ジャズとパンクの壁を打ち破った
ジェームス・ブラッド・ウルマーの
『アー・ユー・グラッド・
トゥ・ビー・イン・アメリカ?』

本作
『アー・ユー・グラッド・トゥ・ビー・
イン・アメリカ?』について

そして、ソロ2作目となる本作がラフ・トレードからリリースされた。サックスにデビッド・マレイとオリバー・レイク、トランペットにオル・ダラ、本作以降ウルマーのサウンドに欠かせない重量級のリズムセクションにアミン・アリ(Ba)とカルビン・ウエストンとロナルド・シャノン・ジャクソン(Dr)という強力なメンバーが参加。また、プロデュースにはウルマーのほか、ハービー・ハンコックやゴールデン・パロミノスを手がけたロジャー・トリリングとアバンギャルド・ロックグループで知られるレッド・クレイオラのメイヨ・トンプソンが務めるなど、こんなすごい面子をよくぞ揃えたものである。本作はまさに、80年代初頭におけるニューヨークの最先端ジャズシーンを紹介するドキュメントだと言えるだろう。

サウンドはというと、フリージャズ、ロック、ファンク、パンク、アバンギャルド(ワールドミュージックの要素も少しだけある)が渾然一体となって、最初から最後まで息苦しいほどのハイテンションで迫ってくる。ウルマーはのちに本作はハーモロディクス理論を具現化した最初のアルバムだと述べている。参加メンバーはそれぞれ個々のプレイをしながら、変化が起これば柔軟に即興で応えるという流れであったようだ。なお、タイトルトラックではウルマーの特徴的なヴォーカルを聴くことができるが、歌入りのナンバーはロック/ブルース色が濃くなるのは本作以降のアルバムと同じである。

また、本作のジャケットはLP時代、英ラフ・トレード盤、米アーティストハウス盤、日本盤、ヨーロッパ盤で全て違ったデザインが使われており、贔屓目なしに日本盤のジャケットが文句なしに素晴らしかった。95年にDIWがCD化した時、違うジャケット(2種類あり)だったので残念であった。次回のCD化の際にはぜひ日本盤LP時に使われたオリジナルジャケットで再発してもらいたい。

最後に、実はウルマーのサウンドが完成するのはコロンビアレコードからリリースされた大傑作の4thアルバム『ブラック・ロック』('82)なのだが、現在入手しにくいためあえて本作(もちろん、こちらも傑作なので…)を取り上げた。91年にニッティング・ファクトリーからリリースされたコンピ『ニッティング・ファクトリー・ツアーズ・ヨーロッパ1991』では、ジェームス・ブラッド・ウルマー・ブラック・ロック・リバイバルというグループ名であることから、彼自身『ブラック・ロック』に対する思い入れは特別なのだろうと思う。

TEXT:河崎直人

アルバム『アー・ユー・グラッド・トゥ・ビー・イン・アメリカ?』1080年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. レイアウト/Layout
    • 2. プレッシャー/Pressure
    • 3. インタビュー/Interview
    • 4. ジャズ・イズ・ザ・ティーチャー/Jazz Is The Teacher (Funk Is The Preacher)
    • 5. シー・スルー/See-Through
    • 6. タイム・アウト/Time Out
    • 7. T.V.ブルース/T.V. Blues
    • 8. ライト・アイド/Light Eyed
    • 9. レヴェレイション・マーチ/Revelation March
    • 10. アー・ユー・グラッド・トゥ・ビー・イン・アメリカ?/Are You Glad To Be In America?
『アー・ユー・グラッド・トゥ・ビー・イン・アメリカ?』(’80)/James Blood Ulmer

OKMusic編集部

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