[Alexandros] アリーナツアーファイナルレポート!

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[Alexandros] アリーナツアーファイ
ナルレポート!

「ALEATORIC ARENA 4 DAYS」武道館公演 ライブレポ

10月27日、[Alexandros]が日本武道館にてワンマンライブを開催した。「ALEATORIC ARENA 4 DAYS」と題し、10月12日の横浜アリーナ公演を皮切りに計4公演を実施したアリーナツアーの最終公演である。
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開演直前、メンバー4人の顔を模した可愛らしいキャラクターのイラストがステージ上のスクリーンに映し出され、その後、所属レーベルのロゴと共に、武道館のアリーナ席を上空から移したオープニング映像が映し出される。
ステージ上に川上洋平(Vo / Gt)、磯部寛之(Ba)、白井眞輝(Gt)、リアド偉武(Dr)、そしてサポートメンバー・ROSÉ(Key/THE LED SNAIL )の5人が現れ、ライブが始まる。1曲目は、今年6~7月にかけて行われたライブハウスツアー「ALEATORIC TOMATO Tour 2021」も含め、今年のツアーで披露されてきた未発表のインスト楽曲。
楽器同士がカオティックに、獰猛に、絡み合いぶつかり合う、そんな完全に「攻めた」オープニング楽曲だが、この曲を初っ端に持ってくるところに、[Alexandros]の「今」を感じる。
今年リアドが加入した新生[Alexandros]は、今まさに、その生まれ変わったロックンロールバンドとしての肉体を瑞々しく謳歌しているのだろう。
熱を帯びたバンドの演奏は、そのまま一気に視界を開くように2曲目「ムーンソング」へと続いていく。
感染対策で観客の声出しはNGだが、それでも会場中から沸き起こる手拍子が、バンドが発する熱が確実に武道館の空間中に伝播していることを伝えている。
続けて「Run Away」、そして「FISH TACOS PARTY」へ。その覚醒感のある演奏と、サイケデリックな、シュールな、ポップな、SFチックな……そんな、なんとも形容しがたい独創的なバックスクリーンの映像が相まって、[Alexandros]にしか生み出せないドープな極彩色の空間が生み出されていく。
続く「Beast」では、そのグルーヴィな演奏に合わせて歌詞がタイポグラフィとなってスクリーンに映し出される。今、武道館には音が、言葉が、色が、溢れている。肉体も、精神も、目の前にいるバンドに満たされていくのを感じる。
スケールの大きな演奏が響いた「Girl A」、そして、曲が始まると、声が出せないながらも客席の人々が腕を上げて一体感を生み出した「アルペジオ」と、包容力を持った楽曲を続けて演奏すると、会場には雨音のサンプリング音が聴こえてくる。
始まったのは「Thunder(Bedroom Joule ver.)」。去年、リモート制作されたコンセプトアルバム『Bedroom Joule』に収録されたこのバージョンは一見、陰鬱でダークな世界観を描くが、その深く重い音世界は、不思議と心に安堵をもたらすような穏やかさと浸透力も持っている。
そして、続けて「Swan」。肉体的なグルーヴが、水たまりの表面をまだらに反射する光のように、キラキラと会場を揺らす。
その後、川上が「一昨日、お誕生日だった後ろの人に 」と、10月25日が誕生日のリアドを振り向きアコギで「Untitled」を少し奏でると、続けて白井と共に、自身が出演する『Panasonic×花王「#センタク」』のCM曲を少し演奏するサプライズも。
そして、「この曲は、できれば手拍子はなしでお願いします。他の曲は全然いいんです。でも、次の曲はうちらだけのビートで皆さんに届けたいので」と川上が観客に向けて語り、始まったのは「Travel」。
このMCのあと、演奏が始まるやいなや、すぐに演奏を止めて「すいません、もう1回」とやり直す姿には微笑ましい愛嬌を感じたが、そんな「ありのまま」な姿も含めて、安易な一体感を求めるのではなく、ひとえに、自分たちの生き様と孤独を聴き手に届けようとするバンドの姿に胸打たれる。
「Travel」は全編英語詞の楽曲だが、バックスクリーンには、歌詞の日本語訳も映し出される。
続くMCでは、プライベートでの武道館での思い出を振り返る。川上が「俺と白井くんのふたりでノエル・ギャラガーのライブを観に武道館に来たときに、最後の「Don’t Look in Anger」を、肩を組んで歌って。そのときに、『高校からこいつと一緒にバンドやって、今も一緒にノエルの歌を歌っているの最高だな』と思った……そんな武道館の思い出があるんだけど、覚えてる?」と白井に問うと、白井は「今、思い出しました」と、すっとぼけてみせる場面も。
そんな白井が強烈にギターをかき鳴らし歌ったBlankey Jet City「赤いタンバリン」の一節に続いて始まった「You Drive Me Crazy Girl But I Don’t Like You」で再びバンドはボルテージを上げていく。
「武道館のかわいこちゃんに捧げます!」という言葉とともに始まった「Dracula La」では磯部がベースを弾きながらステージ上を動き回り、バンドのテンションは一気に頂点へ。
続く、「月色ホライズン」の間奏でのメンバー紹介では、リアド、磯部、白井、ROSÉの順番に見事なソロ演奏を披露。最後の川上はソロ演奏の代わりにステージ中央でスポットライトを浴びながら、無言のまま立ってみせる。
