つじあやのの良質な歌声と
ウクレレの重要性を
『恋恋風歌』で再確認する

歌詞に込められた彼女の想いとは?

『恋恋風歌』収録曲の歌詞については気になったところがある。以下、その部分をピックアップしてみた。

《歩いて二人で責め合って/歩いて笑って二人で手を取って》《新しい明日に陽が昇って/空の彼方には夢がこぼれてる/叶えてくれないかな/ずっとずっと君といつまでも》(M3「明日によろしく」)。

《そしていつも僕は君を/想い想い続けているの/愛してます 大好きです/ずっとずっとそばにいるから》《さようなら言わないで/また明日会える/悲しみは密やかに/僕の胸につきささってゆく》(M4「月が泣いてる」)。

《この灯を絶やさないで 心を閉ざさないで/悲しみに凍えないで 夜明けをつかまえて》《誰よりも愛してる 見えない明日さえ/幸せに変わってく ずっとそばにいて》(M7「ぎゅっと抱きしめて」)。

《ひとりぼっちの影が二つに膨らんでゆくよ/キスしてくれたらいいな/いれたらいいな 君のそばにずっとずっと》(M8「春の陽ざし」)。

もうお分かりだろうが、《ずっと》が多い。これには、感情が込めやすいとか、音符に乗せやすいとか、単に彼女自身が好きな言葉だとか、背景はいろいろと考えられるが、やはり“同じ状況が長く続く”という字義通りの意味、ニュアンスを歌詞に込めたかった…とストレートに受け取るのが良かろう。というのも、他の歌詞には“続く”も多く見受けられる。

《このまま僕は 誰にも出会えずに/壊れたままの悲しみ背負いながら/このまま君を 愛し続けてゆく/切ないだけのピエロに成りすましてゆくのか》《このまま僕は 全てに閉ざされて/子供のままの悲しみ抱きながら/このまま君を 願い続けてゆく/ひとりぼっちのピエロに身を焦がしてゆくのか》(M5「雨音」)。

《僕が君と出会って知った言葉 繰り返す帰り道/きっと君を探して消えた 恋を待ち続けて》(M6「帰り道」)。

《明日きっと僕は笑う/こののんきなハート歌い出す/愛しい君と年をとってゆくよ/ほら幸せに》《明日きっと君は笑う/こののんきなハート狙い撃ち/可愛い君よ手をつないでゆこう/ほらどこまでも》(M10「星に願いを」)。

幸せな状態だけでなく、決して想いが成就したわけではない(と思しき)M5やM6でもそうなのだから、ひと筋縄ではいかないけれど、これらが本作の特徴であることは間違いなかろう。彼女の想いが強いこともうかがえる。ご本人の言質を取ったわけではないので安易に断定はできないが、幸せな状態が継続していくことが最も望ましい…ということだろう。ロストラブソング(と思しきもの)にしても、その想いまでも消えてしまうわけではないというニュアンスだから、完全に閉じた状態≒100パーセント後ろ向きともとらえられない。“恋恋風歌”というタイトルから想像するに、恋とはそういうものであってほしいという彼女の願望だろうか。この辺りも何か上品だ。

TEXT:帆苅智之

アルバム『恋恋風歌』2003年発表作品
    • <収録曲>
    • 1.桜の木の下で
    • 2.ありきたりなロマンス
    • 3.明日によろしく
    • 4.月が泣いてる
    • 5.雨音
    • 6.帰り道
    • 7.ぎゅっと抱きしめて
    • 8.春の陽ざし
    • 9.風になる
    • 10.星に願いを
    • 11.さよならを教えて
『恋恋風歌』('03)/つじあやの

OKMusic編集部

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