鈴木みのり

鈴木みのり

【鈴木みのり インタビュー】
“これから前へ進んでいくんだ!”と
挑むように歌った

1年3カ月振りとなる鈴木みのりの新曲はTVアニメ『海賊王女』のエンディングテーマ「サイハテ」。ピアノとストリングスで始まり、やがてバンドが加わるドラマチックなロックチューンは、海を舞台にした壮大な物語にぴったりだ。アーティストとして高い意識を持ち、想いをかたちにするため力を注ぐ彼女が愛した楽曲と、アニメとの奇跡のシンクロを味わってほしい。

アニメサイズとフルサイズで
印象が変わる曲なんです

今回の「サイハテ」は『海賊王女』のエンディングテーマですが、実はこのアニメのために書き下ろされた曲ではないんですよね。

昨年の8月にリリースした『上ミノ』というアルバムの収録曲候補でした。大好きな出羽良彰さんが作られた曲だった上に、こういう切なくて、でも心に秘めるアツいものがある曲を自分のソロで歌いたいと思っていた矢先だったから、もうひと聴き惚れしてしまったんですよ。でも、他の曲との並びの関係もあり、結局アルバムには入れられなかったんです。なので、“絶対にどこかで歌いたいので来るべき日のために取っておいてください!”とスタッフさんにお願いしていたら、『海賊王女』のエンディング候補にこの曲を提出してくれて、『海賊王女』の監督が“この曲が一番作品に合っている”と選んでくださったんですよ。おまけに饗庭 純さんが書いてくださった歌詞も、その時からほとんど変わっていないんです。

ええ!? 『海賊王女』の世界観に沿って書き直すこともなく?

はい。もともと2番にあった《どうして一度壊さなければ先へ進めないのだろう》という監督のお気に入りフレーズを1番に持ってきたくらい。だから、最初は“あっ、『海賊王女』ってこういう世界観なのかな?”って、逆に歌詞から想像していた部分もあったんですよ。実際、アニメの序盤を観させていただいて、主人公のフェナが決意を決めて髪を切るシーンに歌詞の世界を重ねていったりもしました。

暗い闇の中で痛みを抱えながらも、ひと筋の光に希望を抱いてしまう人の姿が浮かび上がってくる歌詞ですもんね。それにしても奇跡的なシンクロぶりですが、タイトルも最初から“サイハテ”だったんですか?

いえ、そこだけは変わっていて。もともとの仮タイトルは“渇望”だったので、“渇望”というワードが入ってくる落ちサビの歌詞は、より大切に歌うようにしていました。“サイハテ”という言葉のほうが、未だ行ったことのない場所みたいなイメージが湧いて、『海賊王女』の舞台である海の景色も広がりますし、アニメに寄り添ったタイトルにうまく変化したなぁと思います。

“サイハテ”の先に行きたい、その景色を見たいという想いは“渇望”にもつながりますからね。実際、レコーディングの時はどんな想いを胸に歌われました?

苦しいことがありながらも前に進んでいくっていうフェナの想いを強く意識してました。ただ、今回はフルサイズとアニメサイズで、曲の流れ方とか熱量がかなり変わってくるんですよ。なので、単にフルサイズをカットするのではなく、アニメサイズは別で録り直すという初めての試みをして。“これから前へ進んでいくんだ!”っていう想いを、かなり序盤から持って挑むように歌わせていただきました。

アニメサイズは1番のAメロ、Bメロから、突然ラストの大サビに飛ぶ展開になっているので、単純に切り貼りしただけだと、確かにテンション感に落差が出る気はします。

「そうなんです! フルを一回レコーディングしたあと、アニメサイズ用に切り貼りしたものを聴かせてもらった時、“これはちょっと曲として成り立たないんじゃないか?”と思ったんですよね。実際、アニメ用のサビ部分が使われた『海賊王女』のPVが公開されたあと、8月の『Animelo Summer Live 2021 -COLORS-』で「サイハテ」のフルサイズを初披露させてもらったら、お客さんに“こういう曲だったんだ!?”って驚かれたんです。それくらいアニメサイズとフルサイズで印象が変わる曲なんですよね。

分かります。フルサイズだと溜めが長いというか。

ピアノとストリングスメインの1番はかなり音数少なくて、2番からやっとドラムが入ってきますからね。今までのシングルやタイアップ曲は1番の中に起承転結があって、表情のつけやすい曲が多かったんです。でも、今回は“1番は音数が少ないぶん自分もポツポツと歌いたいけど、じゃあ、どうやって2番から盛り上がっていくか?”とかっていう塩梅が難しくて、そのへんは饗庭さんの歌詞に助けられましたね。饗庭さんの歌詞って表現を無理やり意識しなくても、歌詞が連れて行ってくれるような感覚があるんですよ。

結果、1曲通しての歌声の抑揚も楽曲のドラマチックさを際立たせていますが、その中で特に聴いてほしいところを挙げるなら?

表現という意味で言うと、ずっと自分のことを振り返ってポツポツ呟いていた人物がサビでだけ自分以外の“あなた”に向けて歌っているのが印象的で、唯一光が見えるというか楽しいところでした。この“あなた”というのも、歌う時は特定の人物をイメージするのではなく、人それぞれに離れた場所や手放さざるを得なかった出来事があるんだろうな…という想いを重ねて。それでも生きていかなきゃいけないし、生きていきたいんだっていう自分自身にもある想いや、今まで出会ってきた人たちが自分に期待して託してくださった想いが無駄にならないように進んでいくんだ…という希望を持って歌わせていただきました。

最初は静かだったヴォーカルが、最後にはとんでもない熱を帯びていくのには圧倒されました。なので、MVも例えば海でのロケだとか壮大な風景になるかと思いきや…

海は2ndシングル「Crosswalk」(2018年5月発表)のMVでたくさん出てきたので、あえて海じゃないところで!と(笑)。結果、モノクロ画面で巨大なブラインドを背に目線を外して歌っているという、私の作品の中で一番シンプルな作品になってますね。でも、プリーツがしっかりした襟やスカートと、後ろのブラインドの印影で光と影により、心情を表しています。ただ、昔の私を忘れずに補完してくれるシーンが、実はラストにあったりするんですよ。今回、今までの自分にはなかった感じの、ちょっとクールな楽曲だったので、初期のポップだったり温かみのある楽曲を望んでいる方が“置いてけぼりにされた”って感じないでほしいなと、ずっと思っていたんです。その気持ちを監督が察してくださったのがすごくありがたかったですね。

でも、ジャケットとアーティスト写真は海のようにも見えますね。

これ砂丘なんですよ。大きな水たまりに鍵穴の形をした鏡を差していて、私が鍵を持っている…つまり“サイハテ”の扉を開けて、その先を切り開いていくっていうイメージなんです。実際、今まで挑戦してきた中でも、また新しいところに進めたと感じられる曲ですし、こうして自分のお気に入りの曲がシングルになることがすごく嬉しいので、ぜひたくさんの方に聴いていただきたいですね。
鈴木みのり
シングル「サイハテ」【初回限定盤】(CD+Blu-ray)
シングル「サイハテ」【通常盤】(CD)
シングル「サイハテ」【アニメ盤】(CD)

OKMusic編集部

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