橋本環奈&上白石萌音が千尋役! 世
界初演の舞台『千と千尋の神隠し』製
作発表レポート

宮﨑 駿監督の不朽の名作『千と千尋の神隠し』が2022年3月、帝国劇場ほかで舞台化される。世界初演の舞台化にあたり、翻案・演出を手がけるのはミュージカル『レ・ミゼラブル』オリジナル版の潤色・演出を担うなど、演劇史に残る名作を生み出してきたジョン・ケアード。

 
2021年11月9日、都内で製作発表が行われた。その模様を写真とともにお届けする。まずは、登壇者の挨拶を紹介しよう。
舞台『千と千尋の神隠し』ポスタービジュアル
■鈴木敏夫プロデューサー(スタジオジブリ)
この作品は、僕の小さなガールフレンドをモデルに作った映画。あれから20年が経ち、感慨深いです。(出演者の方を見て)舞台、みなさん、頑張ってください! 今回の舞台化にあたり、(宮﨑 駿監督は)「いいよ」と最初に簡単に言ったんです。なぜかというと「俺の手は離れたから」。あんなに多くの人に支持されたのだから、俺のものではない、みなさんのものだと言っていました。
僕は『耳をすませば』という映画を作ったことがあるんですが、それをつくるときにヒントにしたのが、イギリスの方が撮ったドキュメンタリーで、日本の中学生を追いかけていた作品でした。イギリスの人がつくるとこんなに面白くなるんだと、宮﨑と二人で話したことを覚えています。なので、今回はジョンも間違いなく素晴らしい作品を作ってくれると思う。宮﨑もジョンと話して、意気投合していましたから。よろしくお願いします!
■ジョン・ケアード(演出・翻案)
『千と千尋の神隠し』は初めて見た時から、舞台的な演劇的な作品だと思っていました。これは絶対に舞台になると。プロデューサーの鈴木さんと宮﨑さんにお会いした時、絶対に(舞台の上演を)いいとは言ってくれないだろうなと思っていたのですが、何分かお話したら、宮﨑さんが「いいよ」と。でもすぐそのあとに「どうやっていいの?」と。僕はパニックになっちゃって(笑)。
 
上演の許可をいただいて感謝しております。このプロダクションを準備するために、宮﨑さんの作品を全部見ました。『未来少年コナン』は素晴らしいですし、『となりのトトロ』も『風の谷のナウシカ』も見た。ストーリーのなかに、知的で高貴なものが含まれていると思うんですね。繰り返し繰り返し、環境のことをおっしゃっている。ものすごく重要なことを何年も前から。男性と女性の平等、人間と動物の平等なども伝え続けている。
 
一番大事なこと、宮﨑さんの天才的なことは、子どもの心理の中に入り込むこと。それはすごく難しいことなんです。いまだに、子どものように考えることができる、その才能は、チャールズ・ディケンスとかアンデルセンとか、ものすごく素晴らしい物語の語り部と並ぶと思いますし、歴史に名を残すと思います。
 
もうひとつ大切なのは、久石譲さん。ジブリの映画を見ていると欠かせない存在です。音楽的才能を豊かに持ち合わせている。彼も快く音楽を使っていいとおっしゃってくださった。今回はブラッド(・ハーク)が一緒に音楽をアレンジするんですけども、舞台版のスコアを作ってくださいます。鈴木さんと宮﨑さんにお会いした時、鈴木さんが「いいことやって」、宮﨑さんが「楽しんで」とおっしゃった。この(壇上にいる)面々を見ると、映画のキャラクター以上にカラフルですよね。「いい」というのはもちろん努力はしますけど、でも「楽しい」ということは保証できると思います。ありがとうございます。
■今井麻緒子(共同翻案)
私がジブリに出会ったのは大人になってからだったんですが、あっという間に引き込まれたことを今でも鮮明に覚えています。イギリスで生まれ育った子どもたち、それをそばで見ていたジョンまでもが魅了されてしまって、我が家の何%かは宮﨑ジブリでできていると言っても過言ではないくらい、強い影響を受けています。
ジョンがこれを舞台にしたいという言葉を拾って、東宝の方が尽力してくださって、ジブリの方も快諾してくださって、こうやってこの日を迎えられていることが信じられないです。素敵な、完璧なキャストと、素晴らしいスタッフが集まったので、素晴らしい舞台を作っていきたいと、ジョンと二人三脚で頑張っていこうと思います。よろしくお願いします。
■橋本環奈(千尋/Wキャスト)
本当に『千と千尋の神隠し』は語らずとも、日本中のみんな、そして世界中のみんなに愛されている作品だと思いますし、その中で千尋役を演じさせていただくというのは本当に光栄なことだなと思います。だからこそ、演じるという気持ちではなく、舞台上で生きていけるように頑張りたいと思っています。
 
