『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の
“映画の指輪のつくり方”』
- 第五十六回 -
「フリー・ガイ」の指輪

2017年から本格的に活動を開始したシンガーソングライター〈みねこ美根〉が大好きな映画の世界から作り出す紙粘土細工と指輪の制作過程をお見せします。ミニチュア好きな方、アクセサリーづくりに興味のある方は是非見ていってください。指輪はライブ会場にて展示しております。

動画監督・撮影・編集・演奏・文:みねこ美根

「”いい日”ではなく、”素晴らしい日”を!」(2021年『フリー・ガイ(Free Guy)』)

今年も例に違わず、びっくりするほど早く12月が襲い掛かってきた。2020年だか2021年だかバグりそうな2021年で、不思議な気持ちのまま、自分は洗濯機の中でぐるぐるしながら、でも洗濯機自体は前に進んでる、みたいな一年だった。もう繰り返すまいと思いながら、自分を良い方に変える術を知らないふりをして、また繰り返していたから、今月中に振り払って、新・私になるんだ!シン・ワタシ!うぉおお!そんなときに、最高の映画に出会った。
今回は、今年の夏に公開したばかりの「フリー・ガイ」を紹介する。

主人公は…モブキャラ?

フリー・シティ。サングラス族と呼ばれる人々が暴れ回る、何でもありの街。毎日、強盗に入られる銀行で窓口係をするガイは、事件ばかり起きる世界に何の疑問も持たずに幸せに暮らしていた。そんなある日、通りすがりのサングラス族の女性に、一目惚れ。その日を境に、普段の暮らしが退屈な繰り返しに感じられるようになってしまう。

一目惚れした女性のように、自分もサングラスを手に入れようと、強盗に立ち向かうガイ。奪ったサングラスをかけると、まるでゲームのようにミッションやアイテムが街の景色に重なって見えるようになった。実は、ガイが存在するのは、ゲームの中の世界。彼はモブキャラ、つまりゲームの背景キャラで、サングラスをかけて暴れ回るのはプレイヤーが操作するキャラだったのだ。プレイヤーの力を手に入れてしまったガイは、現実世界、ひいてはフリー・シティに関わる事件に巻き込まれていく…。という話。

繰り返しの日々を変える力は、
みんな持っている

物語の中で、ガイは、まさか自分がモブキャラだとは夢にも思わず、一目惚れをした女性の高いスキルとつり合うように、他のプレイヤーとは真逆に、街のモブキャラを助けながらレベルアップを積んでいく。彼の優しさで彼自身がどんどん強くなる姿は、めちゃめちゃ応援したくなる!というか、いつの間にか応援しまくり。ガイのプレイスタイルに、他のプレイヤーが自分の暴れ放題のプレイを見直す、というのも皮肉が効いていて面白い。ガイは、他のモブキャラにも影響を及ぼしていく。サングラス族のガールフレンドという役割のセクシーモブキャラに「したいことをして!」と促すと彼女は自叙伝を書き始め、ガイがカプチーノを注文したことでコーヒーしか作れなかった店員モブキャラがカプチーノを作りはじめ、変化していく。

そして、自分がモブキャラであることを知ってしまった後の、「自分の人生の傍観者である必要はない。自分で決められるんだ。」というガイの言葉は沁みる。「私なんてどうせどうせ…」とか「私のせいじゃなーい!」と何かのせいにしたがりで卑屈な私によ~く刺さります。小さな一歩が、今とは違う新しい世界へ踏み出すきっかけになる。そのちからは、私にだってあるんだ!と勇気をくれる。

この気持ちが、リアル

ガイが、自分のいる世界に疑問を持ち始める序盤のシーンは、ホラーか!ってくらい怖い。カメラワークの寄りと引きでこんなに緊張感の緩急を見せられるんだなぁ…。

ガイは、自分がモブキャラだと知って、「何をしたってリアルじゃなきゃ無意味じゃないか…」とショックを受ける。そんなとき、ガイと同じくモブキャラの親友バディは「困ってる親友を助けたい、俺がリアルじゃなくても、この気持ちはリアルだ。」とガイに声をかける。そうか、気持ちがあれば、この瞬間はリアルなんだ!とうなずきながら涙。「私なんかが何かしたところで、何か意味があるのだろうか。」そう思ってしまう瞬間に、思い出したいセリフよ。今のこの瞬間の気持ちが、私を突き動かして、”毎日”となっていく。そのことを改めて教えてくれる。

とにかく盛りだくさん!
今年の締めくくりに観て欲しい映画

指輪の大きなモチーフは、ガイの世界を変えた、サングラスにした。サングラスに映るものは、ぜひ本編を観て確かめて欲しい。

ここまでたくさん話したが、ご安心を!話の本筋には全く触れてません。本編では、現実世界も同時に描かれるし、「フリー・シティ」を制作したゲーム会社や、ガイが恋に落ちた女性キャラを操作する人物も出てくる。ガイを演じる、ライアン・レイノルズの顔芸は素晴らしいし、アクション、SF、コメディ、ロマンスと、盛りだくさんのストーリーに、泣いたり笑ったり、ヒーローになっていくガイを応援しながら、ハッピーな時間になること間違いなし。終盤、映画音楽の偉大さを感じる最高な場面もあるのでお楽しみに!

ちなみに、前回の連載で紹介した「ジョジョ・ラビット」の監督兼ヒトラー役のタイカ・ワイティティが出てきてめちゃびっくりした。

来年も自分のちからを信じて

今年も一年ありがとうございました。あなたの2021年はどんな年でしたか。今年積み重ねた時間が、2022年に溢れ出す自分のちからになりますように。行く先を照らす優しい光となりますように。時々揃う歩幅に嬉しさを感じて、挨拶を交わしながら、歩いてゆこう。

ガイの決めゼリフは「”いい日”ではなく、”素晴らしい日”を!」。たくさんのこれからの今日を素晴らしい日にできるちからを、私たちは、ちゃんと持っている。
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モチーフ:サングラス、バブルガム味のアイスクリーム、コーヒー、証拠のビデオデータ、拳銃、パソコン、ガイのブルーシャツとスニーカー、金魚、回復アイテム
音楽:Mariah Carey「Fantasy」
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【ワンマンライブ】
『A Special Day of Mine “零れる光”』
2022年1月23日(日) 東京・LOFT HEAVEN(渋谷駅・表参道駅から徒歩約10分)
開場18:00/開演18:30  
問い合わせ先:ネクストロード 03-5114-7444(平日14:00〜18:00)

◆みねこ美根 オフィシャルHP
https://powerpop.co.jp/minekomine

◆みねこ美根 配信リンク
https://lit.link/minekomine

◆みねこ美根 オフィシャルTwitter
https://twitter.com/me_chat_3ne

◆連載『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』一覧ページ
http://bit.ly/2VrGl0a
〝美根〟 プロフィール

ミネ:6歳の時にピアノで初めて作曲、11歳からはギターでの作曲も開始し、現在はピアノとギターを用いてライヴ活動中。2019年1月リリースの配信EP『心火を従えて愈々』で楽曲のクオリティの高さ、世界観が注目を集め始める。サウンドプロデュースを手がける誠屋の小名川高弘氏とともに日々楽曲を制作しており、21年3月に自主制作アルバム『avant-titleⅡ』を発売。22年4月より〝美根〟に改名。〝美根〟オフィシャルHP

OKMusic編集部

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