鈴木康博

鈴木康博

【鈴木康博 インタビュー】
身近なことだったり、
ふとした時に感じられることを
歌っていきたい

ずっと等身大のことを歌ってきている

今作は歌詞も素晴らしいです。飾ることなく等身大の心情を書かれていますし、メッセージも上目線や説教くさいものではなくて柔らかい語りかけですので、世代を超えて共感を得ると思います。

上目線じゃないというのは、変に売れなくて良かったと思いますね(笑)。僕はフォークソング世代だと思いますが、フォークソングのシンガーソングライターはみんな等身大のことを歌ってきているんですよ。学生時代は学校のことを歌にしたし、恋をすればそれを歌うし、就職したらそこで感じていることを歌うというように。僕も同じように自分の生活や時代に沿って曲と歌詞を作ってきました。キャリアを重ねると、なぜか“ラブ&ピース”みたいなことを歌うようになる人が多いじゃないですか。それだと話題が遠すぎるんですよね。自分はそうじゃなくて、身近なことだったり、ふとした時に感じられることを歌っていきたい。若い人はまだ経験がないから、今の僕が書いていることを読んでもピンとこないかもしれないけど(笑)。

いえいえ、人生の中にある普遍的なことを書かれているので必ず伝わると思います。もうひとつ、『十里の九里』は曲調の幅広さもポイントと言えますね。

昔からそうですけど、僕はやりたいことがたくさんあるんです。いつもそれを全部詰め込むから、“お前はいったい何がやりたいんだ?”とよく言われます(笑)。そういう人間なので、今回も自然といろんな曲が入ったアルバムになりました。ちょっと散漫なんじゃないかなという気もしますが。

鈴木さんが歌うことで統一感が生まれていますし、少ない音数で世界を作っていることも一貫していると思います。

少ない音数ということは意識しました。僕はいろんな音を入れすぎるところがあるから、余計な音を入れないように注意したんです。最近の周りの人たちを見渡すと、みんな音数が少ないんですよね。若い人でも、それこそギターと歌だけだったりする。そういう傾向があるし、そういう音楽はいいなと思って、自分も音数は最小限に抑えるようにしました。

コロナ禍の影響もあると思いますが、今は軽やかだったり、柔らかみのある音楽を求めているリスナーが多い気がします。そういう意味でも『十里の九里』は今の時代にフィットする作品と言えますね。少し話が逸れましたが『十里の九里』はいろいろな曲が入っていて、まずはロックンロールが香る「幸せまでもうちょっと」で幕を開けますね。

この曲は最初はね、Bon Joviみたいな曲を書きたいと思ったんです(笑)。

えっ、そうなんですか!?

はい(笑)。「バッド・メディシン」みたいな曲が書きたくなって(笑)。歌詞は本当にリアルタイムというか、夏にオリンピックがあったじゃないですか。決勝に出られない選手もいるし、この場を目指してものすごく努力をしてきたであろう人を応援したい気持ちになって歌詞を書き始めたんです。そうしたら人生のいろんな節目の応援歌にもなることを感じ始めて、ちょっと気合いを入れて書きました。

“全力で生きて、最後まで手を抜くな”ということを柔らかく歌われているのがいいと思います。続いて2曲目に入っている「映画」はアッパーな「幸せまでもうちょっと」から一転して、アコースティックギターの弾き語りで成立させたバラードという。

僕は音楽を始めた頃、ヤマハの音楽教室に通っていた時期があるんですけど、そこには音楽が好きないろんな人が集まっていたんですよ。自分と同じような同世代もいれば、中学を中退した人だとか、お年寄りの方もいて。当時は音楽の勉強をしたくても頼れる人や場所が本当に少なかったから、みんなそこに集まっていたんです。林 哲司さんとか、斎藤ノヴさん、萩田光雄さんというようなのちに有名になる人もいたんですよ。そういう環境で、みんなでワイワイやっていた時代のことを思い出したんです。

深く心に染みる一曲になっています。前半はアコギ1本で、間奏から3本になって空間が広がる流れや、最後のサビだけメロディーが変わってファルセットにいくアレンジなども“泣き”を増幅していますね。

そういうのは全部思いつきです(笑)。ちょっとやってみたら良かったので、活かすことにしました。もともと最後のサビも同じメロディーだったけど、レコーディングの現場でアドリブを入れてみたら“いいじゃないか”ということになったんです。ファルセットでうまくつながる時と、そうじゃない時があるので、今回はたまたまうまくいきました(笑)。

OKMusic編集部

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