フレデリック×須田景凪 ジャンルも
活動形態も越える音楽のリスペクトと
信頼関係、ライブ『ANSWER』の公式レ
ポート到着

フレデリック須田景凪によるライブイベント『フレデリック✕須田景凪『ANSWER』』が2022年2月6日、Zepp DiverCity(TOKYO)にて開催された。本記事では同公演のオフィシャルレポートをお届けする。
今回の「ANSWER」は、昨年12月のコラボEP『ANSWER』のリリースを記念して行われたもの。両者の共作によるRPG『テイルズ オブ ルミナリア』のインスパイアソング「ANSWER」とオープニングテーマ「TOMOSHI BEAT」(フレデリック)&エンディングテーマ「リグレット」(須田景凪)、さらにお互いの代表曲のカバーも収録したEP『ANSWER』。片やロックバンド、片やシンガーソングライター/ボカロP、という両者の信頼関係とリスペクトが、この日の圧巻のステージの最大の原動力となっていた。
須田景凪
須田景凪
最初に登場したのは、2マン形式の対バンイベント出演自体が今回初体験という須田景凪。サポートメンバーのモリシー(Guitar/Awesome City Club)、雲丹亀卓人(Bass)、矢尾拓也(Drums/Nanakamba)との4ピース編成で舞台に立った須田。まずはメジャー1stアルバム『Billow』から、ミディアムテンポのナンバー「MOIL」をハンドマイクで熱唱、オーディエンスの期待感とギアを合わせてみせる。そこから一転、ギターを構えて「veil」のアッパーな疾走感で会場一面のクラップを呼び起こしたところで、さらにフィードバックノイズから流れ込んだ「レド」のロックンロール感が、ライブ空間を刻一刻と高揚させていく。
コロナ禍真っ只中のライブ開催ゆえ、客席スタイルのフロアから歓声こそ飛ぶことはなかったものの、序盤からエモーショナルに高ぶる須田の歌声に、そして「人生で初の2マンを、自分の好きなバンドとできることを、めちゃくちゃ嬉しく思っています」と語る須田の想いに、観客の熱い拍手が巻き起こっていた。
エレクトリックドラムの音色をフィーチャーした「Vanilla」のハイブリッドな質感。モリシーの奏でるアコースティックギターとともに歌い始めたバラード「はるどなり」で聴かせるオーガニックな歌声……。対バンイベントの短いアクトながら、須田の楽曲と歌が持つ色彩感を鮮烈に印象づけたステージだった。
須田景凪
須田景凪
「自分も昔からプレイしてた『テイルズ オブ』シリーズのエンディングを書かせてもらったんですけど、まさかのオープニングがフレデリックで。自分とフレデリックの縁をさらに深くしてくれたような、思い入れのある曲をやります」と披露した「リグレット」から、ボカロP・バルーン名義からの名曲「シャルル」へ……とライブはさらに躍動感を増し、会場のクラップはなおも歓喜の色を増していく。続く「パレイドリア」のアウトロでは、EP『ANSWER』でカバーしていたフレデリックのキラーナンバー「オドループ」のサビのフレーズを織り交ぜて歌ってみせる須田の姿に、場内の熱気はさらに高まっていった。「めっちゃ楽しいですね」というMCの静かな口調にも、確かな充実感が滲む。
須田景凪
「もともと自分は、2013〜2014年ぐらいからフレデリックの一ファンで。自分はその当時、ボーカロイドを中心的に使って活動していて。『めちゃくちゃ好きなバンドだけど、畑も違うし、交わるところはないのかなあ』って思ってたんですけど。まさか一緒に曲を作れるとは思ってなかったし、一緒にCDを出せるとは、人生初の2マンライブを好きなバンドとできるとは思ってなかったので……本当に幸せです。ありがとうございます」。フレデリックとの共演を感慨深げに語る須田に、惜しみない拍手が広がる。
最後に披露したのは、昨年秋ののボカロ祭典『The VOCALOID Collection~2021 Autumn~』にバルーン名義で発表した楽曲「パメラ」。ひときわダイナミックな歌とアンサンブル越しに、須田の音楽の原風景と現在地が融合した、至上のアクトだった。

