古典に馴染みのない方も楽しめる、粋
で情熱的な作品に 市川海老蔵、戸塚
祥太(A.B.C-Z)による『六本木歌舞
伎2022』制作発表会見レポート

『六本木歌舞伎』は、2015年に市川海老蔵と中村獅童の歌舞伎への熱い思いによってスタートした。第一弾は宮藤官九郎の脚本による『地球投五郎宇宙荒事』、第二弾はリリー・フランキーが新解釈で描いた『座頭市』、第三弾は市川海老蔵と三宅健がタッグを組んだ『羅生門』。いずれも演出は三池崇史が手がけ、新境地を切り開いてきた。
第四弾となる今回は三池の監修の元、日本舞踊の宗家藤間流八世宗家であり、舞踊や振付、演出と多彩な活躍を見せる藤間勘十郎が演出を務める。さらに、市川海老蔵の出演に加え、アクロバットを得意とするジャニーズグループA.B.C-Zの戸塚祥太が歌舞伎初挑戦を果たす。
今回の題材は、文久2年3月に江戸市村座で初演が行われた河竹黙阿弥の名作『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』。10年ほどのうちに麻疹の大流行、黒船来航、安政江戸地震の発生といった大きな出来事が立て続けに起こり、幕末の動乱に向けて混沌としていた時代。その中で生まれた本作は『白波五人男』の通称で知られ、現在でも繰り返し上演されている。石川五右衛門、鼠小僧と並ぶ盗賊の物語だ。映画や舞台の題材として取り上げられることも多く、歌舞伎に馴染みがない方でも「知らざあ言って聞かせやしょう」という台詞は聞いたことがあるはず。『六本木歌舞伎2022』では、この名作をベースに歌舞伎音楽とロックを融合させた新作が誕生する。新作公演に先駆けて、市川海老蔵と戸塚祥太による制作発表会見が行われた。

