反田恭平×JNOメンバー座談会【Vol.
5】管楽器編~鈴木優(Hr.)&古谷拳
一(Fg.)〈後編〉

連載でお伝えしている「反田恭平✕JNOメンバー座談会」。前回からファゴット古谷拳一、ホルン鈴木優を迎えた管楽器メンバーとの座談会をお届けしてきたが、今回が最終回。お二人にリサイタルについてプログラムや各楽器の魅力を聴いた。
◆ファゴット 古谷拳一(2021年11月18日 東京公演/11月24日 奈良公演)~いろいろな“愛のかたち”を高らかに歌い上げる
――今回のご自身のリサイタルに関しての思いやラインナップについてお聞かせください。“愛”という言葉が目立つラインナップですね。
古谷:はい、前半は“愛”をテーマにしたアレンジものの作品で固めてみました。「愛の悲しみ」、「愛の挨拶」、「愛の妙薬」……ヴァイオリンやチェロのために書かれた曲をファゴットで吹いたらどうなるかを試してみたかったんです。それから、ファゴット用の曲はマニアックになってしまうので、むしろ、皆さんにも親しみのある曲で一緒に音楽を共有したいというところから考え始めました。自分自身の感情をそのまま楽器で鳴らせるような曲がイイなという思いと、声を出さなくても音楽で皆さんと愛の音楽を共有できたらという思いで、最終的にこのラインナップになりました。
反田:ふるけんは、音色に対しても音楽に対してもこだわりが強い人なので、何かテーマはあるかと予測していましたが、ここまで「愛」にこだわるとは予想していなかったな。
古谷:こういうピンク色のプログラムはなかなかないので、とことんピンク色にしてみようと拘りました。
一同:(笑)。
鈴木:そういうの上手そう!
反田:合ってるよね。
――後半はいかがでしょう?
古谷:後半はクラリネットに焦点を当てて演奏してみたいと思いました。オケの中ではクラリネットとファゴットというのはデュオで弾くことが多くて、ファゴットの音は、いつも“ポポポポ”言っていてとても滑稽なのですが、それにクラリネットの甘美な旋律が入るとハーモニーが生まれるんです。今回、素晴らしいクラリネット奏者二人にお声掛けしまして、東京、奈良二公演それぞれ違うお二人にお願いする予定です。そして、最後にファゴットのオリジナルのソロ曲を一曲入れさせて頂きました。この作品も前半のラインナップのように“愛”に関わる作品です。
――ファゴットという楽器には、官能的な一面もあるのですか?
古谷:ファゴットは、普段は地味にベースを吹いたり、効果音的に滑稽に扱われているところがあるので、「高音の高らかな音もあるんだよ」という一面もお聴かせしたい思いもありました。僕は歌い上げる音楽が好きなので、とことん心から歌い上げて、心から演奏してみたくて、このような選曲にしてみました。
一同:素晴らしい!(全員拍手)
――後半に演奏される、ソロのオリジナル曲「ランメルモールのルチア」は、もしかして、あの長大な「狂乱の場」ですか?
古谷:そうです。作品の中の一場面やアリアをファゴットのバージョンに編曲したものです。いろいろな愛のかたちを伝えたい思いがあって、“愛憎”や“愛による狂乱”もお聴かせできればと思いました。
反田:ふるけん、この1~2年で何があったのか……?
古谷:恋愛をすることがすべてではないですし、失恋とかいろいろ勉強できて……。
反田:何があったんだ~!(笑) いや、いいと思うよ。こうやってプログラムをめぐってそれぞれがいろいろなことを考えるのは素晴らしいことだよね。
そういう意味でも、今後、毎年続いていくといいと思いますね。例えば、古谷君だったら、“愛”のテーマが来年には“憎しみ”になっているかもしれないし(笑)。こうやって、室内楽もみんなでレパートリーを増やしていきたいよね。
――古谷さんの“愛”のかたち楽しみです。
反田:いや、前回も彼は人に対しても、物であっても、とにかく愛情を注ぐことに秀でているという話をしましたけれど、彼を知っている人間としては、彼が愛にちなんだ作品を吹いている姿がスゴく想像できるし、絶対にいいものになると思いますね。
古谷:ありがとうございま~す!