フレデリック
一方、後攻のフレデリックはEP『ANSWER』収録の「TOMOSHI BEAT」からスタート。全国ライブハウスツアー「FREDERHYTHM TOUR 2021-2022 〜朝日も嫉妬する程に〜」のファイナル公演を、今回の対バンの2日前に終えたばかりのフレデリック。「人生最高の日を更新したいです! 遊ぼうぜ!」と呼びかける三原健司(Vocal & Guitar)の言葉も、三原康司(Bass & Chorus)/赤頭隆児(Guitar)/高橋武(Drums)のアグレッシブな熱演も、ツアー完走の達成感と確信を帯びて響く。
冒頭からパワフルなダンスロック感全開のまま「KITAKU BEATS」、さらに和田アキ子への提供曲「YONA YONA DANCE」のセルフカバーバージョンを畳み掛け、Zepp DiverCityをダンスとクラップの渦へと巻き込んでみせる。
フレデリック
フレデリック
「いやあ、須田景凪くんのステージ、すごかった! 初めての2マンライブって言ってたけど、バチバチやん! ライブもすごいし、アレンジも入れてくるし。なんか、俺らの知ってる曲も入れてくるし(笑)」と健司はMCで須田のアクトを絶賛。「須田景凪くんはこの曲を聴いてフレデリックを知ってくれた」という前置きとともに演奏したのは、インディーズ時代の楽曲「峠の幽霊」。おとぎ話と怪談がバンドサウンドの中で交錯するようなミステリアスな楽曲が、この日の共演の必然性を如実に物語っていた。
その直後、「新曲やってもいいですか?」と今度は、ニューアルバム『フレデリズム3』からいち早く2月9日に配信リリースされる最新楽曲「Wanderlust」へ。シンセベースを弾く康司の佇まいも含めテクノ/ハウス感を強く漂わせるAメロから、切迫感に満ちたパワフルなサビへと展開していく「Wanderlust」。ロックとポップ、シーケンスとバンドサウンドを重ね合わせて「音楽の遊び」を生み出していくフレデリックの真骨頂と言うべき楽曲が、場内をクラップで満たしていく。
フレデリック
フレデリック
「Wake Me Up」からはライブも後半戦へ。変拍子もリズムの変化も自然に乗りこなす4人の快活なタフネスがオーディエンスの熱気をよりいっそう高めたところで、「次の曲はみんな知ってる曲だと思います!」と満を持して響かせたのは「オドループ」。スタンディング形式に比べると遥かに収容人数の少ないはずのZepp DiverCityが、オーディエンスの歓喜のダンスに激しく揺れる。「2マンと言えども、絶対に負けられない戦いがそこにあると思うんですよ!」となおも煽る健司。突き抜けるような開放感に満ちたビートの加速度が、フレデリックの「今」の充実感をまざまざと伝えている。
「須田景凪くんとは、ここ2〜3年の間にすごく仲良くなって。仲良くなる速度が速いし、すごく濃いんですよ。音楽に限らず、好きなものの感性が自分たちと合う。アーティストとしても尊敬するし、友達としてもずっと一緒にいたいと思える存在」と須田景凪について語る健司。「一緒に曲を作って、CDを作って、ライブをやって……形としてはこのライブで一区切り、須田景凪くんとフレデリックが一緒にやるっていうのは最後になるかもしれへんねんけど、俺は全然最後っていう気がしなくて。むしろ『ここから始まるな』って」というMCに続けて披露した最後の曲は「名悪役」。《絶え間ない今を歌うから/二度とあなたを忘れないよ》のフレーズに、フレデリックと須田のさらなる「これから」への情熱を託し、力強くライブを締め括ってみせた。
フレデリック
アンコールでフレデリックの4人が再登場したところで、健司が「じゃあ曲を……と行くわけないですよね?」と須田を呼び込む。「一緒にCDを作って、一緒にインタビュー受けたり、ラジオに出たりしたじゃないですか。あれも自分はめちゃめちゃ楽しくて。基本的に僕はひとりで活動してるので、これからしばらくあれがなくなるのか……と思うと、すげえ寂しいです」(須田)、「こうやって一緒に須田くんとやるのも楽しいし、こっから先が俺はめちゃくちゃ楽しみ」(健司)と喜びを伝え合ったところで、この日の正真正銘ラストナンバーはもちろん「ANSWER」。フレデリック✕須田景凪の象徴的ナンバーで、須田と健司が時に歌声を掛け合い、時に熱く共鳴させながら、珠玉の共演を彩ってみせた。
すべての音が止んだ後、「またいつかやりましょう」と健司。「絶対やりましょう」と答える須田。シーン最前線をひた走る両者が、最高の形で響き合った一夜だった。
フレデリック、須田景凪
フレデリック、須田景凪

文=高橋智樹 撮影=西槇太一

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