私自身、初舞台になります。なので右も左も上も下も本当に何もわからない状態。周りのキャストのみなさんやジョン・ケアードさんの背中をみて、なんでも吸収して、とにかくまっすぐぶつかっていけたらなと思っております。今、隣にいてくれる萌音ちゃんとはこの舞台が決まってから初めてお会いしたんですけど、なんでも教えてくれて、支えてもらっているので、ついていきつつ、私自身もみなさんのことを少しでも引っ張っていけるような存在に変わっていけたらなとも思います。
 
今まで緊張したことがない性格だと思っていたんですけど、ここに立って、初めて緊張というものを感じていまして。何を喋っているかあとで思い出せないんじゃないかな(笑)。まだどういう風になるか想像はできていないんですが、何事も新鮮に、楽しく向かっていけたらなと思います。よろしくお願いします。
上白石萌音(中央)
■上白石萌音(千尋/Wキャスト)
この映画はもちろん私も大好き。忘れもしないですが、7歳の時に初めて見て、あまりの世界観と子どもながらに恐ろしさと、何か引き込まれるものを感じて、おいおい泣きながら見て、心に刻まれている作品です。その作品を演じることになった巡り合わせを嬉しく、ありがたく思っています。
 
この作品に出演させていただくことが決まってから、本当にたくさんの人から連絡をもらって「見たい」とか「何の役でもいいから出たい」とか、こんなにたくさん反応をもらったことはなかったので、きっとそれだけたくさんの人に注目されている作品だと思います。
 
プレッシャーをぬぐうことはきっとできないので、心地よく味方に感じながら、リスペクトと覚悟と責任を持ってしっかり演じさせていただきたいと思います。映画を見れば見るほど、どうやってやるんだろうという「?」がたくさん浮かぶんですが、きっとジョンの頭の中に素敵なアイディアがたくさんあると思うので、それをしっかり体現できるように精一杯、千尋のように勇敢に頑張りたいと思います。よろしくお願いします!
三浦宏規(左)、醍醐虎汰朗
■醍醐虎汰朗(ハク/Wキャスト)
日本のみならず、世界から愛される作品に参加できることを誇りに、そして幸せに思います。おうちのお風呂で何を喋ろうか考えていたんですが、この場に立つと全部忘れちゃいました(笑)。精一杯頑張りたいと思います。
 
僕自身、プレッシャーを感じていますし、緊張しているんですけど、それ以上にこんなに素晴らしい方々に囲まれているので、胸を借りながら、僕にできることをやっていければなと思います。よろしくお願いします。
■三浦宏規(ハク/Wキャスト)
『千と千尋の神隠し』という素晴らしい作品の初舞台化に、ハクという役で携われることを本当に嬉しく、光栄に思っております。まだまだ何がどうなっていくのか僕自身も分かっていなくて、ワクワクしています。
 
