結城アイラが届ける"2つの愛”のバラ
ード「A Promise」発売記念インタビ
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TVアニメ『世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する(以下:暗殺貴族)』にてED主題歌を務める結城アイラの15thシングル「A Promise」が2021年11月10日に発売となる。今作はアレンジにSchool Food PunishmentやSiraphなどでキーボーディストとして活動してきた蓮尾理之を迎え、自身初となるチルウェイブに挑戦した。またカップリングの「Awkward Love」は大人な恋愛模様を描いたジャジーなナンバーに仕上がっており、彼女の歌声に思わず聞き入ってしまう満足度の高いバラードソングだ。「やりたいことをやりすぎてて、本当にこれで大丈夫?」と思わず不安になったと本音を漏らすほど、これまでにないくらい自由な感性で作り上げられた本シングルは、一体どんな仕上がりを見せたのだろうか。

■「暗殺者っぽさはOPにお任せしちゃおうかなって(笑)」
――早速、表題曲についてなのですが、個人的に結城さんのバラードナンバーが大好きなので、楽しく拝聴させて頂きつつ、バラードに対するまた新しいアプローチで「おっ」と思ったり、そんな第一印象でございました。
ありがとうございます(笑)。実は今回のシングルのお話を頂いた時に、元から曲調に関して、バラード指名で……という事だったんです。
――近年の結城さんは結構バラード強めな印象があります。
私自身、元々好きな音楽がキャロル・キングやリッキー・リー・ジョーンズなど'70s〜'80s辺りの洋楽のバラードなので、非常に嬉しいお話ではあるんですが、純粋に自分の趣味全開!という感じでもなく、いま私に付いてくれてるディレクターが20代の女性なんですけど、私の趣味に今っぽいエッセンスを散りばめてくれたことで、単純な流行りの、その時限りの音楽にならず、今にフィットできたと思っています。
――異世界転生モノの作品なのに、楽曲がすごい都会的な感じなのもフックが効いてますよね。
なんというか、異世界転生モノではあるんですけど、ファンタジー感ある曲にはしたくないなって気持ちがありまして。もしかしたら監督とかはもう少しファンタジーな感じを求めてたのかもしれないんですけど、とりあえず駄目元で提出してみよう!と思いまして、結果ありがたいことに通った…という(笑)。
――確かに、最近はジャンルとして定着してるくらい”異世界モノ”のアニメって流行ってるので、ただ作品の世界観を伝えるだけじゃない、違ったアプローチの主題歌があってもいいよなって考えさせられました。
作詞作曲を手がける中で、意識した点は「♪魔法になる〜」という歌詞。ヒロインのディアちゃんが魔法を使うので。あとはディアちゃんの瞳が青色なのでブルーって言葉を使いたいなと思いました。キャラクターの要素は入れてはいるんですけど、普通の歌としてもちゃんと成り立つようにしたかったので、ファンタジー要素満載!というよりも誰でも歌える曲にしたかったんですよね。
――それに付け加えると、ちょっとアダルトな雰囲気も感じられるのも結城さんらしくて好きなポイントです。
主人公のルーグくんというキャラが、転生前はおじさまの暗殺者として活躍していたし、転生後は少年なんですけど、結局前世の記憶は持っている訳なので、なんとなくそういう落ち着いた様子とか大人っぽさも残したかったのもありますね。
――なるほど。世界観よりはキャラクターの内面に寄り添ったイメージなんですね。
そうですね!私の曲はED主題歌なので、きっと作品が持つカッコよさとか、アサシン感みたいな”暗殺貴族っぽさ”の部分はOPで表現してくれるだろうって事でお任せしちゃいました(笑)。EDでは彼が異世界に転生することで初めて学んだ愛情だったり優しさの部分を表現できたらなという事で曲作りを進めていきました。
■「元々は全然こういう方向性の曲じゃなかったんです」
――結構若い世代だと今回チャレンジされたチルウェイブとか、もっと広義に捉えるとヴェイパーウェイブやいわゆるローファイなサウンドって、作業用BGMとして垂れ流しする人も多いんですけど、そんな感じで自分もスッと耳に馴染んだんですよね。
あーもう、嬉しいです。長い間アニソン業界にいても中々こういう曲って作れないんですよね。どうしてもキャッチーさだったりフックを作りに行っちゃう、みたいな方が求められがちなので……。
――いわゆる”アニソン!”って感じのライブでペンライト振って盛り上がる!みたいな……
そうそう、そうです。だから今のディレクターに出会ってから、こんなに自由にやっちゃって良いの?!本当に?って感じなんです(笑)。
――今回は蓮尾理之さんが編曲で加わっている点もポイントだと思いますが、どのような経緯でお話が決まったのでしょうか?
元々、一緒にお仕事したいとは思ってたんですけど、私自身がピアノで作曲するので、アレンジをお願いするならキーボードの方がいいなと思っていました。なおかつ自分が思い浮かばないようなコードとかを書ける方……という事で蓮尾さんにお願いしました。
――チルウェイブという新たな方向性も、蓮尾さんによる所が大きいのでしょうか?
