サンリオキャラクターの “カワイイ
” 秘密が解き明かされる 『サンリ
オ展 ニッポンのカワイイ文化60年史
』レポート

2021年9月17日(金)から2022年1月10日(月・祝)まで、六本木ヒルズ森タワー52階・東京シティビューにて、『サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史』が開催されている。2020年に創業60年を迎え、今までに400以上ものキャラクターを生み出してきたサンリオ。本展は、サンリオの歴史を紐解き、6つのゾーンと10のテーマでその魅力を余すことなく紹介する展覧会だ。以下、サンリオ史上最多となる800点以上にのぼるキャラクター商品や原画、多数の資料が公開される充実の展示を紹介しよう。
ハローキティとリトルツインスターズ。“カワイイ” を代表するキャラクターたち。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
人気キャラクターやグッズが集結
サンリオの歴史を知り、キャラクターに詳しくなる
サンリオは高度成長期の1960年、ものがあふれるようになった時代に起業。今後は実用性だけではなく、遊び心をもたらす商品が必要になると考え、“カワイイ” という付加価値を重視することにしたそうだ。そこで登場したのが「いちご」シリーズ。この “カワイイ”にこだわりぬいて深める姿勢が、後に誕生する数々のキャラクターの魅力につながっているように思う。
“カワイイ” のはじまりは「いちご」シリーズだった。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
「いちご」シリーズの商品。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
初期のサンリオは人気イラストレーターのデザインを使用していたが、次第に独自のキャラクターをつくろうと考えるようになる。やがてシンプルな英字とイラストからなる「LOVE IS」シリーズに三つ編みの女の子が登場、作者がその少女に感情移入して背景を考え、パティ&ジミーというオリジナルキャラクターが誕生した。
1960年代半ばには、人気イラストレーターの絵をつかった商品が人気を博す。イラストレーターはやなせたかし、水森亜土、内藤ルネなど、名だたる顔ぶれ。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
オリジナルキャラクター開発中の資料。この子供たちのイラストが、パティ&ジミーの誕生につながっていく。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
パティ&ジミーは、初期のサンリオを代表するキャラクター。アメリカの雰囲気を漂わせるデザインが特徴。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
会場は、マイメロディやリトルツインスターズ、ポチャッコやシナモロールなど、人気キャラの資料や多様なイラストが関連グッズと共に紹介されている。一つひとつのキャラクターに詳細な設定があり、それが各キャラクターのかわいらしさや深さを増していることを実感させられる。
リトルツインスターズとマイメロディは、同じデザイナーによって同時期に生み出された。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
ハンギョドンやポチャッコにはコミカルなかわいらしさがあり、シナモロールはとにかく愛らしい。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
ポチャッコのグッズ。カラフルで躍動感があり、手元にあると元気になれそうだ。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
シナモロールの設定書。細かい設定があることで、キャラクターのイメージが固まる。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
サンリオは外国風キャラクターやメルヘンキャラクター、ノンキャラクターやファニーキャラクターといったカテゴリーで、時代に合うキャラクターをつくっていった。例えばパティ&ジミーは、海外がまだ遠い存在だった頃の憧れを体現する外国風キャラクターに該当する。サンリオのキャラクターには考え抜かれた設定や特性があり、それが時代に受け入れられていったのだろう。
外国風キャラクターはパティ&ジミーなど、ファニーキャラクターはけろけろけろっぴなどが該当する。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
ノンキャラクターはタキシードサムなどが該当、メルヘンキャラクターはメローチューンなどが該当する。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
キャラクターの中でも、とりわけ人気者のハローキティ。会場のコーナーも充実しており、レディー・ガガが着用した “ハローキティのドレス” の再現展示や、一時期は入手困難だった「ピンクキルト」シリーズ、第一号グッズのプチパースなどを紹介。その他、ハローキティの諸設定や物語性がないことの強みなど、キャラクターの秘密を詳しく知ることができる。
レディー・ガガが着用した、“ハローキティのドレス”の再現展示。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
ハローキティの人気の秘密が明らかに。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
入手困難な時期もあった「ピンクキルト」シリーズ。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
多くの子供たちの心をときめかせた懐かしのグッズや、サンリオショップでの買い物のおまけのプレミアムマスコットの展示も見逃せない。プレミアムマスコットは、プレゼントのリボンの代わりにアクセサリーやマスコットがついていたら嬉しいだろう、という発想で作られた。紐の先に小さなキャラクターやグッズがついており、携帯電話やカバンにアクセサリーとしてつけるストラップにも似た形のプレミアムマスコットは、多くの子供たちを魅了しただろう。
懐かしのグッズ。サンリオは商品を、手に取る人が感動したり笑顔になれる「ギフト」と呼んだ。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
