神使轟く、激情の如く。 魔法少女に
なり隊、Gacharic Spinを迎えた対バ
ンライブ『LEGIT Vol.14』レポート

LEGIT Vol.14

2021.11.30 新宿BLAZE
来たる2022年3月30日、初の日本武道館ワンマンライブ『神使轟く、激情の如く。日本武道館単独公演「宣戦布告」』開催を控える神使轟く、激情の如く。(以下、神激)。実久里ことの、生牡蠣いもこ、涙染あまね、三笠エヴァ、二日よいこ、TiNAに、マニピュレーターを加えた編成で、アイドルでもバンドでもDJでもないハイブリッドなライブパフォーマンスを磨くべく、2021年4月から日本のロックシーンの中心で活躍するアーティストを次々と迎え、熱い対バンイベント『LEGIT』を開催してきた。今回は11月30日、東京・新宿BLAZEにて、『LEGIT』初の2度目の参加となる魔法少女になり隊、そしてGacharic Spinを迎えて開催した『LEGIT Vol.14』の模様をお届けする。

■魔法少女になり隊
魔法少女になり隊
この日トップバッターを任されたのは魔法少女になり隊(以下、ましょ隊)。魔女の呪いで喋れなくなっていた火寺バジル(Vo)の呪いが解け、RPG設定が解除された現在は、gari(VJ,Vo)、ウイ・ビトン(Gt)の3人にサポートメンバーを入れる形でライブ活動を継続しており、以前SPICEでもレポートした『LEGIT Vol.10』に続いて2度目の参加。
客電が落ち、ステージの後ろの白幕に映像が映し出されるとともにサポートメンバーとウイ・ビトンがオンステージ。そこに真冬でも生足にショーパン姿のgariが元気よく飛び出してくると、大きな拍手が巻き起こる。様子見モードだった前回と違って、フロアは冒頭からウェルカムモードでましょ隊を迎える。
魔法少女になり隊/火寺バジル
「お祭りだ、Everybody。ハンズアップ! 楽しんでいくぜ!」とgariがクラップを求める前から場内はすでにクラップの嵐。バジルがセンターに構え、ライブは和風パーティーソング「ヒメサマスピリッツ」でスタート。歌いながらバジルが扇子を振ると、クラップはさらに勢いよく咲き乱れ“そいや”の掛け声でテンションはどんどん上昇。ポップな「革命のマスク」では、明るい曲調に合わせて照明も全開! ライトに照らされ、オーディエンスの笑顔が見えてくると、gariのテンションがみるみる上がり、喜びが身体中から溢れ出す。いつも以上のスピードでステージを縦横無尽に駆け巡りながら卓に戻ってはVJを操作し、フロントに出てきてはマイクでスクリーモを入れながら、おかっぱヘアを揺らし、無邪気な笑顔でジャンプを何度も何度も繰り返すgari。このがしゃがしゃと忙しないgariのパフォーマンスにのせられ、場内はすでにましょ隊のワンマンのような一体感が生まれている。
魔法少女になり隊/gari
「イェーイ! みなさん、我々魔法少女になり隊と申します。神激さ~ん、またお誘いいただいてありがとうございます」とgariの軽やかな挨拶に続いて、曲は「おジャ魔女カーニバル」。一体感が生まれたところにフェスアンセム投下とあって、みんなで手を左右に突き上げる振り、ウイ・ビトンのリフに合わせてのヘドバン、サビをクラップで迎える動作までオーデォエンスは見事に一致団結。曲終わりには自然と場内に拍手が沸き起こった。出演者3組のファンみんなが、いまこの瞬間、ライブの楽しさを共有している。そんなものが伝わってくるシーンだった。
魔法少女になり隊/ウイ・ビトン
続いて、シンセのイントロから「まぶたの裏のLED」を体を揺らして味わったあとは、gariがピコピコシンセのイントロに「踊ってちょうだい!」と言葉をのせ「完全無敵のぶっとバスター」へ。エモーショナルに歌い上げるバジルの後ろで、gariがバジルの頭からツノが生えるような仕草をしたり、gariがシャウトするときはバジルがものすごいヘドバンを見せてフロアを盛り上げる。
魔法少女になり隊
「おぉー、みなさんいい感じだね」とgariが興奮気味にしゃべるほど、この曲で完全無敵の楽しい空間を作ったところから、《愛してみたいんだ、自分を》と、“自分を癒せるのは自分”というバジルの心の叫びを歌った「NEW ME」では、ウイ・ビトンの速弾きが間奏で大暴れ。激しい感動に包まれたあと、最後はやはりましょ隊らしく楽しさ全開の「冒険の書1」で締めくくって、パーティーは終了した。
魔法少女になり隊

