luz「孤独だと感じる時はあるかもし
れないけど、ひとりじゃないから」 
再会を誓ったツアーファイナル・東京
公演の配信ライブをレポート

luz 5th TOUR -ELEVEN-

2021.9.5(sun)
信じる者は救われる、という言葉は果たして本当なのだろうか。信教の自由が認められている一方で、諸外国と比較すれば圧倒的に無宗教を自認する人々が多いとされている日本においては、宗教の話題が何かとタブー視されてしまうところさえあるのが実情と言えよう。
とはいえ、誰しもが何かしらに帰依したり、もしくは心酔する気持ちを持つこと自体はそう珍しくないはず。人によってはその対象が好きな書物であったり、尊敬するアスリートのプレイであったり、あるいは愛するアーティストの音楽であったりするケースもきっとあるのではないかと思われる。
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この移り変わりが激しいソーシャルミュージックシーンにあって、かれこれ10年以上にもわたり強い存在感を放ち続けてきたluzも、今やファンにとっての教祖的存在になって来ていると言えるような気がしてならない。何故なら、彼は人々を蠱惑(こわく)するような甘い歌声と、カリスマティックなパフォーマンスを駆使しながら、ライブ空間を独裁的に完全支配することが出来る人物だからだ。
そのことは、8月2日にZepp Tokyoにて観客を動員したうえで開催されたのち、9月5日より配信開始となった『luz 5th TOUR -ELEVEN-』ツアーファイナル公演の模様を観ても明らかであったと断言することが出来る。
会場に集まったルスメン(luzファンの総称)たちが待ち受ける中、今回のライブにおける1曲目としてluzがまず高らかに歌いあげてみせたのは、人気ゲーム『IdentityV 第五人格』の公式テーマソングになったことでも話題になった「Identity Crisis」。
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ここ何年かluzのライブをずっとサポートしているギターのRENOとMiA、ベースのMASASHI(Versailles)、ドラムのLEVIN(La'cryma Christi)という、豪華なメンツが長年のキャリアと実力に裏打ちされたダイナミックなサウンドを発する様も非常に迫力満載ではあるものの、その圧に負けないどころか名うての猛者たちを率いてステージのフロントに立ち、昂然としたボーカリストぶりをみせるluzの姿は頼もしい限り。しょっぱなから場内のボルテージも上昇の一途をたどり続ける。
しかも、火に油を注ぐかのようにluzは次なる「REVOLVER(Royal Scandal ALVer)」で「拳あげろ!!」と叫んでみたり、「クイーンオブハート(SISTER Edition)」でも「clap your hands! come on!!」と言い放ち、その言葉にあわせてルスメンたちが即座にリアクションをとっていくさまからは、luzの指導者としての才をあらためてうかがうことが出来た。
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また、本編後半に突入してから始まった「Dearest,Dearest」でもジャケットを脱ぎ、黒いドレスシャツ姿にお色直しをしたluzが「やれ!!」「かかってこい」と咆哮したと思えば、ワイルドな雰囲気が濃厚に漂う「M.B.S.G.」ではluz自身もアタマを振りまくってみせたことで、場内でも盛大なるヘッドバンギングの嵐が発生。その熱いライブパフォーマンスは、かつてluzが数々のロックバンドたちへ抱いてきたリスペクトの念を具現化したものだと捉えることが出来たが、それでいてluzはこの場でさらにその域を凌駕するような場面を生み出すことにもなった。
なんと、以前から異彩を放ってきた楽曲である「FANATIC」が、以下のようなluzからの宣言により始められたのである。
「ここからは崇拝の時間です。信仰の時間です。忠誠を誓いなさい。最愛を誓いなさい。ここにいる全員に、忘れられない時間を教えてあげる。さぁ、始めよう……!」
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黒装束の僕(しもべ)たちの手によって、漆黒に染められた司祭服コスチュームを纏うことになったluzが、絶対的な威圧感を込めながら<救済を求めよ 赦しを乞い 謳え>と歌い、観衆が<キョウソスウハイ キョウアイ ソウ テンセイ>というフレーズと同調して髪を振り乱す光景はまさに宗教的という言葉が似つかわしく、ここではluzとluzを愛する者たちだけによる秘儀が展開されたわけだ。
