『コレクター福富太郎の眼』、『ライ
デン国立古代博物館所蔵 古代エジプ
ト展』、宇多田ヒカル『HIKARU UTAD
A EXHIBITION』など11月に訪れたい関
西アート展覧会5選

一気に深まった秋の気配に誘われて外にくり出したくなる季節となった。そんな時は行楽とともに、関西で開催されている展示会を楽しんでみてはいかがだろうか。芸術の秋真っ只中ともいえる11月は、キャバレー王福富太郎のコレクションや250点にも及ぶミイラや副葬品など古代エジプトにまつわる展示品、宇多田ヒカルの楽曲の世界観に浸れる無料展示会など、好奇心がくすぐられる展示が多い。その他にもKawaii文化の立役者である増田セバスチャンの展覧会が開催中で、戦時中から戦後にかけてウィーンと京都で活躍していた上野リチの回顧展もまもなく開催される。今回は大小さまざまな会場で行われる展覧会の中から、SPICE編集部が選りすぐりしたこの5つをピックアップして紹介する。
1.増田セバスチャン『Yes, Kawaii Is Art』/大阪・北加賀屋3会場(kagoo 旧ユナテック川北、音ビル、千鳥文化ホール)
増田セバスチャン『Yes, Kawaii Is Art』
まずは現在開催中の展覧会から。「Kawaii」カルチャーの立役者として知られる増田セバスチャンの『Yes, Kawaii Is Art』展が、10月30日(土)〜11月21日(日)まで、大阪・北加賀屋の3会場(kagoo 旧ユナテック川北、音ビル、千鳥文化)で開催されている。
増田セバスチャン『Yes, Kawaii Is Art』
同展は工場地帯にあるアートの街・北加賀屋を舞台に、1週間ごとに全3会場がオープン、各会場で異なる作品を展示するもの。彼のアート作品と活動を通して、「Kawaiiとは何なのか?」を探る。
元家具屋倉庫で廃墟の第1会場のkagoo(旧ユナテック川北)では、世界5都市を巡回した部屋型インスタレーション作品「Colorful Rebellion -Seventh Nightmare-」のほか、Kawaii文化に関するリサーチプロジェクトの成果を展示。物販コーナーも用意されている。
増田セバスチャン『Yes, Kawaii Is Art』
築60年の文化住宅をリノベーションした文化複合施設の第3会場の千鳥文化では、2015年から原宿の街で愛された世界時計「Colorful Rebellion -WORLD TIME CLOCK-」を作品に転換して展示。第2会場の音ビルを鑑賞できるのは11月14日(日)までだが、kagooと千鳥文化ホールは11月21日(日)まで鑑賞可能。北加賀屋の街を回遊して、思わずウキウキするKawaii作品を堪能しよう。
2.『上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー』/京都国立近代美術館
『上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー』
11月16日(火)から2022年1月16日(日)までの期間中に京都国立近代美術館で開催されるのは、『上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー』展。ウィーンと京都で活躍したデザイナー、上野リチ・リックス(Felice[Lizzi]Rix-Ueno)の活動や背景を包括した、世界初の回顧展だ。
本展覧会は全3章とプロローグ、エピローグで構成される。1893年、オーストリアの首都・ウィーンの裕福な実業家の元に生まれ、芸術的素養を身につけてウィーン工房で活躍した上野リチ。
上野リチ・リックス 「ウィーン工房壁紙:そらまめ」 1928年、京都国立近代美術館蔵
第I章「ウィーン時代ーーファンタジーの誕生」では、ウィーン工芸学校を卒業後、建築家ヨーゼフ・ホフマンが設立したウィーン工房の一員としてテキスタイル部門・ファッション部門を中心にデザイン分野で活躍した彼女の作品や、ウィーン工房の概要、恩師や同僚デザイナーたちの作品を紹介。
上野リチ・リックス 「プリント服地デザイン[象と子ども]」 1943年、京都国立近代美術館蔵
ホフマンの建築設計事務所に在籍していた日本人建築家・上野伊三郎と1925年に結婚後、京都へ移住し、建築事務所を設立、ウィーンと京都を行き来して、1930年に退職するまでウィーン工房の一員としても活動を続けたリチ。第II章「日本との出会いーー新たな人生、新たなファンタジー」では、彼女のデザインが確立し、花開く頃の作品を紹介している。
