HYの海にまつわる楽曲のRemixアルバ
ムが誕生 その新たな魅力について新
里&名嘉とDJ HASEBEが語りあう

ビーチライフスタイルマガジン『HONEY』が監修し、 ”海を愛するすべての人たちへ"というテーマを掲げたサーフミュージックブランド「HONEY meets ISLAND CAFE」。同ブランドのシリーズCDのRemixを手がけるDJ HASEBEがHYの楽曲をリミックスした『HY Ocean Blue Sound-The Surf Remixes-』が完成した。「ホワイトビーチ」「AM11:00」「Ocean」など海をテーマにした楽曲を、90‘Sヒップホップやシティポップ、ラテンなどのエッセンスを加えてリミックスした本作は、HYとDJ HASEBEの音楽性が有機的に絡み合う作品に仕上がっている。本項ではDJ HASEBEとHYの新里英之(Vo/Gt)、名嘉俊(Dr)にインタビュー。『HY Ocean Blue Sound-The Surf Remixes-』について語り合ってもらった。
——「HONEY meets ISLAND CAFE」は、“海を愛するすべての人たちへ”を掲げたサーフミュージックブランドですが、このシリーズの音楽的なコンセプトを教えてもらえますか?
DJ HASEBE:基本的には洋楽のカバー曲のノンストップミックスですね。“HONEY”(ビーチライフスタイル・マガジン)とのコラボレーションなので、サーフ系のサウンドが中心になってます。ビルボードのチャートから、サーフ的なアレンジだったり、海を感じられる曲を選ぶこともありますね。
——HYの楽曲をリミックスした『HY Ocean Blue Sound-The Surf Remixes-』。HYとのコラボは何がきっかけだったんですか?
HASEBE:「HONEY meets ISLAND CAFE」のシリーズにCDのなかでHYの「AM11:00」をリミックスさせてもらったのが最初ですね。その流れで(HYの楽曲で)「アルバムを作りましょう」ということになって。
新里英之:自分たちの曲がどういうアレンジになるのか、すごく楽しみでしたね。今年はコロナの影響で、予定していたツアーがすべて来年に延期になって。その中でもリミックスアルバムを出すことで、ファンのみんなに新しいHYの一面を少しでも伝えられたなと。
名嘉俊:うん、僕らもすごくワクワクしてました。HASEBEさんがどんなふうに楽曲を再構築してくれるのか、ホントに楽しみで。
——ちなみにHYとHASEBEさんの交流って、今までもあったんですか?
HASEBE:いや、お話するのも今日が初めてですね。
名嘉:初めましてです(笑)。
HASEBE:僕がメジャーレーベルから最初のアルバム(『HEY WORLD』/2000年)を出した後くらいに、ちょうどHYがCSの音楽番組でパワープッシュされていて。メロディやサウンドの雰囲気が独特で、すごく印象に残ってますね。
名嘉:ありがとうございます。僕らも20代前半の頃はクラブに遊びに行ってて、もちろんDJ HASEBEさんのことも知っていました。あれから10年以上経って、バンドとして関われるなんて夢みたいです。
新里:ホントだよね。
名嘉:今回は“海”がテーマということだったので、自分たちの楽曲のなかから、海をイメージして作った曲だったり、歌詞のなかに海にまつわる言葉が入ってる曲をチョイスさせてもらいました。
——海をモチーフにした曲、多いですよね。
新里:そうなんですよ。心を落ち着かせたいときに、ブラッと海に行くこともあって。そこで曲作りすることも多いので、自然と歌詞のなかに入ってくるんですよね。
名嘉:HASEBEさんはどこでアイデアを思いつくことが多いんですか? 僕は風呂場かトイレですけど(笑)。
HASEBE:ウォーキングが好きなんですよ。1日1万歩くらい歩くようにしてるんですけど、そのときに制作中の曲のアイデアが浮かぶことはありますね。ずっとパソコンの前に座ってても、同じところをグルグル回っちゃうので、環境を変えたほうがいいのかなと。近くに海があるって、いいよね。自分は渋谷の周りを歩いてるので、自然が少ないんですよ。代々木公園には緑があるんだけど。
名嘉:ウォーキングなんて意外ですね。サーフィンとかやられているイメージですけどね(笑)。
