北条義時役の小栗旬(左)と源頼朝役の大泉洋 (C)NHK

北条義時役の小栗旬(左)と源頼朝役の大泉洋 (C)NHK

【大河ドラマコラム】「鎌倉殿の13人
」第2回「佐殿の腹」義時と頼朝、「
奇妙なバディ」の鮮やかな船出

 「おまえだけには話しておく。いずれわしは挙兵する。都に攻め上り、憎き清盛の首を取り、この世を正す」
 突然、思いもよらない話を始めた頼朝に対して、義時は「お待ちください」と制止する。しかし頼朝は構わず、次のように続ける。
 「法皇様をお支えし、この世をあるべき姿に戻す。そのためには、政子が、北条が欠かせぬのだ。よいな。事は慎重に運ばねばならぬ。このことは、兄にも話すな。小四郎、おまえはわしの、頼りになる弟じゃ」
 ひょうひょうとしたそれまでのたたずまいとは一変した頼朝の勢いに気圧されるように、「ははっ!」とうなずく義時…。
 1月16日に放送されたNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第2回「佐殿の腹」のラストシーンにおける源頼朝(大泉洋)と主人公・北条義時(小栗旬)とのやり取りだ。
 初回ということで多数の登場人物が顔を見せ、ストーリー的には「頼朝争奪戦」という色合いの濃かった第1回に対して、この回では頼朝の行動によりフォーカスが当てられた。
 北条家で身柄を預かることになったものの、「わしは兵なぞ挙げん」と断言し、伊東家に残してきた前妻・八重(新垣結衣)とあっさり別れ、義時の姉・政子(小池栄子)に乗り換えようとする頼朝。
 その行動は、散々振り回された義時でなくとも、節操がなく、軽佻(けいちょう)浮薄なものに見える。共に温泉に漬かりながら、「姉を渡すわけにはいきません」と告げ、「出ていってください。北条から」と詰め寄る義時の気持ちももっとも…。
 そう思っていたところ、不意に頼朝が「自分には身内がいない。いざというときに力になってくれる後ろ盾がいない。伊東がそうなってくれることを望んだが、考えが甘かった。そこで、北条の婿となり、今度こそ悲願を成就させる」と、本心を打ち明け、冒頭に記したやり取りにつながる。
 この急転直下の鮮やかな展開に、思わずうなった。「佐殿は難しいお方。決して心の内をお見せになりません」という八重のせりふもあったが、ひょうひょうとしたたたずまいの下に、強く激しい気持ちを秘めた頼朝の二面性を強く印象付けた脚本と、それを的確に表現した大泉の演技は見事。「ははっ!」とうなずいた義時同様、テレビの前で筆者も思わず頭を下げそうになった。
 ただ、一つ気になるのは、「頼朝がなぜ義時に本心を打ち明ける気になったのか?」という点だ。自分に過剰な期待を抱かず、慎重に接してくる義時を信用した、というあたりが妥当にも思えるが、頼朝は今一つ本心が読めず、そう簡単に人を信用しないように思えるだけに、もしかしたら、他に狙いがあるのでは、という気がしないでもない。そう思わせるあたりも、本作における頼朝というキャラクターの魅力と言える。
 前回のコラムでも引用した通り、本作の制作統括を務める清水拓哉氏は、インタビューで「(義時が)頼朝から受けた影響は計り知れないものがあったはずです」「(物語前半は)義理の兄弟でもある頼朝と義時の『奇妙なバディ』をじっくり描こうという考えです」と語っている。
 ここがそのスタート地点と言っていいだろう。まだまだ腹の内が読めない頼朝に振り回される義時が、どんな影響を受けて変化し、成長していくのか。演じる小栗&大泉がこれから生み出す役者同士のケミストリーにも期待高まる「奇妙なバディ」の鮮やかな船出だった。
(井上健一)

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