上野リチ・リックス 「プリント地刺繍ハンドバッグ・デザイン」 1935-44年、京都国立近代美術館蔵
第III章「京都時代ーーファンタジーの再生」では、戦時中から戦後に生み出されたリチの作品を展示。ウィーン工房を退職後、京都市染織試験場の技術嘱託となり、群馬県工芸所の仕事と掛け持ちしながら1944年まで日本占領下の外地へ輸入されるプリント布地や刺繍製品などのデザインを手がけていた。戦後は京都の繊維会社や七宝製作所と協働しつつ、伊三郎とともに京都市立美術大学(現:京都市立芸術大学)で教鞭を執るなど、デザイン基礎の教育や人材育成に尽力した。
上野リチ・リックス 「七宝飾箱:馬のサーカス I」1950年頃[再製作:1987年]、京都国立近代美術館蔵
没後も我々の身近にある上野リチの「ファンタジー」の魅力を、京都国立近代美術館の所蔵作品に加え、国内外の関連機関や作家から招来した約370件の作品・資料により紐解いてゆく。朗らかで想像力あふれる、色彩豊かなデザインに心ゆくまで浸ってみよう。
ちなみに京都文化博物館では『フィンレイソン展ーフィンランドの暮らしに愛され続けたテキスタイルー』も来年1月10日(月)まで開催中。北欧デザインが好きな人は同展覧会とあわせてハシゴすると、より北欧デザインの世界を楽しめるだろう。
3.『コレクター福富太郎の眼』/あべのハルカス美術館
『コレクター福富太郎の眼』本チラシ
あべのハルカス美術館では11月20日(土)から2022年1月16日(日)まで『コレクター福富太郎の眼』が開催される。昭和を代表する実業家の福富太郎が、情熱をかけて収集した美術作品、約80点を展示。
鏑木清方「妖魚」1920年 福富太郎コレクション資料室蔵 (c)Akio Nemoto2021/JAA2100235
同展覧会のみどころは3つ。ひとつ目は充実の「鏑木清方コレクション」。福富は少年期に父の影響を受けたことから、近代日本画の巨匠・鏑木清方のコレクターとしても知られる。同展では「薄雪」や「妖魚」を含む鏑木清方の作品13点が展示される。
上村松園「よそほい」1902年頃 福富太郎コレクション資料室蔵
2つ目は「東西画家が描く美人画の競演」。福富は、美しいだけではない憂いや妖艶な雰囲気を醸し出す存在感のある女性たちに魅了され、竹久夢二や上村松園をはじめとする東西の画家の女性画を収集、コレクションの幅を広げていった。同展は福富が心惹かれた女性たちが一堂に会する機会となる。
岡田三郎助「ダイヤモンドの女」1908年 福富太郎コレクション資料室蔵
最後は「総勢55名の画家の作品により、コレクションの全貌を振り返る」。著名な画家の作品だけでなく、自身が良質な作品であると信じれば無名だろうが作品を求め、関連資料や情報をも集めたという福富。日本画家25名、洋画家30名、総勢55名へ注いだ情熱のコレクションの全貌、そして美術コレクターとしての人生を、約80点の作品から振り返る。鏑木清方の「妖魚」や北野恒富の「道行」は今夏に行われた『あやしい絵展』でも展示されたが、本展覧会では、コレクター・福富太郎のコレクションとして、また違う視点で鑑賞できるのではないだろうか。
昭和のキャバレー界を牽引した「キャバレー王」こと福富太郎の、美術コレクターとしての側面を味わえる展覧会。9月にSPICEで取材を行ったテリー伊藤のインタビューもあわせて読んでほしい。
4.『ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展』/兵庫県立美術館
「ホルの外棺」 後期王朝時代 (蓋)長さ199cm、幅72cm、高さ38cm All images (c)Rijksmuseum van Oudheden (Leiden, the Netherlands)
兵庫県立美術館で11月20日(土)から2022年2月27日(日)まで開催されるのは『ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展』だ。
世界屈指の古代エジプト・コレクションを所蔵するオランダのライデン国立古代博物館。同展覧会は、ライデン国立古代博物館の全面支援のもと、約25,000点にのぼる所蔵品の中から、ミイラや副葬品を含む約250点の展示品を厳選して展示、古代エジプト文明の魅力をさまざまな視点から伝えるもの。