HASEBE:サップを少しやるくらいかな。海は大好きだし、まわりにサーファーもいるので、毎年のように誘われるんだけど、まだサーフィンはやったことがなくて。やるとしたら気合いが必要だろうけど、50歳からサーフィンをはじめるのもネタとしておもしろいかなとは思ってます(笑)。好きな音楽も、自然と海が絡んでたりしますからね。
——では、『HY Ocean Blue Sound-The Surf Remixes-』についてじっくり聞きたいと思います。全体を通して、歌を大事にしたリミックスだなと。
HASEBE:もちろん、歌がメインなので、オリジナル曲の雰囲気だったり、リリックの内容をバシッと伝えるのが一番で、「それをどう支えるか?」というスタンスですね。自分の好みの音色などもあるので、統一感は勝手に出てくるのかなと。
新里:すごく爽やかなサウンドだなと思いました。とっても聴きやすいし、HYの原曲のカラーを残しつつ、HASEBEさんらしいヒップホップのエッセンスもあって。聴き手の幅をさらに広げてくれるリミックスだなって。HASEBEさんのリミックスによって、HYの新しい入り口を作ってもらえたのがすごく嬉しいです。
——1曲目は「ホワイトビーチ」(DJ HASEBE Honey Beach Remix) 。まさに白い砂浜が見えてくるようなアレンジですね。
新里:イントロからワクワクしましたね。原曲とはまったく違うんだけど、「ここからどんな曲が始まるんだろう?」という気持ちにさせられました。あと、ちょっと懐かしいエッセンスが入ってるんですよね。思い出に浸りながら聴けるというか。
名嘉:うん。ギターのカッティングとかも、原曲とはかなり違っていて。今後、この曲をアコースティック・バージョンで演奏するときに参考にさせてもらいます(笑)。
新里:そうだね(笑)。
名嘉:全体的に音数を抑えていて、そのぶん、しっかり歌詞が入ってくるのもすごくよくて。
HASEBE:もともと原曲自体が聴きやすいし、ポップですからね。リミックスするときも、今のヒップホップの感じとか、アンダーグラウンド感ではなくて、あくまでも楽曲のテーマを活かして、それをどうアレンジするかを意識してたので。
——2曲目の「HY♡SUMMER (DJ HASEBE 90s Weekend Remix)」はヒップホップ的な要素が感じられました。
HASEBE:テンポがちょっと速めだし、コードの展開を含めて90年代初期のニュースクールの雰囲気が合うのかなと。その時代の音楽は、自分自身も一番刺激を受けているので、作ってて楽しかったです。
名嘉:スネアやバスドラムの音色もちょっと懐かしい感じですよね。あと、アウトロに“イエーイ!”という声が入ってるのもよくて。僕らも大人なりましたけど(笑)、「これから、まだまだ楽しいことあるよ」という気持ちにさせれるというか。
新里:(笑)。自分のラップのパートも、このトラックのおかげで、より軽快に聴こえて。最近は大人っぽく、落ち着いて歌おうという意識が強くなってたんですけど、俊が言った通り、「もっと楽しもうぜ!」みたいな感じで歌ってもいいのかなと思いました。
——そして「AM11:00 (DJ HASEBE Sea of Love Remix) 」は、HYとDJ HASEBEさんの出会いになった曲。
HASEBE:そう、今回のきっかけになった曲ですからね。サウンドとしては、90年代のR&Bのイメージもあって。
名嘉:イントロでいきなりストリングスやコーラスが広がってるのが意外でした。それがまた、耳に残るいいメロディなんですよ。
新里:爽やかさがアップしてますね。オリジナル曲のBメロのコードをAメロに持ってきて、より切ない感じになってるのもすごいなって。ビックリしました。
名嘉:アウトロのコードも切ない感じになってるよね。
HASEBE:オリジナルと少し変化を付けたくて、コードを組みかえてるんですよ。
名嘉:自分たちには考え付かないというか、「こういう引き出しはないな」と。スクラッチの音色もすごくポップだし、聴いてて楽しかったですね。
DJ HASEBE
——続く「Ocean (DJ HASEBE Surf Pop Remix)」は、生楽器とトラックメイクのバランスが気持ちいいなと。
新里:これはもう原曲を越えましたね!
