神戸出身のシンガーソングライター優
利香、『Humanity』でネガティブな感
情もあらわす理由「人間らしさを描き
たかった」

2枚目の全国流通ミニアルバム『Humanity』を12月8日(水)にリリースする、神戸出身のシンガーソングライター・優利香(ゆりか)。同作は、コロナ禍での素直な感情や日常を歌に込め、「優利香らしさ」があらわれた内容となっている。2020年は、オーディションの末、関西の朝の名物番組『おはよう朝日です』(朝日放送)に楽曲「眩しい朝日」が抜てきされた。ハイトーンかつパワフルな歌声が、関西から全国へ拡大していっている。今回は、これから期待の優利香に、『Humanity』について話を訊いた。
優利香
――『Humanity』はどんな気持ちをこめて制作されましたか。
コロナ禍は引きこもりがちで、そのときに抱いた感情を曲として書きました。「やりたい事」はコロナでライブもなくなって、音楽をこのまま続けられるんだろうかという不安がいっぱいのときに、「それでも音楽をやりたい」という気持ちが膨らんで作りました。「カナデザクラ」は3月のBIGCAT(大阪)でのワンマンライブのとき、お客さんと一緒に音楽を作りたくて、「コロナ禍をどんな思いで過ごしていたか」とみんなからエピソードを集めて作った楽曲です。「感情渋滞高速道路」は、SNSに「感染者数はこれだけ」「コロナの影響でバンド解散」などダークな情報ばかりタイムラインに流れてきて「SNSを見たくない」という気持ちになったときに作りました。
――いずれの曲からも伝わってきますが、すごく素直にネガティブな気持ちと向き合っていらっしゃいますね。
自分がこれまで聴いてきた曲が、ネガティブと向き合いながら最後は「頑張るぞ」と歌う応援ソングで、そういうものに救われてきたんです。悲しみに寄り添うのではなく、ネガティブだけど頑張れる。そのあたりが無意識に曲にあらわれているのではないでしょうか。
――引きこもりがちだった生活に変化はありましたか。
昨年8月に情報番組『おはよう朝日です』のテーマ曲を決めるオーディション『OHA-1グランプリ』でグランプリを受賞してから変わりました。コロナ禍だからこそチャレンジできたし、テーマ曲に選ばれるなんて、夢のようでした。
優利香
――『Humanity』には、「幸せとは何なのか」を掘り下げた曲が多い気がしました。特に「ブバルディア」「やりたい事」は幸せの定義について考えさせられます。
「やりたい事」は、地元の友だちとたまに会ったとき、みんなは結婚などいろんな生活を夢見ていて、そして自分は音楽の道で生きていきたくて、人それぞれに葛藤を抱えていることを歌いました。だけど実は、幸せが何なのか私はあまり分かっていなくて。それを考えていくうちに曲が出来上がっていきました。
――なるほど。
「ブバルディア」は過去の大切な人との別れや、夢を追っていた昔の自分をイメージして、そのときは辛かったけど、その悲しさも何年か経てば愛おしく感じることを歌いました。人とずっと一緒にいると、関係性も変わっていくじゃないですか。変わらないものはなくて、嫌なところも受け入れて頑張ることが幸せなのかなと。出会いと別れを繰り返して人は成り立っていくけど、そのなかでたくさんの愛や切なさを抱えていくのが人間らしいと思いました。
――あと、これも全体的な作風として「普通とは何なのか」を問いかけるものでもありますね。
「やりたい事」と「もしも私が」に出てくる普通は、自分がもしも音楽をやっていない人生だったら……と想像して、それを例えるために「普通」という言葉を使いました。「僕らはきっと普通じゃない」に出てくる普通は、恋をして、一緒にご飯を食べることは普通のことなんだけど、でも実はそれは普通にできることではないんだという意味になっています。
優利香
――そもそも「普通」の基準とは何なのか考えたりしますよね。「普通」という言葉への違和感を抱いたことはありますか。
特に違和感はないのですが、ただミュージシャンは「音楽をやりながら生きていくことが普通だ」と考える人が多いと思います。私は子どもの頃、ひいおばあちゃんに「大きくなったらこういうふうになりたい」と話したら、「普通に生きるのが一番だよ」とよく言われていたんです。おじいちゃんも「普通が一番だ」と。でもひいおばあちゃん、おじいちゃんが言う普通は「ちゃんと会社に就職して、働いて、固定のお給料をもらうこと」かなと。私はそうじゃないから、普通じゃないんだろうなと思っています。
――「未来」「明日」をあらわす言葉が多いことも特徴的です。
未来へ向かっていく曲がすごく好きなんです。自分自身もそうありたいので、自然と曲にあらわれている気がします。次はこんなことをしたいとか、私は基本的にはいつも前を向いています。
優利香
――一方で「輝く未来へ」では<“努力は報われる” そんな事も無い>と非常に現実的なことも歌っています。
「輝く未来へ」は受験生をテーマにしました。受験生は、いろんな物事に追われて、でも頑張らなきゃいけない。「落ちたらどうしよう」という恐怖と隣り合わせの世界。いつも何かに追われているところが、楽曲制作と似ている気がしたんです。自分自身と向き合いながら闘い、ストレスも溜まり、その過程がどこか「似ているかも」と。<孤独な静寂>という言葉は、まさに自分がこの曲を書いているときの風景のことです。シーンとした部屋にこもって書いていた自分の姿に<孤独な静寂>という言葉が重なりました。この曲を聴いて、がんばっている人がもっとがんばれるようになってもらいたいです。
――誰かの背中を押す作品ですね。
悩むこと、頑張れずにネガティブに陥ってしまうこと、そういう部分は人間らしいですよね。人はひとりじゃ生きていけないし、周りの人との交流も大事にしなきゃいけない。『Humanity』というタイトルには、人間らしさだけではなく、人との関わりあいの大切さという意味も込めています。いろんな気持ちを抱えつつ、周りと向き合いながら生きていけたら良いなというテーマのアルバムになっています。
優利香
取材・文=田辺ユウキ 撮影=福家信哉

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