僕が龍になるのか、龍が出てくるのか、分からないんですけれども、僕自身もすごく楽しみにしていますし、ファンの方がとても多い作品なので、精一杯演じたいと思います。
■菅原小春(カオナシ/Wキャスト)
カオナシ、キレキレなの? そんなに動くの? と言われました。確かに私もそんなに動くのかな? ジョンさんどうなんだろう? と何も分かっていないですが、とても神秘的な存在、人物なのか動物なのか宇宙なのか世界なのか分からない生き物を、ただ生きているのは確かだと思うから、その生き物を、人間の最大限の身体表現を使って、毎日一人でも多くの人の輝きになる生物をお届けできればいいなと思っています。(きょうは)きれいにお洋服着たり、おめかししたり、みんなで大人の七五三しているみたいで楽しいです。よろしくお願いします。
■辻本知彦(カオナシ/Wキャスト)※「辻」のシンニョウは点1つ
僕も寝る前に今日何喋ろうかなと考えたんですけど、全部一応覚えています(笑)。ワークショップを一度だけやったんですけど、そのときに舞台美術、衣裳の構想、井手(茂太)さんの振付を見たときにとてもワクワクさせられました。ジョン・ケアードさんの演出は、イギリスの舞台は素晴らしいな、知恵がいっぱい詰まっているなと感じました。その演出を受けていて、自分が子どもの心に戻ったような感じがして、とてもワクワクして。ただただ演出を受けるのが楽しみだなと思っています。
 
宮﨑駿さんについては、僕が5歳の時に、初めて見た映画が『風の谷のナウシカ』だったんですよね。それが僕の人生の一部になっていまして。この作品を通して、見にきていただく方の人生の一部になれたらいいなと思っています。カオナシを演じる上で、踊りは僕はとてもうまいんですよね(笑)、そこにプレッシャーはなくて。でも、うまさで語るとよくないんだろうなと思って、そこに哀愁というか、ダンスのうまさではなく、カオナシの存在で悲しみを表現できたときに、何かちがう身体表現ができるのかなと思っています。
カオナシ役の辻本知彦(中央)が壇上で踊りを披露する場面も
■咲妃みゆ(リン/Wキャスト)
私は幼少期からスタジオジブリの作品の大大大ファンで、全ての作品を拝見してきました。もちろん『未来少年コナン』も拝見しています。この作品のオーディションのお話をいただいたときに、興奮に襲われまして、どうしてもこの作品に携わらせていただきたい一心でジョンさんとのオーディションに挑ませていただきました。そして今この場に立たせていただいていること、本当に夢のように幸せです。
 
先ほど、この素敵なポスターを拝見して、興奮を抑えるのに必死なんですが、こんな状態ではいけないので、しっかりと地に足をつけて、現実世界を生きる千尋の母、そして千尋をしっかりと後押しできる存在であるリンを演じさせていただけるよう、心整えて、お稽古、本番に挑みたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
■妃海 風(リン/Wキャスト)
私も会場に入ってからここに立つまで感動し続けております。キャストのみなさんは、先ほどジョンさんがおっしゃったようにカラフル。そのカラフルに圧倒されている私。本当にたくさんの方々に撮影されている私。それこそ前日、宝塚とかけて、もう少し賢い文章を考えてきたんですけど、感動が優先してしまって、(咲妃と)同じく興奮しており、それをあまり可愛く表現できないぐらい、興奮しています。
 
この先、たくさんの興奮が待ち受けているのかと思うと、すごく興奮しますし、リン役として、湯婆婆役の夏木マリさんと朴 璐美さんのもとで働くという経験。そして、橋本環奈さん、上白石萌音さんの面倒を見るという経験。そんなことは人生でないと思いますので、幸せを感じております。(咲妃の方をみて)がんばろう。よろしくお願いします。
 (c)2001 Studio Ghibli・NDDTM
■橋本さとし(釜爺/Wキャスト)
『千と千尋の神隠し』という作品は、日本の映画史に残り、世界中に愛される作品。それをアニメーションではなく、生身の人間が立体化するというハードルの高さがあって。なおかつ、この作品を見られた方一人ひとりが、キャラクターにも思い入れがあって、ワンシーンワンシーンに名シーンがあって、残像というものがみなさんの心に残っていく作品だと思います。そこに僕たちが生身の体でチャレンジしていくところもまたハードルは上がっていて。そして、SNSなどを見ていると、この作品がどう舞台化されるのか、本当にワクワクしている方が多いんだなと期待値が高まっているし、またハードルがピークに高くなっています。
 