◆ホルン 鈴木優(2021年12月16日 奈良公演/2022年1月14日 東京公演)~ホルンのトリオ。一人では実現できないことをJNOで
――今回のプログラムについて内容や編成などをお聴かせください。
鈴木:ソロ演奏も考えたのですが、それは自主公演でも可能ですし、やりたくても、自分一人ではできない曲は何だろうというところからスタートしました。そこで、まず思い浮かんだのがドヴォルザークの「弦楽セレナーデ」でした。
ソロももちろんですが、同じ楽器同士が複数名並んだ時のサウンド感の混じり合いがとても綺麗な作品です。自分一人の力では絶対できない曲ですので、ここは甘えさせてもらおうと、我がままを言いましたら、すぐに受け止めて頂きました。
――ホルン奏者が同時に三人必要な作品なんですね。
鈴木:そうなんです。こういう機会にしか実現しない編成だと思います。他の曲もこの作品の編成とメンバーをもとに室内楽としてバラエティに富んだプログラミングにしたいと思いました。
反田:このホルン三人奏者は、僕の中では最高のトリオですね。
鈴木:庄司雄大さん、信末磧才さんですね。二人とも後輩なんですが、庄司さんはすでにJNOのメンバーですし、信末さんは日本フィルの首席と、優秀な方ばかりです。他のアンサンブルのメンバーはJNOのメンバーに推薦してもらって、集まってもらったという感じです。JNOの仲間たちが推薦する人であれば、信用できますし。
反田:コアメンバーの推薦する人は、皆さん、僕も信頼していますね。「親友の親友は親友」という感じですね。
鈴木:結果として、シリーズの中で、私の編成が一番大きくなってしまいました。やりたいことをやらせてもらったという感じですね。今回プログラムを組んでみて、自分に足りないものと向き合えたというのも実感しています。
反田:今回の優さんのアンサンブルには 20代の大学在学中のホープ、河野星(あかり)さんも入っていますし、このような機会に次世代の才能も発掘していきたいと思っています。河野さんは、実は僕も前から注目していたんですよ。
鈴木:私も今回初めての共演なので、とても楽しみです。
反田:それにしても、この鈴木さんのラインナップ、本当に面白いよね。
鈴木:ライヒャの三重奏曲は、ホルン二本にファゴット一本という珍しい編成です。入れ替わり立ち代わり、三人ソリストがいるような感じの曲なんです。ライヒャという作曲家はホルンが一番響く音楽を把握していて、サウンド感として楽器が最もよく響くところを知っているんですね。それにファゴットが加わっても全く違和感がないんです。
反田:前もお話したと思いますが、僕たちは室内楽も大切にしていて、一日中、ひたすら室内楽を演奏していたこともあるんですよ。その時、優さんとドレーゼケという作曲家の「ホルン五重奏」を演奏したのですが、彼女がイイとか、やりたいという曲はどれも間違いないんですよ。僕もホルンとのクインテットは初めてだったので、あの時はとても勉強になりましたね。
鈴木:そう言ってもらえると嬉しいですね。ライヒャの他にも、ニールセンの「セレナータ」は、また雰囲気が違ってクラシカルというよりも艶っぽい曲ですね。これは庄司君がホルンパートを吹いてくれます。
反田:いや、でも体力的にはかなり大変そうだよね。
鈴木:ホルン二人には申し訳ないくらい、ハードなプログラムですね。休みがないので口と顔の周りの表情筋がすごく疲れると思いますが、この二人なら大丈夫だろうと思ってお願いしました。その分、ホルンという楽器が持っているソリストとしての魅力と、ハーモニー楽器としての魅力、その両方を出せるラインナップになっていると思います。
反田:さすが優さんだね。早く聴きたくなってきた。
――ここまで、2021年~22年のリサイタルシリーズについて伺ってきましたが、皆さん、思いもラインナップも個性的で、今後の展開も楽しみです。では、反田さん、いつものように〆の一言をお願いします。
反田:まだまだ、メンバーには話していないことや、少しずつ実現しつつある新たなプロジェクト案も続々ありますので、引き続き、ファンの皆さんには、僕たちの活動一つひとつに注視して、応援してもらえたら嬉しく思っています。
取材・文=朝岡久美子

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