cho)と上野がステージを広く動き回り、気持ち良さそうに笑顔を見せる。「心斎橋BRONZEからOrange Owl Records所属、TETORA!」と改めて出自を大声で放つ。ミユキ(Dr)がスティックを大きく振りかぶり、2曲目の「正直者だな心拍数」をプレイ。上野といのりが床に倒れ込み、懸命に音をかき鳴らす。爆発力で始まった「嘘ばっかり」「今日くらいは」を経て、MCへ。
「同い歳、今日で4周年のバンド、京都Hakubi。友達やから出してくれたんか、違う! ライバルやからトリ前を渡してくれたんか! 下手くそでも、音ぺらぺらでも、不器用で、うまく言葉も言えんくて、ずっともがいて、一緒にライブハウスでやってる仲! 戦友! お互い不器用やから、カッコつけることもできへんけど、素直に挑戦して、素直にライブハウスで戦って、素直に悔しがって、負けたと認めて、毎日そうやってるロックバンドは、私は1番カッコ良いと思ってます! 1番強くなれると思ってます! 次出るHakubiに、こんな3人でも、良い意味で出づらくさせます!」と、汗と涙を滲ませて、Hakubiに宣戦布告。「レイリー」では、若さと青さで客席を飲み込み、釘付けにして、「イーストヒルズ」へ。
TETORA
「いつも一歩先にHakubiがいる」「いつも背中が見えてる」と、Hakubiへのメッセージを曲間に挟みながら、一瞬一瞬を大事にするように歌う。Hakubiの存在が周りの同世代のバンドに士気を与え、切磋琢磨している。良い関係値を築いていることがよくわかった。「素直」では全力で音を叩きつけ、最後は笑顔で清々しい表情を見せた。シンプルなサウンドで、終始がむしゃらに音を鳴らし続けたTETORA。その気迫と泥臭いほどの正直さ、真っ直ぐさは、間違いなくその場にいた者の記憶に残り、胸を打ったことだろう。
Hakubi「ずっとずっと続いていく『京都迎撃』。その目撃者になってくれて本当にありがとう」
Hakubi
そしていよいよ主役のHakubi。よく通る凛とした歌声で始まったのは「アカツキ」。美しく切なげな世界観で一気に会場を魅了する。「まだ元気は残ってますか! 伝説に残る絶対に忘れられない1日に!」と片桐が叫び、「辿る」へ。モニターの上に片桐とヤスカワアル(Ba)が立ち、「見えてるぞ!」と、しっかり客席を見据える。純度高く目の前に伸びてくるような片桐の歌声と、シンプルな構成ながら音の分厚さを感じさせる高い演奏力、彼らが胸に秘める情熱は、心にスッと入り込んでくる。続けて「どこにも行けない僕たちは」をドロップ。オーディエンスは喜び手を挙げて応える。マツイユウキ(Dr)のビートに合わせ、自然発生したクラップで、勢いはさらに加速。
Hakubi
MCでは「あいにくの天候の中、本当に来てくれてありがとうございます」と深くおじぎをする片桐。「全国で出会ったカッコ良いバンドを京都に迎え入れ、ライブをやろうと立ち上げた『京都迎撃』。音楽は勝ち負けではないと言うかもしれないけど、勝ちにいくつもりで今日は臨んでます。色んな人が関わってくれてこの日ができていること、このご時世の中で沢山の人が集まってくださることにすごく感謝しています。私たちはバンドマンなので、自分たちとこのイベントが大きくなっていくことで感謝を返していけたらと思います」と語り、FM802の8月度ヘビーローテションにも選ばれた「栞」を披露。そのまま壮大なサウンドスケープを描いた「灯」へと続く。
「Hakubiが生まれた京都、Hakubiが出会った京都、Hakubiが育った京都、感謝してもしきれない。自分たちの音楽のあり方、音楽の感謝の伝え方、京都を背負っていきたい。大きくてずっと遠いかもしれないあの背中、あの舞台。私たちに大きな夢を見せてくれた。くらいつきたいんだ!」と、片桐が決意を口にする。「ライブバンドはライブで次の約束を繰り返す。その約束をここでしたい。来年も再来年も続けていく。この伝説の1日として、刻みます。あなたの誇りになれるように叫ぶ!」という言葉から「mirror」を演奏。
Hakubi
「なくなったイベント、フェス、バンド。今日の1日だって戻ってこないよ! だから刻んでいく、一生に一度しか訪れない今日を! あなたたちが最初の1日の証人です」「ずっと残していきたい、守っていきたい、愛していきたいと思うから」「私たちは不安も歌うけども、その先の未来もあなたに見せたい!」と、心からの想いを伝え続ける片桐。とんでもなくエモーショナルな空間が広がる。演奏を終えると、割れんばかりの大きな拍手が贈られた。
アンコールではKBSホール名物の巨大なステンドグラスが現れ、オーディエンスはその存在感に感嘆する。改めて感謝の気持ちを述べ、「今日という1日をよりもっと大切にしたい。いつかじゃなくて絶対にしていくことが大切やなと思ってます。今日はできないけど一緒に歌ってほしい」と、京都では初披露の「悲しいほどに毎日は」、ラストに力強いアカペラから「光芒」を演奏し、『京都迎撃 2021』は大団円を迎えた。
Hakubi
Hakubiを中心に若き才能溢れるバンドが集まった、伝説の2021年8月9日(月)。どのバンドからもHakubiへのリスペクトと愛情が感じられた、感動的な1日だった。Hakubiは若きバンドの星として、京都への誇りを胸に、活動の進度を深めていくだろう。来年の『京都迎撃』が今から楽しみだ。
取材・文=ERIKUBOTA 撮影=翼、

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