絢香の
シンガーソングライターとしての
所信表明『First Message』に
時代を超えた普遍性を見る

『First Message』('06)/絢香

『First Message』('06)/絢香

2月1日に絢香の通算6枚目のアルバム『LOVE CYCLE』がリリースされた。オリジナルアルバムとしては約3年3カ月振りとなる作品。6歳になる娘さんと一緒に歌った楽曲「Love for everyone」、ONE OK ROCKのTakaとのコラボ曲「Victim of Love feat. Taka」など多彩な楽曲を揃えており、シンガーとしてはもちろんのこと、ひとりの人間、ひとりの女性としての成長が刻まれた作品となっているのは間違いなさそうだ。今週の邦楽名盤コラムでは、そんな絢香のアーティストとしての第一声と言っていい、デビューアルバム『First Message』を振り返る。

若き本格派シンガーソングライター

一度だけ、絢香にお会いしたことがある。おそらく2006年の春頃で、1stシングル「I believe」が出たあとだったような気がする。お会いしたと言っても、彼女にインタビューした後輩に同行しただけなので、向こうさんはその時のことを覚えてもいないだろう。自分の記憶も薄く、“おそらく…だったような気がする”と述べたのもそれ故だ。自分が話を訊いたわけでもないので、そこで何が話されていたのかは皆目思い出せない。しかしながら、“しっかりと相手の目を見て話す人だなぁ”という印象は残っている。対峙する相手に自分自身のことをしっかり伝えようとしている。そんな感じだ。誤解を恐れずに言うならば、気の強い感じは否めなかったけれど、決して可愛らしいルックス(だけ)をセールスポイントにしている方ではない…ということはそこで完全に把握したように思う。薄い記憶をもう少し辿ってみると、取材をした後輩に“どうだった?”とインタビューでの雰囲気、現場での空気感のようなもの尋ねると、“緊張感漂うインタビューだった”といった主旨のことを話してくれたようなことを何となく思い出す。“リップサービスみたいなものがほとんどなかった”とはっきり言ったかどうかも定かではないけれど、そんなことも言っていたようにも思う。自分自身が取材するわけではなかったので彼女の音源をしっかり聴き込んでいたわけではなかったし、そのインタビューに同行するまでは、若くて可愛らしい歌のうまいお嬢さん…くらいのイメージしかなかったと思うが、その現場以降、絢香=本格派シンガーソングライターということが自分の中では刻み付けられたと思う。

…と、いきなり個人的な思い出話を絞り出してしまって申し訳なく思うが、今回、絢香の1stアルバム『First Message』を聴いて、彼女に対する自分のファーストインプレッションが蘇った。ファンにしてみれば何をか言わんや…であろうし、“絢香=本格派シンガーソングライターと思ったのに、そのあとで彼女の音源をちゃんと聴かなかったのかよ!?”と至極真っ当な突っ込みを入れられることだろう(いや、自分自身が取材しないアーティストの音源って案外聴かないものです…と言い訳)。お叱りを承知で筆を進めると、本作収録曲は、10代でデビューした女性シンガーソングライター、ルックスもいいという概形からイメージするものとは、やはり…と言うべきか、根本から異なっている。個人的な感想と言われればそこまでだろうけど、自分と同じような印象を持っている方は案外少なくないのではないだろうか。それは彼女の最大のヒットシングルである「三日月」の影響は大きいのではないかと想像する。遠距離恋愛を綴ったバラード。リリース当時、CMソングにもなっていて、巷でよく流れていたし、聴くともなしに耳に飛び込んできたので、「三日月」≒絢香のイメージとなっていたことは否めない。女性シンガーに限らず、日本のポップス、ロックの題材はほぼ恋愛なので、何も考えずにぼんやりと聴いていると“この人もそうなんだろうなぁ”と思うことになる。そこは改めて反省するところではある。『First Message』はミリオンセールスとなった作品だし、収録されているシングルナンバーはいずれもチャート上位を記録しているので、その内容は、ファンのみならず、ご存知の方は多いことだろう。だが、このアルバムの作品性、ひいては絢香のアーティスト性を整理する意味でも、まず筆者が本作の歌詞で気付いたことから記したい。

OKMusic編集部

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