小さくてかわいらしいプレミアムマスコット。全種類集めたくなる。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
出版業も手掛けるサンリオ
いちご新聞やテーマパークなど、多角的な事業を紹介
本展では、サンリオが創業初期より手掛けていた出版業も紹介されている。最初に出版された書籍は、やなせたかしの初めての詩集『愛する歌』。やなせが自費出版しようとしていた詩集を見て、出版部門を立ち上げて売り出すことを即決したそうだ。その他、マンガ誌『リリカ』の創刊、古書市場では今なお有名なサンリオSF文庫の刊行など、各ジャンルの発展に貢献する出版物を出した。
やなせたかしの初めての詩集『愛する歌』。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
マンガ誌『リリカ』は、全ページオールカラーという異色のマンガ雑誌だった。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
サンリオの出版物。サンリオSF文庫など、各ジャンルの発展に貢献する書籍を刊行した。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
1975年4月から現在に至るまで、サンリオはファンに向けた機関紙『いちご新聞』を発行している。サンリオとファンをつなぐ交流の場として存在し続けているこの新聞は、読者参加型を特徴とし、意見交換などが活発に行われてきた。推しのキャラクターに投票する人気ランキング「サンリオキャラクター大賞」も、もとはこの新聞から始まったコンテンツである。
『いちご新聞』の表紙の再現が、ずらりと壁面に。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
『いちご新聞』には、平和の国「いちご王国」の王さまからのメッセージが掲載されている。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
その他、東京多摩のサンリオピューロランドや大分日出町のハーモニーランドなどのテーマパーク事業も展開している。構想は1970年代から、事業を手掛けたのは1990年という永年の夢だったテーマパークの定義は「ありがとうと言える楽しいコミュニケーションの場」。2つのテーマパークは、今なお楽しい時間や空間を共有できる場を提供し続けている。
サンリオピューロランドやハーモニーランドといったテーマパーク事業も展開。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
増田セバスチャンの《Unforgettable Tower》など
現代アーティスト✕サンリオの有機的な作品も展示
本展では、現代アートの作家たちがオリジナル作品を提供している。会場に入ってすぐ目に入る大きなタワーは、独自の「KAWAII」を追求し続ける増田セバスチャンの《Unforgettable Tower》。新旧さまざまなキャラクターのぬいぐるみが集結し、郷愁や記憶を呼び覚ますタワーは絶妙なバランスで積み重なっており、今後、ハロウィンやクリスマス、お正月といった季節のイベントに合わせた展開も予定されているという。
会場エントランスゾーンにそびえる、増田セバスチャンの《Unforgettable Tower》。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
《Unforgettable Tower》(部分)。懐かしさが詰まっている。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
そして5章の「キャラクター✕アートの世界」では、金魚アートで知られる深堀隆介の《友游》や、彫刻家・森貴也による《脱皮するキティ》、彫刻家・はしもとみおの《My Favorite place》などが展示されている。国内の新進気鋭アーティストたちによるサンリオの再解釈は新鮮で力強く、キャラクターたちに新しい息吹を与えているようだ。
会場風景。新進気鋭のアーティストたちによる展示は、見ごたえたっぷり。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
音声ガイドは、サンリオピューロランドで貸し切りイベントを行うなど、サンリオと縁が深い声優・蒼井翔太がナビゲーターを担当、TBSアナウンサー・山本里菜が解説ナレーターを務めている。内容はキャラクターの誕生秘話やクイズまで幅広く、展覧会をさらに楽しませてくれるだろう(ガイド機貸出価格:1台600円(税込)、収録時間:30分)。
音声ガイドには各キャラクターのネックストラップが。細部に至るまで “カワイイ” があふれている。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
物販コーナーはさまざまなグッズが揃っている。文房具や日用品、ぬいぐるみやお菓子などは、どれも欲しくなってしまうかわいらしさだ。本展限定の商品も多数あるので、見逃さずにチェックしていただきたい。
物販コーナーには、ハローキティのぬいぐるみが。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
充実したグッズ展開。サンリオ展限定商品も多数あるので、お見逃しなく。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
小さな容器の中身は金平糖。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
本展は、サンリオが擁するたくさんのキャラクターたちがどのように生み出されてきたか、どんな設定なのかを知ることができるとともに、サンリオが出版事業やテーマパーク事業など多様な展開を行っており、全体に共通する理念がキャラクターの魅力を強化していることも実感できる充実の展示だ。日常に彩りを与え、明るい気持ちにしてくれる『サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史』、是非堪能いただきたい。
リトルツインスターズは、『いちご新聞』を通じて人気者になったキャラクター第1号とのことだ。 (c) 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376

文・写真=中野昭子

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