「金彩のミイラマスク」 グレコ・ローマン時代 長さ48.5cm、幅28cm、厚さ14cm
同展覧会は「エジプトを探検する」「エジプトを発見する」「エジプトを解読する」「エジプトをスキャンする」の全4章から構成されている。
「パディコンスの『死者の書』」 第3中間期 縦24.5cm、横61.2cm
第III章「エジプトを解読する」は、ミイラや棺から知ることができる古代エジプト文明の死生観を現代に伝える章。「死者の書」と称されるパピルスや、国内初となる十数点の棺の立体展示を鑑賞することができる。
「男性のミイラ」 第3中間期 長さ160cm、幅38cm、高さ26cm
また、第IV章「エジプトをスキャンする」では、現代科学を駆使して明らかになった、ミイラの生前の様子、死亡時の年齢などを紹介。最新型のCTスキャンで確認された謎の人形の映像を世界初公開する。
国内では、昨年秋からエジプト文明にまつわる展覧会が相次いで開催されている。まさにエジプト文明、ミイラの当たり年。歴史や冒険、SF好きにはたまらない展覧会と言えるだろう。
5.『HIKARU UTADA EXHIBITION 2021 in Sony Store』/ソニーストア大阪
HIKARU UTADA EXHIBITION 2021 in Sony Storeキービジュアル
最後にピックアップするのは、『HIKARU UTADA EXHIBITION 2021 in Sony Store』。2021年6月2日(水)に配信限定でリリースされた楽曲「PINK BLOOD」を記念して、今年6月にGinza Sony Parkで開催された『「PINK BLOOD」EXHIBITION』が、展示内容を一部変更・拡大して全国のソニーストアを巡回中。名古屋、札幌、福岡を経て、11月20日(土)〜11月28日(日)にソニーストア大阪にやってくる。
「PINK BLOOD」ジャケット写真
『「PINK BLOOD」EXHIBITION』で公開された衣装2点の展示をはじめ、撮影セットを再現したアーティスト写真撮影体験「PINK BLOOD Artist Photo Booth」や、今年3月にリリースされたアルバム『OneLastKiss』ジャケットに使用された『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の原画レプリカ展示のほか、SHISEIDOの新グローバルキャンペーン「POWER IS YOU(パワー・イズ・ユー)」のCM撮影に使用された衣装も初展示される。そのほか『OneLastKiss』のアナログ盤(国内盤・US盤)とハイレゾリューション音源との聴き比べや、「POWER IS YOU」キャンペーンソング「Find Love」や札幌会場から追加された「君に夢中」のショートバージョンをハイレゾ音源で視聴できるブースも設けられている。
『One Last Kiss』ジャケット写真
また、アルバム『初恋』(2018年)のジャケットを手がけたフォトグラファーTAKAYによる「PINK BLOOD」撮りおろし写真を大画面のBRAVIAで堪能できる。宇多田ヒカルになりきって写真を撮ったり、ソニーの最先端テクノロジーに触れて、楽曲や作品の世界観をより深く感じてみてはいかがだろうか。
なお、関西の要注目アートイベントとしては、2020年に岡田慎平(TEZUKAYAMA GALLERY)と高橋亮(DMOARTS)が立ち上げた、新たなアートフェア『DELTA 2021 (デルタ 2021)』が11月25日(木)〜11月28日(日)にシーサイドスタジオCASOで行われる。さらに外せないのが日本音楽界の至宝、細野晴臣のデビュー50周年を記念した『細野観光1969 - 2021』。12月7日(水)までグランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボにて開催中。SPICEでも『DELTA 2021』『細野観光1969 - 2021』の模様を追いかける予定なので、続報を楽しみにしていてほしい。
文=ERI KUBOTA

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