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また、本編ラストでは、10月27日に発表されるluzにとって4年ぶりの4thアルバム『FAITH』から、表題曲「FAITH」がライブにて初披露されることになったのだが、そもそもこの『FAITH』というアルバム自体が“信仰”をメインテーマとして制作されたものなのだそうで、これまた<“我”を捧げろ>という印象的な歌詞が響く圧巻のカルトチューンとして、このライブのフィナーレを飾ることに。
「『luz 5th TOUR -ELEVEN-』東京ファイナルへようこそ! 来てくれたみなさん、ありがとうございます。いやー、これだけたくさんの人が来てくれて。びっちょんこやねみんなね(笑)。そんな全力で暴れてくれた皆さんに、心からの拍手を送ります! やばいなぁ。初日の大阪公演から「声を出せない」っていう不安はあったんですけど、やってみたら全公演、そんなの関係なかったね。本当にみんなもう、声の代わりにアタマを振ってくれて。最高の景色ですわ。まだ終わってないけど、今日で終わるのが惜しいくらい凄く楽しいツアーでした」
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このときにluzが見せた柔らかな笑顔からは、今回のツアーを実施出来たことが彼にとってどれだけ救いになったのか、ということをうかがい知れたような気がする。
本編ではあれだけシリアスかつカオスな空気感を目一杯に醸し出していたにも関わらず、一転してのアンコールではラフなTシャツ姿となり、すっかり親しみやすい“luzくん”に戻っているあたりも、ファンとしてはこのギャップにやられてしまうのかもしれない……にしても、この豹変ぶりはなかなか凄い!(笑)
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「今年で僕は11周年ですが、去年はコロナ禍になって自分の10周年が皆とお祝い出来なくて悔しかったこととか、これまでにはいろんなことがありました。そんな10周年を乗り越えてのELEVENとツアータイトルをつけさせていただいたんですけど、この11周年を待ってくれていた人たちがこんなにたくさんいてくれたんだな、というのが僕は心から嬉しいです。ありがとうございます。……残り2曲ですけど終わりたくねー、マジで。アンコールに出る前、もっと皆と一緒にいたいって思っちゃったよね」
本音を吐露したのと同時に、この瞬間には涙までぽろりとこぼしたluz。ここからしばらくの間、luzは湧き出る想いをそのまま言葉にして我々へと届けてくれることになったのだった。
「今日、この日を迎えられたのは一種の奇跡だと思ってます。でもきっと、皆も思ってるよね。なんで好きな人になかなか会えないんだろう? なんでガマンしなきゃいけないんだろう?って。思ってるよ、俺だって。だからこそ、今日は心から嬉しいです。ありがとう。……ただ、次にいつまた会えるかはわからないっていうのがきっと本当のところなんですよね。今日は迎えられたかもしれないけど、この先に何があるかわからないし。そんな中で、僕はここにいる人たちに無責任な約束かもしれないけど、「また会いたい」っていう約束をしたいと思います。いや、絶対会おう! 今この辛い時を乗り越えて皆も俺も孤独だと感じる時はあるかもしれないけど、ひとりじゃないから。忘れないでください。いつかそんな世界が来たら、またみんなで声を出して笑いあって会いましょう。約束を込めて歌います。聴いてください」
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スペイン語で光の意の名を持つluzが、ここでエモーショナルに歌ってみせた「光彩」。そのあとに続けられた、あたたかな温もりの滲んだ「カメリア・コンプレックス」。この2曲を歌い終わって感極まったluzが、感動と感謝の念が入り交じったのであろう泣き笑いの表情を見せた時、彼のピュアな心持ちがそこにそのまま表れていたと感じた人も多かったのではないだろうか。
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ここまでの11年、あるいはもっとその前から。luzはこよなく音楽を愛し、歌を愛し、自身の未来についてそのつど信じて来たことになるだろう。と同時に、音楽活動をプロとして本格化させてからは自分の歌声を愛してくれる人々の存在のこともしっかりと信じながら、luzはここまで着実に歩んできたことになる。そう考えると、やはり信じる者は救われるものであるらしい。いや、むしろ。ここはluzのことを深く信奉するファンの存在も全て含めて、信じる者はことごとく救われるべきだ、という締めくくり方でこのレポートを終えることとしたい。

文=杉江由紀 撮影=小松 陽祐[ODD JOB]
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