■Gacharic Spin
Gacharic Spin
ましょ隊のパリピな楽しさ全開のステージの熱を受け、次に登場したのは6人組のガールズバンド、Gacharic Spin(以下、ガチャピン)。リーダーのF チョッパー KOGA(Ba)を始め、はな(Vo)、アンジェリーナ1/3(マイクパフォーマー)、TOMO-ZO(Gt)、オレオレオナ(Key)、yuri(Dr)というメンバー編成で、今年9月に初のセルフプロデュースアルバム『Gacharic Spin』をリリースしたばかりの彼女たち。
Gacharic Spin/F チョッパー KOGA
Gacharic Spin/はな
ライブはそのニューアルバム収録曲「1GAME」で幕開け。センターに2人が立つガチャピンのライブ。ギターを弾きながら凛としたオーラを放ち、パワフルな歌声を聴かせるはなはクールビューティーな佇まい。それとは対照的に、ピンク髪を激しく揺らし、ラッパーのような雰囲気で「コブシを上げろー!」とワイルドにフロアを煽り、エモーショナルな歌を放つアンジー(アンジェリーナ1/3)。その後方で、yuriはほっこりするような穏やかな笑顔を浮かべ、バンド全体を見渡しながらパワフルな音でツインペダルを鳴らし、上手後方ではダイナミックな奏法でキーボードを激しく弾きまくるオレオレオナが、妖艶な歌声で曲に色合いを加える。ワンピースの裾をヒラヒラさせ、どこまでもガーリーな仕草でテクニカルなフレーズを華麗に繰り出していくTOMO-ZO。多くのベーシストたちの憧れの的でもあるスラップのテクニシャン、天才的グルーヴメーカーのF チョッパー KOGA。6人6色の存在感が際立っている。
Gacharic Spin/アンジェリーナ1/3
Gacharic Spin/TOMO-ZO
2曲目の「ミライ論争」は、イントロからF チョッパー KOGAの神憑ったスラップソロがうねりをあげる。とにかく、その骨太で高い演奏スキルに裏打ちされた6人のアクトは、手に汗握るほどスリル満点で、すさまじい迫力。目を見開いたままの観客たちが“凄い!”とワクワク大興奮しているのが伝わってくる。

Gacharic Spin/オレオレオナ
Gacharic Spin/yuri
今回が1年ぶりの有観客での対バンライブであることを伝えたF チョッパー KOGAは「声が出せない分、からだ全身で楽しんでいきましょう」と伝え、続けてニューアルバムから「Days」を披露。ここでは楽器隊がハーモニー、コーラスと、パートごとにスイッチしながらコーラスグループのような立体的な歌声を届け、演奏だけではなく歌でもガチャピンのすごさを見せつける。続いて、アルバム曲「MindSet」ではアンジーのラップをフィーチャーしながら、間奏ではリズム隊がインプロのような掛け合いを始め、そこからフュージョンのようなギターソロ、コンテンポラリーなキーボードソロと洪水のようにめまぐるしく押し寄せてくるサウンドで空間を満たしていく。その後に届けた菅波栄純(THE BACK HORN)提供の「超えてゆけ」は、《超えてゆけ、自らを》と心でシンガロングしたくなるようなフレーズをオーディエンスの心に染み込ませ、アンジーがセリフのようにモノローグ調で歌う《世界はとても美しい》が印象的な「I wish I」を切々と歌い上げたあとは、ラスト「何者にもなれなかった僕たちへ」へ。メンバー全員がありったけの想いを込め、この歌を噛み締めながら歌い、演奏して、最後にはなが「今日あなたに会えたこと、嬉しかったです。またライブハウスで会いましょう」という言葉を残して、ステージを後にした。
Gacharic Spin
Gacharic Spin