そうですね。今回、蓮尾さんにアレンジをお願いした事が非常に大きくて、作曲した段階では割とスタンダードなバラードだったんです。コード感もとてもオシャレにしてくださいましたし、もっと細かい部分で言えば、アレンジの段階でページをめくるような音を入れてくださったんですが、そういう音色で物語感を表したり、というのは私の発想になかったものなので、やっぱりご一緒できて良かったです。
撮影:大塚正明
■「好きって言われたら好きになっちゃうタイプかも(笑)」
――それでは続いて、カップリングの「Awkward Love」について伺いたいと思います。
先ほどチラッとディレクターの話させていただきましたが、実はその他にも私の周りのスタッフって女子率が高いんです。それで……やっぱり女の子が集まると恋バナとか、盛り上がるじゃないですか(笑)。
――男子には入って行き難い雰囲気の時ですね(苦笑)。
一応、実際の恋愛をモチーフに作った曲ではあるんですが、私の体験ではなくて(笑)。そういう会話から着想を得た感じですね。
――てっきり結城さんご自身の経験かと思ってドキドキしながら聞いてたんですけど……。
それも面白いですけど(笑)。誰かのの恋バナを横で聞きながら「へぇ〜、そんな感じの恋愛をしてるのね?もっと詳しく!」ってなるじゃないですか(笑)。そんな所をベースにしつつ、今回の表題曲「A Promise」を作ってみて、割と幸せな感じの曲に仕上がったので、カップリングは対比で切ない片想いの曲にしたいなというのがなんとなくありました。
――歌詞を見てると男性目線で描かれていますよね。
あくまで男性目線で描く事で、フィクションにはしつつ「(女子はこんな事を思ってるけど)一方その頃、男の人はこんな事を考えてるのかな?」って妄想を膨らませていって、曲が生まれました(笑)。
――結構、共感できるポイントもありましたし、結城さんって実は結構、男心も分かってくれてるな〜って思いました(笑)。
本当ですか?!あ……でも私は割と惚れっぽいというか、好きって言われたら好きになっちゃうタイプかも。相手からの好意を感じられないと動けないタイプというか……。男の人って結構そうじゃないですか?(笑)
――こういう人いる!ってめっちゃ思いましたし、好きって言われたら……そりゃ嬉しいですよね(笑)。
■「ディアバージョンは元々録る予定はなかったんです」
――また今回は上田麗奈さんが演じるディアが歌う「A Promise」も収録されていますよね。
そうなんです!上田麗奈さんに歌っていただいたんですけど、実は元々ディアバージョンは録る予定は無かったんですよ。
――え、そうなんですか!?
ディアちゃんの気持ちにも寄り添っているようだけど、どんな年齢の人に当てはめても筋が通るような、優しいラブソングにしたいなっていうイメージで作り始めたんですけど、実際に完成した曲を聞いてもらって、そこで初めて「ディアちゃんにも歌ってもらおうか」って話が上がりまして。「ぜひ!」という流れで……。
――ディアが歌ってもまた違う解釈で聴けるのが2度美味しいなって思っていました。
結城アイラが歌えば大人っぽいラブソングに聞こえるし、ディアちゃんが歌うとまだ恋ってどんな気持ちなのかよく分からないってぐらいの年齢の子が歌ってるように聞こえる歌になったので、まさしく!という感じです。
――ご自身の歌い方と比べて、何か気付かれた点などありますか?
私も上田麗奈さんのレコーティング見学させていただいたのですが、この曲って結構キーが低いんですよ。でもディアちゃんとしては幼めな声で歌わなきゃならないので、すごく大変だったと思うんですけど、やっぱり声優さんってスゴイな……と(笑)。ひとフレーズでも表情の付け方とか、解釈の捉え方とか、テイクごとに違いが見えて、とても感動しましたし、誰かに歌ってもらう事による発見もありました。
撮影:大塚正明
■「”月が綺麗ね”の答え合わせ」
――さらに配信限定ではありますが、英詞バージョンもリリースされるんですよね。
やっぱりヴァイオレット・エヴァーガーデンの「Violet Snow」を歌ったって事も影響として大きいですし、私自身も元々洋楽が好きで、英語で歌うこと自体も大好きなので、前回の「Blessing」というシングルで英語バージョンも作ってみたい!と相談したところ、叶えていただきまして、せっかくなら恒例化したいなという気持ちもあり、今回も作らせて頂きました。
――おお!シリーズ化希望です!(笑)
あとは、私のYoutubeチャンネルを観てくださってるのが海外の方が多いというのもありまして。日本語ってどうしても主語が曖昧な部分も多い言語なので、より楽曲について理解度を深めていただくには英語に訳して、より具体的に提示した方がいいかなと思い作らさせていただきました。
――英詞に関しては、また別の方に翻訳して頂いてるんですよね?
前回のBlessingに引き続き、アメリカ出身のシンガーソングライターJoelleさんにお願いしています。
――自分の作った曲ではあると思いますが、また他の方に英詞を付けてもらって歌うっていうのは気持ち的にはいかがですか?