その「立ち姿」だけで、ロックンロールバンドのフロントマンとしての矜持を体現して見せる彼の威風堂々とし佇まいは、やはり別格だ。
「Philosophy」で、地の底から湧き上がり天井に上っていくようなカタルシスを会場にもたらすと、「This Is Teenage」、「Starrrrrrr」、「風になって」と、バンドの持ち前のポップネスと自由なグルーヴ感を強く感じさせる楽曲が立て続けに演奏されていく。
このライブでは曲間にMCなどが頻繁に入ることはなく、むしろ、1曲1曲が波のようになだらかに繫がって、曲から曲へとエネルギーを受け渡しながら、その連続性の中で熱量を増大させていく演出が秀逸だったが、中でも、リズムの多様さが音楽性の豊かさに繋がっているこのバンドにおいて、頼もしく、柔軟に、グルーヴの土台を築き上げていくリアドは、早くもバンドの屋台骨としての存在感を発揮していた。
そして、川上がハンドマイクに切り替え、サポートギターを迎えた6人編成で始まったのは、映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の主題歌として今年リリースされた「閃光」。
疾走感溢れる楽曲だが、その衝動性溢れるサウンドの中にも、バンドが育み続けてきた繊細な音楽的機微を抱くこの曲は、見事に今の[Alexandros]の「成熟した青さ」というべきものを感じさせる。
そして、その勢いの中で「Kick&Spin」、「PARTY IS OVER」を披露し、本編は終了。最後の「PARTY IS OVER」は、「終わりたくない」という気持ち、「終わるから美しいんだ」という現実、その相克によって生まれる「今」という瞬間の尊さを実感させる素晴らしい演奏、そして演出だった。
スクリーンに映し出された「CLAP」の文字と照明の点滅によってアンコールを求める拍手がより大きくなると、再び5人がステージに登場。
ファンキーなポップソング「あまりに素敵な夜だから」を披露し、会場を盛大に揺らす。この曲の演奏が終わると、川上が今の想いを語る。
「この時間に外でご飯を食べてもよくなってきたし、ライブも、そろそろ皆が声を出して騒ぎに騒げる日が訪れる……そんな予感がしています。もちろん、楽観的なことは言えないし、言いたくない。でも、希望は絶対に持ち続けたいし、言い続けたいなと思っています。我々は主催者側として、騒ぎたいロックンローラーとして、もっと皆さんの声が溢れて、モッシュやダイブができる、そんな場を提供したいと思っています。一刻も早く、そんな空間を作りたいと思っています」
――川上が言うように、これは楽観的な気持ちから発せられた言葉ではなく、祈りにも似た、言霊を信じようとする表現者として発せられた言葉だったのだろう。この彼の言葉に対して、観客は大きな拍手で答えた。
そして、「俺たちが世界一のバンドだ!」という叫びから、バンドの代名詞的1曲「ワタリドリ」へ。
リリースされてからしばらくの時間が経っている曲だが、この曲はいつ聴いても、未知なる世界が、まだ見ぬ未来が、今まさに目の前に開かれていく――そんな、今この瞬間を生きる興奮を味合わせてくれる。
会場全体が熱狂の渦の中に突入し、そして、最後の最後は……なんと、新曲が披露された。
終演後にスクリーンで上映されたプロモーション映像でわかったことだが、「Rock The World」と題されたこの新曲は、来年2月に劇場公開されるアニメ映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』の主題歌として制作されたもの。
バンドの叙情性が豊かに花開いた、青春性溢れるダイナミックなロックソングだった。
未発表のインスト曲で始まり、新曲で締める――ひとえに、変わり続ける[Alexandros]の「今」を生々しく伝えるライブだった。
「Rock The World」の演奏が終わり、これにて本当に終演……かと思いきや、規制退場のアナウンスが始まる前に再び川上がステージに登場し、場内に流れていた「かえりみち」の一節を歌うというサプライズも。
本当に最後の最後まで、[Alexandros]というバンドの優しさと強さと孤独、そして、その愛らしさに抱かれるような夜だった。
ちなみに、この日は終演後にファンクラブ会員限定のアフタートーク番組・第二回「あとがきのparty」も生配信された。
そこでは、武道館も「小ささを感じた」と語り、より大きな規模のライブを心待ちにするリアド、「改めて、武道館という会場の特別さを感じた」という白井、お客さんやスタッフの協力に感謝しながら、この状況下でもツアーが実施できたことの喜びを語った磯部、そして、「この年齢で絆って生まれるのかなって心配だったけど、何の問題もなかった」と、リアド加入後の新たな4人での門出を祝した川上……と、各々が今回の武道館公演、ひいてはツアーに対しての想いを語る。
他にも、3人が用意していたプレゼントを渡し、さらに「Untitled」もフルで披露してリアドの誕生日を祝福したり、新曲「Rock The World」も少しだけアコースティックで披露、また『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に声優として参加したときの裏話などなど、和気あいあいとした空気の中で、貴重な光景が繰り広げられた。
Text by 天野史彬
Photo by 河本悠貴

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