劇団『ドラマティカ』ACT1/西遊記悠
久奇譚をプレイバック! もうひとつ
の『あんスタ!!』舞台化プロジェク
トをレポート

あんさんぶるスターズ!!』(以下『あんスタ!!』)の新たな舞台化プロジェクトとなる、劇団『ドラマティカ』初の公演が東京凱旋公演を経て2021年11月14日(日)に閉幕した。原作ストーリーを描く『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ/THE STAGE』シリーズとは異なり、『あんスタ!!』に登場するキャラクター・日々樹 渉が主催する演劇サークル、劇団『ドラマティカ』の公演として劇中劇「西遊記悠久奇譚」を披露した。
今回の記事は旗揚げ公演となった、劇団『ドラマティカ』ACT1/西遊記悠久奇譚をプレイバック。彼らの紡ぐ物語を振り返ろう。
これは始まり続ける物語
「西遊記」――中国の小説で、三蔵法師が悟空、三蔵、八戒、悟浄、玉龍を連れて尊い経典を受け取るために天竺(インド)を目指すという、誰もがその概要を知る有名な物語だ。
舞台上には中華風のセットとともに、強い風の音が響く。いつまでも鳴りやまない風の音は悟空のいる五行山の厳しい自然環境を体感しているかのようだ。
岩の奥に閉じ込められた悟空(氷鷹北斗/山本一慶)と三蔵法師(日々樹 渉/安井一真)の出会いから物語の幕が開く。
原案「西遊記」の三蔵法師はおとなしく真面目なお坊さんというイメージがあるが、「西遊記悠久奇譚」では彼が口を開くと雰囲気は一転、コミカルな雰囲気の人物であった。しかし妖怪の攻撃をいなす姿は軽快かつ華麗で、立ち姿だけでも徳の高い人物を思わせるような不思議な魅力を持つ人物として演じられていた。冗談を言うこともあれど、法師としての身の振る舞いや、この世界を慈しむような目線で物事を語ろうとするのは、いつも賑やかで愛や驚きを大切にしている日々樹 渉というキャラクターが作り上げた「三蔵」という役なのだからだろうか。
氷鷹北斗が演じる悟空は粗暴でやんちゃ、師匠となった三蔵にもたまに牙をむけるという想像通りのキャラクターというのが第一印象だった。しかしこれもまっすぐに物事を受け止める節のある「氷鷹北斗という人物が役作りをした悟空」だと思うとさらに味わいが深くなる。旅の途中で三蔵は「意志あるところに道はできる」、「何事も動けば変わる」と悟空に教えを説くが、『あんスタ!!』でも日々樹 渉と氷鷹北斗は演劇活動という点で似たような関係性を持っており、ここでも通じるものを感じて目頭を熱くさせられる。
劇団『ドラマティカ』ACT1/西遊記悠久奇譚 舞台写真
旅の同行者に迎えたのは天界より落とされた龍の王子、玉龍(乱 凪砂/演:松田 岳)。乱 凪砂が舞台シリーズに出演するのは今作が初めてであり、多くのファンの注目どころのひとつになっていたことだろう。穏やかで思慮深く仲間想いであるキャラクターとして描かれた玉龍は、その笑顔も怒りも悲しみも乱 凪砂自身とリンクしているかのようだ。
2.5次元の舞台ではキャラクターが生身の人間を通すことでさらにキャラクターへの理解が深まったり、観る者にとって作品へ良い影響を与えるものだと思っているが、今作の場合はよりその風潮が強く感じられた。今回初めて登場した乱 凪砂しかり、キャラクターが役を演じるという劇中劇の役作りしかり、観た者にとってキャラクターを深堀りするきっかけになったり、より身近な存在になっていくのではないだろうか。
河童たちを従えた元人間の悟浄(逆先夏目/演:木津つばさ)は魔術を使い、悟空たちを翻弄する。彼の軽快な河童ラップで多くの人が翻弄されたことだろう。
アイドルとして歌やダンスを披露する『あんステ』シリーズとは異なり、今回の舞台では全編を通して舞台オリジナル楽曲がキャラクターの心情や、仲間との心の高まりをメロディに乗せて紡いでいる。
劇団『ドラマティカ』ACT1/西遊記悠久奇譚 舞台写真
他人任せな性格をした八戒(斎宮 宗/演:山崎大輝)は新しい解釈の八戒を見せてくれた。個性的な5人の中でも癖の強い存在だが、合理的という理由ですんなりと仲間になってしまうシーンには、斎宮 宗という几帳面で神経質なキャラクターの性格を思い起こさせた。
八戒が釘鈀(ていは)という武器を持つように、「西遊記」という物語の性質上、この舞台にはアクション要素が非常に大きい。『あんステ』シリーズではなかった殺陣要素もとても新鮮で、息つく間もないスピーディーなアクション展開に目を奪われるばかりだ。
そして最後にたどり着いた川辺で三蔵はこの旅の目的、そしてその意図をゆっくりと語りはじめ……。
劇団『ドラマティカ』ACT1/西遊記悠久奇譚 舞台写真
本公演の物語の前日譚『スカウト!ドラマティカ』が原作ゲームで実装され、『あんスタ!!』と劇団『ドラマティカ』は互いにこれからもさらに大きな広がりをみせてくれることだろう。
今回の舞台では、劇団『ドラマティカ』として新たな舞台シリーズの扉を開いたという印象が強い。劇中劇、歌、アクション、盛りだくさんの内容だが、どれを取ってもキャラクターとのつながりを強く感じられ、今後の公演も楽しみになる内容だったのではないだろうか。
そんな期待を寄せる中、早くも次回作となる劇団『ドラマティカ』ACT2が東京凱旋公演の大千秋楽で発表された。脚本・演出は「ACT1/西遊記悠久奇譚」から引き続き伊勢直弘が担当するほか、氷鷹北斗役を演じる山本一慶が続投。また、ACT2には鳴上 嵐を演じる北村 諒、月永レオを演じる橋本祥平が新たに出演する。劇団『ドラマティカ』ACT2は2022年6月より東京・大阪・京都にて上演予定。
取材・文=松本裕美

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