「未来はどうなっているかわからない
けど」それでもLiSAは「往く」 『L
iVE is Smile Always〜LADYBUG〜』レ
ポート

2021.12.08(Wed)LiSA『LiVE is Smile Always~LADYBUG~』@日本武道館
LiSAが武道館に帰ってきた。
7月9日の大阪城ホールを皮切りに全国を回ってきた『LiVE is Smile Always〜LADYBUG〜』の追加公演、日本武道館2DAYSの最終日がやってきた。折しも東京は冬らしい寒さに包まれたが、武道館周辺は期待とLiSA10周年のおめでとうの気持ちを伝えようというファンの熱気で溢れていた。
photo by Viola Kam (V'z Twinkle)
武道館の中央に組まれたセンターステージには、ツアーを共に回ってきた通称「メカテントウ」と呼ばれるスチームパンクを思わせるセットが組まれている。それをぐるりと囲む客席は超満員。舞台に上がってきたLiSAは黒いドレスに身を包んでいる。まるで鼓動のようなビートから一曲目「dawn」が奏でられる。
「迎えに来たよ!武道館!」叫びと共に疾走していく音楽と歌があっという間に武道館をライブハウスへ変えていく。続く「白銀」も決意を持って進んでいく曲。やはりLiSAには不退転の歌が似合う。
ステージ中央に設置されたフロアタム、激しいギターのリフが聞こえてきたらそれは「ADAMAS」のプレリュードだ。打ち鳴らされるタムの力強さと共にシンガロングをフィーチャーしたこの楽曲だが、ご時勢柄客席は全員マスク着用で発声は禁止だ。だがそんなモノは何の気にもならない。全員が拳を突き上げ、クラップで温度を上げていく。まるで心の声が漏れ出しているように、シンガロングが聞こえてきたのは気のせいだったのだろうか?
「今日は全部置いていくからね」短く伝えたLiSAから放たれたのはSiMのMAHが提供した「ViVA LA MiDALA」。武道館四方を意識しながら激しく展開されていく、見えない瞬間をフォローするモニターのVJの映像も楽曲の印象を更に色濃く伝えてくる。
photo by Viola Kam (V'z Twinkle)
オリエンタルな音楽が流れる中、ダンサーが挑発するように舞う、玉座のような椅子に着座して現れたLiSAは赤いチャイナ風のドレスに身を包み登場。女王蜂のアヴちゃん制作の「GL」。グルーヴィーなリズムは武道館の高い天井に反響していく。バンドとの連携も既にお手の物。このときこの場所を遊びつくそうという気持ちがビシビシと伝わってくる。まず何より全員が本当に楽しそうなのだ。
センターステージとなる舞台は外周が回り舞台になっている。そこに配置した椅子に座りながら小悪魔的に歌い上げた「わがままケット・シー」、しっとりとした雰囲気のコーナーなのかな…と思ったら、ファニーな空気感のメンバー紹介からファニーでポップな空気感の「ノンノン」へと展開。まるでおもちゃ箱のようにくるくると変わる音楽の世界。客席を巻き込んでクラップ・ジャンプ、そしてウェーブ。続く「妄想コントローラー」でもハンマーを魔法のステッキのように振り回し、客席にウェーブを巻き起こす。歓声が出せない中でも最高に一緒に遊ぼう! という思いが伝わってくるステージング。楽しいのバリエーションは無限大だということを感じさせられる。
photo by Viola Kam (V'z Twinkle)
本人も話していたが、ツアー初日が7月頭、この秋には4曲の新曲をリリースし続けた。このハイペースなリリースは普通ではないし、今それだけLiSAが求められているということでもある。
しかし本人は「なんか緊張してる!」と笑顔を見せる、バンドメンバーとも今日は緊張しているよね、とやりとりを行う中、不安定な世界で、不安になったり、臆病になったりもしたと語ったLiSA。ひとつひとつ言葉を間違えないように、伝わるように語りかけた言葉からつながるようにアカペラで始まった「シルシ」。
photo by Viola Kam (V'z Twinkle)
歌いながら潤む瞳、一緒に今日を過ごしてくれるみんなに捧げる歌。ライブの最後に持ってきてもおかしくはないくらいのテンションで紡がれた歌だが、ライブはまだ中盤だ。
おまじないの歌、と告げられて放たれたのは、YOASOBIのコンポーザーとしても活動するAyaseが提供した「往け」。『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』の主題歌でもあるこの楽曲は今のLiSAと作品が見事にシンクロした一曲だ。
「いけ わたしよ 行け!」と力強い言葉で綴られるこの楽曲、確かにLiSAはこの10年間ずっと自分に「行往け!」といい続けていたような気がする。
「今日もいい日だ」を自身のキメ台詞にしているLiSAのアーティスト人生は決して何の問題もなく過ぎてきたわけではない。初めて挑んだ2014年の武道館公演『LiVE is Smile Always ~今日もいい日だっ~』は自身で納得の行くパフォーマンスが出来ずステージ裏で号泣した彼女は、それでもデート(ライブ)の度に「今日もいい日だ!」と叫び続けてきた。
photo by Viola Kam (V'z Twinkle)
LiSAは自身を鼓舞するようにその言葉を笑顔とともに放ち続けてきた。支えてくれるファンの思い、スタッフの信頼。全てをその身に受けてLiSAは「往く」のだ。
日本レコード大賞も受賞し、紅白も連続出場を決めた今でも、自分に追いつかれないようにLiSAは加速し続ける。
着替えタイムでは「ゲーム実況タイム」として楽曲に合わせてクラップ、ストンプ、ハンズアップを音ゲー的に客席に促すのも楽しい。しかしこの「ゲーム実況」というのも次の曲へのフックになっているのが素晴らしかった。
photo by Viola Kam (V'z Twinkle)
ミリタリーな衣装に着替えて放たれるのはギターのPABLOとのダブルボーカル曲「play the world! feat.PABLO」だ。人気タクティカルシューターゲームの日本大会『レインボーシックス Japan Championship 2020』公式ソングであったこの楽曲の冒頭でPABLOは、「この曲を俺が歌うのは今日が最後かもしれない、俺がいいたいのはたった一つ、生き続けろ絶対に!」そう叫んだ。全編において生のエネルギーに溢れかえっていたこの武道館に、このPABLOの言葉で改めて今、僕たちはコロナ禍を生き抜いているのだということを再実感する。
「武道館遊び尽くすよ!」と歌われた「RUNAWAY」ではステージの回り舞台に乗って高速で武道館を何周も回っていく。ハイスピードにシャウトするその声に呼応するように更に温度は上がっていく。
photo by Viola Kam (V'z Twinkle)
いよいよ後半戦。空気感はうって変わり、ピアノの調べからトーチに火が灯る。静かに始まったのは「炎」。叙情的で壮大なこの曲から「明け星」へ。この流れなら勿論やってくるのはLiSAの代表曲と呼べるまでに成長した「紅蓮華」だ。アニメ『鬼滅の刃』テーマソング三連発。変な話だが、天井まで真っ赤に染まった武道館の真ん中で歌うLiSAを見て、ああ、この世代を超えて愛されている曲は彼女の持ち歌なんだよなぁ、と当たり前すぎる事を考えてしまった。
photo by Viola Kam (V'z Twinkle)
「一気に行くよ!」そう叫んで間髪入れず響くのは「ROCK-mode’ 18」。暴れまわるライトにバンド陣。何千人と入っている武道館の観客は今、ステージのメンバーと一体になっている。声が出せなくたって最高に楽しくて最高に盛り上がれる。ルールを守りながらその中で最高に暴れている空間。その真ん中で歌いまくる。今、この瞬間だけは間違いなくLiSAが世界の中心だ。
上がった心拍数が収まることもなく「Rising Hope」のイントロをピアノが奏でる。「最高だ武道館!」そう思っているのはこっちの方だ。これだけのキラーチューンを抱えているということも恐ろしい。どこを切り取っても楽しいしかない、どこを覗いてもエネルギーしか感じない。そんなライブめったに見れるもんじゃない。
photo by Viola Kam (V'z Twinkle)