でもその期待に必ず、ジョン・ケアードという世界的な演出家は応えてくれる。舞台化でどのような世界観を表現するか。僕たちという役者、生身の人間を使って表現すると思います。ジョン・ケアードは演出をつけるときに「Let's PLAY」と言うんですよ。僕たち役者を遊ばせる庭を作るのが上手な演出家なので、僕たちはジョン・ケアードを信じ、宮﨑 駿さんが作った作品の力を信じ、責任を持って、見に来られたお客様が楽しめるエンターテインメントにしたいという決意です。
 
本番までにはあと何本か手を生やせるようにがんばりたいと思います。僕、憑依型の役者なんで、必ず何か生えてくると思います(笑)。そこも期待していていください。
■田口トモロヲ(釜爺/Wキャスト)
非常に歴史のある帝劇に出演する緊張。そして、世界中にファンを持っています『千と千尋の神隠し』という演劇作品に出演する緊張。ここだけでダブル緊張なんですけど、さらにジョン・ケアードさんという素晴らしい演出家のコラボレーションを受けるという、これで3つの緊張、トリプル緊張があるわけですね。この三つ巴の緊張を、良き緊張に変えて、自分の味方にして、長丁場なんですが、最後まで完走できたらと思っています。舞台の初日には、釜爺ということで、6本の腕が生えているかどうか、ぜひご覧いだきたいと思います。
■大澄賢也(兄役/千尋の父)
『千と千尋の神隠し』の舞台化、ジョンの演出、素晴らしいキャストの皆様と一緒に舞台を作るというのは、想像するだけで興奮しますし、その中で自分が何ができるんだろうかと考えて、ワクワクしています。
 
今、萌音ちゃんと一緒に『ナイツ・テイルー騎士物語ー』というジョンが作った舞台をやらせていただいています。ジョンはいつもジョークを忘れず、どんなことがあっても穏やかで、年齢とかキャリアとか全く関係なく、誰に対して平等に接し、僕たちを導いてくれます。そんなジョンと一緒にものを作ることがとても光栄で、『千と千尋の神隠し』も楽しみにしています。よろしくお願いします。
夏木マリ(左)、朴璐美
■夏木マリ(湯婆婆/銭婆/Wキャスト)
このメンバーで7月までやってまいります。私はジョンとは『レ・ミゼラブル』以来の再会で、今回はジョンがこの世界をどのように作ってくれるか、今の段階では分からないので、とても楽しみにしています。(映画版の)声をやらせていただいたのは20年前。20年後に実演が舞台でかなうとは思ってもいなかったので、とても楽しみです。
 
声をやらせていただいた時と舞台とは別物として、私自身はフレッシュに取り組ませていただきたい。新人のつもりで、橋本さんと同じ気持ちでやりたいと思っています。
 
20年前にニューヨークにいったときに、ちょうど映画がヒットしていたので、友達に「湯婆婆と銭婆の声やっているのよ」と言ったら、「so what?」と言われて。向こうは向こうで声優さんがいらして、私の意味は何もないわけです(笑)。でもこの7月まで乗り切れば、舞台版の初演をやったのよといったら「OK」とは言ってくれると思うので、エネルギーを注いで、みんなと一緒にいいものをつくって、ジョンの演出も楽しみなので、頑張りたいと思います。よろしくお願いします。
■朴 璐美(湯婆婆/銭婆/Wキャスト)
私の名前は朴 璐美です。『千と千尋の神隠し』の映画が上演されるころ、いろんな方々に、今度出るんだねとたくさん言われたんですね。私はお仕事の依頼を楽しみに待っていたんですけれども、一向に連絡がないので、私から事務所に「ジブリの作品に出ると聞いたんですど」と言ったら、そんなわけはないと。(映画版で千尋の声を担当した)柊 瑠美さんが、私の名前と似ているから、周りが勘違いしたんですね(笑)。
 
