Base Ball Bearの若さ漲る
傑作『C』に
パッケージされた熱情と疾走感

『C』('06)/Base Ball Bear

『C』('06)/Base Ball Bear

今週は今年結成20周年、メジャーデビュー15周年を迎えたバンド、Base Ball Bearから彼らの名盤を取り上げる。10月27日にニューアルバム『DIARY KEY』をした彼ら。ご存知の方も多いことだろうが、4人編成でデビューしつつも2016年に3ピースバンドへと移行しており、この間、バンドスタイルの根幹も変わっているので、“さて、どのアルバムを選んだものだろう?”と悩んだだが、ここは素直にメジャー1stアルバムである『C』とさせてもらった。結論から言えば、名盤と呼ぶに相応しい作品であって、ナイスチョイスであったように思う。

剥き出しのサウンドとアンサンブル

各地で急に気温が下がって、軒並み今シーズン一番の冷え込みとなった10月下旬。東京は12月下旬並の寒さで、同じ日の札幌よりも気温が低くなったとか。そんな時期に『C』を聴くというのは、自分でセレクトしたこととはいえ、とても不思議な体験であったことをまず記しておきたい。場違い…と言うと、あんまりいい意味に受け取られないかもしれないけれども、誤解を恐れずに言えば、居心地が悪いというか、座りが悪いというか、何かそんな感じに近かった。例えるなら、かまくらの中でおでん食べるような感じというかーーいや、寒い中で温かい食べ物はジャストフィットだから、状況は似てるが多分それは間違い。全員が礼服のパーティーにひとりアロハシャツで出席するような感じというか、自分以外が全員高校の同級生同士の宴会に出ている感じというか…どうもぴったり来る喩えが思い浮かばないが、何かそんな感じだった気がする。寒い時期に合わないということはひと言で言えば夏っぽいというふうに聞こえるかもしれないが、それはレゲエやハワイアンに寄っているということではない。そういうことではなく、これはまごうことなきロックである。小細工なし!と言い切ってしまうと若干語弊があるかもしれないが、わりとストレートなロックであることは間違いない。バンドが発する熱量と、それを押し出す圧力が半端ない。これも正しい表現かどうか分からないが、熱々なものを無理矢理に身体にねじ込まれるようなそんな印象なのだ。“それなら肌寒い季節に合ってるじゃねぇか!?”とのツッコミが聞こえてきそうだが、率先して例えた自分からして、もはやどう例えたらいいのか訳が分からなくなってきたので、早速、具体的に楽曲を見ていこう。

オープニングはM1「CRAZY FOR YOUの季節」。この『C』に収録されているのは<Album ver.>となっていて、本作に先駆けて“Introducing Album”としてリリースされた『バンドBについて』でもオープニングを飾ったナンバーの別バージョンである。だが、それこそパンクがレゲエになったような大きな変化は感じられず、というか、この楽曲の特徴のひとつと言える疾走感はあえて変えてないようだ。とにかくグイグイくる。ギターは細かい単音弾きで様々なフレーズを聴かせてくれているし、ベースも結構激しく動いている。ドラムはAメロではハイハットを細かく刻みつつ、サビ前ではタムを多用するなど、こちらもなかなか忙しい。各々はなかなか手数が多いのだが、パッと聴いた感じは全員が全員、前のめりにガンガンと進んでいく感じで、そこがかなり特徴的だと思う。何か難しいことをやっているという印象はほぼなくて(実際には決してそんなことはなく、前述の通り、各々いろいろとやっているのだが、)、とにかく各メンバーが音をかき鳴らしている印象の方が強い。みんな、音を出したくて仕方がなくて出しているーーそんな感じだ。

その疾走感は続くM2「GIRL FRIEND」でも衰えない。厳密に言えば、M1よりは若干BPMは下がってはいるようだが、落ち着いたところはまったくない。イントロ~Aメロではエレキ、ベース、ドラムのユニゾンで一丸となったバンドサウンドが楽曲を引っ張りつつ、Bメロ以降はパンク的なリズムも聴こえてくる。歌は転調もするが、演奏にはあまりギミックは感じられず、いい意味で剥き出しのサウンドとアンサンブルである。テクニカルではないけれど、だからこその良さが確実にある。

OKMusic編集部

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