photo by Viola Kam (V'z Twinkle)

本編ラストは「ハウル」。多幸感溢れるこの曲でもLiSAは「今日を超えていけ」と歌う。アニソンシンガーとしてだけではなく、日本のポップシンガーとしての極北に近づきつつあるLiSAはそれでも行くのだ。行こうと叫ぶのだ。
「いろんな日を超えて、大切な10周年を迎えられたこと、本当に幸せです!」そうアウトロで語ったLiSAはステージを去った。だが、もちろんまだ僕らとLiSAのデートは終わらない。
アンコールを待つ間。ムービーで語られたのはLiSAの歴史。泣いた日も、笑った日も、どんな日も超えてきたからこそ今日の武道館がある。「Believe in myself」をバックに流されるこの映像をただ見つめながら、こみ上げてくるものを抑えられなくなってくる。
photo by Viola Kam (V'z Twinkle)
再度ステージに現れたLiSAが選んだ曲は「Letters to ME」。LiSAの歌の素晴らしいところの一つとして、その曲を歌うことで、彼女が今思っていること、今伝えたいことがまるで会話しているように伝わってくることだ。本当の意味でのデート。いい日ばかりでもない、負けたくないから、もっと幸せになるために、もっと幸せを感じてもらうために歌う。ありのままのLiSAがそこにいる。涙をこらえながら、己を鼓舞するように天に突き上げたピースサイン。鳴り止む気配のない拍手の渦。幸せがそこにはあった。
「10年、最高の日ばっかりじゃなかったけど、その最低かもしれない一つ一つを、みんなが会いに来てくれた今日を、最高じゃなかったって思いたくなくて」
赤裸々な思い。約5ヶ月走り続けてきたテントウムシの旅が終わろうとしている。
「今日は本当に本当に最高に、いい日だって言えます!思い切り走っていっていいよ!また10年後に遊ぼうね!」
photo by Viola Kam (V'z Twinkle)
感謝と約束を載せた本当の最後の曲は「Another Great Day!!」。最後までロックンロールの爽快感とヘヴィネスを内包させ、笑顔を絶やさず歌いきる。きっちりと四方に深々を礼をしたあとも涙を浮かべながら「帰りたくない…」と駄々をこねる。最後までLiSAらしく、可愛くかっこいいそのままの自分を武道館に刻む。
「未来はどうなっているかわからないけど、私達なら最高の日を作れる」
最後までポジティブ、名残惜しそうに去っていくLiSAを見送りながらここまでの3時間は夢だったんじゃないかと思う。駆け抜けるように笑顔と「楽しい!」を振りまいていった彼女は10年を超えても「往く」のだろう。未踏の地へ、みんなが「今日もいい日だ」と心から言える場所を、LiSAは切り開いて行く。その後ろを追いかける僕らも笑いながら、楽しみながら、きっと全力疾走する。
レポート=加東岳史

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