開幕迫る!スタクラフェス『オペラ・
ミュージカル新春歌合戦』リハーサル
に潜入

オペラとミュージカルの第一線で活躍するアーティストたちが、誰もが知る名曲の数々をオーケストラと共に届ける豪華ニューイヤーコンサート、『STAND UP! CLASSIC オペラ・ミュージカル 新春歌合戦』。本番まであと1週間あまりとなった師走のある日、アーティストたちとSTAND UP! ORCHESTRAが都内スタジオにて、初の合同リハーサルをおこなった。潜入して分かったのは主に、(1)本当に王道の名曲ばかりだ!(2)今回ならではのアレンジとパート割が面白い!(3)引っ張りダコのアーティストは人柄も素晴らしい!の3点。詳しく見ていこう。
あの王道曲がこんなアレンジで!
今回のコンサートが新春にふさわしい“王道曲”たちで彩られていることは、発表されているセットリストからもお分かりの通り。この日は、まだ発表されていない楽曲も含めたほぼ全曲のリハーサルが行われたのだが、見事なまでに耳馴染みのある名曲ばかりであった。いや、(プロの)ミュージカルおたくである筆者にとってミュージカル楽曲がお馴染みなのはある意味当然なのだが、西村悟と日野真一郎のソロ曲、LE VELVETS曲に全員曲と、クラシック楽曲も「コレコレ!」と膝を打ちたくなるものばかり。イイ声で歌われるクラシックの王道曲は――特に、まるで奔流のごとく豊かに轟く高音は――、何しろ本当に景気がいい。
ミュージカル楽曲については、王道曲のスタクラならではのアレンジやパート割も大きな見どころ・聞きどころとなりそう。『ミス・サイゴン』より《世界が終わる夜のように》ではしっかりサックスが入ってくるなど、本編ファンのツボを押さえたアレンジの曲がある一方で、本編とは大きく異なるものもあるからだ。どこにグッと来るか、こればっかりは人それぞれ。筆者的には特に、『レ・ミゼラブル』より《夢やぶれて》の「♪夢食いちぎり~」パートのシンフォニックな響きに圧倒され、そして『RENT』より《Seasons of Love》のイントロにハープが入ってくる新鮮さに胸が躍った。(編注:《世界が終わる夜のように》を含む一部アレンジは園田涼が担当している)
その《Seasons of Love》の後半、本編では女性が自由に転がすあのソロを、今回は一体誰が担うのか? そして『レ・ミゼラブル』の《ワン・デイ・モア》と《民衆の歌》は、果たしてどんなパート割になるのか? ソロやデュエットでない曲については、今ごろきっと多くのファンが、セットリストを見ながら様々に想像を膨らませていることだろう。ここでのネタバラシは避けるが、一言だけ。豪華なアンジョルラスとテナルディエ夫妻に乞ご期待!
場を和ませるアーティスト陣の“茶目っ気”
各アーティストもオーケストラもそれぞれに練習を重ねてきているとはいえ、合わせるのがこの日が初めて。にもかかわらずリハーサルは、一度通してみて出てきたテンポやタイミング上の問題点を二度目で確認したらすぐ次の曲、といった具合にポンポン進んでいく。そのスムーズさの秘密は、全員がプロフェッショナルであることはもちろん、各アーティストの人柄にもありそう。オケを束ねる指揮者・松沼俊彦と、互いにリクエストを出すべきことはきちんと出し合いながら、常にリスペクトと感謝を表明し合っていた姿勢が印象的だ。
たとえば佐藤隆紀は、『レ・ミゼラブル』より《彼を帰して》を一度歌い終わると、「後半ちょっと、気持ちが前のめりになっていく感じがあるとさらに歌いやすいです」と丁重にリクエスト。一方、とあるクラシック曲では高音を超ロングトーンで響かせながら、その場で一回転しておどけて見せるというサービス精神も忘れない。また、日野真一郎はオケと鏡(=客席)のどちらを向いて歌っていいか迷い、宮原浩暢は松沼から髪型がいつもと違うことを指摘されて「あんまり見ないで~」と大いに照れ、西村悟は慣れないヘッドセットマイクを装着して「こんなに鼻息が聞こえちゃっていいの⁉」と戸惑い……。歌い出すとスゴいのに素顔は茶目っ気あふれるアーティスト陣が、場を引き締めながらも和ませていた。
中川晃教と屋比久知奈は、この日は特にリクエストは出さず、オケの雰囲気を確かめるように歌唱。屋比久が『ミス・サイゴン』より《命をあげよう》を芝居心たっぷりに歌い上げると、松沼から「ブラヴァー!」の声が上がる。中川は「よろしくお願いします」と腰低くオケの前に立ち、近くの奏者たちに軽く声をかけてから数曲歌うと、松沼に「ついて行きます」と宣言。すると松沼は、中川が歌いやすいよう「中川さんが崩して歌っても、こっちはこっちでリズムを刻んで」とオケに声をかけていた。その中川の『モーツァルト!』より《僕こそ音楽》をもって、この日のリハーサルは終了。中川の真摯な「ありがとうございました、来年もよろしくお願いします!」の声と、全員の拍手がスタジオいっぱいに響いた。
『オペラ・ミュージカル新春歌合戦』はこのあと、この日は欠席だった小林沙羅が加わったフルメンバーでのリハーサルを年明け早々におこなってから、1月4日にいよいよ本番を迎える。スタジオでの稽古ということでこの日は限界のあった“返し”の問題(自分や互いの音が聞こえづらい)などが劇場でクリアされ、そこに衣裳や照明などの諸要素が加わり、さらに歌姫・小林が降臨したら――これはますます、景気のいいことになりそうだ。
取材・文=町田麻子 撮影=荒川潤

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