歌ってみて、別の曲みたいですよね。ただ、彼女もまたシンガーなので、音のハメ方や韻の踏み方がすごく上手で、歌いやすい譜割にしてくださったので、気持ちよく歌えましたし、なんだか洋楽っぽさが加わったなって感じがしています。
――日本語の歌詞では「月が綺麗ね」と表現している部分が、英詞ではハッキリと訳されていますが、やっぱり結城さん的は意図的にこういう表現にされているんでしょうか。
そうですね。さっきお話させていただいたたように元々ディアバージョンを録る予定はなかったんですが、それでもディアちゃんの気持ちになってA Promiseを見た時に、やっぱりまだ幼いのでこれが恋であるとか分からないだろうと思いまして。そんな子から「愛してる」なんて言葉は出てこないだろうと思い、愛とか恋とか、直接的な言葉は避けようと思ったんですけど、でも結城アイラとして歌う時には「愛してる」をそれとなく伝えたくて、夏目漱石的な表現方法に落ち着きました。
――ただ、それを英語で表現するとなると難しいですよね。
当然、海外の方には「月が綺麗」が「愛してる」だなんて直訳だと伝わらないと思ったので、そこはハッキリと「I love you」で伝えたい、というやりとりをJoelleさんとしながら作っていただきました。
――この曲が本当に言わんとしている部分を、ある種の答え合わせ的な感じで英語バージョンに込めてくるのもニクいというか、お洒落ですよね。
いやもう、Joelleさんがスゴイですよね。彼女はハーフなのでこういう日本への理解度も深いんですが、一方では日本人に無い感性もお持ちだと思うので、彼女のフィルターを通すと私の歌詞ってこういう表現になるのか〜ってスゴイ刺激になりますよね。
――結城さん的にお気に入りのワンフレーズってありますか?
そうですね……。「夢でまた会おうね」って歌詞があるんですけど、日本語だと自分に向けられた言葉なのか、相手に向けた言葉なのか、捉え方次第でハッキリさせずに終わらせることが出来るんですけど、英語バージョンでは「私がそう囁くわ」って言い切ってるのがグッと来ましたね。
――英語ならではの言い切り方ですよね。
こういう事って多分、日本女性のイメージだと、あんまり面と向かって言えない言葉だと思うんです。ここが強い女性っぽさというか、洋楽の歌詞に出てくる女性ってこんな感じだよな〜って感覚が出ていて、とても好きなフレーズです。
■「ただただ可愛いので、癒されてください」
――インタビューの途中ですが、実は、本日この後もうすぐに「A Promise」のMVも公開されるということで、コチラの見所にも触れておきたいです!
今回はリリックビデオにして頂いたんですけど、小森香乃さんという新進気鋭のクリエイターさんにネコちゃんをテーマにしたアニメーションを制作して頂きました。
――猫ちゃんですか!その心は?
私がそもそも動物が好きっていうのもあるんですが、小森さんのすごい可愛らしい犬のイラストをお見かけして、ぜひお願いしたいとご相談した所、曲中で「月が綺麗ね」ってワードが出てくるので「じゃあネコにしましょう」という事になりまして。ネコちゃんが愛する飼い主の帰りを待ち焦がれる……というストーリー仕立てのMVになりました。
――なるほど(笑)。
あとは今回は恋愛ソングなのですが、人間が出てくると生々しいかしらとも思いまして(笑)。MVではより抽象的な感じで、”大切な人”って概念がこのネコちゃんにとっては飼い主さんだと思うし、いろんな捉え方をしていただけるように曲を作ったつもりなので、色んな人に届けばいいなって思っています。
――そろそろ公開予定の時刻となりますが、今回は結城さんと一緒にYoutubeのプレミア公開の瞬間に立ち会わせて頂けるということで、私もこの後、初めて拝見するので楽しみです。
カウントダウンが始まりましたよ!……まぁ、ただただ可愛いので癒されてください(笑)。
――いや〜、ただただ可愛かったですね(笑)プレミア公開ということで、リアルタイムで皆さんからのコメントがあったりもしましたが、改めていかがでしたか?
う〜ん、コメントしたいけど、でもMVも好きだから思わず観ちゃうし、皆さんにも観て欲しいし……みたいな、難しかったです(笑)。でも皆さん「可愛い」ってコメントしてくれてたので、嬉しいです。
取材チームも結城さんと一緒にプレミア公開に立ち会いました
――特に自分は経緯の部分を聞いてから拝見したので「めちゃくちゃご主人さまを待ち焦がれてるんだな〜」って思わずニヤケてしまいました(笑)。最後に改めて、皆さんへメッセージなど頂けたらと思います!
はい!「A Promise」は皆さんの大切な人を思い浮かべながら聴いていただけたらと思いますし、「Awkward Love」については、ぎこちない不器用な愛について描いてますけど、いま好きな人がいらっしゃる方であれば、自分の気持ちに素直になろうって気持ちになってもらえたら嬉しいです。今回のシングルは特に何も考えずとも聴ける2曲だと思いますので、ふとした瞬間にお側に置いて楽しんで頂けたらなと思います。
撮影:大塚正明
インタビュー・文=前田勇介 撮影=大塚明夫

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