■神使轟く、激情の如く。
神使轟く、激情の如く。
ましょ隊が楽しい一体感を作り上げれば、ガチャピンはその空間にスリル満点のバンドアンサンブルを響かせ、ここまでですでに熱気に満ち溢れた空間が生まれている今回の『LEGIT』。果たしてここから神激はどう勝負に出るのか。セットチェンジでガチャピンのバンドセットがなくなり、フラットになったステージ。“ドゥン、ドゥン”とバンドのドラムがサウンドチェックをしているかのような音をマニピュレーターが鳴らす。“神激は見えないけど裏に生バンドがいるんだ”というような空気を作ったところで、3番手、いよいよ本日のとりを飾る神激が登場。
神使轟く、激情の如く。/実久里ことの
重低音が爆音で鳴り響く「合法トリップ:ボイルハザード」で幕開けすると、ステージにいるのはメンバーとマニピューレーターのGODちゃんのみ。アイドルなのにバンド? と思わせておいてバンドセットなしに、このサウンド、このスリリングな生感。まずは神激のサウンドシステムが繰り出す音で、初めましてのお客さんを軽く一撃。ステージでは冒頭からあまねがグロウルをかまし、テクニカルなよいこのラップのバックに音源にはないコーラスをかぶせていくTiNAは、ソロダンスで観客を魅了。「あなただけに、あなたに届くまで歌い続ける」と曲の終盤、1曲目からいもこがエモーショナルなMCをかぶせる。この日の神激は、頭から戦闘体制むき出しモードだ。
神使轟く、激情の如く。/生牡蠣いもこ
『LEGIT』では毎回、リスペクトを込めて対バン相手のバンドTを着てステージに上がっていた三笠は、この日はましょ隊のレアTを着用してオンステージ。その三笠が「ましょ隊、ガチャピン、1曲目からみんなクラップしてて、お前ら全員プロ!」とここまでイベントを大いに盛り上げてきた観客をまずは褒め讃える。そのフロアに向かって「期待していいですか? お前らが倒れるまでアンカーとして上げていくんで、そのコブシでかかってこい!」と三笠ならではの男気溢れるMCで煽り、曲は「自己都合主義メタモルフォーゼ」へ。“神激万歳”でおなじみのこの曲は、フリースタイルゾーンでTiNAが「神激も魔法少女になっていいですか?」といってましょ隊の「おジャ魔女カーニバル」の振付を、三笠が「ガチャピンさん観てたらギター弾きたくなったわ」といってみんなでエアギターを鳴らして笑顔を呼び込む。
神使轟く、激情の如く。/涙染あまね
こうして対バン相手のファンを和ませながら一つになっていくところは、この『LEGIT』を通して彼女たちが学んだワザの一つ。今回もこのアクトで会場を一体にしたところへ、神激の真骨頂「神奏曲:テンペスト」をカッコよくぶち込んでいく。ツーバスが鳴り響く疾走感、ゴリゴリのラウドな音に合わせて神者(=神激のファンの呼称)たちは激しく2ステップを刻む。急激なテンポチェンジが時空を揺らしていくなか、いもこがサビ頭で吐き出す《しゃらくせぇ》の叫びを、ことのが最後《共に突破して未来へ》のフレーズで回収していったときに生まれる共感性。ことのの伸びやかなロングトーンの絶叫とともに、神激とフロアは “同士”となって心を通わせ、一つになってぶち上がっていった。
神使轟く、激情の如く。/三笠エヴァ
TiNAがマイクを持ち、「神激初めての人?」と『LEGIT』恒例の質問を投げ掛けると、フロアの半数の人が挙手。初見でここまで神激に食らいつく観客が頼もしく思えた。半分は自分たち以外のファンと分かると、早速ベース経験者でもある三笠は「生はカッコよすぎ。ベースソロのスラップ、好きすぎ!」とガチャピンのライブの感想を伝え、続けてあまねが今回2回目の登場となるましょ隊のライブについて「すごいスケールアップしてたんで、自分も1曲目から激しくいったら頭がクラクラしました」といってファンの笑いを誘った。
