ゲームセンターで生まれた35年の戦い
の記録 ストリートファイター『俺よ
り強いやつらの世界展』

「俺より強いやつに会いに行く」。このフレーズが無かったら、今のesportsの隆盛はひょっとしたら無かったかもしれない。
1987年に株式会社カプコンが世に放った対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター』は対戦格闘ゲームというジャンルを切り開いた作品だ。そしてその正当続編として1991年にリリースされた『ストリートファイターII』(以後『ストII』)は社会現象を巻き起こし、世界的な大ヒットとなった。今なお新作がリリースされ、esports競技ジャンルのメインストリームとして稼働している。
今回、シリーズ35周年を記念した『ストリートファイター「俺より強いやつらの世界展」』が、2月10日(木)から3月27日(日)まで、東京アニメセンター in DNP PLAZA SHIBUYAにて開催される。制作現場に保管されていた秘蔵資料や原画などが多数展示される、ファン垂涎の本展。今回はその内覧会の様子をお伝えする。
等身大春麗とベガ インターポール麻薬捜査官とシャドルー総帥のお出迎えだ
会場入り口では等身大の春麗とベガのフィギュアがお出迎え。入口から各キャラクターのイラスト原画などが展示されている。
ストリートファイターシリーズは対戦ゲームとしてのバランスや面白さに加えて、キャラクターの魅力というものもそのヒットに大きく起因している気がする。袖なし道着にハチマキ姿のリュウ、ミニチャイナにタイツ姿でアイコニックな中華格闘キャラの源流ともなった春麗、全身緑色のブラジルの野生児ブランカなど、そのキャラクターの源流ともいえる過去の原画が近くで見られるのは貴重な体験だ。
各キャラクターごとに分かれたイラスト展示
『∀ガンダム』キャラクターデザインなどでも知られるあきまん(安田朗)や、西村キヌ、ベンガスなどが描き下ろしたカラーイラストの原画の展示も多数。当時ゲームセンターやゲーム雑誌で見たメインビジュアルの筆致が確認できることはなかなかないので、細かい部分までしっかり見たい。筆者の個人的な見どころとしては、あきまんが描き下ろした特大サイズの春麗の油彩画、そしてベンガスが描いた豪鬼の鉛筆画だ。前者は円熟を得た今のあきまんが油彩画という当時は使わなかった画材で描いているその迫力。後者は緻密な鉛筆の密度とタッチがものすごく、絵画としても楽しむことができた。
春麗の油彩画、その全貌はぜひ会場で(写真=オフィシャル提供)
ベンガスの鉛筆画は是非近くで見てもらいたい、写真では伝わりきらない細かさ

更にカプコンの社員も「今まで見たことがなかった」という設定資料も展示。世界観、キャラの設定から、技のモーションの分解画像、ステージやキャラの資料などここでしか見れないものであり、手書きで描かれたそれらの資料を見ると、35周年という歴史の重みを感じることができる。
圧倒的な量の資料たち
詳細なファイターたちと世界観の設定
もはや伝説の初代ストリートファイターの企画書まで!
そして展示の中には体験型コンテンツも。「BONUS STAGE 2022 in TOKYO〜撃て!お前の波動拳〜」と銘打たれたブースでは、ストリートファイターシリーズ名物の、車を破壊するボーナスステージを体験することができる。どうやって車を壊すの? それはゲームと同じ「波動拳」だ。指定の位置で波動拳のポーズをとると、連動して画像の中で波動拳を放つことができる。
『ストII』を子どもの頃にプレイした人なら、「ひょっとしたら波動拳が出るのではないか」とモーションを真似したことはあるのではないだろうか? このコンテンツではその夢が叶う。ちなみに、モーションによっては「別の技」を繰り出すこともできるので、ぜひ体験してもらいたい。
もう一つのコンテンツが「CONTINUE?〜思い出せ!お前の負け顔〜」だ。アーケード筐体に座り、使用キャラを選ぶと、画面内のキャラはあっさりと敗北してしまう。その後のリザルト画面での名物「ぼこぼこになったキャラの負け顔」に自分の顔をはめ込むことができるというもの。キャラの気持ちになって悔しそうにしたり、悲しそうな表情を作ると自分がゲームの中に入り込んだような気持ちになれる。
アストロシティ―筐体に埋め込まれた体験型コンテンツ
あかごの ほうが はごたえあるわ…

もちろんグッズも充実だ。図録からアパレル、マスキングテープなどの小物類も多数。お土産としても、自分用のアイテムとしても楽しめるラインナップとなっている。
物販コーナーも充実
筆者は40代だが、小学生の頃、大人の居場所だったゲームセンターとの距離をぐっと近づけてくれたのは、間違いなく『ストII』だった。コンピューター相手ではなく、キャラを通じて画面の向こうの友達や誰かと戦うという高揚感は何物にも代えることのできない体験だった。展示を見ながら、学校帰りに少ないお小遣いを100円玉に両替して、それを握りしめて自分の番を待っていたあの日を思い出した。
初めて昇竜拳が出せるようになった喜びを、勝てなかった友達に勝てた興奮を、そして待ちガイルに歯が立たなくて流した悔し涙を、それらの一つひとつが今の僕たちを形成している。その「強くなりたい、強いやつに勝ちたい」という願いにも似た思いが、今のesportsの礎になっていると思えるのなら、この展示に触れる意味がある。
たかがゲームという人はいるかもしれない。だがされどゲームだ。35年続くシリーズはもはや一つの歴史だと思う。われらの先祖が営みを続けて来たからこそ、今の僕たちがいる。
格闘ゲームも同じだ。あの時負けてもあきらめなかった誰かがいるから、今がある。今も続く戦いの歴史に触れてみてもらいたい。
波動拳が、で、出たー!
(c) CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
文=加東岳史

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