HASEBE:いやいや(笑)。
新里:ここ最近HYも打ち込みに取り組んでるんですけど、当時、打ち込みのことがわかってたらこういう曲になってたかもなって。この曲を聴きながら海中道路をドライブしたら、すごくよかったんですよ。思い出に浸りながら、同時に“今”を感じとれて、本当にいいコラボだなと思いました。
HASEBE:ありがとうございます。このトラックは“元の素材をどう生かすか”がポイントですね。原曲のアコギがよかったので、それをエディットして左右で鳴らして。あと、後半の転調するところに入ってるエレキギターのリフにタイムストレッチをかけて、サビやイントロに使ったり。
名嘉:ギターの使い方、カッコいいですよね。ドラムのフィルも加工してくれて、若々しくなってました(笑)。
HASEBE:リエディットですよね。ダンスミュージックの手法の一つなんですが、原曲の素材をバラバラにして、再構築するというか。今回、オリジナル曲のデータも送ってもらっていたので、ギターやシンセのフレーズを活かしている部分もけっこうありますね。
——「車に乗って (DJ HASEBE City Boy Remix) 」は、文字通り、シティポップのテイストを反映したリミックス。
HASEBE:そうですね。DJとしては昭和歌謡や80年代のシティポップスをよくかけるんですが、自分でアレンジしたことはあまりなかったんですよ。「車に乗って」は歌詞やメロディに懐かしい感じがあるし、この曲で自分なりのシティポップを作るのは楽しそうだなと。リミックスのタイトル(“City Boy Remix”)はベタなんですけど(笑)。
新里・名嘉:ははははは!(笑)
HASEBE:ふだんは“DJ HASEBE REMIX”だけで、タイトルは付けないんですけどね。“City Boy”は、80年代のホンダ・シティ(小型自動車)のイメージもあるし、ちょっとイナたい昭和感があっていいかなと。
名嘉:いいですね! 僕らもシティポップには興味があって、まさにこれから作ろうとしていた矢先だったんです。「車に乗って」の懐かしくて新しいサウンドはすごくツボだし、いいヒントになりました。軽快で、切なくてカッコいいリミックスですよね。
新里:うん。うちのバンドの仲宗根泉のピアノも、どこかシティポップみたいに聴こえることがあって。先輩のミュージシャンから、「HYの曲には懐かしさを感じる」と言われたりするので、もともと持ってるものかもしれないですね。
——ラテンのフレイバーがたっぷり注がれた「BLUE (DJ HASEBE Latin Wave Remix) 」も印象的でした。
HASEBE:“GIRA MUNDO”(奥原貢)というラテンが得意なギタリストに参加してもらったんですよ。テンポも129くらいでかなり早めなんですけど、新鮮なトラックになったかなと。
名嘉:GIRA MUNDOさん、僕もライブを一緒にやったことがあるんですよ。元キマグレンクレイ勇輝さんのライブだったんですけど、まさかここでつながれるとは思ってなかったです。
HASEBE:そうなんだ。僕は90年代に同じ事務所にいたんだけど、今回、初めてお願いしたんですよ。
新里:気持ちいいですよね、ギター。音をループさせてるうちにどんどん気持ちよくなるし、ステップを踏んで踊りたくなるような。自分たちもこういうアレンジで演奏してみたいです。
——アルバムの最後は、「さあ行こう (DJ HASEBE Butter Smooth Remix)」。
HASEBE:「さあ行こう」は、自分から提案させてもらったんです。90年代のR&Bのテイストを強めに出したいというイメージもあって、原曲のエレピの素材を活かしながらエディットして。ユルめの心地よさもあるし、いい具合に混ざったと思います。
名嘉:すごく自由に料理していただきました。原曲はかなりサイズが長いんですけど、ギュッとまとめてもらって。
新里:カッコいいリミックスですよね! あまりにもカッコよくて、歌い直したくなりました(笑)。このトラックだったら、もっとクールに、低めの声で歌いたいですね。
——HYにとっても、いろいろなヒントが詰まったリミックスアルバムになりましたね。
名嘉:めちゃくちゃヒントをいただいきました。ドラムに関して言えば、生音と電子音の混ぜ方だったり。今後の楽曲のアレンジにも使えそうだなって。
新里:うん。「ホワイトビーチ」のギターのカッティングも、僕の弾き方とはぜんぜん違ってて。さらに明るくなったし、「こういう形もあるんだな」って。ぜひ今後のライブや制作にも活かしていきたいです。
——最後に、HYとDJ HASEBEさんの近況を聞かせてください。HASEBEさんは去年、30周年を迎えて。コロナ禍でイベントやパーティーはやりづらくなりましたが、YouTubeで毎週のように配信してますね。
HASEBE:去年の3月から始めたんですが、配信、楽しいですよ。チャットが現場のフロアのような役割になってて。観てくれる人たちのコメントでグルーヴが生まれるんですよね。自宅から配信するときは、そのまま寝ちゃうこともあるんですけど(笑)。
新里:(笑)。どれくらいやってるんですか?
HASEBE:5時間くらい。毎週土曜日、夜8時から1時くらいまでやってるので、最後の方はヘトヘトなんですよ(笑)。
名嘉:僕らの曲もかけてくれてるんですか?
HASEBE:もちろん。「AM11:00」はだいぶ前からかけてるし、リミックスアルバムが出たら、他の曲もガンガンかけますよ!
新里:うれしいです!
名嘉:僕らは年内に予定していたツアーが延期になって。今は12月の『HY SKY Fes』の準備ですね。みんなといい思い出が作れるようにがんばります!

取材・文=森朋之

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