夢と魔法と感動が再び! 大貫勇輔と
小野田龍之介が語るミュージカル『メ
リー・ポピンズ』の魅力

パメラ・トラバースによる児童文学『メアリー・ポピンズ』とディズニー映画『メリー・ポピンズ』を原作に、ディズニーとキャメロン・マッキントッシュ率いる最強クリエイティブチームが舞台化した傑作ミュージカル『メリー・ポピンズ』。その日本キャスト版が、初演から約4年ぶりとなる2022年3月に、新キャストを迎えて再演される。不思議な力を持ったメリー・ポピンズとともに、バンクス家の人々に関わっていく好青年バートをWキャストで演じるのは、大貫勇輔と小野田龍之介。二人に再演へ向けた意気込みなどを聞いた。
――まずは大貫さん、初演に続いてバートを演じることが決まった時の心境を教えてください。
大貫:初演の時から「再演があるなら、絶対にもう一度やりたい」と思っていたので、お話をいただいて「ありがとうございます!」という感じでした。素晴らしくハッピーな作品で、初演は楽しかった思い出しかないんです。ダンスも歌もなかなかの分量なので、肉体的には疲れているはずですが、幕が下りた瞬間「今日もう1回やりたいな」と思ったくらいです。
大貫勇輔
――初演ではバンクス家の使用人ロバートソン・アイを演じていた小野田さんは、バート役に決まった時はいかがでしたか?
小野田:とても嬉しかったです。雰囲気が全然違う二役なので、ロバートソン・アイからバートに役代わりした人は、世界的にも珍しいと思いますよ(笑)。実は僕、初演の時もバート役のオーディションを受ける予定だったんですが、怪我で踊れなくなってしまって。それで急遽、踊りがないロバートソン・アイ役のオーディションを受けて、出演が叶ったんです。ディズニーもミュージカルも大好きな僕にとって、バートは子供の頃から憧れていたヒーローみたいな存在。前回は挑戦すらできなくて悔しい思いをしたバートを、初演を一緒にやったメンバーの中でやれるということで、今から非常に楽しみにしています。
――初演では、どんなことが印象に残っていますか?
大貫:バートとしては、やっぱり「ステップ・イン・タイム」の時の逆さまの景色が忘れられないですね。タップダンスのビッグナンバーで、逆さ宙吊りになって天井に向かってタップを踏むシーンがあるんです。お客さんも舞台上の仲間もみんな、逆さまの世界からこっちを見ている……あの何とも言えない光景は、ほかでは味わえません。ストーリーテラーの役割も担っているバートの立ち位置も面白いなと思いました。「チム・チム・チェリー」のメロディラインに乗せて、舞台の上からお客さんに「今あの人はこういう思いでいます」とか「これからこういうことが起こるよ」みたいなことを伝えていくんです。
小野田:僕は、そんなバートを「大変だな。なんだか申し訳ないな」と思いながら見ていましたね。ロバートソン・アイは、ビックナンバーの合間にちょこっと出てきて、バンクス家をかき回すようなキャラクター。自分がこれまでやらせてもらったキャメロンチームのほかの作品に比べると、ちょっと楽な気持ちで挑めた感じがあったので。そこからのバート役なので、かなり大変な稽古になるとは思うんですが、ワクワク、ドキドキが詰まった大好きな作品ですし、初演でバートを見ていたからこそ捉えられるものもあるのかなと。Wキャストの頼れるお兄さんから盗めるところは盗んで、みんなとディスカッションしながら自分らしいバートを作っていけたらなと思います。
小野田龍之介
大貫:いや、頼りがいがあるのは龍ちゃんのほうでしょ(笑)。僕ら二人、小学校が一緒なんです。龍之介は僕が6年生の時の3年生だから、年齢的には僕のほうが上ですが、龍之介のほうが年上としか思えないくらいしっかりしているんですよ。バートも、初演からやっているのは僕のほうだけど、「よろしくお願いします」という感じですね(笑)。演じ方によって、いかようにもやれる役だなと初演で感じたので、頼りになる龍ちゃんと一緒に、新たな気持ちで作っていきたいです。
――小学校が同じとは奇遇ですね。お互いの俳優としての魅力を、どんなところにいちばん感じますか?
大貫:声の持っているパワーですかね。稽古場で龍之介がセリフをしゃべり出すと、小さい声でもよく聞こえるんです。しかも声に説得力がある。僕と龍之介は今ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』で兄弟役をやっているんですが(編注:インタビューは11月下旬に行われた)、龍之介の声に兄トキとしての説得力があるから、何の違和感もなく「兄さん」と呼べるんです。すごい声の力だなと本当に思います。
小野田:勇輔くんは、やっぱり身体能力の素晴らしさですよね。身体表現にかけては、世界レベルの俳優さんですから。動きがないお芝居でもすごくアグレッシブなものを感じて、一緒にやっていて面白いですし、プライベートで共通する部分も多いので、すごく楽しいです。
――小学校以外にも共通点があるのですか?