神使轟く、激情の如く。/二日よいこ
MC中もずっとバンドのように合いの手を入れていたマニピュレーターが、メランコリックなギターのアルペジオを流しだす。あまねがしんみりと「楽しい時間は線香花火のようにずっとは続かない」と語り始め、「ここにいる君の心に歌います」と結んで始まったのは「夏声蝉時雨」。明日のことなんて分からない、だからこそいまを全力で生きようというメッセージを体現するように、アウトロではことのと神者が一心不乱に2ステップを踏む。そこに音楽ジャンルがコロコロと変わっていくハイブリッドな「BAD CAKE」を畳み掛けてフロアをかき乱していった最後、6人が一斉にフロントに並んだときに立ち上がる気迫は、圧巻の一言だった。
神使轟く、激情の如く。/TiNA
ことのがマイクを握ってフロアを見る。「叶うか叶わないか分からないから夢を諦める。そういうのって、違うんじゃないかなって私は思う。本当にやりたいのか、叶えたいのかどうかなんじゃないの? 今日もこのスリーマン、やりたいからやった。君たちも来たいからここに来たんでしょ? 熱くなりたいからここにいまいるんでしょ? 君たちが足を止めないように。限界っていう天井の先になにがあるのかを知ってほしい」と熱いMCで、“神奏曲”シリーズを締めくくる最新曲「神奏曲:ライトニング」へとつないでいく。「BAD CAKE」とはまた違うハイブリッドなミクスチャーなこの曲。《BANG BANG BANG!》で粋なキメを入れながらラップするよいこ。自分たちは限界を作らず、夢を現実に変えてきた。その姿を最後、神激をここまで引っ張ってきたオリジナルメンバーのいもことことのが声を重ね、歌い上げるシーンは胸に込み上げてくるものがあった。
神使轟く、激情の如く。
そうして「ここにいる誰か一人でも欠けてたらこの景色は作れません。最後まで命燃やします」とよいこの宣言から「神奏曲:インフェルノ」で一気にラストスパートをかける。曲が終わるといもこが静かに語りだした。「この後、ここを出たらいっぱい傷つくことがあると思う。自分を傷つける存在が敵に見えることもあるかもしれない。でも、(ここから徐々に声が熱を帯びてきて)一番の敵は人に言われた言葉にブレて、自分のことを信じられなくなった自分じゃん。自分のことを信じられなくなったり、負けそうになったらガチャピンの音楽が、ましょ隊の音楽が、神激の音楽が(優しい口調になって)いつだってそばにいて、みんなの背中を押す。そんな力が私たちの音楽にはある思う」といったあと、放ったのは「不器用HERO」。曲中、たまらず「私たちはアイドルを遊びでやってるんじゃない! 私たちのこの音楽で、いまこの瞬間だけでもあなたの人生を支えたい!」と叫んだいもこ。最後は熱くてエモい神激がどこまでも炸裂し、この日、ましょ隊、ガチャピンとつないでいった熱気をオーディエンスの体内でも爆発させ、スリーマンのラストを見事に締めくくった。

取材・文=東條祥恵 撮影=鈴木恵
神使轟く、激情の如く。

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • SUPER★DRAGON / 「楽楽★PAINT」
  • OLDCODEX / 「WHY I PAINT ~なぜボクがえをかくのか~」
  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • POP TUNE GirlS / 『佐々木小雪のイラスト花図鑑』
  • POP TUNE GirlS / 『涼水ノアの、ノアのはこぶ絵』
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」

新着