カフェ・マスターの山田武彦と常連マ
ダムの松本志のぶに聞く『クラシック
・カフェ』の魅力とは 演奏とお話を
楽しむ人気シリーズが広島に初出店

「コンサートホールをカフェと見立て、カフェ・マスターの山田武彦(作曲家・ピアニスト)と常連マダムの松本志のぶ(フリーアナウンサー)がゲストの演奏家を招き、演奏とお話を楽しむ人気シリーズ『クラシック・カフェ』が、広島に初出店する。

2022年2月6日(日)広島県・東広島芸術文化ホールくらら 大ホールにて行われる『くらら クラシック・カフェ』(ゲストは三浦一馬(バンドネオン))について、山田と松本に話を聞いた。
ーークラシック・カフェは、2007年から続く人気のコンサートです。どのようなコンセプトで始められたのですか?
山田:クラシック・カフェの「クラシック」は、クラシック音楽のクラシック。そこにお話やお茶を楽しむカフェという言葉をくっつけて、文字通り、音楽を聴き、同時に演奏家のお話も楽しんでいただく企画です。
ピアノを弾く私がカフェのマスターになり、エプロンを締め、お客さまをお迎えします。会場へいらしてくださるお客さまとともに、ゲストとしてお越しいただく演奏家も「お客さま」と見立て、演奏していただきながらお話もうかがってまいります。その時、「常連マダム」の松本志のぶさんに、進行とともにお話をたくさん引き出していただきます。
ーー松本さんは、2009年から「常連マダム」として出演していますね。
松本:お話をいただいた時は、嬉しくて飛び上がりました。もともと音楽を聴くのが好きでコンサートなどにもちょくちょく行っていました。でも友人たちの中には、私と同じく音楽は好きだけれど、クラシックのコンサートというと「何を着ていけばいいの?」「なんだか敷居が高そう」と言う人がたくさんいたんです。コンサートに行き慣れていない方にも「クラシックのコンサートってこんなに楽しいんだ!」「気楽に行っていいんだ」と思ってもらえるような場があれば良いな、そんな場に関わりたいな、と考えていたので『クラシック・カフェ』はまさに夢のような場所でした。
回を重ねて嬉しかったことは、実際に何回も聴きにいらしてくださるお客さまが多く、「毎回通っています」という方が全体の半分ほどいらっしゃったこと。通なクラシックファンの皆さんとともに、その日のゲストや楽器をよく知らないまま通ってくださるお客さまもたくさんいらっしゃったことです。公演で「この演奏家はこんなに魅力的なのですよ」とその日のゲスト演奏者の素敵な人となりをお伝えできると、演奏家を見るお客さまの目が変わってきて、「この演奏家さん大好き」と言って家路についていかれます。また、普段聞けないような裏話や楽器のアレコレも見聞きすると、ちょっと得した気分を味わえますよね。そして、別の演奏会にも行こうと思ってくださるような雰囲気を作ることもできるようになります。そうなると、本当に願いが叶ったという気持ちになります。
ーーリアルに常連になるお客さまもいらっしゃるなんて、素敵なシリーズですね。
松本:カフェ・マスターの山田さんのトークの魅力やお人柄、そして何といっても演奏が素晴らしいのです。また、共演される演奏家によって、山田マスターはいろんな顔を見せてくださいます。私はマスターを「音の魔術師」と呼んでいます。
山田:ゲストにこのシリーズについてお伝えすると、普段の演奏会ではあまり見られない組み合わせの音楽も用意していただけることもあります。トークのない普通のクラシックの演奏会でしたら、例えば「今日はドイツの音楽だけでやろう」とお考えになると思います。けれど、『クラシック・カフェ』では、シリアスな作品から親しみやすい名曲にいたるまで、幅広いジャンルのものをご用意してくださり、それがご一緒する一番の楽しみでもあります。
ーー大田区民プラザで始まったこのシリーズは、近年では他のホールでも開催されるようになりました。今回、日本酒の町として知られる東広島市のくららホールで『くらら クラシック・カフェ』が行なわれます。昨年、山田さんはこのホールで演奏されたそうですが、ホールの印象はいかがでしたか?
山田:まず美しいです。木のぬくもり、そして音の響きがとても美しく、アンサンブルするにはとてもありがたかったという印象です。
ーー今回のゲストは、バンドネオン奏者の三浦一馬さん。彼の魅力についてお話しいただけますか?
山田:カッコいいのです。風貌ももちろんですけれど、音楽もとても良くて、カッコいいなと思わせる方です。
バンドネオンは、タンゴという音楽のジャンルに欠かせない楽器です。これは三浦さんの言葉でもありますが、タンゴには、どちらかというと夜のムードや大人の音楽が感じられます。年齢では私の方が大人のはずなのですが(笑)、逆に「大人とはこういう感じのもの」と彼に教えてもらっている。そういうことすらある、大人の音楽家です。