小野田:ありますよ。たとえば、ワインが好きなところとか。
大貫:僕もワインが好きなんです。好きすぎて、ワインエキスパートの資格まで取っちゃいました(笑)。
小野田:そう! そういう、こだわりが強い部分も、ダンスを長年やってきた勇輔くんならではの魅力なんですよね。
大貫勇輔、小野田龍之介
大貫勇輔、小野田龍之介
――お二人がいちばん好きな『メリー・ポピンズ』のナンバーは何でしょう?
大貫:全部好きなんですが、一つ選ぶなら、ジョージ・バンクス(バンクス家のお父さん)に向かって、バートがクッキーを拾いながら歌う曲ですね。ジョージの心に入っていって、観ている人に「バートの優しさがこの人を変えたんだな」と思ってもらえるところまで到達させないといけないんですが、そうできた瞬間は、ある意味、お客さんともジョージとも繋がった瞬間なんですよね。そういう意味でも、とても好きな曲です。
小野田:僕も好きな曲だらけなんですが、ワクワク、ドキドキな曲が連続する中、ぽんと現れるバードウーマン(ロンドンのセント・ポール大聖堂の階段で、鳥にやるパン屑を売る貧しい身なりの女性)のナンバーは、やっぱり印象深いです。初演では島田歌穂さん、鈴木ほのかさんの素晴らしい歌唱芝居に心を奪われました。勇輔くんが挙げたナンバーもそうですけど、ふと涙を誘うような曲もあって、本当に一瞬たりとも見逃せない作品だなと思いますね。
――ご自身にとっての今回の課題は何でしょう?
大貫:初演ではフィジカルがきくところをフィーチャーしていただいたので、そういうバートをキープしながら、役としての厚みをいかに出せるかというところですね。初演から4年の間に経験した色々なことを生かしつつ、初心に返って新たなバートを作りたいなと思っています。
大貫勇輔
小野田:エンターテインメントの要素が最高に溢れかえっていて、そこに乗っかるだけで最高の作品になるのが『メリー・ポピンズ』なんですが、バートはロンドンに住む労働者の一人であり、お客さんと作品を繋ぐ架け橋のような存在。乗っかり過ぎて、エンターテイナーになってしまわないようにしたいなと思っています。いかに普通の男を演じながら、歌ったり、語ったり、踊ったりできるかというのが、俳優としての課題かなと。オーディションの時は、そこに面白くトライできたので、それを作品にどう取り込めるか。勇輔くんと、ああでもない、こうでもないと言い合いながら、作っていきたいです。
――そんなお二人が、演じる時に大切にしていることを教えてください。
小野田:僕は「実感」と「言葉」です。ミュージカルって、音楽があるからこそ大きく飛躍できるところがあると思うんですが、そこに実感がないと、お客さんを置き去りにした、ただの自己満足のお芝居になってしまう。キャラクターが思っていることをきちんと言葉に乗せてお客さんに届けること、無理に声を張り上げず、言葉を届けるように歌うことを大切にしています。
大貫:僕も基本的には龍ちゃんと同じです。プラス、作品によって変わるものもあって、たとえば今、自分の中でこだわってやっているのは「できるだけセリフを忘れること」。相手の言葉を聞いたり、何かが起きた瞬間に、パッと言葉が浮かんで口に出すことを心がけています。そうすると、同じシーンでも相手によって反応が変わったり、新たな気付きがあるんです。それが今は心地よいというか、面白いので、時折セリフを噛んじゃったり、間違えたりもするんですが、そこはあまり気にせずトライしています。
小野田:捨てることも大事ですよね。ミュージカルって公演期間が長いから、油断すると、いい作品であればあるほど類型化してきちゃう。その罠にハマらないように、いかに毎回新鮮に捉えて、新鮮に発信できるか。それは一生の課題であり、悩むところなんだけれども、だからこそ俳優という仕事をやめられないのかなって思います。
小野田龍之介
――ありがとうございます。最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。
小野田:宝石箱のようにキラキラした世界が現れたり、考えさせられることがあったり……。『メリー・ポピンズ』は、人間のいろんな感情が全部引っ張り出されるような作品だと僕は感じています。コロナ禍で心まで閉鎖的になりがちだったところから、ようやく抜け出して新たな一歩を踏み出そうという2022年に、この作品でメリーにワクワク、ドキドキする気持ちを引っ張り出されるというのは、最高に幸せなひとときじゃないかなと思います。我々も幸せを感じながら、最高の状態で『メリー・ポピンズ』をお届けできるように頑張りますので、ぜひ観にいらしてください。
大貫:夢と魔法に溢れたこの作品は、総合芸術としても完成された舞台だと感じています。初演の時に出演者として味わった感動を、できるだけたくさんの人と共有したいというのが僕の願いです。小さいお子さんからお年寄りの方まで、みんなが楽しめる作品です。たくさんの方に観に来ていただけたら嬉しいです。
大貫勇輔、小野田龍之介
取材・構成・文=岡崎 香 撮影=池上夢貢

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