市川海老蔵
市川:この度、六本木歌舞伎をまたやらせていただくことになりました。今回は戸塚さんをお招きし、青砥稿をもとにした作品を上演します。今の時代、新しいお客様にも伝統文化や古典を理解していただけるような演目になるよう、一生懸命勤めたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
戸塚:……すみません、緊張していてマイクがオフになっていました。自分が市川海老蔵さんのお隣に立てる日が来るとは思ってもいなかったので、すごく気持ちが昂っていて、いろんな感情が入り混じっています。今までやったことのない歌舞伎への挑戦。しっかりと体に叩き込んで、自分に与えられた役割をまっとうしていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
ーー今回が初共演ですが、お互いの印象はいかがですか?
戸塚:やっぱり目力ですかね。先ほど楽屋に挨拶に行ったのが初対面で。優しい瞳なんですが、その奥にラスボスのオーラというか。これ以上近付けないと思うような、とてつもないオーラを感じました。
市川:5分くらい前に会ったばかりなので(笑)。でも、ジャニーズさんとしてのご活躍は拝見しておりますから、スターとしての印象はあります。やはり今回歌舞伎という新たなフィールドに足を踏み入れるということで、覚悟をしてこられたのではないかと。それが先ほどの、マイクがオンにならなかった緊張につながっているのかと(笑)。素直な方なんだろうと思いますね。稽古の中で色々知っていきたいと思っています。第一印象はかわいらしいお顔をしてらっしゃると思いました。
ーーこの演目を選んだ理由はどういったものでしょう。
市川:歌舞伎や古典が好きな方に伝統文化を楽しんでいただけているのは大変ありがたいことだなと思っておりますが、今の世の中の方々にもうちょっと感覚的に感じてもらうためには、古典を面白く作り替える部分も必要なんじゃないかと。例えばニチアサの戦隊ものも、黙阿弥さんが書いた作品からインスピレーションを得てできたと聞いています。その原形をどうやって見せるか。白浪五人男も言ってみれば不良のグループですし、今流行っている『東京卍リベンジャーズ』などに通じるパッションがある。今回は劇中劇で浜松屋や稲瀬川というものをやる予定ですから、現代の方々に歌舞伎の素晴らしさと粋を伝えるには、この作品はとても良いのではと思っています。
ーーその中で、戸塚さんはどんな役をされるんですか?
戸塚:呉服店・浜松屋の宗之助という役をいただきました。
市川:あと、前半では不良っぽいことをするというのは聞きましたか?
戸塚:はい。二役いただきました。
市川:色々挑戦してもらいたいんですけど、古典の部分ですと中々難しいんですよ。周りが全員歌舞伎俳優で、戸塚さんが一人入ると大変かなと。できますか?
戸塚:なんでもやらせていただきます!
市川:おお! じゃあいろんなことを考えつつ、今のところは宗之助ということで、よろしくお願いします。
ーー3年ぶりの公演ですが、新たな試みなどはありますか?
市川:今のところ決まっているのは、三池さんに監修で見ていただきながら、歌舞伎の古典の部分をもう少し押し出していこうと。今まではどちらかというと歌舞伎ではないところから作り上げてきたんですが、やはり歌舞伎の中に良い伝統文化や作品がある。それをもっと押し出していこうという企画です。今回は古典を新しい感覚、違うテイストで観られたらベストだと思っています。
ーー戸塚さんが歌舞伎に対して持っているイメージはどんなものでしょう。また、出演について、A.B.C-Zのメンバーから何か話はありましたか?
戸塚:日本の伝統芸能、代々受け継がれてきたものというイメージです。ここから勉強して、いただいた役をしっかりできるように、歌舞伎の世界に染まっていきたいです。メンバーからは今のところ何もいただいておりません。今後どしどしきてくれるかと思います。メンバー、コメント募集してますよ(笑)!
(左から)戸塚祥太、市川海老蔵
ーーA.B.C-Zといえばアクロバットですが、今回はそういった要素も入ってくるのでしょうか?
市川:今回は弁天小僧菊之助が時空を超えるといいますか、現代のシーンもある演出プランを考えており、そこでは戸塚さんが宗之助ではない人間を演じています。戦う場面も結構出てくると思うので、演出・脚本と話し合いつつ、特別なアクロバットをしていただこうかなと。
ーー戸塚さんは先ほど市川さんをラスボスのように感じたと言っていましたが、攻略法は思いつきましたか?
戸塚:海老蔵さんと共有できる時間の中で学べることは全部学んで、とことん吸収させていただきたいという姿勢で。
市川:それだとラスボス攻略の答えにはなってないんじゃない(笑)?
戸塚:そうですね(笑)。甘えられる隙があったらとことん甘えていこうかなと。
市川:余談ですが、中山(優馬)くん、三宅さん、岸(優太)くん、色んなジャニーズの方と過去にやらせていただいて、皆さん本当に吸収する力がすごい。歌舞伎のみんなも見習わないと思う部分が多々ございます。攻略をせずとも、自分の中で何か見つけて進んでいけるんじゃないかと思いますが、どうですか?
戸塚:代弁していただきありがとうございます(笑)!
ーー海老蔵さんは今回もアドリブをたくさん入れる予定ですか?
市川:やっていいならいいんですが、みんな戸惑うので(笑)。前半はアドリブが十分入れられそうですし、稽古の中で戸塚くんの魅力も分かってくると思うので、アドリブでつついてその魅力を引き出せるような環境作りやコミュニケーションをできたらと思っています。
ーー今回の作品の元は『青砥稿』。混迷の時代の中で作られた作品を、このタイミングで選んだことに理由や意図はあるのでしょうか。
市川:デリケートな話ですね。この作品をやろうと決めたのは去年なので、コロナ禍ではありましたが、関係があるかというと個人的にはあまりないと思っています。ただ、写実的というか、リアルな感動や元気で鬱屈した雰囲気などを退散させられるよう、情熱を持ってやることは間違いありません。
(左から)戸塚祥太、市川海老蔵
本作は2022年2月18日(金)よりEXシアター六本木にて開幕。その後福岡、大阪でも公演が行われる。

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