公演ではまずは、バンドネオンの音色をお楽しみいただきたいと思います。何とも言えない、むせぶようなメロディの美しさや、どうやって弾いているのだろうと思わせる難しそうな技術なども、すぐに聴きとっていただけると思います。
ーー松本さんはこれまで3回、三浦さんと共演していますね。
松本:三浦さんは、たぶん『クラシック・カフェ』の常連ゲストになっていますね!
初めてお会いしたときは、何となくやんちゃな感じもありましたが、男っぽさ、大人っぽさがどんどん増しています。それはたぶん、三浦さんご自身が小さなころから積み重ねてきた経験が実になって、目に見える形で一年一年結果を出されているからだと思います。
山田さんが「大人っぽい音楽」とおっしゃいましたが、例えば、私の娘は9歳ですが、三浦さんの演奏を1曲聴くと、「カッコいい、もっと聴きたい」と言います。それでも2時間みっちり聴くのは9歳に娘にとっては大変なことです。「あぁ、大人の世界だ」と途中で何となく疲れてしまうみたいなんです……。
でも、『クラシック・カフェ』ではトークが入ります。楽曲や楽器についてのお話や、ここに至るまでの楽しかった、大変だった経験談も楽しく交えて2時間お伝えしていくので、お子さまもクラシックについて詳しくない方も楽しめますし、音楽に詳しい方にとっても「そうだったの?」という情報が必ずある、そのような内容のコンサートですので、年代に関係なく皆さんにお楽しみいただける演奏会になると思います。特にバンドネオンという楽器については、皆さん、びっくりするようなお話がたくさん飛び出すと思います!
ーーところで、『クラシック・カフェ』では、いつも舞台でコーヒーを淹れるそうですが?
山田:カフェのマスターですので、私がコーヒーを淹れます。舞台にはテーブルがございます。今回も、舞台上でそうさせていただければと思っているのですが、コロナの感染のこともありますので、いろいろと配慮しなければいけないと考えています。今回は、「くぐり門珈琲」さんにコーヒーをご提供いただくことになりました。それから、今回のお茶菓子は、樽の形をした「さくらや」さんの樽最中です。
ーーコーヒーに最中、とても渋い組み合わせですね。
山田:バンドネオンとピアノのようですね(笑)。
ーー松本さんは毎回、マスターのコーヒーを召し上がっているのですか?
松本:今回もとても楽しみにしています。マスター、お水もスペシャルなのですよね!
山田:西条の酒蔵の杜氏さんたちによって、「利き酒」ならぬ「利きコーヒー」で選ばれた豆がブレンドされています。それから、酒を造るときの仕込み水も使います。お客さまには別の豆になりますが、「くぐり門珈琲」さんが用意してくださったスペシャルブレンドをお配りします。
松本:毎回通ってくださるお客さまは、「今回はどんなお菓子だろう?」と楽しみにしてくださっています。もちろん、私も楽しみです!
ーー当日、『くらら クラシック・カフェ』が開催されるホールと同じ建物の、別のスペースで盆栽のワークショップも行なわれるそうですが……。
山田:実は、庭師の着能松太郎さんにお会いして、盆栽を体験しました。
松本:どうでしたか?
山田:盆栽の「ぼ」の字も知らなくて、一から教えていただきました。江戸時代から続く庭(にわ)能(よし)花園の庭師でいらして、手つきは本当に簡単そうに見えるのですが、そんなに簡単なものではないです。それをやさしく手ほどきしてくださり、いろいろな草花の基本的な知識なども教えていただきました。
ーー読者のみなさまへメッセージをお願いします。
山田:私たち『クラシック・カフェ』は、広島初出店となります。いまはとても難しい状況ですが、お客さまに何とかいらしていただき、その時でしか聴くことのできない音楽やお話、そして盆栽も含めますと、直に見て、聴いて、触って、食べて、飲んでと、五感を使って楽しんでいただければと思います。
松本:「みんなで行きましょう」と大きな声で叫べないご時世で残念ではありますが、私たちは今、本当に美しい音色を求めているのではないかと感じます。その音色が、日々溜っていくストレスや、固まってしまった心を優しくほぐしてくれるのではないかと思います。日本中のクラシック・カフェを追いかけている「常連マダム」といたしまして、広島の皆さまにも、まずは山田マスターの魔術師たる演奏ぶり、ゲストの三浦一馬さんとのコラボレーションを一緒に楽しみ、癒されていただきたいです。そして、『クラシック・カフェ』のファンになってくだされば、これ以上に嬉しいことはありません。
取材・文=道下京子

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