岡崎体育 いろいろな“おもしろい”
が詰まった横浜アリーナ公演『めっち
ゃめちゃおもしろライブ』レポート

岡崎体育ワンマンライブ『めっちゃめちゃおもしろライブ』

2021.11.23 横浜アリーナ
そりゃあだって『めっちゃめちゃおもしろライブ』ですもの。影アナも岡崎体育が担当。やたらネイティブな英単語を挟みながら、本日の注意事項を丁寧に伝えます。たまーに「関ジャニ∞のアルバム、持ってきてくれた?」なんて、会場のどこかにいるであろう母に問いかけたりもします。当然、横浜アリーナは開演前から笑顔で溢れます。そしてライブから数日経った現在も、満員御礼=5300分の1である私はライブの余韻に浸っております。観客を代表して感謝を伝えたい。お母さん、生んでくれてありがとう。息子さんは《観客のボルテージは一気に最高潮に。》と一言叫ぶだけで、観客のボルテージを一気に最高潮にしてしまう最高のエンターティナーです。
客電が落ちた瞬間、「Okazaki Little Opera」の荒ぶるイントロに合わせてレーザーの青い光が暴れ回り、観客はたまらずハンドクラップ。今か今かと待ちわびていると、突然、ピンスポットが照らしたステージ中央に右手を掲げた岡崎体育が現れる! ドラマチックなオープニングに湧き上がる歓声をダークな高速ラップでバビュンと蹴散らしたなら、ニューアルバム『FIGHT CLUB』におけるもうひとつのアグレッシヴナンバー「Championship」へ。恐ろしい緩急で曲が展開する度に、PA徳重が音を上げる度に、岡崎が「跳べ!」と呼び掛ける度に、客席が揺れる。

岡崎体育の代名詞であるネタ曲にフラットに向き合い生まれた「Quick Report」は、原点回帰というより、今だからできる表現&演出に進化。ステージ上のLEDスクリーンに映し出される架空の音楽サイトのクイックレポートと同時進行で、会場のボルテージをグングン上げていく。続く「Yes」では客席にクラップを要求しつつも、自身は歌う素振りだけでただただカメラ目線とウィンクを繰り返し、《Yes!》のワンフレーズで完結。カラフルなおっさんが戯れるMVをバックにグッドメロディを響かせる「おっさん」はもう、遠くないいつか、一緒に《OSSAN》って歌いたいと強く思った。
ここまで一足飛びに進んだような書き方をしてしまいましたが、1、2曲ごとにMCタイムを挟んでます。子どもに向けて、「おはスタ見てくれてる?」てなことを嬉しそうに話しかけたり、ファンが掲げる自分以外のタオル1枚1枚にツッコミを入れていったり、ヤバいTシャツ屋さんのタオルには本気で怒ってみせたり(笑)。そして8年来のステージ上の友達、物販の売り上げの支えでもあり、心の支えである、ペンギンの“てっくん”をみんなに紹介し、二人で声を合わせて「FRIENDS」を披露。友達の大切さを歌うてっくんの布切れ一枚に隠された陰謀、血にまみれた友情、凄惨な結末など、誰一人知る由もなかったのである。
数分前の悪夢を払拭するように、みんな大好き『ポケットモンスター』の映像と共に、アニメのOPテーマ「キミの冒険」と、劇場版のメインテーマにして超名曲「ふしぎなふしぎな生きもの」を大切に手渡して。アルバム同様、バラード「湖」からの「Eagle」で、やさしく、美しく、ふわりと会場を包み込み、力強く羽ばたかせて、第一部を締め括ったのでした。
5分間の休憩タイムにセッティングされたドラムとギターとベース。3人のバンドマン(のちにソニー社員と判明)が「Fight on the Web」に合わせて当て振りを始めれば、MVよろしく、インターネットの掲示板のレスバトルがスクリーンに映し出される。ただし、本日の相手は女性。ど迫力な上に、頭の回転も早く、かなり手強い。追い詰められて「横アリの本番中だ」と明かしても鼻で笑われ、決死の覚悟で天下の宝刀「知り合いにマキシマム ザ ホルモンがいるから、やき入れさせたるわ」を繰り出せば、まさかまさかの「わたし、わたし、ホルモンのナヲなんだが」の返り討ち。勝ち誇ったナヲのWピースはもはや神々しい。やはり無駄なケンカなどしないほうがいい。
「XXL」のけたたましいビートと、再登場した岡崎の「Come on!」の掛け声で第二部がスタート。さらに「Open」、「R.S.P」と、ライブの定番曲にして最強のダンスナンバーでココロとカラダを踊らせる。さんざん踊らせて、グラグラ煮立たせておいて、「ちょっとみんな踊り過ぎっ。会場がグラグラしてたから」とびっくり水を注ぎ、ジャンケンで踊れる人を決めるいつものパターンへと持ち込む。斜め前の席の男性が2回戦ともあいこで踊れず、本気で悔しがる横で、女の子とお母さんが楽しそうに踊っている。
「どうしてもバラードが多くなっちゃう、ワンマンライブでは」という前置きで歌い出した「Voice Of Heart 2」で、甘く切ない美声と口の悪い心の声を響かせたなら、メロコアなサウンドに乗せて「なにをやってもあかんわ」をぶちまける。「なるべく近くで聴いてもらいたいから」と自転車に乗ってステージの左端まで行って、この間出したアルバムの中の一番の捨て曲(本人談・もちろんいい意味です!)「普通の日」を歌い、自転車で右端まで移動して、90年代の香り漂うギターロックチューン「八月の冒険者」を歌い、また自転車を漕いで中央へ戻ったら、勝手に12星座の明日の運勢を占った「Horoscope」で思いきり笑わせる。《今週の君のことは君が決めればいいし 誰かに何を言われてもずっと輝いていて》こそっと忍ばせたメッセージが胸をじんわり温める。ワンマンだから魅せられる奔放な振り幅で、岡崎体育の音楽を存分に楽しませた。
ラスト2曲は「エクレア」と「The Abyss」。《いい曲といい歌はいい人といい場所で いい曲はいい人と共に》魂を込めて歌う岡崎はカッコ良かった。「あと45秒でここにいる全員踊らせてみせます。それが僕のプライドです。僕の人生です」こう叫んだ後の会場の揺れは半端なかった。
本編終了直後にスタートした告知映像の数の多さと、活動のバラエティと奥行きに驚きつつ、アンコール1曲目「Hospital」の伸びやかなバンドサウンド然り、来年の全国ツアー告知然り、自分の部屋から飛び出して、他者と関わり、誰かの生活の一部になる、人生に影響を及ぼすことすら辞さない覚悟を感じる。そして本当の最後に、一番好きな曲であり、これのためにライブをやっているところがある、と語って「鴨川等間隔」を歌う。鴨川に等間隔で佇むカップルを橋の上から見下ろし、逆に見下されてるように感じていた大学時代の曲を、横浜アリーナを埋め尽くす一人ひとりに届ける。みんなで左右に手を振り、一緒にカラダを揺らせば、横浜アリーナが波打つ。腹を抱えたり、踊ったり、ちょっと泣きそうになったり、思わずボー然としたり、おもしろいにもいろいろある。まさに、いろんなおもしろいがめっちゃめちゃ詰まったライブだったなぁと思う。
取材・文=山本祥子 撮影=中島たくみ、鈴木健太

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