そんなこともあって、とても印象深く残っているんですけど、まさか20年経って、千尋役ではないですけども、湯婆婆・銭婆で出演させていただくことに胸がとても躍っております。ジョンのオーディションが「璐美の全てを出して。いろんな矛盾を抱えた存在だけれども、いろんなものを出してみて」と言われたときに、このジョンの目の奥だったら飛び込んでいけると思って、精一杯演じさせていただきました。
 
なので、ジョンの演出を楽しみにしていますし、今ここにいる共演者の方々、とても燃えていると思いますので、私もその熱さに負けないように、帝劇を油屋に変えたいと思います。よろしくお願いします。
 (c)2001 Studio Ghibli・NDDTM
ーー映画『千と千尋の神隠し』の面白さと、今の時点でどんなお気持ちを込めて、千尋を演じたいと思っているか。教えてください。
 
橋本:一言で伝えるのが難しいです。私が『千と千尋の神隠し』を見たのは、小学校1年生ぐらいのときだったんです。それで、人生で初めて見た映画だったのかな。いろいろな感情が、小学校1年生の時には感じたことのない感情にぶつかったというか、怖いという気持ちもありましたし、それでも何度も見たくなる、引き付けられる魅力があって。
 
トンネルをくぐると、こんな世界があるのかなと思って。家族でドライブをしているときに「ここを通ったら『千と千尋の神隠し』の世界観に入っちゃうんじゃないかな」みたいなことを考えていたりもして。映画を見た後に、リアルな人生の中で、体験してみたいなと思うような、ワクワクした空間が広がっているなと、小学生の時に見て、圧倒されたという印象があります。
それでも改めて話が決まって、作品を見てみて、年齢は違っても、圧倒される気持ちだったりとか面白さって廃れないというか。どの年代の方もジブリ作品が好きじゃないですか。引きつけられる魅力があるんだなと思います。今、千尋を演じるということは聞いているんですけど、内容とか、まだ何も決まっていないので、私はどう演じるのかというのはまだ想像できない部分がありますね。でも初めてということもあって、千尋と気持ちが似ているというか、初めてのことに直面すると思うんですけど、千尋と心を通わせて、成長できたらいいなとは思います。
 
上白石:一度見たら忘れられない世界観。夢みたいな世界ですし、すごく壮大でスケールが大きいんですけど、そこにいるキャラクターとか、油屋で働いている人たちは淡々としていて、日常をあっさり生きているみたいなところにギャップを感じてすごく面白いのかなと何回も見るうちに、思ってきました。
 
千尋もすごく怖がったり不思議に思ったり、それでも勇気を出したりとかするんですけど、どこかあっさりさっぱりしているところがあって。そこが子どもの潔さみたいなことかなと思っています。あの世界観の一個一個に驚いたりとか、一つひとつを信じたりとかしながら、とにかくまっすぐに演じることができたらと思います。
 (c)2001 Studio Ghibli・NDDTM
ーー映画『千と千尋の神隠し』でお好きな場面を教えてください。SNSでのビデオコメントでもすでにコメントをいただいていますが、可能でしたらそれ以外の場面をぜひ!
 
大澄:カオナシが初めて千尋の前で「あっ」というところが、僕のツボです。
 
田口:SNSのインタビューを受けたときは「ちなみに他の人はハクが千におにぎりを渡すところ」と聞いて。僕はそれを言っちゃいけないんだなと思って、他のシーンをあげたのですが、やっぱりおにぎりを渡して、千がそれまでの緊張が解けて号泣してしまうところは、思わずもらい泣いてしまいます。
 
三浦:千尋が銭婆のときから帰る時に、扉を開けると、ハクがたたずんでいるところから、最後、クライマックスで、ハクの背中に乗って、千尋が思い出してという流れの音楽と映像のすべてが好きです。感動しました。
 
醍醐:お父さんとお母さんが、豚になる前に食べているご飯が美味しそうだなと。
 
菅原:釜爺が切符を千尋に渡すときに「行きは行けても、帰りはなあ」というところが好きです。
 
辻本:銭婆にいくときの千尋が坊にだっこするよと言うと勝手に歩くところと、机の上で勝手にビスケットをとるシーンです。
咲妃:湯婆婆さんのお部屋に入るところで「おいでーな」と言われて、千尋が魔力で吸い込まれていって、最後すってんころりんするところが好きです。
 
妃海:細かいんですけど、銭婆の家にいくときに、カオナシが入り口で頭打つところ。人間らしさが出ているところが好きです。
朴:私は、一番最初、トンネルの前に来て風が吸い込まれていくという場面。物語が始まるんだなと、ゾワゾワします。
夏木:湯婆婆がカラスになるところかな。
橋本:私もトンネルをくぐっていくときの風の音というか、始まるなというゾクゾク感が好きですね。
 
上白石:おにぎりを号泣しながら食べた直後に、泣いていた千尋がけろっと「ハク、ありがとう、私頑張るね」と走るところが千尋の強さだなと思います。
 
ーー映画版で湯婆婆/銭婆の声を担当された夏木さん。舞台制作のヒントになるような、映画制作時の印象深いエピソードがあれば教えてください。
 
夏木:20年前ですから、怖いですね。最初にアフレコにいったときに、湯婆婆というキャラクターが、ステレオタイプの悪役だと解釈してスタジオにいきました。悪役って楽しいんですね。AコースBコースといろいろ準備をして、頑張ってやっていたんですけど、宮﨑さんが来て「あのね、スタジオジブリには鈴木敏夫という人間がいるんだと。彼は悪い人じゃない。彼は一生懸命仕事をしているんだ。お金勘定しているんだと。時々ある人にとっては悪く見えるかもしれないけど、一生懸命仕事をしている人間なので、この湯婆婆も悪者ととらえず、一生懸命油屋を守っているおばちゃんとしてやってください」というオーダーをいただきまして、なるほどなと。
 
私としては一人で声を入れるから、他の方がどういう塩梅なのか分からなかったけれども、試写を見たらちょうどいい塩梅になっていて。宮﨑さんはエモーショナルなオーダーをしてくださるので、出来上がりを見て感動したのを覚えております。
 
ーー世界初演。これから世界で上演するという意気込みを教えてください。
池田篤郎(東宝取締役演劇担当):この作品を初めてリリースした時に、ホームページで日本語以外に中国語、韓国語、英語、フランス語のサイトを立ち上げました。やはり世界各地にファンの方がいらっしゃるので、ファンの方に届けしたいと思って立ち上げました。実に多くのプロデューサーからご照会をいただきまして、ブロードウェイやヨーロッパ諸国、アジアも含めてですが、各国のプロデューサーから興味をいただいております。
 
もちろん作品をご覧になってからということですので、開幕して、プロデューサーをゲストとしてお迎えすることができると思います。必ずや映画が世界を席巻したように、演劇も世界に向けて、いずれかはどこかの国で上演されることを祈っております。私ども海外でのオリジナル公演は経験済みですので、それに向けて新しい作品が加わっていくことを心から祈っております。
取材・文・撮影=五月女菜穂

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • SUPER★DRAGON / 「楽楽★PAINT」
  • OLDCODEX / 「WHY I PAINT ~なぜボクがえをかくのか~」
  • みねこ美根 / 「映画の指輪のつくり方」
  • POP TUNE GirlS / 『佐々木小雪のイラスト花図鑑』
  • POP TUNE GirlS / 『涼水ノアの、ノアのはこぶ絵』
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』

新着